私が「たなとつくえ」の学習家具をデザインするにあたり、もっとも苦労したのは「halow(ハロウ)」チェアでした。
その理由はいくつかあるのですが、一番大きかったのは学習椅子のデザインはほとんど出尽くしていると言える状況だからです。
ただでさえ椅子のデザインは難しいのです。それに加えて学習椅子の場合は、座面や足置きの高さを調節できる必要があり、おまけに安全性を第一に考えなくてはなりません。そうするとどうしてもデザインの制約が大きくなってしまうんですね。
学習椅子のデザインを考えれば考えるほど、従来からある学習椅子のデザインがいかによくできたものであるかを痛感させられました。とは言え、感心している場合ではありません。学習椅子は学習机のオマケではないのですから、私自身がイメージを膨らませないことには前に進みません。
ダイニング学習に最適な4本脚チェア
ただ、学習椅子をデザインするにあたり、ひとつだけ明確に決まっていることがありました。それはダイニング学習に使うのに最適な4本脚にするということです。
周知のとおり、世間ではリビングダイニング学習をさせるケースが増えています。学習机を買うかどうかは別として、親の目の届くリビングやダイニングで子供とコミュニケーションを取りながら学習させるというわけですね。
ただ、ダイニングテーブルで学習させる場合、大人と同じ椅子に子供を座らせると、座面は低すぎますし、脚はブラブラして落ち着きがありません。一方でキャスター付きの学習椅子をダイニングに置くと、カーペットを敷かない場合は床にキズが付きやすくなってしまいます。
私はそれまでに収納のプロとしてたくさんのお宅にお邪魔していましたから、小さいお子さんがいるご家庭ではほとんどカーペットを敷いていないことを知っていました。子供が食べこぼした時のことを考えると、カーペットを敷いていないほうが掃除がしやすいからですね。
一方で、学習椅子はキャスター式のほうが圧倒的に多く、4本脚のものはまだまだ少ないというのが現状です。私はそこにニーズがあると考えました。4本脚の学習椅子ならカーペットを敷いていなくても使いやすく、おまけにインテリア的にも良いと感じてもらえると考えたのです。
背もたれを低くすることで低重心を実現
しかし、ただ4本脚の学習椅子を作れば良いわけではありません。浜本工芸にも既に4本脚の学習椅子(DSC-62XX)がありますから、明確に差別化できる要素が必要です。
そこで、改めて学習椅子に求められる機能についてゼロから考えました。そして、「学習椅子に背もたれって必要?」という考えに至りました。
大人でも子供でも姿勢良く座っているときって、絶対に背もたれにもたれていないはずなんです。もちろん休憩するときには背もたれがあったほうが良いことは間違いありませんが、学習用の机にセットするわけですから椅子も学習用に特化して無駄なものは削ぎ落としてしまったほうが良いのではないかと考えました。
また、特に4本脚のチェアの場合、子供は背もたれにもたれ掛って椅子を後ろに揺することがあります。そして、時に椅子を後ろに倒してしまい、大きな音を立ててしまうわけです。しかし、背もたれが低ければ子供が背もたれにもたれ掛って椅子を後ろに揺らすことがなくなり、同時に重心が低くなることで後ろに倒れる可能性もほとんどなくなります。
それだけではありません。背もたれを低くすることで重心が低くなれば、椅子を手で引きやすくなります。さらに、見た目の圧迫感もなくなります。
このように、学習椅子の背もたれを低くすることは驚くほど多くのメリットをもたらすのです。
奥行のある足置きで安心感が生まれる
ハロウチェアがこだわったもうひとつのポイントは足置きです。子供の足の裏ができるだけベタッとつくように従来品よりも奥行の広い足置きを採用しました。
これについては最近のトレンドを踏まえたのですが、些細なことのように見えて実に大切なことだと私は考えています。足を乗せるだけの足置きよりも、足の裏がベタッとつく大きな足置きのほうが、座っていて安心感があり、学習に集中できると思います。これは論より証拠、実際に座り比べてもらうと分かりやすいでしょう。
