
学習机を選ぶ際に、どんな塗装が施されているか、もしくはどんな表面材が使われているかをチェックすることはとても重要です。塗装や表面材によってキズや汚れにつきやすさがまったく違うからです。どうせ購入するなら少しでも丈夫なほうが良いですよね。
これまでも塗装などの重要性については何度もこちらで触れてきました。しかしながら、なんちゃってオイル塗装を否定することに執着してしまって、塗装全般についてまとめた記事を書いていなかったのです。なんとお粗末なことでしょう(苦笑)
ともあれ、ようやくどのようにまとめれば良いかが私の中でイメージできたので、今回は学習机の天板の塗装と表面材についてまとめてみたいと思います。
※この記事は2026年9月30日時点の情報に基づいています
学習机の塗装
セラウッド塗装
- 熱、紫外線、キズ、汚れ、水濡れに強い
- 変質しにくい
- 木質感はやや損なわれる
- コストが高い
- 施工が難しい
サンユーペイントのセラウッドはファインセラミックスを含むウレタン塗装です。一般的なウレタン樹脂をベースとしているためキズや汚れに強いだけでなく、熱(最高200度)や紫外線にも強いことが大きな特徴となっています。
一方で、コストが高いことが最大のデメリットです。また、厚塗りすると施工性が悪いうえに木質感を損ないやすいです。逆に薄塗りした「羽衣(はごろも)」は比較的容易にキズがつきます。
セラウッド塗装はウィドゥスタイルの「セレクト」(アルダー無垢仕様のぞく)のほか、家具の里「リッケ」の天板にも使われています。
UVウレタン塗装
- キズ、汚れ、水濡れ、熱に強い
- 変質しにくい
- 手間とコストが掛かる
- ツヤが出る(木質感が損なわれる)
UVウレタン塗装とはウレタン塗装を施してからUV(紫外線)を当てて表面を硬化する塗装方法です。表面がとても硬くてキズがつきにくいうえ、油性ペンで書いても容易に消すことができます。
一方で、専用の設備が必要となるため、一般的なウレタン塗装よりもコストと手間が必要です。また、鏡面のようにツヤが出るため木質感を損ないます。浜本工芸の場合は仕上げにフラット(ツヤ消し塗装)を施すことで問題を回避していると考えられますが、使っているうちにフラットは擦り減ってツヤが生じてきます。
UVウレタン塗装は以前は多くの学習机メーカーが採用していましたが、現在は浜本工芸と大商産業(「MWD-550」など)だけだと思います。
ウレタン塗装(クローズ)
- 汚れ、キズに強い
- 変質しにくい
- コストは安くない
- 木質感がやや損なわれる
大手の学習机メーカーはほぼ全てウレタン塗装(ポリウレタン塗装)を採用しています。後述するラッカー塗装に比べるとコストが高いうえに乾燥に時間は掛かるものの、キズや汚れに強く、健康を害する可能性のある有機溶剤を含まないものも増えています。
一般的には木目(道管)を完全に埋めてしまうクローズ塗装が多いです。木質感を損なうものの、道管に汚れが詰まるのを防ぐことができます。
なお、カラーデスクで使われることの多いMDFダイレクトプリント合板は、MDF合板の表面に木目を印刷したうえでウレタン塗装を施しています。プリンセス系の学習机で使われることが多い、ウレタン塗料を厚塗りした鏡面仕上げは丈夫である反面、強い衝撃によって欠けることがあります。
ウレタン塗装(オープン)
- キズに強い
- 変質しにくい
- 木質感が良い
- コストは安くない
- やや汚れやすい
カリモク家具はオープンまたはセミオープンと呼ばれる、道管を完全には埋めないウレタン塗装を採用しています。木質感を損なうことを回避しつつキズがつくのを防いでくれます。一方で、道管に汚れが詰まりやすいことが難点です。
アクリル塗装
- コストが安い
- キズや汚れに弱い
アクリル樹脂と言ってもピンと来ない方が多いと思いますが、代表的なのは図工で使われるアクリルニスです。コストが安いほか、施工がしやすい、透明度が高いなどのメリットもあるものの、キズや汚れには弱いため学習机には適しません。
ラッカー塗装
- 価格が安い
- 乾燥時間が短い
- 施工しやすい
- 変質しやすい
- キズや汚れに弱い
ラッカー塗装(アクリルラッカー塗装)はウレタン塗装よりもコストが安いうえ、乾燥時間が短くて済み、施工も難しくないということで、メーカーにとってはメリットがとても多いです。一方で消費者にとっては、変質しやすく、キズや汚れに弱いというデメリットが大きいと言えます。ちなみに、変質しやすいというのは、たとえば消しゴムを放置していると塗膜が荒れてしまったりするということです。
海外で作られるチープなデスクによく使われます。なお、ホルドアルデヒドを心配する方もいらっしゃるかと思いますが、現在は低ホルムアルデヒドのラッカー塗装が増えています。ただし、健康を害する可能性のある有機溶剤は含まれる可能性があります。
