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イトーキ「クレッタ」はコスパじゃ買えないけどデザインが素敵

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事実上2020年度から学習机の店頭販売をやめたイトーキは、当初は3~5万円くらいで買える学習机を積極的に投入していました。しかし、原材料や輸送のコストが急増するとともに円安の影響もあり、近年は方針を変更して6~10万円程度のベーシックデスクを主力としています。

個人的にこの戦略は正解だと考えています。まず、国産を除く大手メーカーでベーシックデスクを主力としているところが少ない。また、もはやイトーキのクオリティーで3万円のデスクというのは厳しく、少子化の進行に伴い薄利多売は戦略的に詰んでいることは明らかです。よって、競合の少ない中価格帯で勝負するというのは理に適っています。

とは言え、中価格帯のベーシックデスクがブルーオーシャンというわけではありません。イトーキのクオリティーと比較して遜色のないベトナム製の一生紀や、日本製&アルダー無垢の堀田木工所という強力なライバルが存在します。また、そこを回避すべく上の価格帯を狙えば、カリモク家具や浜本工芸が待ち構えています。

つまるところ、イトーキにとって価格ではない軸、つまりオリジナリティーを追求することが至上命題となります。イトーキが実際にそう考えたか定かではありませんが、このたび発売された新型デスクは理に適っていると私は思います。

※この記事は2025年12月31日時点の情報に基づいています

イトーキ/クレッタ

2025年12月に発売されたイトーキの「Cretta(クレッタ)」は”未就学児から大人までずっとフィットする組み合わせ学習家具”のシリーズです。言い換えると、主に新入学児童をターゲットとして学習机を単品で売り込むのではなく、未就学児から大人まで幅広い年齢層をターゲットにした、ライフスタイルの変化に応じて変化させることができる学習家具というコンセプトです。

ラインナップ

アイテム仕様品番サイズ(mm)税込価格
デスクW100ナチュラルCT-D1060-7NA1000×600×73049,900円
W100リノリウムCT-D1060-7BU
CT-D1060-7GR
CT-D1060-7BR
69,900円
W120ナチュラルCT-D1260-7NA1200×600×73052,900円
W120リノリウムCT-D1260-7BU
CT-D1260-7GR
CT-D1260-7BR
72,900円
上棚W100CT-UD-7NA974×230×34825,900円
ブックスタンドCT-BS-7NA448×189×14613,900円
ワゴン引き出し型CT-WN-7NA422×496×68432,900円
スリムオープンCT-WNC-7NA295×496×66522,900円
引き出しデスク天板下用CT-HD-7NA406×454×6211,000円
木製チェアKM17-7NA420×498×82429,900円
キッズデスクCT-ER-7NA600×360×116539,900円

抽象的な説明では分からないと思うので、まずクレッタのラインナップを見てみましょう。

デスクは幅100cmと幅120cm、いずれも奥行60cmで2サイズ。それぞれ天板はナラ突板とリノリウム3色が用意されています。また、天板下には引出しがない代わりに、別売の天板下用引出しがラインナップされています。デスクにはスチール製のフックと、電源タップなどが収まる配線受けが付属します。

上棚は幅100cmデスク用と、簡易な本立て(ブックスタンド)の2タイプ。ワゴンは3段引出しタイプとスリムなオープンタイプの2つがあります。

木製チェアはリーモ用の「KM16」に似ているものの、材質はナラで足元棚もありません。かつてイトーキで扱われていた「ポルク」のチェアにもちょっと似ていますけど、完全新作となっています。

キッズデスク

クレッタのセールスポイントである”未就学児から”という特徴は、キッズデスク1アイテムにほとんど全て注ぎ込まれています。このキッズデスクは4つのパーツで構成されており、絵本棚、キッズデスク、キッズチェア、ランドセルラックとして使えるほか、クレッタのデスクの片脚として組み合わせることもできます。

今後クレッタが数年に渡って販売を続けることができれば、あとでアイテムを買い足すことでライフスタイルの変化に対応可能と言えます。しかし、現時点ではその可能性に期待するよりほかありません。学習家具で10年以上続くシリーズというのは本当に一握りです。

