わたくし収納マンは目が悪いです。コンタクトレンズの度数は左が9.5、右が10.0ですから、どれほど近眼かは分かる人には分かると思います。ちなみに、コンタクトレンズの度数は12.0が最大です。
私がド近眼になった原因は主に2つだと考えています。まずひとつは目を酷使しすぎたこと。小学生の頃は貧乏で他に楽しみもなかったため、図書館で借りた本ばかり読んでいました。また、テレビはNHK以外の視聴を認められず、隠れてコッソリ間近で(すぐに消せるように)観ていたり、同じく友人から借りたゲームボーイに興じていたことが良くなかったのだと思います。
もうひとつは猫背です。なまじ身長が高かったので、後ろの席の子たちから黒板が見えないと言われることが多く、背中を丸くするのが常態化していました。近眼で最前列に座るも、猫背で座ることが習慣になってしまったことは、いま思うと悪循環であったと思います。
そのような経験から、私の子供たちにはゲームやテレビの視聴時間は厳しく管理しませんでした。また、姿勢良く座ることを期待してバランスチェアを買い与えました。その結果、子供2人ともコンタクトレンズを使っておりますが、度数は5.0程度で済んでいるので上出来だと感じております。
ともあれ、バランスチェアは理屈の上では姿勢良く座ることができることは明らかなものの、それを裏付けるデータというものはほとんど目にしたことがありません。しかし、このたび宮武製作所と香川大学が共同研究を実施した結果、プロポーションチェアの使用で集中力が向上した人数が2倍になるととともに、姿勢変化の骨格推定により顕著な差異が観察されたことが明らかになりました。今回はそのレポートを皆様にも紹介したいと思います。
※この記事は2024年9月11日時点の情報に基づいています
プロポーションチェアで集中力が向上した人数が2倍に
「プロポーションチェア」とは宮武製作所が製造する、いわゆるバランスチェアのことです。決して新しい商品ではなく私の記憶では軽く10年以上のロングセラー商品ですが、商標が登録されたのはごく最近のこと(2021年)のようです。
国立香川大学教育学部付属高松小学校の協力と香川大学創造工学部感性デザイン研究室の監修のもと、小学生33名を対象とした計算問題実施時の集中力を測定したところ、上のグラフの通りプロポーションチェアを使用した群において、集中力が向上した人数が2倍になりました。集中度数値が1.1以上の群が約16%から約30%になっています。
上のグラフを見る限り、集中力の向上に寄与しなかった群も少なくなかったと考えられる一方、通常のチェアを使用するよりもさらに集中力が向上した群(集中度数値1.5~1.7)もあったことも注目に値すると思います。
姿勢変化に顕著な差異が観察された
また、大学生29名を対象にプロポーションチェアと一般的な椅子を使用してSPIテストを30分間実施し、姿勢変化を骨格推定した結果、顕著な差異が観察されました。奥歯に衣を着せるような表現ですが、上写真を見る限り、姿勢が改善されたということでしょう。
ただ、これは創造工学部の助教が監修したと言う割りには不十分な調査結果だと感じます。これでは顕著な差異が観察されたのが29人中の1人だったのか、大半だったのか、判然としません。分かりやすい結果が得られたサンプルだけを抽出したと指摘されても反論できないと思います。
そもそも、左右の写真を見る限り、「別人の比較じゃないですか!」って話です(苦笑)白シャツの男性をプロポーションチェアに座らせたらどうなるんでしょうね。逆に、黒いパーカーの男性を通常のチェアに座らせても姿勢良く座ってくれそうです。
深い呼吸で集中力が向上
ともあれ、プロポーションチェアを使用することで、どうして集中力が向上するのでしょう。これについては、”一般的な椅子では前傾姿勢になりやすく、肺が圧迫されて呼吸が浅くなることが集中力低下の一因となる可能性が指摘されています”と説明されています。
逆に言うと、プロポーションチェアに座ることで、立ち姿勢のように骨盤が立つとともに背中がS字カーブを描き、肺を圧迫することなく深い呼吸が可能となって集中力を高めることができるということだと考えられます。丹田呼吸法をイメージしてもらうと分かりやすいでしょう。
ただし、今回の調査では呼吸の深さを測定した様子がありません。あくまで推測の域を出ず、今後さらなる調査を期待したいところです。
プロポーションチェア Keepy(キーピィ)
今回の調査とは関係ありませんが、宮武製作所のプロポーションチェアには「Keepy(キーピィ)」というモデルもあります。キーピィは初代プロポーションチェアの背筋を伸ばす効果はそのままに、体重を「お尻」「すね」「足うら」の3点で支える構造に改良する事により体圧分散を向上させ、長時間の使用でも疲れにくくすることを可能とした椅子です。
すねの負担を軽減
上図の通り、キーピィは初代プロポーションチェアと比較して、すね(膝下)にかかる体圧が軽減されることが分かります。
一方で、従来のプロポーションチェアは座面の高さを上げたときに座面が傾斜してしまい、お尻が滑りやすく、すねに負担が掛かりやすい構造であることを示しているとも言えます。この点が、私がプロポーションチェアのようにX字型の高さ調節可能なバランスチェアを否定的に捉えている理由です。
バランススタディならお尻が滑らない
その点、國新産業の「バランススタディ5064」なら座面の高さを変えても傾斜角は一定です。そのため、しっかりとお尻で座ることができ、すねに負担が掛かることはありません。また、バランススタディはモールドウレタンを使っているので、プロポーションチェアのようにすぐにウレタンがヘタる心配も少ないです。ついでに言うと、ウレタンの交換も可能です。
ただ、子供用の「ジュニア」が廃番になってしまったため、身長130cm以上=概ね小学校中学年以上でないと使うことができないのが難点です。
バランスイージーは子供用
一方で、バランスラボ(旧・サカモトハウス)の「バランスイージー」なら子供用として設計されているので、幅さえ問題なければ学習机にセットできます。もちろん、座面の角度は一定で、お尻が滑るようなこともないです。
ただ、以前はこれ1台で大人まで大丈夫と言っておきながら、2017年頃になって大人用の「ショートフレーム」を発売しました。この点がどうにも未だに私がバランスイージーに対して不信感を拭えないところです。ちなみに、バランスイージーはバランススタディと異なり座面の高さ調節ができません。膝置きの高さ調節だけで対処可能とすることにそもそも無理があると感じます。
というわけで、プロポーションチェアに集中力を高める効果があることや姿勢が改善される可能性が期待できることが調査によって明らかになったというのは良かったと思います。一般的なバランスチェアにも援用できる調査結果と言え、購入を検討されている方の背中を押してくれることでしょう。
一方で、宮武製作所もキーピィの説明で、初代プロポーションチェアがすねに体圧が掛かる問題を認識していると考えられます。個人的には、バランススタディやバランスイージーならその問題がなく、より集中力が高まるとともに、長時間の使用も可能ではないかと期待するところです。
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