数年前まで学習机メーカー各社は6月に新作デスクを発表し、そこから年明けのピークに向かって市場全体が盛り上がっていく感じでした。しかし、徐々に少子化や通年化などによって、盛り上がりを感じることなく時間が過ぎていってしまっているような気がします。年度の始まりも終わりも曖昧です。
それでも、学習机メーカー最大手のコイズミファニテックの商談会の招待状をいただくと、新しい年度の始まりを感じます。今年もありがたく参加させていただきましたので、その様子を皆様にもお伝えしたいと思います。
※この記事は2024年6月29日時点の情報に基づいています
電動昇降デスク「Fit-in Desk」
まずは新作デスクから。今回の目玉新商品は電動昇降デスクの「Fit-in Desk(フィットインデスク)」。事前に新しい天板昇降式デスクが登場するとは聞いていましたが、まさか電動とは思いませんでした!
デンマークLINAKの電動昇降ユニット
コイズミファニテックには既に電動昇降デスクの「アルテージ」があります。しかし、アルテージは幅120cm以上と大きく、価格も手頃とは言えません。
その点、Fit-in Deskは学習机として置きやすい幅100cmで、実売価10万円以下からと手頃です。それでいて、電動昇降ユニットはデンマークの老舗メーカーLINAK(リナック)のものを使っており、子供でも使いやすく、それでいて安全にできています。
上写真の黒いペダル状のスイッチを上下させることで天板を62~127cmに昇降可能。天板の高さはスイッチ中央にLEDで表示されます。スマホなどのアプリからも操作や各種設定が可能です。昇降はギクシャクすることなくとてもスムーズです。
奥行拡張天板で53→60cmに
天板の奥行を50cmから60cmに拡張できるようになっていることも特徴のひとつです。これにより、リビングダイニングから子供部屋まで対応可能となっています。
後述する「ファミオ」はデスク奥に拡張天板が付いており(上写真左)、天板の奥に継ぎ足すことが可能。もうひとつの「レノス」は「ファリス」のように上棚を付け替えることで奥行を拡張することができます。
Famio(ファミオ)
フィットインデスクには2つのラインナップがあります。一つ目のファミオは価格が手頃なMDF天板のモデル。上写真は試作品のひとつで、実際には天板下に引出しは付きません。冒頭の写真のように天板下は左右に区切られたオープンスペースとなります。
天板上にはコンセント付きのデスクシェルフ(上置き)をセット可能です(別売)。天板はMO色だけですが、脚部はホワイトとブラックが用意されています。
Lenos(レノス)
もうひとつは天板にホワイトオーク突板を使ったレノス。こちらも幅100cmで、木部MO色×脚部ホワイト色と木部WT色×脚部ブラック色が用意されています。また、上置きと引出しは標準でセットされています。脚部は木目で装飾されています。
キャビネットシェルフ
ファミオ、レノスともに、ワゴンの用意はありません。代わりに「キャビネットシェルフ」が用意されています。デスク天板に合わせてファミオは主にMDFとプリント紙、レノスはホワイトオーク突板とプリント紙でできています。
先ほどのレノスの写真のように積み重ねて使うこともできます。ランドセルを出し入れしやすいように、棚板を傾斜させた状態で取り付けることも可能です。
ハイブリッドチェアFit-in
フィットインデスクに最適な座面高にセットできる「ハイブリッドチェア Fit-in」も投入されました。従来品の座面高が435~545mmのところ、こちらは390~470mmと少し低くなっています。
また、足置きの高さも低く設定されています。もちろん、足置きは取り外すことが可能です。
Muppu(ムップ)
もうひとつの新型デスクは「Muppu(ムップ)」。モンテッソーリ教育理論に基づく、未就学児童のための家具ラインナップとなっています。
ここのところ耳にすることが多いモンテッソーリ教育は決して新しいものではなく、100年以上も前に確立された理論です。簡単に言うと、適切な環境を整えてやれば子供は自発的に学ぶことができるという、子どもの発達モデルに基づいた教育法です(参考:Wikipedia)。
早期教育が流行っているからそのニーズを反映して…と言うと身も蓋もないかもしれません。しかし、「親と言えども人を育てることはできない、親にできる唯一のことは環境を与えてあげることだけ」という先人の知恵を信じている私としては、ムップは良い提案になると思います。
脚の付け替えで高さ73cmに
実はムップも天板昇降式デスクと言えます。脚を付け替えることで、天板高38cmのローデスクから73cmの一般的な高さのデスクにチェンジさせることができるのです。
天板サイズは90×55cmとコンパクトながら、リビングダイニングで学習させるにはちょうど良い大きさと言えるでしょう。
シェルフの上にチェアを合体可能
ローデスクのときにセットしたチェアは、デスクの天板高を上げると椅子として使わなくなります。そこで、チェアはシェルフの上に合体させて使うこともできるようになっています。
