新型コロナウィルスの流行によって、私たちの生活には様々な変化が起こりました。その変化のひとつにテレワークの普及が挙げられるでしょう。これまで会社に行って仕事をするのが当たり前だったのに、自宅から一歩も出ずに仕事をすることができるからです。
ただ、テレワークもサラリーマンにとって良いことばかりではありません。一時的にはダイニングで対応していても、それが恒常的になれば、長時間座っても疲れない椅子が欲しくなります。また、専用の机、専用の棚、専用のスペースが欲しくもなるでしょう。
しかしながら、日本の住宅はただでさえスペースに限りがあります。断捨離に取り組んだり、家具を買い替えたり、各部屋の使い方を見直さなければ、そのスペースを捻出することはできません。そのため、このコロナ禍では多くの方が家の中のコトに向き合う機会が増えたと思います。
ともあれ、そのような事態に於いては、様々な選択肢があればあるほどありがたいものです。イトーキからも「時間と空間のシェア」することを目的とした新しい商品が発売されたのでご紹介したいと思います。
イトーキ・MINOTO(ミノト)

出典:イトーキ
こちらがこのたびイトーキから発売された「MINOTO(ミノト)」という、テレワークやリビング学習に適したデスク、ラック、チェアのシリーズです。
私は最初、オカムラの「lieuble(リュブレ)」かと思いました。デスクの脚形状、サイズ感、引出しに代えて天板下に棚を設けたデスク、材質(いずれもオーク突板)、ラックの形状や組み合わせなど、誰がどう見たってリュブレなわけです。
しかし、東証プライムに上場している天下のイトーキが競合他社商品をパクるなんて下品なことをするはずはありません。一体どこがどう違うのかというところを中心に見て参りたいと思います。
デスク
まずデスク。リュブレは幅80cmと120cmの2サイズ展開ですが、ミノトは幅80cmと140cmというラインナップです。120cmではなく敢えて140cmとした理由は、親と子でシェアするに十分なサイズを目指したということだと思います。
また、リュブレの奥行はリビングダイニングに置いても圧迫感がないサイズ感を目指した450mm。それに対し、ミノトはテレワークや学習に十分とは言えないまでも圧迫感を与えないギリギリのところで奥行500mmとしています。つまり、インテリア性よりも実用性を追求したものと考えられます。
ちなみに、リュブレは3色展開。ミノトは1色のみ。また、リュブレの脚はラバーウッドにオークの木目を印刷したものですが、ミノトはオークそのものの天然木でボリューム感があります。それでいてリュブレよりも安いです。もっとも、オカムラ公式ショップ以外の価格を見るとミノトとほぼ同じですが。
ラック
ラックもパッと見た感じはリュブレのパクリのように見えるかもしれません。しかしながら、デスクと同様にミノトは棚板にオーク突板、脚にはオーク無垢を使い、質感は上々。また、棚板最下段を床からちょっと離す一方で、天板はフラットにして、リュブレとの違いを打ち出しています。
棚板の奥行も実は違います。リュブレは上の段ほど奥行が浅くなっていますが、ミノトはすべて同じで無印良品の「ポリプロピレンファイルボックス」が入るようになっています。そのため、こちらも実用性がかなり意識されていると言えるでしょう。
チェア
ミノトにはチェアも用意されています。背もたれを前に移動させたり、足置きをセットすることで、子供でも座れます。逆に、背もたれを後ろにやって、足置きを外せば大人でもOK。デザイン的にもシックで良いですよね。アイボリー、ジェイドグリーン、ラーゴブル―の3色が用意されています。
こちらのチェアがちょっと変わっているのは、座面や背もたれに合板を使っているところでしょうか。樹脂と違ってしなりが少なく、オフィスチェアというよりもダイニングチェアに近い座り心地のような気がします。
なお、重量や、座面や脚部の幅は同社「サリダYL2」とほぼ同じです。ミノトはそれよりもハイバックで、背もたれ前後スライド機能があるというのがメリットと言えるでしょう。ただし、背ロッキング機能はないと思われます。
以上の通り、イトーキのミノトはオカムラのリュブレとは全然別物です。たまたまデスクの形状や材質、サイズ感、ラックとのコンビネーションなど似ているところがいくつもあるだけで、むしろテレワークやリビング学習という観点で見ればリュブレよりも実用性をブラッシュアップしていると言えるでしょう。実に見事です。
冗談はさておき、たとえばデスクの140cm幅の価格を見ると、引出しが3杯付いている「リーモ リビングデスク」の140cm幅と同じですからやっぱりちょっと高いかなと思います。80cm幅の場合も同様に、もうちょっと足すだけでリーモならサイドキャビネット付きが買えてしまいます。そのほか、コイズミファニテックの「コトア」や「ファリス」あたりも競合となりそうです。
というわけで、イトーキが新商品を発売したと言っても簡単にはヒットにはならなそうですが、いろいろ比較検討したうえでコンセプトが気に入ってもらえると良いなと思います。
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