20世紀までは学習机と言えば上棚がハイタイプのものが主流でした。しかし、21世紀に入った頃から浜本工芸、マルニ木工、カリモク家具などの家具メーカーの学習机に注目が集まるようになって、ロータイプのものが増えるようになりました。家具メーカーの学習机は高価なうえに、本体、袖ワゴン、上棚がそれぞれ別売なので、予算を抑えるためであったり、より大人っぽいものが志向されたため、ロータイプに人気が推移したと考えられます。
また、ちょうど同じころ、ハイタイプのブックスタンドの多くが上下分割式になったことも大きく影響していると考えられます。 子供が成長したらハイタイプのブックスタンドは子供っぽいからイヤだと言われることが多いために上下分割式が開発されましたが、どうせ分割して使うんだったら最初からロータイプで良いと考える消費者が増えたものと考えられます。
※2019/07/20最終更新
近年はロータイプがやや優勢
この記事を最初に書いた2015年頃はまだまだ上棚付きデスクの全盛期でした。そのためラインナップも豊富だったのですが、この2~3年のうちに急速に多様化が進んでセレクトタイプなどが増えた結果、上棚付きデスク自体が減ってしまいました。
そのため、2015年頃ならハイタイプとロータイプそれぞれのモデル数は、ハイ:ロー=1:2程度でバランスを保っていると言えたのですが、現在はほぼ1:1に近い状態で、ロータイプのほうがやや多いかなという感じです。
ロータイプの人気がなくなったというよりは、上棚なしという選択肢が増える一方で、組み合わせ式デスクに収納量を期待する人にとっては変わらずハイタイプが人気という具合に、二極化が進んでいると考えられます。
実はロータイプよりもミドルタイプが人気
ここまで述べてきた中で、実はロータイプにはミドルタイプも含めています。ロータイプとミドルタイプの厳密な定義はないのですが、一般的にロータイプはデスク本体も含めた全高が110cm台のもの、ミドルタイプは同じく120cm台のものと言うことができます。
ロータイプとミドルタイプの違いは10cmほどのことなのですが、この10cmほどの差によって、デスク天板と棚の間の中途半端な高さを十分な空間にしたり、本を並べることができるのです。
上の2モデルを比較した場合、デコプリは上棚の棚板が固定になっているため、棚板の下には筆箱やノートを横にしておくことしかできません。一方でレイクウッドは左右の棚板が可動式になっているため、棚板の下に本を立てて置くことも可能です。
言うまでもなく、ミドルタイプはハイタイプとロータイプの中間の高さです。そしてロータイプが増えていると思っていたら実はミドルタイプが増えていたわけです。つまり、学習机はハイタイプからロータイプに一方的に人気が推移しているどころか、すでに逆転現象が起こっていると言うことができます。
ハイタイプの収納力はやっぱり魅力的
ハイタイプの学習机は子供っぽいとか、見た目に圧迫感があるとか、無駄な機能だとかいう理由で敬遠されてきました。しかしロータイプにシフトしていく中でやはり収納力が足りないという意見が起こってきたのだろうと推測されます。ロータイプの学習机を購入して、その横に十分な収納力を確保できる書棚などを置くことができれば問題ありませんが、そうではない場合、学習机自体の見た目は良くなっても収納が足りなくてかえって片づかなくなるということが考えられます。
特に最近はリビングダイニングに学習机を置くお宅が増えており、一方で一般的にリビングダイニングにはそれほどスペースに余裕があるわけではありません。そうすると学習机そのものに十分な収納力が求められるため、その結果としてハイタイプの学習机が見直されたり、ロータイプからミドルタイプへという流れができてきているのだと考えられます。
近年は「上棚はハイタイプとロータイプのどちらが良いか?」というよりは、「上棚はあったほうが良いか?」というご質問のほうが増えています。もちろん、見た目だけのことを考えればないほうがスッキリしますが、実際の使い勝手などのことを考えればあったほうが良いわけです。そのため、色々考えた挙句、上棚の有無で悩んでいた方がハイタイプの組み替え式デスクを購入されるということもあります(笑)
