中国・上海のロックダウン以降、電子機器や自動車などの品不足が顕著になっています。ロシアのウクライナ侵攻によって経済安保の問題も顕在化。コロナ以前から中国での人件費高騰や政治的リスクという点でも、製造業では「脱中国」がスタンダードになっていくものと思われていました。
ところが、実際はそうでもないんですね。無印良品はオーク材の「木製デスク」に続き、「パイン材デスク幅86cm」も中国での製造に切り替えました。
無印良品の新「パイン材デスク幅86cm」
こちらが新しい無印良品の「パイン材デスク幅86cm」です。私は最初、旧製品とどこがどう違うのかサッパリ分かりませんでした。
見た目にはまったく変わっていません。しかし、よくよく調べてみると製造国がベトナムから中国に変わっていたのです。
パイン材デスク幅86cm 新旧比較
新仕様 | 旧仕様 | ||
---|---|---|---|
JANコード | 4550512058458 | 4550182855449 | |
税込価格 | 15,900円 | ||
製品寸法 | 幅860×奥行580×高さ700mm | ||
引出の奥行 | 430mm | 435mm | |
製品重量 | 約16kg | ||
耐荷重 | 天板 | 約30kg | |
引出し | 約3kg | ||
フック | 約3kg | ||
材質 | 天板 | パイン材 | |
脚部 | パイン材 | ||
引出し前板 | パイン材 | ||
引出し内箱 | パイン材 | 積層材 | |
引出し底板 | プリント紙化粧繊維板 | ||
フック | スチール | ||
表面加工 | 天板 | アクリル樹脂塗装 | アクリル樹脂UV塗装 |
脚部、引出し前板 | アクリル樹脂塗装 | ラッカー塗装 | |
フック | エポキシポリエステル樹脂粉体塗装 | アクリル樹脂粉体塗装 | |
原産国 | 中国 | ベトナム |
上表は新旧のパイン材デスクのスペックを比較したものです。変更点は原産国がベトナムから中国に変わっているほかには、引出し内箱(内部材)が積層材からパイン材に変更、天板の塗装がUV処理されなくなったことが挙げられます。
ほか、取扱説明書をチェックすると、組み立てる際に16本のボルト全てにワッシャーを2つずつ使っていたのが使われなくなりました。パイン材みたいな軟らかい木材にこそワッシャーは必要だと思うのですが、それよりもコストダウンということなのでしょう。
パイン材デスクワゴン 新旧比較
新仕様 | 旧仕様 | ||
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JANコード | 4550512058465 | 4550182855456 | |
税込価格 | 8,990円 | ||
製品寸法 | 幅240×奥行550×高さ575mm | ||
引出の奥行 | 430mm | 435mm | |
製品重量 | 約7.0kg | 約7.5kg | |
耐荷重 | 天板 | 約3kg | |
棚板 | 約3kg | ||
底板 | 約10kg | ||
全体 | 約15kg | ||
材質 | 天板 | パイン材 | スプルース突板繊維板 |
棚板、底板、側板 | パイン材 | ||
幕板 | スチール | ||
キャスター | ポリプロピレン | ||
表面加工 | 天板 | アクリル樹脂塗装 | アクリル樹脂UV塗装 |
棚板、底板、側板 | アクリル樹脂塗装 | ラッカー塗装 | |
幕板 | エポキシポリエステル樹脂粉体塗装 | アクリル樹脂粉体塗装 | |
原産国 | 中国 | ベトナム |
蛇足気味ながら、「パイン材デスクワゴン」についてもスペックを比較してみましょう。こちらも原産国がベトナムから中国に変わっています。また、天板をスプルース突板から棚板や側板と同じパイン無垢に集約。天板の塗装もUVを掛けなくなりました。
なお、こちらは完成品のため、ワッシャーの省略などは確認できません。
まるでカリモク「ボナシェルタ」
それにしても、パイン材デスクをパイン材ユニットシェルフと組み合わせることでカリモク家具の「ボナシェルタ」のように使うという提案には驚きました。幅86cmのシェルフなら上写真のようにデスクの後ろ側に置いて、幅58cmのシェルフならデスクの側面に設置してユニットデスクのように使うわけですね。
こういう使い方ができることはこれまでまったく気付かなかったんですけど、改めて調べてみると旧仕様でも既に同じ提案がされていました。2020年秋冬カタログから仕様が変わったので、当時からそういう提案がなされていたということでしょうか。
しかしながら、スチールまたはステンレスのユニットシェルフと違って棚板の高さ調整金具がないので、シェルフの棚板とデスクの天板の高さが合いません。これでは棚板と天板の隙間に頻繁に文房具などを落としそうなので、DIYで何とかしないとちょっと厳しいんじゃないかと個人的には思います。
以上の通り、無印良品の新しいパイン材デスクはベトナム製から中国製となり、販売価格を維持するためUV塗装が施されなくなり、ワッシャーまで省かれました。
もともとUV塗装をしたところでキズは容易につく軟らかさでしたが、そんなことを気にする人は最初からパイン材デスクなんて買わないという判断なのでしょう。また、ワッシャーを省くことでグラつきが生じやすくなることは必至ですけど、それよりも意地でも価格を維持したいということなのでしょう。ワッシャーの存在意義を知らない人にとっては組み立てが簡単になって良いという考えもあったのかもしれません。
ともあれ、私としては最初から無印良品のパイン材デスクなんてオススメしていませんからどうでも良い話ではあります。無印良品でデスクを買うなら木製デスク、もしくは足元棚付きのほうです。それでは大き過ぎるという場合は、IKEAの「ミッケ」(73cm幅)のほうがまだ良いのではないでしょうか。
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