1990年代まで、学習机と言えばハイタイプの上棚に蛍光灯がビルトインされたものが一般的でした。その後、上棚が上下分割式となると同時に蛍光灯も分離。さらに、上棚と足元棚が独立した組み替え式デスクが主流となるとともに、徐々にロータイプが主流になっていきました。その結果、現在は上棚もしくは書棚がハイタイプの学習机は少なくなっているように見えます。
しかし、従来のハイタイプの組み替え式デスクは様々なニーズを受けて、「シェルフデスク」というスタイルに変化を遂げたとも言えます。学習机の上棚を拡張したようなデザインの書棚ではなく、シンプルな構成の書棚にデスクを組み合わせたものです。
シェルフデスクは組み替え式デスクと同様、限られたスペースに効率良く学用品を収納したいというニーズに応えてくれます。また、いかにも学習机というデザインではなくシンプルです。
今回はそんなシェルフデスクを9台ピックアップしてご紹介したいと思います。
※この記事は2024年12月4日時点の情報に基づいています(2024年12月6日一部更新)
カリモク家具・ユーティリティプラス
まずご紹介するのはカリモク家具の「ユーティリティプラス」。現在販売されているシェルフデスクの元祖と言っても良いでしょう。
より正確に言うと、元祖はユーティリティプラスの先行モデル「ユーティリティ」ですが、基本的な部分は変わりません。4本脚のシンプルなデスクに、カラーボックス然とした積み重ね可能な書棚の組み合わせです。
ユーティリティプラスを見て、これをコイズミファニテックのWDスペシャルやCDファーストと同じハイタイプの組み替え式デスクだと思う人は少ないと思います。しかし、同様にレイアウト変更が可能で、収納量も多いで、機能的には遜色ありません。
なのに、デザインはシンプルかつスタイリッシュ。ここがシェルフデスクが支持される大きなポイントと言えるでしょう。
カリモク家具・ボナシェルタ
現在、シェルフデスクと聞いてイメージされることが多いのは、むしろカリモク家具の「ボナシェルタ」でしょう。しかし、上写真のデスクと同じ幅の書棚がラインナップに加わったのは2013年度のことで、それまではコイズミファニテックの「ビーノ」に近い構成でした。
ボナシェルタの書棚は上下に分割することはできません。一方で、棚板の奥行を調節することで、シェルフの前にデスクを置いたときの奥行を変化させることができます。
見た目はミニマリズムを極めたようにシンプルですが、機能的には私も舌を巻くほど良くできています。
浜本工芸・No.28デスク
現在、ボナシェルタのライバルというポジションにもっとも近いのが浜本工芸の「No.28デスク」です。ただし、ハイタイプの書棚が登場したのは2022年度のこと。それまではロータイプのみで、杉工場の「レグシー」に近い感じでした。
No.28デスクの書棚Aはボナシェルタの書棚のように仕切り板がないシンプルな構造ながら、ユーティリティプラスのように上下を分割して使うことができます。しかも、その方法は上棚を上下ひっくり返すというのですからダイナミックです。
ボナシェルタやユーティリティプラスと異なり、デスク天板はオーク無垢、標準で引出し付きというコスパの良さが魅力です。
杉工場・ブックシエル
杉工場の書棚「ブックシエル」にデスク「レグシー」を組み合わせると、ボナシェルタのようになります。ただし、こちらは棚板の奥行を調節できる機能はなく、ただ書棚の前にデスクを置くだけというシンプルな構造です。また、デスクに引出しが付いている一方、オイル塗装でキズや汚れの心配があるという点がウィークポイントと言えるでしょう。
ちなみに、「木と風」も書棚とデスクを組み合わせることができます。
堀田木工所・オッフェン
堀田木工所の「オッフェン」はフレームと棚板を自由に組み合わせできるユニットシェルフです。そこに「カルロ」や「フィーロ」などのデスクを組み合わせることでシェルフデスクとして使うことができます。上写真のようにシェルフを幅方向に連結して使うことも可能です。
こういうことができる学習机は今のところ他にないですねー。強いて言えばコイズミファニテックの「ウォルビー」が近いですが、ウォルビーはデスクとシェルフが一体になっており、組み替え式デスクのようなレイアウト変更はできません。
ベルメゾン・タモ材の収納にこだわったラック付き学習机
「タモ材の収納にこだわったラック付き学習机」はベルメゾンの定番デスクです。杉工場が監修し、中国で作られています。
天板はタモ突板のウレタン塗装。天板や棚板は積層合板風に仕上げられていて意外とオシャレに見えます。フレームはタモ無垢ですが、書棚の仕切り板はアルダーっぽい木目ですね。