一昔前と比較すると随分とラインナップが変わった学習机市場ですが、大筋で言うと「見た目を取るか、収納量を取るか」という点ではずっと変わっていません。いくら圧迫感の少ないロータイプを選んでも収納量が足りなくて机の上に本を積み重ねてしまっては見た目は損なわれてしまいます。逆に収納スペースを増やし過ぎると無駄なモノが増えるだけというのも事実です。
何が人気ということよりも、お子さんに合ったものを選んでいただければ良いのではないでしょうか。
2019/07/20追記:
あるメーカーでは、ロー:ハイ=9:1になっているそうです。ロータイプのほうが価格が安いということも影響しているでしょうけど、カタログでのラインナップで見るよりも実際にはハイタイプの不人気が進んでいるようです。
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【コメント】 皆様からご質問・ご意見など
大変参考にさせていただいております。2016年に小学校入学の長男の机選びでコイズミのアルフ(98,800円椅子なし)かCDファーストステップアップL(2015モデル69,800円椅子つき)のどちらにするか迷っております。最初はリビング、将来は子供部屋に置く予定です。CDファーストで気になる点は幅が95cmで可動棚を入れたままでは将来足元が狭くないのか、可動棚を引き出しても机と一体にならないので使い勝手が悪いのでは、という点です。アルフは棚を机と一体化できる点が気に入ってますが、上棚の収納が少ない点が気になります。やはり机の正面で教材を手に取れる方が便利だと思うからです。子供部屋ではアルフを棚と机に分けて設置できる広さがあります。ご意見をお聞かせください。よろしくお願いします。
Takase Toshikoさま
はじめまして^^
お話から察するに、当面はリビングにアルフをコンパクトスタイルで設置するか、CDファーストをスタンダードスタイルで設置するということなのだと思います。
その前提で、以下説明させていただきます。
アルフのコンパクトスタイルとCDファーストのスタンダードスタイルを比較した場合、やはりCDファーストのほうが収納力は多いです。
ただ一般的には、アルフの上棚でも学校で使う教科書やノート類は小学校中学年くらいまでは収まります。
通信教材や塾のテキストなどは足元棚に収めることになりますが、おそらく収まり切らないでしょう。
その点、CDファーストのほうが収納力があって安心できると思います。
ただし上棚の上段には小学校低学年までは椅子か机に乗らないと手が届きません。
一方、足元の広さについては、どうしても幅95cmのCDファーストでは狭く感じられる可能性があります。
コンパクトな学習机が求められる傾向がありますが、95cm幅というのはギリギリ最低限の幅です。
ただ、子供部屋にアルフをデスクと棚をセパレートにして置くスペースがあるのであれば、CDファーストのワゴンを横に天板リフティングした状態で置いて、デスク本体と本棚はスタンダードスタイルにしたままで置くことも可能でしょう。
その場合、デスク天板とワゴン天板の間には若干の段差が生じてしまいますが、ワゴンには教科書類を積み重ねておき、デスク本体は作業面として幅95×奥行53.5~74cmほど確保できれば十分です。
そのように機能的なことを考えればCDファーストでOKだと思うのですが、気になるのは見た目のことです。
リビングにCDファーストを置いた場合、圧迫感があるでしょう。
もちろんそれについてはTakase Toshikoさんは承知されていると思いますが、問題はお子さんが大きくなったときにCDファーストの棚をどう思われるかです。
どうしても上棚が高いのは子供っぽいからと言って敬遠される傾向があります。
もちろんCDファーストの場合はユニットスタイルほかレイアウトの変更ができることが強みなのですが、そのあたり子供部屋に置いた場合のレイアウトもシミュレーションしておいたほうが良さそうです。
もちろん本だけでなく、その他の学用品の収納スペースについても考えておく必要があるでしょう。
以上、ご参考になれば幸いです♪