UFO塗装
- 木質感が良い
- 施工性が良い
- コストが安い
- キズや汚れに対してはやや微妙
- 輪染みが付くことも
UFO(UVフィニッシュオイル)塗装は堀田木工所だけが使っている特殊な塗装方法です。オイルという名前ですがオイルは含まれておらず、樹脂(詳細は非公表)ベースの塗装を施したうえでUV(紫外線)を照射することで表面を硬化しています。
一応、硬化はさせているのですが、キズや汚れに対しては一般的なウレタン塗装と比較するとやや微妙かなというのが個人的な印象です。もっとも、ウレタン塗装にもいろいろあって、薄塗りのウレタン塗装と同程度と感じています。また、結露したコップやペットボトルで輪染みが付くことがあります。
一方で、塗膜を形成しないので木質感は良いと思います。
オイル塗装(正統派)
- 独特の木質感
- 補修が可能
- 塗装設備が不要
- メンテナンスが必要
- 輪染みができやすい
- 手間が掛かる
オイル塗装には大きく分けて2種類あると私は考えています。ちゃんとしたオイル塗装は研磨とオイル塗布を何度も繰り返すことで表面が保護され、無垢板が反ったり割れたりするのを防いでくれます。また、肌に吸い付くような独特の木質感を与えてくれます。汚れがついた場合は自分で削ってオイルで補修することも可能です。
一方で、電動サンダーを使ったとしても何度も研磨とオイル塗布を繰り返すのは時間と手間が掛かります。また、定期的にオイルを塗ってやる必要があります。オイルなのである程度の水分は弾くものの、輪染みができやすいです。
正統派のオイル塗装は、橋詰家具のほか、飛騨産業、レグナテックなど、一部の国産高級家具メーカーが扱っています。基本的には小規模な工房が小ロットで生産するのに向いています。
オイル塗装(なんちゃって)
- コストが安い
- 木質感が良い
- 塗装設備が不要
- キズや汚れに弱い
- メンテナンスが必要
私が「なんちゃってオイル塗装」と呼んでいるのは、研磨をほとんどすることなくオイルを塗っただけのものです。正統派のオイル塗装に比べてコストも手間も少なくて済みます。吹き付け塗装と異なり塗装や乾燥をする大型の設備が要らないうえ、熟練した技術も必要としません。また、塗膜を形成しないので、木に直接触れるような質感が得られます。
一方で、キズや汚れにはめっぽう弱いです。定期的にオイルを塗ってやる必要もあります。一般ユーザーでもキズの修復が可能と説明されることもありますけど、まず不可能です。アイロンで膨らますのは難易度がとても高いですし、キズついたところだけ削ったら凹んでしまいます。また、0.2~0.6mmしかない突板なんて紙ヤスリで削ったら芯材が露出してしまいます。
ちなみに、一例として挙げた一生紀の「エリス」の場合、ナチュラル色はオイル塗装ですが、ブラウン色はウレタン塗装となっています。
学習机の表面材
メラミン樹脂化粧合板
- 熱、キズ、汚れ、水濡れに強い
- シート材としてはコストが高い
- 天然木より質感は劣る
メラミン樹脂化粧合板は近年、デスクの天板に使われることが増えています。フェノール樹脂を使ったシートを貼った合板で、熱、キズ、汚れ、水濡れに強いことが大きな特徴です。質感は天然木に劣るものの、エンボス(凸凹加工)が施されたものは天然木と見分けがつかない方もいます。シート材としてはコストが高いですが、木目のキレイな天然木に塗装を施すよりは格段に安上がりです。
硬い高圧メラミンと適度な軟らかさを持った低圧メラミンがあります。天板は硬ければ硬いほど良いと誤解されることがありますが、適度な弾力のある低圧メラミンのほうが書き味が優れています。
ポリエステル樹脂化粧合板
- メラミン化粧板より安い
- 質感や耐久性はメラミン化粧板に劣る
ポリエステル樹脂化粧合板(ポリ合板)は造作家具の棚板や扉などによく使われ、デスクの天板に用いられることは少ないです。比較的コストが安く、水濡れや摩耗に強いものの、メラミン合板に比べるとキズや熱に対する耐性はやや劣ります。また、経年で変色する可能性があります。
オレフィン樹脂化粧合板
- 耐水性と防汚性に優れる
- 柔軟性があり剥がれにくい
- 硬度が低い
オレフィン樹脂シートは耐水性と防汚性に優れるという特性から、建具や食器棚、サニタリー収納に使われることがほとんどです。メラミン樹脂シートやポリエステル樹脂シートと異なり柔軟性があるため、曲面に貼ることができ、しかも剥がれにくいというメリットもあります。
「ワークスタジオ」などバルバーニ(旧・ビクター)のデスクは、その特性を利用しています。ワークスタジオは、本来、塗装を必要としないオレフィン樹脂化粧合板に特殊塗装仕上げ(ソフトペンタッチ塗装)を施すことでデメリットを補っていると言えます。