ワゴンはないものの、価格が手頃なのが魅力だと思います。幅80cmと100cmがあります。
ヒカリサンデスク・U-トルテ
ヒカリサンデスクの「U-トルテ」は、デスクの後ろ脚と書棚の棚板を外して連結することで、ボナシェルタのように全体の奥行を調節することができます。また、ユーティリティプラスのように書棚を上下分割することはできませんが、2025年度からロータイプの書棚がラインナップに追加されています。
ボナシェルタやユーティリティプラスは魅力的だけど予算オーバーという方にとっては有力な選択肢のひとつとなるかもしれません。
大商産業・WEX-100
大商産業の「WEX-100」は2025年度の新商品です。こちらもU-トルテと同様に、デスクの後ろ脚と書棚の棚板を外して連結することができるようになっています。
また、書棚のバックパネルはペグボード(有孔ボード)になっており、市販のペグボード用フックやウォールシェルフを取り付けることが可能です。ラバーウッドを使用するなどしてコストを抑え、価格はU-トルテより更にお手頃になっています。
ナフコ×コイズミ・NOD-7812WWNO
ナフコ21スタイルで販売されている「NOD-7812WWNO」はコイズミファニテックの「ルトラ」をシェルフデスクのスタイルにアレンジしたオリジナルモデルです。ダーク系の「NOD-7834BGDW」もあります。
こちらはデスクの後ろ脚を外さなくても、書棚の棚板を跳ね上げるだけでデスクをシェルフにビルトインすることができます。
なお、NOD-7812WWNOおよびNOD-7834BGDWは現在も販売されていますが、2025年度も継続されるかは現時点では不明です。個人的には好きなデスクのひとつなので、継続して欲しいと願っています。
以上、シェルフデスクを9台ご紹介しました。いずれもハイタイプの組み替え式デスクとは思えないほどにシンプルで、それでいてレイアウトの自由度があり、収納量も多いです。「組み替え式デスクを検討していたけど、こっちのほうが良いかも?」と思われた方もいらっしゃることでしょう。
ただ、人気の高いボナシェルタやユーティリティプラス、No.28デスクは高価です。ほかはそれに比べると価格が手頃ですが、まだまだ定着したと言える状況にはありません。逆に、既に何台ものシェルフデスクがボナシェルタなどを前に返り討ちに遭っています。
その理由はいくつか考えられます。価格を下げるためにコストを下げればボナシェルタと比べて見劣りする。品質を上げればボナシェルタと比較したときに価格優位性がない。大量生産でコストを下げようとしてもそれほど台数が出ない。といったところです。
なお、ここではシェルフデスクの定義をシェルフとデスクが分離可能なものに限定しましたが、ウォルビーのようにシェルフ一体型のものもありますし、浜本工芸のライティングデスク「No.90デスク」も見方によってはシェルフデスクと言えるのかもしれません。また、「WDスペシャル 」や「No.32デスク」と比較検討されることもあるでしょう。
なので、このあたりが候補に挙がってくると本当に悩ましいと思います。視野を広くすれば選択肢は意外と多く、一方で「書棚の幅を狭くしてユニットデスクで良いかな?」とか、「やっぱりシンプルにベーシックデスクで良いかー」という風に、方向性が変わってしまうこともあるからです。
悩ましいところですが、一生のうちに何度とあることではないので、じっくりとご検討ください。
コメント 皆様からご質問・ご意見など
初めまして。こんなに良いサイトがあったなんて、感激です。
ご相談はカリモクのボナシェルタのオープンラックとの組み合わせについてです。
リビングでの親子学習用に110センチ幅で二人で座れ、A4サイズが4段分でしっかり収まる奥行きの棚。机の奥行きも深くでき、机上にA4サイズを並べても、作業性が確保できるところ…
私は使い勝手とセンスの良さで、これしかない!って感じです。
でも旦那は値段が高い割に作りが雑と言って却下されました。側板見える形で棚板ネジ止めしているのがだめだそうです。あと、全てがむき出しで雑然として見えるところも嫌だそうで。
確かに上記にある他社さんのほうが、引き出しなどいろいろついているのに値段もこなれてます。
でも他社の類似品は机幅は狭そうだし、棚奥行きも足りない感じだし。
書類を引き出しにしまうのは使いにくいし、足元狭くなるのでいらないし。
ボナシェルタ110のオープンラックセットで旦那を説得するにはどう言ったら良いでしょうか。
あと、もしアウトレットで見つかった場合、更に値引きは可能ですか?
