学習机とは?パソコンデスクや書斎机などと比較した場合の違い

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学習机とパソコンデスクなどの違いは?

先日の記事の中で、新入学児童の約6割が学習机を購入しており、約2~3割はカジュアルデスクやパソコンデスクなどの机を買っていると説明しました。

【2024最新】新入学児必見!近年のトレンドに見る学習机の選び方
2024新入学必見!近年のトレンドに見る学習机の選び方。最近は学習机なんて要らないなんて思われがちですが、実際のところ何かしらの机を置いていることが圧倒的に多いです。また、近年の学習机は従来のイメージとは随分と変わってきています。

学習机の近年のトレンドを見ても従来の学習机とはかなりイメージが変わってきており、「学習机」と「それ以外の机」の垣根はどんどんなくなってきていると言えます。実際、こちらでも「学習机とそれ以外の机はどこが違うんですか?」というご質問をいただくことがしばしばあります。

というわけで今回は、学習机とパソコンデスクや書斎机の違いについて説明してまいりましょう。

 

学習机とは?

学童が家庭で使う勉強机。学校にはいろいろな高さの机、椅子(いす)がそろえられ、毎年交換されるが、家庭では一つの机を長年用いるので、成長する体位にあわせて高さを調節できる構造にしているのが特徴である。毎年150万台程度の需要があり、家具産業の一分野を占めている。JIS(ジス)(日本工業規格)では机、椅子、棚および照明器具のみを対象とし、寸法、性能について細かく規定している。昭和40年代はほとんどスチールでつくられ、付属品の過当競争が話題になったが、JIS制定(1975)後は健康的な方向に向かい、材料も木が多用されるようになった。現在では木製もしくは木と金属とを組み合わせた製品がほとんどを占めている。

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)

学習机とそれ以外の机の違いについて説明する前に、まず学習机の定義を見てみましょう。いくつか調べた中では、上記の『日本大百科全書(ニッポニカ)』の説明がもっとも詳細でした。

ここで説明されている”成長する体位にあわせて高さを調節できる構造にしているのが特徴”というのは、現在では少数派となっている天板昇降式デスクを除いては当てはまりません。また、近年は”毎年150万台程度の需要”もありませんから、かなり古い定義だと思われます。”木と金属とを組み合わせた製品”というのも、コクヨやチトセがまだ学習机市場で存在感を示していた20年以上前の話です。

 

JIS規格における家庭用学習机の規定

一方で、先の引用文でも記述されている通り、家庭用学習机はJIS規格で様々な基準が定められています。ここでは詳細は省きますが、JIS規格では主に家庭用学習机に求められる安全性や耐久性について記されています。

基本的には、現在市場に流通している家庭用学習机はJIS規格に準拠する安全性や耐久性は備えていると私は思います。ただ、分かりやすいところで言うと以下の項目は必ずしも満たしているとは思えません。

12. 表示 製品には,次の事項を表示しなければならない。
a)製造年又はその略号
b)製造業者名又はその略号
c)最大外形寸法(間口・奥行き・高さ)机面の高さも表示する。また,調節式の場合は,下限及び上限の達する範囲を表示する。
d)使用材料のホルムアルデヒド放散量の等級表示 使用材料が F☆☆☆☆と F☆☆☆とが混在する場合は,F☆☆☆と表示する。

引用:S 1061:2004

2004年の改定では社団法人日本オフィス家具協会(JOIFA)も関わっていることから、コイズミファニテック、イトーキ、くろがね工作所、オカムラ(旧・岡村製作所)ももちろん承知しているところだと思います。しかし、これらの項目全部を正確に表示しているという認識は私にはないですね。もっとも、毎度のことながら私の目が節穴の可能性もあるので(苦笑)、機会があればまた聞いてみたいと思います。

また、日本オフィス家具協会の学習用家具部会に名を連ねているメーカーはいずれも優良企業ばかりですので問題ないはずですが、少なくない数の木工家具メーカーはきちんと表示していないことが多いと思います。

