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堀田木工所の「自然風塗料(UFO)」は自然塗料とは別物でした

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今回はまず読者の皆様にお詫びしなければなりません。

私はこれまで10年以上にわたり、堀田木工所の学習机は「汚れやキズの心配がある」と申し上げてきました。しかしながら結論から申しますと、堀田木工所独自の自然風塗料(UFO)は一般的な自然塗料とは別物で、キズや汚れについてはことさら不安視する必要がないことが分かったのです。

私の言動が理由で堀田木工所の学習机を買わないという選択をされた方、ならびに不安を感じながら堀田木工所の学習机を購入された方には、特にお詫び申し上げます。本当に申し訳ございません。

自然風塗装を避けてウレタン塗装の学習机を購入された方におかれましては、ウレタン塗装のほうが汚れやキズに強いこと自体は間違いないので引き続き安心してご使用ください。また、既に堀田木工所の学習机をお使いの方についても、不安を感じていただく必要はございません。これまでより気楽にお使いいただければと思います。

これまで私は堀田木工所の学習机の天板塗装について、「オイルなのだからUV(紫外線)を照射しても硬化するはずがない」と考えていました。しかし、某家具販売店のホームページで”塗装面に研磨を伴う補修をするとオイル塗装と同性能になります”との記述を発見し、「ひょっとすると、樹脂系塗料を上塗りしているのか、樹脂が含まれるのでは?」と考え始めました。

分からないのであれば、堀田木工所に直接聞けば良いのですが、これまで散々、ネット上で「汚れやキズに難アリ」と不安を煽ってきたわけです。直接アプローチすれば、どんな仕打ちを受けるか分かったものではありません(苦笑)

しかし、私の考えが間違っていたのであれば、このまま放置するわけにもいきません。意を決して堀田木工所に問い合わせたところ、快く回答くださったうえに、理解力に乏しい私のために広島県にある堀田木工所の工場を案内して説明してくださいました。

今回はその成果を皆様にお伝えしたいと思います。堀田木工所の自然風塗料とはいったい何なのか、ほかの塗装との違いはどこにあるのかなどといった点について、詳しく説明して参ります。

※この記事は2023年12月20日時点の情報に基づいています

 

UVフィニッシュオイルは樹脂系塗料

オイル塗装、ウレタン塗装、UFO塗装、それぞれの断面模式図とメリット&デメリット

資料提供:堀田木工所

まず核心からお伝えします。堀田木工所の学習机の天板に用いられているUFO塗装(UVフィニッシュオイル塗装)とは、樹脂系塗料をオイルの様に木部へ浸透させたのち、UV(紫外線)照射により表面を硬化させる塗装技術です。

言い訳にしか聞こえないかもしれませんが、これは私が誤解するのも無理はないと思います。UVフィニッシュオイル・・・にはオイルも含みますが、主成分はあくまで樹脂系塗料。樹脂だからUVを照射することで硬化させることができるというわけです。

ちなみに、上の塗装の断面模式図は堀田木工所の2022~2023年度のカタログに実際に掲載されていたものです。

 

セラミックス塗装はセラウッド塗装

もうひとつ、先に衝撃的な話をしておきたいと思います。こちらでも非常に人気の高い、堀田木工所×家具の里「リッケ」(上写真)の天板はセラミックス塗装と表示されていますが、より正確に言うとウレタン系のセラウッド塗装であることが判明しました。

私はセラミックス塗装というとオイル系だと思っていました。また、我が家にある高野木工のリビングテーブルはセラウッド塗装であるにもかかわらず簡単にキズがつきますが、これはセラウッド塗装でも「羽衣」という薄塗りのようです。リッケに採用されているセラウッド塗装はそれに比べると厚塗りで、キズにも強いということです。

セラウッドはサンユーペイントの登録商標です。

 