CDコンパクトはリフティングなしに
新型デスクが発売される一方で、既存ラインナップの一部にも手が加えられています。「CDコンパクト」はワゴン天板リフティング機能が省かれることになりました。円安や原料高、物流費や人件費の上昇に伴う販売価格上昇を可能な限り抑えるためです。
なお、書棚ハイタイプの「CDファースト」はリフティングワゴンの仕様に変更はありません。
OD1-woodyもリフティングなしに
一部販売店で扱われているコイズミファニテックの裏定番「OD1-woody(オーディーワン・ウッディー)」もワゴン天板がリフティングなしになりました。その代わり、CDコンパクト同様にワゴン引出し2段目が中深となり、使い勝手が向上している面もあります。
コイズミ学習机は引出し全段フルスライドレールが標準ですから、引出しが深くなって重いモノを収めても開閉のスムーズさが損なわれる心配はありません。
ミニデスクマット
2024年4月から「メモがはさめるミニデスクマット」が販売開始されています。ポケモン、リラックマ、ちいかわの3種類です。
これはリビングダイニング学習をターゲットにしたものかと思ったのですが、テレワークだけでなくオフィスで使われることも想定していたそうです。キャラクターショップなどでも販売したところ、売り切れが続出するほど好調なセールスとなっているのだとか。
2面ともにシルク印刷
標準サイズのデスクマットは透明の塩ビシートの間にキャラクターなどが印刷された紙が挟まれているものが多いですが、こちらは2枚の塩ビシートそれぞれにシルク印刷が施されています。めっちゃカワイイので、売り切れ続出となるのも納得です。
tsumugi(つむぎ)123
「tsumugi(つむぎ)123」は2025年度の新作ではなく、既に販売されている商品です。昨年度の展示会でも並べられていたそうですが、主にコントラクト(公共施設など)を対象にしたプレキッズ事業の商品ということで、私はノーチェックでした。
ただ、これが実に素敵!上写真の2台は実はまったく同じもので、左のベビーベッドの状態から、右のローデスク(お絵描きデスク)に組み替えることができるのです。ちなみに、天板(床板)はメラミン合板で、ベージュ系とモカ系のリバーシブルになっています。
6つのスタイルにチェンジ
それだけではありません。子供が生まれてすぐから学校に通うようになるまで、最終的には標準的な高さのデスクとして使えるように、6段階で組み替えられるようになっています。
ベビーベッドは決して安くないのに、乳児期を過ぎれば使い道がないんですよね。でも、組み替えることでデスクとして使えるなら、サスティナブルだし、コスパも良いと言えます。おまけに、こちらは国産のカラマツを使って北海道は旭川で作られる国産品です。この値段なら飛ぶように売れてもおかしくないと思います。
2025年度は紙カタログなし!価格改定も
例年であればコイズミファニテックの学習家具カタログは8~9月頃に発行されます。しかしながら、コロナ禍以降は特に店頭でカタログが設置されないことが増えているということもあり、また持続可能性の観点からも、2025年度は紙カタログの発行をしないことに決まったそうです。その代わりに、デジタルカタログの公開は例年よりも早く、7月初旬を予定しています。
なお、昨今の円安や諸々のコスト上昇を反映して、一部商品の価格が改定されます。店舗によっては6月28日から値上げと表示されていますが、7月1日からというところもあります。もう時間がありませんが、値上げ前のところを見つけたら急いでお買い求めください。
以上、今年のコイズミファニテックの商談会で得たニュースをお伝えしました。
昨年度に続き、意欲的な新作デスクが登場したことにまずは一安心。しかし、電動昇降デスクとは驚きました!既に電動昇降デスクはたくさんありますが、子供の学習用として適したサイズ感と比較的手頃な価格、そして安全性を満たしたものは少ないです。ファミオとレノスがそういった点をどこまで消費者に訴求できるかがポイントとなるでしょう。
また、ムップも一種の天板昇降デスクで、従来の幼児用デスクとは一線を画すギミックを備えています。ホワイト系の韓流インテリアっぽいデザインも含め、かなりターゲットを絞り込んでいますが、刺さる人には刺さるんじゃないかと思います。
それらよりも個人的に注目しているのは、もうひとつの天板昇降デスクと言える「つむぎ」ですよー。これから赤ちゃんを迎えるご家庭に訴求していかなくてはならないので、私がここでアピってもしょうがないんですけど、これは絶対に売れると思います。まだほぼ一般には販売されていない状態なので、これから伸びていく商品ではないでしょうか。
価格改定、その他の変更点などについては、また7月初旬のデジタルカタログ公開後にお知らせしたいと思います。
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