「Formio(フォルミオ)」ってご存知でしょうか。三栄コーポレーションが「日本生まれのデンマーク育ち」というキャッチコピーで主に百貨店で販売していた北欧風デザインの天板昇降式デスクです。
発売は1998年。しかし、2015年にポーランドでの製造に切り替えられるも、2018年に販売を終了しました。
それから3年。販売再開を待ちわびる声が多かったようで、生産を日本に移して復活することになりました。
※この記事は2021年2月10日時点の情報に基づいています
フォルミオ made in Jpaan
デンマーク製であることが良しとされていたフォルミオが”日本生産にバージョンアップ”とか言われると違和感を禁じ得ないのですが、ともあれ復活したフォルミオはまさしく従来のデザインを踏襲しています。ただ、色合いは現在の消費者のニーズに合わせたのか、従来よりかなり明るくなったようです。
製造はチェアが山形、デスクは旭川だそうです。山形で成型合板の椅子と言えば天童木工ですが、その可能性は高いのではないでしょうか。一方で、旭川でデスクと言えば大雪木工、山室木工、コサインなどがあるので、特定するのは困難です。
まずはMakuakeで販売開始
新生フォルミオは2021年4月から公式オンラインショップにて販売予定となっています。それに先駆けて、2月4日からクラウドファンディングサイトの「Makuake(マクアケ)」で販売を開始しました(同年3月30日まで)。
本日2月10日現在、目標金額570万円に対し、購入が決まっているのは1人、14.5万円のみと寂しいスタートです。ですが、これがうまくいくなら家具業界の人たちにとっては大きな希望になると思います。なので、私としては少なからず手応えを掴める結果になることを願っています。
新生フォルミオの価格
商品 | 新価格(税別) | 旧価格(税別) |
---|---|---|
デスク+チェア | 118,000円 | 144,000円 |
デスク+ドロアー+チェア | 143,000円 | 179,000円 |
デスク+ワゴン+チェア | 168,000円 | 203,000円 |
デスク+ドロアー+ワゴン+チェア | 193,000円 | 238,000円 |
※旧価格は2015年1月カタログのもの
フォルミオのオンラインショップは4月からなので、まだラインナップや価格は明らかではありません。一方で、Makuakeには一部の組み合わせ価格が掲載されています(上表の新価格)。
私の手元に2016年度のフォルミオのカタログがあったのでそれと比較してみると、なんと価格が下がっているではありませんか!いずれも2割前後も安くなっている計算です。
仕様が変わったところもあるかもしれませんが、基本的にはこの5年で原料価格はかなり上がっているはずです。物流コストも馬鹿になりません。にもかかわらず安くできたのは、ネット販売に特化したからと言うよりは、百貨店での販売をやめたことで中間マージンを省けたことが大きいのではないかと思います。
浜本工芸No.17デスクとの比較
商品 | 新生フォルミオ | No.17デスク |
---|---|---|
デスク+ドロアー+チェア | 143,000円 | 126,000円 |
デスク+ドロアー+ワゴン+チェア | 193,000円 | 160,500円 |
※いずれも税別価格
ちょっと野暮ですけど、国産の天板昇降式デスクの代表格である浜本工芸の「No.17デスク」と比較してみるとどうでしょうか。
No.17デスクはデスク本体に引出しが付いているので、それにチェア「DSC-41」、「No.17移動袖」を組み合わせた場合、上表の通りの価格となります。スペックが異なるので単純比較はできないものの、定価で比べてもフォルミオのほうが1~2割ほど高価と言える状態です。
いくら以前より安くなったと言っても、コスパで選ぶシロモノではないことは明らかでしょう。
フォルミオが販売されていた頃は百貨店の暖簾のおかげで売れていたところが少なからずあると思います。また、五反田にショールームがあったので、実物をチェックすることもできました。
おそらく、今後はまたショールームを設置すると思いますが、そうしないとこの価格帯をネット通販だけでコンスタントに売っていくのは難しいでしょう。逆に、初期投資を厭わず全国にショールームを展開して売上を伸ばすことができれば、日本の家具業界にとってはとても明るいニュースとなるはずです。
これは是非、頑張って欲しいですね!
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