初めまして。
学習机を選ぶにあたり、大変参考にさせていただいており、ありがとうございます。
現在、以下の状況で悩んでおります。
恐れ入りますが、ご意見いただけますとありがたく存じます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
・小学5年生、女子です。そろそろ自分の部屋で静かに勉強したいとのことで購入検討中です。(下に1年生の男子がおります。)
・子供部屋に置く予定ですが、部屋が狭く、それぞれ四畳半(ほぼ正方形)の収納なしです。
・上記の状況より、今の人気とは異なると思いますが、上棚ハイタイプの学習机とシステムベッドでの組み合わせで部屋を構成することを検討しております。(圧迫感が出ることは承知しております。。)
・本人は、収納が多め、薄い木の色という以外、強いこだわりはないようです。
◎色々と調べた結果、コイズミ・WDシリーズ、イトーキ・リーモハイタイプ、イトーキ・トレフハイタイプ あたりを検討しております。
他にお薦めの机を含め、アドバイスをいただけますとありがたく存じます。
恐れ入りますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
くまさま
はじめまして^^
4畳半の子供部屋というのは決して狭くありませんが、ミドルベッドと学習机を置くと目一杯ですねー。
書棚付きで省スペースにたくさん収納できる組み替え式デスクは魅力的だと思います。
ご条件を拝見すると、コイズミファニテックのWDスペシャル、イトーキのリーモとトレフというのは最善の選択肢ではないでしょうか。
ちなみに、2020展示会レポートでは書きませんでしたが、WDスペシャルは4色展開から2色展開に減ります(NSとWTのみに)。
あとはこれ以上を目指すとなると、浜本工芸のNo.32デスクやカリモク家具のボナシェルタ収納デスクスタイルになってしまいます。
逆に、予算を抑えるとしたらコイズミファニテックの「OD-1woody」ですね。
2020年度も継続の予定ですが、東京インテリア家具、島忠ホームズ、ナフコ21スタイルなどに並ぶかどうかはちょっと分かりません。
【参考】コイズミ・CDファースト/コンパクトよりお買い得!?「OD1-WOODY」ODS-59/ODF-59
ちなみに、もちろんWDスペシャルやトレフのご予算があれば、そちらの方がオススメです。
コイズミファニテックかイトーキのいずれを選ぶかについては、概ね下記の記事が役立つと思います。
【参考】【2017年度版】コイズミ「レイクウッド」vsイトーキ「リーモ」組み替え式デスク徹底比較
違うのは主に天板の材質。
WDスペシャルはナラ突板、リーモはアルダー無垢、トレフはオーク無垢ですね。
世間の評価としてはオーク無垢が高級、ナラ突板とアルダー無垢で言えばアルダー無垢のほうがコストが高いかなーと思いますが、むしろ木目や色の好みを優先していただいたほうがよろしいかと思います。
硬さについてはオークやナラが上ですが、ウレタン塗装ならどれもそんなに変わりません。
ちょっと分かりにくい説明になってしまいましたが、ご参考にしていただければと思います^^
4畳半の子供部屋にベッドとデスクを置くレイアウトもまた記事にしたいですね。
収納マン様
御礼が遅くなってしまい申し訳ございません。
早速の詳しいアドバイス、本当にありがとうございました!!!
最善の選択とおっしゃっていただき不安も払拭。
それぞれの違いや、他の選択肢も教えていただき、大変助かりました。
本人とも相談の結果、コイズミWDスペシャルになりそうです。
ミドルベッドも同時に購入予定ですので、四畳半のレイアウトも楽しみにしております。
この度は、本当にどうもありがとうございました!!!
くまさま
WDスペシャルに決まりそうですか^^
4畳半のレイアウトについては既に記事をアップしています。
【参考】https://desk.shunoman.com/layout_4half_kids_room/
ミドルベッドならベッドの下に洋服掛けとチェストが収まりますよね。
部屋のサイズによっては微妙に異なりますが、概ね問題ないと思います^^