こうして出来上がったハロウチェアは私も驚くほど素晴らしい学習椅子に仕上がりました。もちろん、私が描いたのは素人丸出しの落書きのようなデザイン画だけで(苦笑)、これほど素晴らしい作品に仕上がったのは完全に浜本工芸の手柄です。
浜本工芸が作ると素晴らしいことのひとつに、学習椅子を横から見るとネジ穴が少ないことが挙げられます。普通なら座面の高さを調節するためのネジ穴がボコボコと開いているところが、浜本工芸の学習椅子には見られないのですね。
こういうところが浜本工芸の地味にスゴイところです。ハロウチェアだけでなく、たなとつくえの学習家具は浜本工芸の持つ高い技術力があってこそ世に送り出すことができたと言えます。
ついでに言うと、たなとつくえを全国各所に展示できたのはIDC大塚家具の店舗ネットワークがあればこそです!浜本工芸×学習机評論家×IDC大塚家具のコラボは本当に史上最強だと思いますね~(笑)
コメント 皆様からご質問・ご意見など
はじめまして。いつも大変参考になるお話ばかりで、何度も拝読させていただいております。
この度、11月に新居が完成することと、長女が来年小学生になるので机探しをしております。2歳差の妹がいるので、同じものを2つ購入予定です。
リビングに置く予定で、設置場所は幅2060㎜、右側が壁、左側は壁ではなく主人の書斎への開き戸なので、多少は2060よりも大きくなってもいいのかなぁと(笑)
希望はリビングに置くので、奥行浅めのものですが、将来的に奥行が浅いことを幅でカバーするのではなく、奥行を広げて使いたいのです。また、子供部屋に本棚を置く予定はなく、ある程度リビングの机で教科書の収納をしてほしいのです。
こちらをふまえ、天板拡張のベーシックな形のものがベストなのかと思いました。
ヒカリサンデスクのKコンパクトを第一候補としましたが、関西住なので東京インテリア大阪本店にも足を運びましたが、現物が見られず…。
次に浜本のNo.32。こちらはほぼ理想なのですが、同じセットを2つ買うので値段の問題、上棚をセットしても、残りの下の部分の大きな棚を2つもどこへ置くのか…。
同じくリーモやWDのような組みかえデスクも、上棚を机につけると、下の部分2つもどこへ置こうかと…。
次に考えたのがボナシェルタですが、脚の形があまり好みではないんですよね…。
いっそ、とりあえずでイケアのミッケもありかと思ったのですが、教科書などがあまり収納できない気がしました。楽天にあるようなお安いライティングテーブルを買おうかとも思いましたが、強度が心配です。
どうしたらよいのか分からず…ぜひご意見をお聞かせいただけたらと思い、コメントさせていただきました。よろしくお願いいたします。
おいもさま
はじめまして^^
11月にご新居が完成のご予定ですかー。
それはお嬢様方も楽しみにされているでしょうね♪
さて、リビングに置ける奥行拡張タイプの学習机をお探しということですね。
ヒカリサンデスクのKコンパクトは、東京インテリア大阪本店にも並ぶ可能性はあると思います。
ただ、早くても9月後半、場合によっては12月くらいになるかもしれません。
大阪でヒカリサンデスクが並ぶのは東京インテリア家具と島忠ホームズだけです。
ただ、過去の展示を見る限り、Kコンパクトが並ぶ可能性があるのは東京インテリア家具のほうのように思います。
浜本工芸のNo.32デスクは「No.32書棚・上箱」のみをセット可能です。
その組み合わせなら「No.32書棚・下箱」の置き場所に困ることがなく、予算もクリアしやすいのではないかと思います。
天板奥行拡張機能があるデスクは基本的に組み替え式デスクのみで、例外と言えるのはセレクトタイプとなっているKコンパクトとNo.32デスク、あとはコイズミファニテックの新作フラックスくらいです。
ただ、フラックスはたぶん脚やデザインがお好みではない感じかなと思います。
イケアのミッケは収納量よりもむしろデスクライトをどうしたものかという問題が生じることが多いようです(上棚付きの場合)。
ただ、天板奥行拡張機能があるデスクの選択肢が少ないことなどを考えると、リビングダイニングで使うものは使い捨てを覚悟で買うというのも選択肢としてはアリだとは思います。
ところで、ランドセルや絵の具セット、塾や通信教育の教材などは、どこか別の場所に置かれるのでしょうか?
また、将来的には子供部屋に移動されるつもりですよね?