各種塗装の特徴一覧表

ウレタン塗装、セラウッド塗装、UV塗装、UFO塗装、オイル塗装それぞれの特徴一覧表

資料提供:堀田木工所

以上を踏まえたうえで、それぞれの塗装の特徴を一覧にまとめたものが上表です。各項目の◎は優良、〇は良、△は可、×は不可とご理解いただければと思います。

上表を見ると、セラウッド塗装は汚れにくさやキズ付きにくさ、耐熱性など多くの項目で、とても優れていることが分かります。しかしながら、コストが高いのに加えて塗装難易度が高いため、現状は生産台数に限りがあるということです。

UFO塗装はウレタン塗装に比べると汚れにくさやキズ付きにくさでやや劣るものの、手触り・風合いや補修性の点でメリットがあると言えます。また、コストや作業性に優れるため、消費者としては手頃な価格で買い求められるという利点も大きいでしょう。

なお、上表はあくまで一例に過ぎないことをご理解ください。セラウッド塗装でも薄塗りと厚塗りでは性質が異なります。ウレタン塗装でも同様ですし、一口にセラウッド塗装やウレタン塗装と言っても様々な種類があり、その性質は微妙に異なります。

 

UFO塗装にこだわる理由

堀田木工所・UVフィニッシュオイル塗装

ここまで、衝撃的な事実とともに、それぞれの塗装の特徴を紹介しました。

現在、堀田木工所ではオイル塗装も、UFO塗装も、ウレタン塗装も、セラウッド塗装も扱っています。より正確に言うと、比較的新しいセラウッド塗装を除いて、ほかのすべての塗装は十数年前もしくはそれ以前から扱っています。こんなに多様な塗装を駆使する家具メーカーはそう多くありません。塗装に関して非常に高度な知見を持つメーカーと言って差し支えないでしょう。

そんな堀田木工所が敢えてUFO塗装にこだわる理由はどこにあるのでしょうか。その前に、主成分が樹脂であるにもかかわらずUVフィニッシュオイルと言うのは違和感があると感じる方も多いと思います。まずはそこを説明しましょう。

今でこそウレタン塗装も進化してツヤ無しも珍しくありませんが、20年ほど前はツヤツヤテカテカで木質感を損なうのが当たり前でした。また、ホルムアルデヒドが含まれるという点も懸念されるところでした。

当時、学習机の天板にオイル塗装(オスモ)を採用していた堀田木工所としては、オイル塗装と同様に木質感を損なうことなく、汚れやキズにも強いUVフィニッシュオイルの開発に成功(塗料メーカーとの共同開発)。これを樹脂系塗料として販売すればウレタン塗装との差別化が難しいことから、オイルのような質感であるということを分かりやすくするためにUVフィニッシュオイル(UFO)塗装と命名したと考えられます。

また、現在は木質感という点でウレタン塗装とUFO塗装ではそれほど大きな差はありません。しかしながら、UFO塗装はUV照射にコストが掛かるものの、ウレタン塗装に比べてコスト優位性があり、消費者にとって買い求めやすい価格で提供できるというメリットがあります。

つまり、堀田木工所がUFO塗装にこだわっているのは、風合いを最重視しつつ、汚れやキズに対しても十分な耐久性を持ち、なおかつ低価格で商品を提供しやすいからと言えるでしょう。

 

ウレタン塗装も使う理由

堀田木工所・クオン天板のウレタン塗装

堀田木工所はUFO塗装にこだわっているのに、なぜ2024年度新作の「クオン」(上写真)や「ルオム」ではウレタン塗装を施しているのでしょうか。

これについては、クオンとルオムで使われているホワイトオーク材がポイントです。ホワイトオーク材のように硬い木材は、家具販売店の店内などの著しく乾燥した場所では、ウレタン塗装でないと割れたり反ったりしやすいのです。

つまるところ、堀田木工所はUFO塗装にこだわりを持ちつつも、樹種に応じて最適な塗装を使い分けていると言えます。

 

セラウッド塗装も使う理由

堀田木工所・ダイニングテーブルに施したセラウッド塗装(ウレタン系セラミックス塗装)