ともあれ、ここで業界批判をしたいわけではありません(苦笑)ここで言いたいのは、少なくともJIS規格で家庭用学習机を定義することは難しいだろうということです。

 

私の考える学習机の定義

以上の事柄と近年の学習机市場を踏まえたうえで、私なりに学習机というものを以下のように定義しました。

  • 十分な安全性および耐久性を備えている
  • 学習用に使いやすい機能性を備えている
  • 子供の成長や状況の変化に対応できる

十分な安全性および耐久性を備えている

JIS規格で定められている細かいところまでは分かりませんが、学習用として販売されている学習机のほとんどは十分な安全性と耐久性を備えていると感じます。

逆に言うと、いわゆるカジュアルデスクや安いパソコンデスクなどは子供が使うには安全ではないと感じるものも多々あります。有名な北欧風B級家具店に至っては、「JIS規格?そんなのカンケーねえ!」ですからね(苦笑)

安全性や耐久性に疑問がある机の例としては次のようなものが挙げられます。左右方向に力を加えた場合に横揺れがひどい。ワゴンの引出しを引くと某店の殺人チェストよろしく手前に倒れる。引出しの開閉がスムーズでなく、ひどい場合には最初から開けられない状態。引出しにストッパーが付いておらず落下の危険性がある、などです。

もちろん、学習机として市販されているすべての商品が安全で耐久性が高いとまでは言えません。木工家具メーカーのごく一部には私も首をひねるようなものもありますし、やはり海外で作られただいたい4万円以下程度の安物はかなり耐久性の低いものが散見されます。それこそ、到底JIS規格を満たしているとは思えないものも多く見られます。

しかし、あくまでそれらは例外とみなせば、基本的に学習机は子供が使っても十分な安全性と耐久性を備えたものと言うことができると思います。

学習用に使いやすい機能性を備えている

近年の学習机は多種多様になり、書斎机と比べた場合の外見上の違いはほとんどなくなってきていると言えます。それでも敢えて学習机と言う場合には、基本的に小学生でも使いやすいように設計されていると言えるでしょう。

小学生が学習時に使うモノと言えば、教科書・ノート類、文房具、ランドセルなどです。学習時にはこれらが手の届きやすい範囲に収められていることが理想的と言えます。

モノを主体にこれらを収納するだけであれば、書斎机の横に本棚を置けば問題ないと言えます。しかしその場合は、いったん椅子から立ち上がって本などを手にする必要があり、あまり機能的とは言えません。他方、近年は上棚のない学習机も増えていますが、その代わりにオプションで上棚が用意されていたり、同じデザインの書棚がラインナップされていたりします。

また、サイズも重要です。学習机が多様化したとは言え、天板サイズは幅100×奥行60cm程度というのがもっとも多いです。また、奥行が55cm程度のものも増えていますが、その場合は幅が105cm以上と広くなることが多いと言えます。これはつまり、子供が学習するうえで必要な作業面積を前提としていると考えられます。

機能性という点では、ランドセルフックの有無というのがもっとも分かりやすいでしょう。前述の通り、小学生にはランドセルが必須であり、学習机にはそれを掛けるためのフックがサイドに付いている一方で、それ以外の机にはランドセルフックは付いていません。

たかがフックと思われるかもしれませんが、小学生にとってのランドセルは重要です。また、大きくて重いうえに頻繁に出し入れするものですから、収納場所が非常に難しいと言えます。

ランドセルだけでなく、給食袋、体操服、リュックサックなど、机の横に掛けられれば便利だと感じるモノはたくさんあります。コイズミファニテックのランドセルハンガーやイトーキの使い分けフックを見れば、「たかがフック」とは思えなくなるでしょう。

子供の成長や状況の変化に対応できる

学習机市場において天板昇降式デスクは現在では主流とは言えませんから、『日本大百科全書(ニッポニカ)』で定義されているように高さが変えられるということは当てはまらないと思います。しかしながら学習机単品ではなく、学習椅子も含めたラインナップ全般で言うと、椅子の高さを変えることで子供の成長に対応できるようになっていると言えるでしょう。

