まだTOBの最中ですが、島忠がニトリの傘下に入ることになりました。そのニュースが流れた当初はネットを中心に「島忠がニトリになってしまうのはイヤだ!」という声が多く聞かれました。
この反応は個人的にはちょっと意外だったんですよ。世間ではニトリの人気が高まる一方、島忠だけでなく、ファニチャードーム、太陽家具など、中堅が苦戦を強いられていますからね。
翻って、島忠と同じ家具&ホームセンター業態の西の雄・ナフコはどうかと言うと、こちらもニトリにやや押され気味で売上は微減傾向が続いています。
しかし、ナフコとて黙って様子を眺めているわけにいきません。学習机でもナフコはニトリにちょっと対抗している感じがありました。
ところが、2021年度はちょっと吹っ切れたのでしょうか。ニトリとガチバトルするのではなく、ニトリの客層とは違う層を明確に意識したラインナップになって、かなり良い感じですよ。
浜本工芸が2モデルから3モデルに
もっとも驚いたのは、浜本工芸のオリジナルモデルが2モデルから3モデルに増えたことです。片袖机の「No.61デスク」をベースにした「35グランデ」を廃して、代わりに「No.09デスク」ベースの「レッグナイン」(下写真)と「No.28デスク」ベースの「トゥースクエア」を投入しました。天板昇降式の「No.17デスク」のナフコ版「35ロイヤル」は継続です。
未だデフレを脱却できない日本。しかも学習机市場は少子化の影響もあって縮小傾向です。にもかかわらずナフコが国産高級デスクの代名詞と言える浜本工芸のオリジナルモデルを増やすのは、安定した売上が見込めるとともに、ニトリと大きく差別化できる要素だからでしょう。
ナフコ×浜本工芸・レッグナイン

出典:ナフコ21スタイル(以下同)
レッグナインはNo.09デスクの天板をナラ無垢からオーク無垢に変えて、足元棚を取っ払って背板にコンセントを付けたものです。要は東京インテリア家具オリジナルモデルの「TI-09」から足元棚を外すことでさらに低価格を実現したというわけですね。
ちなみに、上写真に映っているデスク本体以外はすべてカタログモデルですが、ナフコのカタログには○%引きのズバリ価格で表示されています。いやー、良い時代になりました。
ナフコ×浜本工芸・トゥースクエア
トゥースクエアのほうはNo.28デスクのデスク本体引出しに鍵を設け、書棚のブックエンドを仕切板に変更。カタログモデルをナフコの通常値引率で買うのと比べてそんなに価格は変わりませんけど、100cm幅がセットで税込95,700円というズバリ価格は値ごろ感があって良いのではないでしょうか。
なお、レッグナイン、トゥースクエアともに、幅は100cmと110cmの2サイズが用意されています。
コイズミ「CD」タイプが4色から5色に

出典:ナフコ21スタイル(以下同)
学習机市場は天然木のシンプルなデスクの人気が高まる一方で、多機能なカラーデスクの人気が衰える傾向にあります。このことはコイズミファニテックのカラーデスク「CD」シリーズのカラーバリエーションがかつての半分になっていることからも分かる通りです。
ニトリでも同様の傾向です。西日本を主戦場とするナフコではまだまだカラーデスクが主力とは言え、徐々に天然木もしくはシンプルなデスクを増やす傾向がうかがえました。
ところが、CDタイプのカラーデスク(上写真・NODR-829WWLB)がテレビCMの効果で好調に売れているのでしょうか。2019年度の登場以来4色展開だったのが、2021年度は5色展開に増えました。つまり、カラーデスク不人気というトレンドに逆行しているわけです。
2020年度からイトーキが抜けて、シーズンを振り返るとその穴を埋めるために1色追加で欲しいと感じたのかもしれませんが、実に興味深いことだと思います。
オカムラに代わって、くろがねがシェア拡大
2019年度を最後にイトーキが学習机市場からほぼ撤退したことはナフコにとっても影響が少なくなかったと思います。その穴を埋める策を練るのは頭の痛いところだったと思いますが、2021年度のカタログからはオカムラまでもが姿を消しています。西日本はコスパを重視する傾向にありますから、やっぱりオカムラは割高感があって売れないのでしょうか。
イトーキとオカムラの穴を埋めたメーカーのひとつは冒頭の浜本工芸ですが、それよりも前面に打ち出しているのがくろがね工作所です。上写真の「NFシステムデスクBPN-20CD」は「ヴィンテ2」から2個のブックスタンドを外して代わりにスチール製のタブレットスタンドを付けたモデル。しかも、カタログモデルとは異なり、デスク(+上棚+ワゴン)のみを購入することもできます。
そのほか、「ラティック」もどきの「NFシステムデスクRP-NF21CD」も登場。たった2年でカタログから消え、ニトリでも2年で終わってしまいましたが、3度目の正直となるでしょうか。
コイズミ「ブロスト」が値下げ
イトーキから「ウットフォーク」が登場して以来、ブルックリン系の学習机が人気です。先にナフコで「ブロスト」もどきの「NORD-630VB」(上写真)を販売していたコイズミファニテックとしては、くろがね工作所のヴィンテ2のオリジナル仕様が投入されることに危機感を持ったのでしょうか。価格を8%近くも下げて税込79,800円にしました。
ヴィンテ2もどきがデスク+上棚+ワゴン+デスクライトのセットで税込69,800円。それに対してブロストもどきは天板がオーク突板で+1万円という価格です。私だったら迷わず後者を選びますけど、世間は必ずしもそうではないのでしょうね。
大商産業のデスクもカタログ掲載
大商産業(金次郎デスク)もナフコの売場からイトーキとオカムラが抜けた穴を埋める役割を担っています。これまでもナフコは大商産業の学習机を扱っていましたが、カタログに掲載するのは初めてじゃないでしょうか。
上写真の「MR-519」はカタログモデルのベーシックデスクですが、ほかにも3Dデスク(組み替え式デスク)の「SWM-519」が掲載されています。
以上の通り、2021年度のナフコの学習机のラインナップはかなり良い感じに仕上がったと思います。
基本的に私はナフコが好きなんですよ。新婚のときはナフコでワードローブや食器棚などを買いましたし、新居への引越しに際してはTVボードやカーテンなどを購入しました。
別にニトリが嫌いというわけではないですが、ナフコには”比べれば違いが分かる家具”がたくさんあって、オリジナルモデルも魅力的なものが多いのです。しかし、近年は学習机に関してはちょっと首を傾げることが多かったように思います。
でも、今年度はちょっと違います。むやみにオリジナルモデルを作るのではなく、コイズミファニテックの「ビーノ」や大商産業の「MR-519」をカタログに掲載するなど、バランスを心掛けた感じがします。単純にオリジナルモデルが減っただけと見ることもできますが、消費者にとってはむしろそれで良いのです。
福岡県と岡山県では太陽家具の居抜きで東京インテリア家具が進出するなど競争はますます熾烈になってきましたが、これからもナフコらしさを活かして頑張って欲しいですねー。
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