塩化ビニール樹脂化粧合板
- 耐水性と防汚性に優れる
- 柔軟性があり曲面に貼りやすい
- コストが安い
- 熱やキズに弱い
- 経年劣化する
- 燃焼時に有毒ガスが発生する
塩化ビニール樹脂化粧合板(塩ビ合板、PVC合板)は低価格の学習机によく使われています。水濡れや汚れに強く、曲面に貼ることもでき、おまけに低コストです。一方で、熱やキズに弱いうえ、経年劣化で表面が硬くなったりベタベタしてくることがあります。また、燃焼時に有毒ガスが発生するため、環境面で好ましくありません。
リノリウム化粧合板
- 適度な弾力性がある
- キズに強い
- マットな質感
- 抗菌・抗ウイルス性に優れる
- コストが高い
- シミに注意
リノリウムは亜麻仁油などの天然素材でできたもので、古くから床材として使われるほど丈夫です。輸入品ということもありコストが高いものの、適度な弾力があってキズに強く、マットでしっとりとした質感を持ち、抗菌・抗ウィルス性にも優れます。基本的には水に濡れても大丈夫なのですが、放置するとシミになることがあります。
強化プリント紙化粧合板
- キズ、汚れに強い
- 質感が良い
- コストが安い
- 樹脂系シートより耐久性が劣る
強化プリント紙はプリント紙の表面にオレフィン樹脂やウレタン樹脂などのコーティングを施したものです。学習机や書斎デスクの天板として用いられることは少ないです。
エンボス(凸凹)加工が施されており、天然木突板と見分けがつかないほどの質感を持っています。また、一般的なプリント紙のようにセロハンテープで剥がれるようなことがありません。
キズや汚れにも一定の耐久性があります。プリント紙よりはコストが上がるものの、シート材としては比較的安価です。とは言え、耐久性の面ではメラミン合板などに比べると劣ります。
なお、強化プリント紙であっても「プリント紙」としか表示されていないこともあるため、判断が難しいこともあります。
プリント紙化粧合板
- コストが安い
- キズや汚れに弱い
プリント紙化粧合板は3段カラーボックスなどの組み立て家具によく使われます。学習机でもデスク本体やワゴンの側板や背板、書棚などで使われています。
とにかくコストが安いことが最大のメリットです。また、近年は木目の質感が向上しています。一方で、キズや汚れ、特に摩耗には弱いです。
結局、どれがオススメ?
- セラウッド塗装
- UVウレタン塗装
- ウレタン塗装
学修机ではほとんど使われないものも含めて多くの塗装方法を紹介しましたが、結局どれを選ぶのが良いのでしょうか。基本的にはウレタン塗装で問題ありません。セラウッドもウレタン塗装の一種ですし、UVウレタンはウレタン塗装にUVを照射したものです。
とにかくキズに強いことを重視するならセラウッド塗装のウィドゥスタイル「セレクト」や家具の里×堀田木工所の「リッケ」、UV塗装を施した浜本工芸や大商産業(一部モデル)が良いでしょう。
質感重視ならカリモク家具。セミオープン塗装で木に直接触れているような感触を得ることができます。
もちろん、コイズミファニテックやイトーキ、くろがね工作所、ヒカリサンデスク、アクタス、一生紀の一部モデルなども良いでしょう。くれぐれも、「なんちゃってオイル塗装」だけは避けてください。あと、無塗装なんて論外です。天板が割れたり反ったりする恐れがあります。
- メラミン樹脂化粧合板
- リノリウム化粧合板
塗装を施さない表面材で言えば、メラミン樹脂化粧板のものがコスパが良くてオススメです。ぶっちゃけ、セラウッド塗装やUVウレタン塗装を施した天然木よりも頑丈です。
予算に余裕があれば、リノリウム天板。適度な弾力、キズに強い、マットな質感、抗菌・抗ウイルス性に優れるなどメリットが豊富なうえに、オシャレです。
逆に、塩ビ合板やプリント合板は避けましょう。安物買いの銭失いになります。
ちなみに、学習机の天板の塗膜は厚くてもせいぜい0.1mmしかありません。ランドセルの金具などで強い衝撃を受ければ、塗膜は割れ、衝突箇所は凹みます(硬いと言われる浜本工芸のUV塗装でも鉛筆硬度で6H)。
なので、オークなどの硬い樹種や、硬さを均一にすることができるMDF合板などが安心です。天然木突板も厚みは0.2~0.6mmですから、実質的には芯材となるMDF合板が硬さを左右します。
情報がドッと入ってくると混乱してしまうと思いますが、前述の通りウレタン塗装系で、オーク、ウォルナット、タモ、突板、MDFなどの天板を選べばOKです。もしくは、メラミンやリノリウム。ほかにも予算やサイズ、組み合わせなど悩ましいこともありましょうけど、悩んだら気軽にコメント欄でご相談ください。
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