もっとも、オフィスチェアでも座面の高さは変えられます。しかし、オフィスチェアには足置きが付いていませんから、子供の足がブラブラして落ち着いて勉強できるとは言えません。

他方で、学習用に作られた回転チェアをカジュアルデスクにセットした場合はどうなのかという疑問も生じます。この組み合わせなら子供の成長に対応することが可能ですし、デザインの違いも組み合わせ次第で解決可能と言えます。

しかしながら、実際に商品の組み合わせを考えるとこのチョイスはほとんどあり得ないのですね。購入者の視点に立てば、学習椅子にある程度のこだわりを見せている時点で机本体に注目しないとは考えられず、やはり機能性や耐久性を考えると学習椅子には学習机という組み合わせを取るのが一般的だと考えられます。

状況の変化に対応できるということも、学習机とそれ以外の机を分ける重要なポイントの一つと言えます。組み替え式デスクは非常に分かりやすいものの代表で、コンパクトデスクとしてリビングダイニングに置いたり、上棚付きのスタンダードデスクとして使ったり、L字型レイアウトにして機能的に使うこともできます。

上棚付きのベーシックデスクの場合は、上棚を取り外すことで広い天板面を確保し、受験勉強に備えることができます。また、平机であっても天板の奥行を拡張できるようになっていたり、ワゴンをデスクの外側に配置することで天板面を広く使えるようになっています。

カジュアルデスクや書斎机にもワゴン付きのものが見られますが、これは学習机をお手本として進化していったと見るのが妥当ではないかと思います。

 

カジュアルデスクとは?

学習机についての定義がだいたい固まったところで、今度はカジュアルデスクについて考えてみましょう。

カジュアルデスクにも明確な定義はありません。一般的に「カジュアル」とは「フォーマル」の反対語で、「格式張らない」、「気軽な」といった意味を持っています。また、家具販売店では、ありていに言うと「安物のデスク」という意味合いで使われます。デザインがカジュアルというよりも、価格がカジュアルなのです。

カジュアルデスクに求められるのは一般的に価格の安さです。もちろん見た目のカジュアルさも重要かと思いますが、このジャンルでは価格が高いものは売れませんので、必然的にカジュアルデスクは価格とともに品質も低くなります。

そうなると、カジュアルデスクを一般的な学習机と比べれば、安全性や耐久性は十分とは言えず、子供にとって使いやすい機能性もありません。他方、とりあえず最初は子供にカジュアルデスクを買い与えて、あとで良いものに買い替えることもできるという意味では、子供の成長や状況の変化に対応できるとも言えるでしょう。しかし、安全性にもっとも留意すべき時期にそうではないカジュアルデスクを買い与える合理性は薄いのではないかと個人的には思います。

 

書斎机とは?

書斎机にも明確な定義はありませんが、カジュアルデスクと対比すれば書斎机は「フォーマルデスク」と言うこともできるでしょう。一般的なイメージでは富裕層でなければ設えることができない書斎に置く机ですから、当然、相応の価格と品質を備えたものと見なすことができます。実際、家具店でも書斎机は価格という側面でカジュアルデスクと分けて売場に配置しているのが一般的です。

書斎机を学習机と比較した場合、安全性や耐久性の面では問題ないことがほとんどだと思います。一方で機能性はと言うと、書斎机の多くが幅120cm以上であることから、子供が使うには少し大きすぎるのではないかと思います。また、もちろんランドセルフックは付いておらず、専用の上棚が用意されていないこともほとんどです。

書斎机は一般的に大きいため、小学生の体にマッチしているとは言えず、置き場所の変更も容易ではありません。

 

パソコンデスクとは?