セラウッド塗料はUFO塗料に比べてコストが高く、おまけに難易度が高い塗装です。塗装工程が多いうえに乾燥時間も掛かるため、現在はリッケなどの受注をこなすのに精一杯の状況のようです。よって、現状では他の学習机まで対象を広げる余裕はないと思われます。

それでもセラウッド塗装を使うのは、塗料や塗装技術が進化することを前提に、あらゆる可能性を排除していないからでしょう。UFO塗装にこだわりを持ちつつも、ほかにもっと良い塗装方法があれば貪欲にチャレンジするという堀田木工所の姿勢が表れているのだと思います。

 

というわけで、堀田木工所がUFO塗装をはじめとして、塗装にはかなりこだわっていることがお分かりいただけたでしょうか。

UFO塗装は一般的なオイル塗装と違って汚れやすいどころか、油性マジックやクレヨン等の汚れもOK。マニキュア除光液やベンジンなどで落とすこともできます。

キズについてはウレタン塗装に比べると打痕(だこん)はつきやすいものの、擦りキズに対しては比較的強いと言えます。よって、この点でもオイル塗装のように気を遣う必要はありません。

UFO塗装はメンテナンス性が高い点もメリットです。落ちにくい汚れや小キズは補修キットのサンドペーパーで削り、オイルを塗り込めばキレイになります。ただし、削った箇所は一般的なオイル塗装と同様の性質になります。また、天板以外の無垢部分はオイル塗装なので最初からデリケートです。

以上のようなUFO塗装の性質を踏まえたうえで、安心して堀田木工所の学習机をお選びいただければと思います。

2024新作デスクも見てきました!

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コメント 皆様からご質問・ご意見など

  1. すず より:

    以前こちらで堀田木工所のフィーロとリッケについて、塗装の件や斜め脚の件など何度もやりとりをさせて頂きましたすずと申します。これほど有益な情報を頂きながら、仕事での部署移動やら家族の病気等でしばらく机問題を封印せねばならず、かなりのお時間ご無沙汰してしまいました。大変申し訳ありません!!
    ですが、この塗装の驚愕の情報などはしっかり見させて頂いていたので、諸々落ち着きました3月、こちらの情報を元に、リッケの机のセットを購入いたしました、、、!決め手はやはり天板の塗装の部分で、リッケの新たな情報を元に最終的に決めさせて頂きました、本当に本当にありがとうございます、、、
    届いた机セットはまさに理想のもので、子供も大変気に入っております。
    セラウッド塗装の天板は木目の状態を損なわないながら、かなり手触りも良く、感動しております。
    こちらの情報がなければ、まだまだ決め手を探って逡巡していたと思われます、、本当に感謝いたします!
    (こんなに遅くなり本当に申し訳ありませんでした、、)
    リッケに昇降式ワゴンのWINDYを別で購入し、椅子はペルケチェアをセットで購入しました!
    当面はリビングにこちらをおいているので、拡張せずコンパクトに使用しています。
    デスクだけまだ未購入なので、こちらでおすすめされていたBenQを購入しようかコイズミのものにしようか、ここだけ悩んでいますが、情報を読み込んでまた購入の決断をしようと思っています。
    重ね重ねになりますが、フィーロとはリッケについてたくさんの情報を頂き本当にありがとうございました、、、!

    • すずさま

      おひさしぶりです!
      この間、お仕事やご家族のことでお忙しかったようで、お疲れ様でした。

      ともあれご検討の結果、リッケを購入されたのですね♪
      ウィンディの昇降ワゴンのセットを購入できたのはラッキーでしたね。
      椅子もペルケチェアならリビングダイニングに最適だと思います。

      次はデスクライトということで、予算が許すならBenQのMindDuo2をチョイスしたら最強ですねー。
      さすがにそこまでは予算を掛け過ぎといういことでしたら、コイズミファニテックのどれにするかも迷いどころです。

      実は最近、ものすごくコスパの良いデスクライトを発見しました。
      1週間以内を目途に記事でご紹介したいと思いますので、そちらもご覧いただければと思います^^