上棚が素敵

クレッタが”未就学児からの学習家具”たる所以はほぼキッズデスク1アイテムに集約されてしまうのですが、だからと言ってこのデスクに魅力がないというわけではありません。理屈抜きに、デザインが素敵だと思います。

特に上棚はシンプルなだけでなく、棚板の高さを変えることでボックス状にできるというのが、個人的には高く評価できるポイントです。棚板の耐荷重は30kgあるため、上下2段で使うことも可能ではないかと思います。

デスクは幅100cmまたは120cm×奥行60cmという使いやすいサイズ。また、子供が成長したら足元が狭く感じられるのではないかと心配される方も少なくない中、標準で天板下に引出しが付いていないことや、スリムオープンワゴンが用意されていることも魅力的に映ります。

価格については、幅100cmのナチュラル天板のデスク+3段引出ワゴン+上棚の3点セットで税込108,700円。ちょっと高いなーと思いつつも、仮に10%OFFクーポンとポイント10倍のセールでギリギリ8万円台になるかと皮算用してみると、買えない金額ではない感じがします。

リーモとの比較

イトーキの定番ベーシックデスクである「リーモ」と比較してみるとどうでしょうか。リーモはアルダー無垢天板で、デスク本体に引出しが2杯、上棚に小引出しが2杯、テーパー脚という点が、クレッタと比較した場合に特徴と言えるかと思います。

単純にコスパで見ると、リーモのほうが良いでしょう。しかしながら、そんな理屈では抗えないほどにクレッタのデザインは素敵なんですよねー。

ビーノとの比較

もっとも競合となりそうなコイズミファニテックの「ビーノ」と比較してみると、105デスク+サイドワゴン+105デスクシェルフの3点セットが楽天市場で9%OFFクーポン対象として、クレッタの3点セットとほぼ同じ税込108,000円台となります。

ビーノも天板はナラ突板。ビーノはデスク天板下に引出し2杯、上棚に小引出し1杯、ランドセルハンガー&コンセント付きで、3色から選べるというメリットもあるものの、価格に注目すればさほどクレッタが割高とは思えないから不思議です。

リッケとの比較

さらに同じ価格帯で比較してみると、家具の里×堀田木工所の「リッケ」もライバルになりそうです。新しく加わった「コード」上棚+「ネージュ」ワゴンとのセットはホワイト(またはブラック)のアクセントカラーもあって、クレッタとはかなり競合しそうです。ちなみに、リッケの上棚とのセットなら税込98,800円からとなります。

フォピッシュ2との比較

アクタスの「フォピッシュ2」W100ロータイプ3点セットは税込116,600円。別途配送料が掛かることもありますが、10%OFFセール中ならやはりクレッタと同じくらいの価格です。

ただ、フォピッシュ2は天板がオーク無垢で、デスク本体に引出しが2杯付いています。鍵は付いていませんが、さすがにコスパで比較するとクレッタの分が悪いですね。

ボナシェルタとの比較

クレッタはカリモク家具の「ボナシェルタ」を念頭に開発されたことは間違いないでしょう。ボナシェルタの110×60デスク+ワゴン+ブックスタンドの3点セットの価格は税込221,100円。それと比べればクレッタの3点セットは半値近くで買える計算です。

こうやって比較すると、なんだかクレッタが安く思えてきますね。

というわけで、イトーキのクレッタはちょっとコンセプト面で大風呂敷を広げてしまった感があります。また、デスク本体に引出しが付いていないことからコスパを語るには厳しいです。しかしながら、それらを差し引いてもデザイン面で十分に魅力を感じることができると思います。

つまり、「ちょっと高いけど、やっぱり欲しい!」と理屈抜きで選びたくなる魅力があるデスクということです。セールで安くなるとありがたいですね。

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この記事を書いた人
収納マン(芝谷 浩)

家具メーカーを退職後、2002年に収納スタイルコーディネーターとして独立。多くのご家庭の片づけの悩みを解決してきました。TVチャンピオン「収納ダメ主婦しつけ王」選手権で優勝するなどメディア出演多数。
長女が小学校に入学するのを機に学習机を購入してブログで報告したところ、学習机について相談が殺到。以後、「学習机評論家」としてメーカーの展示会や販売店に足を運ぶなどして日々情報収集に努めています。詳しいプロフィールはこちら

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