一般家庭でデスクトップパソコンが使われることが少なくなり、ノートパソコンやスマホやタブレットの使用が増えたために、現在ではパソコンデスクは以前ほど見かけなくなりました。

カジュアルデスクや書斎机と比較した場合、パソコンデスクはキーボードテーブルを備えていることがもっとも大きな特徴と言えます。実は20年ほど前には学習机がパソコンデスク化した時期があり、その当時の学習机は「パソコン対応」と銘打って、本体引出しにキーボードテーブルを備えたり、上棚の棚板を外すことができてそこにパソコンのモニターを置けるようになっているものが多くありました。

パソコンデスクの定義がキーボードテーブルを備えてた机であるとするならば、約20年前の学習机はパソコンデスクと言うこともできたと思います。しかし、少なくとも現在ではそうではありません。

パソコンデスクがパソコンを使うことを目的として最適化された机であると言えるように、学習机は学習をすることを目的として最適化された机と言うことができるでしょう。

 

学習机は十分な耐久性を保つために価格が高くなる

以上見てきました通り、学習机とそれ以外の机を見分ける外見上の違いは、現在はランドセルフックの有無くらいしかありません。安全性や耐久性というのは一般の方がパッと見て判断するのは難しいですし、春から大きなランドセルを背負って小学校に行かんとする我が子を目の前にして、5年後、10年後の子供が成長した姿や住まいの在り方をイメージするのは困難だと思います。

一方、学習机、カジュアルデスク、書斎机を比較してみると、ある程度価格帯で住み分けられていると考えることができます。カジュアルデスクはだいたい1~3万円、学習机は4~10万円台後半、書斎机はだいたいそれ以上の価格という具合です。

「学習机は高い」と言われるのは、概ねカジュアルデスクと比較した場合の話です。同じ「机」なのになぜこんなに価格が高いのかというわけですね。そしてその答えは、これまで見てきたことやJIS規格で定められているところからも分かる通り、安全性や耐久性というパッと見た目では分からないところにあると言えます。

価格帯の異なる学習机どうしを比較しても同様のことが言えますが、もっとも価格の差が出るのは引出しです。価格が安いカジュアルデスクは引出しの数がそもそも少なかったり、開閉もスムーズではなく、耐久性も低いです。対して一般的な学習机は10年以上使える耐久性が備えられており、価格が上がれば上がるほどスムーズに開閉できると言えます。

もちろん、天板がMDF合板であるか高級材のナラ無垢であるかによっても価格は異なりますが、それは安全性や耐久性には影響しません。また、「学習机は余計なモノがいっぱい付いている」というのは単なる誤解で、現在では必要でなければ上棚などを付けない状態で買うことができるセレクトタイプも増えていますので、パーツの数が問題でもありません。

つまるところ、安い机はその程度の耐久性、高い机はそれに見合った耐久性を備えているということですね。

 

以上、ヒジョーに長々と学習机とそれ以外の机の違いについて説明したわけですが、別に私は「だから学習机を買ったほうが良い」と言いたいわけではありません。私自身は子供の頃にいわゆる学習机を買ってもらえず、スチール製の事務机で勉強しておりました。スチール製なら耐久性が高く、引出しの開閉も比較的スムーズで、価格も2万円程度からと安いです。もし予算が3万円以下ということでしたら、絶対にスチール製の事務机をオススメしたいと思います。

しかし、一般的にスチール製の机は好まれません。家の中に置くには見た目があんまりだからです。やっぱり家の具は木製のほうが立派に見えます。そして、木製家具はスチール家具に比べるとどうしてもコストパフォーマンスは悪くなってしまいますし、合板よりは突板、突板よりは無垢のほうが満足感が高いとなりがちです。

学習机は決して、無駄に高いわけでも余計なパーツがてんこ盛りなわけでもありません。ランドセルを置く場所が別にあるなら別にランドセルフックがついている必要もないでしょうから、手頃な価格の書斎机を買っていただくのも良いと思います。

ともあれ、思い込みで判断するのが一番いけません。家具店に足を運んでいただき、カジュアルデスクから高級デスクに至るまで実際に引出しを開閉するなどしながら見比べてみてください。そのうえで、お子さんに最適だと思われる机を選んでいただければと思います。

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