一般的な学習机ではよほどモノの量を絞り込まない限り、すべての学用品を収めることはできません。
そうなると、ほかの場所との兼ね合いで、選ぶべき学習机が変わってくる可能性もあります。
また、最初は上棚に教科書類を収めても、将来的には上棚を外す可能性も十分あるように思います。
組み替え式デスクを買って、本棚の下半分は将来の子供部屋に置くことができて、その子供部屋がリビングダイニングから比較的近ければ言うことなしなのだとは思いますが…たぶんそういうわけではないんでしょうね^^;
収納マン様
ご丁寧なお返事を頂戴し、誠にありがとうございます。
Kコンパクトはそんなに並ぶのが遅いのですね…張り切って行ったのに、あまり学習机がなくて、少し残念な気持ちで帰ってきました(;O;)
浜本のNo.32は上箱のみでの購入ができたのですね!見落としておりました!確かにそれならば予算やスペースの問題もクリアできそうです。
本人たちが大きくなれば、ゆくゆくは机は子供部屋に移動する予定です。とりあえず現段階でランドセルはイスの下に入れてもらおうかと考えておりました。その他の絵の具や習字セットですが、将来的に子供部屋にするお部屋に収納があるので、そこに入れてもらうかなぁと…。もしくは収納マン様おすすめの無印のラックを購入することも考えております。
将来の子供部屋ですが、マンションのため、リビングから出ればすぐ近くのお部屋です(^-^)ですが、まだ子供たちが5歳3歳のため、当面おもちゃ部屋、そして親の荷物部屋にしようとしていたのです。なので浜本のNo.32の下箱や、組み替えデスクの本棚下半分を2つも置いておく場所がない気がしまして…。
無印のラックであれば、用品だけではなく、おもちゃも一緒に入れてしまえるし、アリなのかなぁと考えておりました。
さらに組み替えデスクの下半分ですと、用品を収納するには奥行が足りませんよね…?
本しか収納できない気がして、現時点では合わないのかなぁと…そもそもあと10年以上使用するものを、今すべての問題をクリアして購入するのも難しい話かとも思いますが…(*_*;
ところで組み替え式デスクはコイズミのステップアップデスクLとスタンダードのものがありますが、Lのようにあそこまでハイタイプなものは必要なのでしょうか…?
子供部屋自体が5畳しかないので、上に収納を伸ばすのは賛成なのですが、やはり圧迫感もありますし、スタンダードなほうで収まるならそのほうがいいと素人の私は思うのですが、収納のプロから見て、どう思われますか?
まとまらない文章で、大変申し訳ございません。
お力添えいただけましたら幸いです。どうぞ宜しくお願いいたします。
おいもさま
いやいや、Kコンパクトだけが遅いわけではなくて、基本的に学習机が家具店に並ぶのが早くて9月後半ですから。
店舗や地域によっては12月または年明けというところもあるくらいです。
将来的なレイアウトについては、さすがよく考えておられますね^^
組み替え式デスクの本棚の下箱は2台並べておくのは厳しい、奥行が絵の具セットなどを収めるには短い、ハイタイプは本当に必要なのか…これらの点についてはおっしゃる通りだと思います。
そんなわけで、私も60~90cm幅程度の無印良品のユニットシェルフのようなオープンラックとロータイプの上棚付きのデスクの組み合わせが良いと思います。
ご新居がマンションということですので、2階建て以上の戸建てと違って、リビングダイニングから子供部屋へのアプローチは良さそうです。
最低限の教科書やランドセルはリビングダイニングの学習机に置き、それ以外は子供部屋に置いたオープンラックで…というかたちで問題ないでしょう。
そうするとやはり、選択肢はヒカリサンデスクのKコンパクトと浜本工芸のNo.32デスクですね。
Kコンパクトが東京インテリア家具大阪本店でご覧いただければ良いのですが…一度、お問い合わせいただいたほうが良いかもしれませんね^^
収納マン様
またもご丁寧なお返事を頂戴し、本当にありがとうございます。
学習机が並ぶのはそんなにも遅いのですね!関西に引っ越ししてきたのは最近で、以前はこちらのブログでも紹介されておりましたピークが早い名古屋に住んでおりましたので、ギャップがありびっくりです。
いま考えている方法で、問題ないとのことで安心いたしました。収納マン様にそう言っていただけましたら、安心して家具屋さんに走れます!
おっしゃるとおり、Kコンパクトに関しましては一度東京インテリア大阪本店に問い合わせてみたいと思います。収納マン様もおすすめされていましたので、ぜひ実物を見ることができたらと思います。
長々と相談にのっていただき、本当にありがとうございます。浜本No.32にしても、Kコンパクトにしても、子供たちのお城?となることは間違いないかと思いますので、吟味して決めたいと思います。
おいもさま
おいもさんは名古屋から関西にお引越しされたのですね!
そうなんです。名古屋は学習机販売のピークが8月と言われており早いんですね。
おまけに、さすが名古屋の人は家具にウルサイだけあって、良いものが売れると言われています。
一方で、コタツが売れるエリアは学習机を売るよりもコタツを売ったほうが…ということで、年明けになることもあります。
ニトリも地域によると思いますが、1月になってからですね。
もしKコンパクトの実物がご覧いただけない場合は、ヒカリサンデスクの他の学習机の引出しをチェックしてもらえればと思います。
だいたいそれで質感は分かっていただけるのではないでしょうか。
ご新居の家具選びと学習机選び、楽しくも大変だと思いますが、是非じっくり吟味してください^^