私は口が悪いもので、ついつい余計なことを口走ってしまいます。先日も浜本工芸のNo.41デスクが”アクタスの「VARIO(ヴァリオ)」のパクリオマージュ”だとか、No.70デスクは”「Formio+(フォルミオ・プラス)」をお手本とした”だなんて言ってしまいました。しかし、それはちょっと幼稚な言いがかりだったのかもしれません。
※この記事は2016年8月10日時点の情報に基づいています
シラカワに「コピー商品」と訴えられるも「認識ない」
シラカワ(岐阜県高山市、白川勝規社長)は7月26日、浜本工芸(広島県広島市、浜本洋平社長)に対し、シラカワの製品をコピーしたとして生産中止を求める内容証明を送付した。これによるとシラカワが2013年9月の飛騨フェスティバルで開発発表したチェア「フェルメール」が、今年初めから浜本工芸にコピーされ、大手販売店を始め手広く販売されているとの情報が寄せられ、販売状況を調査するとともに、製品を入手して精査したところコピー製品と判断し、即座に生産販売の中止をもとめたもの。
(中略)一方、浜本社長は「私としてはこの件でコピーした事実認識はなく、当社役員と先方との話し合いなどの報告も得ていない。事実関係を調べたい」と本紙の取材に答えた。
引用:ホームリビング
シラカワと言えば、オーク系の無垢を使ったダイニングセットでは浜本工芸のライバルと言える会社です。シラカワのテーブルは柾目(まさめ=ストライプ状の木目)、浜本工芸は板目(いため=年輪状の木目)という違いはあるものの、ベーシックモダンの国産ダイニングセットという市場では各地で火花を散らす関係です。
そんな関係ですから何かと揉め事が起こっても不思議ではないのですが、件のダイニングチェアの比較写真を見て私は驚きのあまり顎が外れそうになりました!引用元のリンクを開いてもらうとその比較写真が見れますが、私には「完コピ」と評価できるほど酷似しているように見えます。しかし浜本工芸の社長は”コピーした事実認識はなく”と答えているのです。
浜本工芸の社長に言わせれば、コピーしたのではなく、たまたま似たデザインになったということなのでしょう。偶然にもほどがあるっちゅーわけですね。しかし結果的にこれほど完コピな商品ができ上がると、浜本工芸のデザイナーはエスパーなのではないかと思ってしまいます。
また、”当社役員と先方との話し合いなどの報告も得ていない”というのも興味深いところです。引用元の記事ではシラカワが浜本工芸に対して内容証明を送付する前に役員レベルで話し合いをした事実が書かれていますが、その内容は浜本工芸の社長に報告されていなかったようです。普通に考えれば「この会社、報連相がなっていないんじゃないか」という話ですけれど、浜本工芸の役員に言わせれば「またいつもの言いがかり」程度の認識だったのではないかと思われます。
人気家具メーカーはツライよ!?
iPhoneで有名なアップルが多くの訴訟を抱えるように、人気家具メーカーである浜本工芸も競合他社との間でコピー問題を何度か抱えています。学習家具関連ではカリモク家具から物言いがつき、そのときは浜本工芸が折れてデザインを変更したこともありました。
誤解がないように申し上げますが、浜本工芸も訴えられてばかりではありません。最近のことはよく分かりませんが、以前は浜本工芸のデザインをパクったようなダイニングチェアやキャビネットが散見されました。また、浜本工芸だけでなく他のメーカーでもデザインや特許絡みで訴訟になることはよくある話です。
つまるところ、人気メーカーの商品の類似品が氾濫するのは世の常で、浜本工芸の役員が「またいつもの言いがかり」程度にしか思っていなくてもおかしくはないのです。
シラカワのフェルメールの一件を見る限り、浜本工芸が同業他社の学習机のデザインをパクったという認識はまったくなさそうです。実際に今のところ訴訟にはなっていないのですから、そう思ってしまうのは素人の発想なのでしょう。
しかし一方で、”明らかにコピーと見做された場合、それを公表すると共に同友会加盟企業での販売は行なわないことを厳しく検討する”(ホームリビング)と述べられています。こういうことが目につくようになると、家具業界から村八分にされ、消費者イメージは低下するどころか、商品が消費者の目に触れる機会も減ることでしょう。
浜本工芸の社長に言わせればシラカワのフェルメールとはまったく別物なのかもしれませんが、そう認識してくれる人は残念ながら少数派にとどまりそうです。家具業界で仲良くしてくれることはもちろん、消費者がどう判断するかということにも思いを馳せて欲しいと願っております。
2016/11/20追記:
「ホームリビング」によると、この件は和解に至ったようです。類似とされた商品は生産販売の停止というかたちで決着。
実際のところ、浜本工芸が作った類似品を消費者がシラカワのものと誤認して購入するということはないでしょう。しかし、シラカワが指摘したように、こういう行為は消費者の不信を招くとともに、オリジナルの製品を開発したメーカーや業界全体の発展を阻害するもので、モラルが問われることだと私も思います。
2017/02/08追記:
ついにアクタスも怒りをぶちまけました(苦笑)
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