このサイトで新品でも3割引きの書き込みをみると、アウトレットは値引きできないって言われるのってどうかと思うのですが。
っていうか、旦那の感性では、こんなに簡単な作りでこの値段は高過ぎで、アウトレット価格プラス多少の値引きでお得感を出さないと了承してもらえないので。。
よろしくお願いします。
たるとままさま
はじめまして^^
まあ、旦那様がおっしゃることも一理あります。
カリモク家具のボナシェルタは引出しがない割りには高価です。
天板も無垢ではなく突板ですし。
個人的には突板のほうが合理的で良いとは思いますが、コストから考えると価格は高いということです。
棚の側面にネジが丸見えというのは、構造上致し方ないかと思います。
また、展示ディスプレイやカタログで見るとスッキリ見えますが、実際には引出しが少ないため小物の収納に困って雑然としてしまう可能性は高いでしょう。
ボナシェルタはカリモク家具で圧倒的人気の学習机ですので、そもそもアウトレットでセット品が出ることは珍しいと思いますし、更なる値引というのも期待するのは難しそうです。
また、旦那様は決して単に高いからイヤだと言っているようではないと思います。
多少安くなったからと言って納得してもらえるようには思えません。
以上を踏まえまして、私だったら次のように旦那様の説得を試みます。
確かに一般的な学習机のほうが使い勝手は良いです。
特に小学生の間は教科書類は多くありませんからロータイプの棚で十分足ります。
引出しがたくさんあったほうが雑然とすることなく、小物は放り込むだけでスッキリします。
けれどもいかにも普通の学習机をリビングに置いたら、野暮ったく感じてしまいます。
その点、ボナシェルタなら学習机っぽくありません。
直線的なフレームだけなので、リビングのインテリアにダメージを与えるか否かは、たるとままさんとお子さん次第。
雑然としないようにしっかりとした収納計画を旦那さんに示しましょう。
まず、デスク天板と同じ高さの棚の段には、教科書、ノート、ペン立て。
あと、無印良品の「ポリプロピレンケース引出式・横ワイド・薄型」「同・浅型」「同・深型」を組み合わせて、2穴パンチなどちょっと大きめの文房具や実験セットのような副教材を収納します。
これらは使用頻度に応じて、その下の段でも良いでしょう。
一番上の段はディスプレイスペースとします。
最下段には今後、絵の具セットや書道セットなどを収納します。
逆に、一般的な学習机の場合、このように様々なモノを収納するのはちょっと難しいかもしれません。
ボナシェルタのようなシンプルな構造は、片づけが上手な人にとっては融通が利いて使いやすい一方、片づけが苦手な人には逆に自由度が高すぎて何をどのように収納すれば良いのか戸惑いがちです。
たるとままさんの本気度を旦那様にどこまで示せるかが重要であると言えるでしょう。
早速お返事有難うございます。
さすが、的確なアドバイスですね。
旦那さんの見る目も捨てたもんじゃなかったということがわかりました。
現況は、奥行き20の木製のオープンラックの前に幅90木製折りたたみ机を置いて、ボナシェルタのオープンラックセットと似たような状況にしてます。最近A4サイズの塾テキストが増え棚板からはみ出て不安定です。机高と棚板がうまく合わないため、机上も足元の棚もA4二段にはならず、思ったほど収納できません。多分棚も買わなければ解決しないんですよね。
それに、リビングの家具をカリモクのナッツシェルでそろえてるんで、同じカリモクのほうがいいなって思ってます。予算オーバー甚だしいですが。
とりあえず、アドバイスを参考に収納計画立てて旦那さんにプレゼン頑張ってみます。
ありがとうございました(^ ^)
たるとままさま
既にオープンラックを置いて、その前に机を置いているなら、使用感は分かりやすいですし、旦那様もイメージがしやすいですね。
また、リビングの家具はカリモク家具のナッツシェルで統一されているなら、旦那様もその質感の高さも理解されているでしょう。
そうするとおそらくは旦那様的には、同じナッツシェルでもスパイオキッズなどのほうが良いのではとお考えなのではないでしょうか?
スパイオキッズのほうが引出しが多くて合理的であるように思われます。
しかし、たるとままさんの使用イメージをシミュレーションすると、たるとままさん的にはボナシェルタのほうがしっくりくるんだと思います。
これはやっぱり、たるとままさんのプレゼン次第ですね。
旦那様もきっとセンスのある方だと思うので、たるとままさんの頑張り次第で十分伝わるんじゃないでしょうか?^^
旦那は確かにカリモクの中ではスパイオキッズの拡張性に食いついてました。
でもカリモクじゃなきゃとも思っておらず、コイズミのを例にワゴンの昇降があったり、いろいろ組み替えできるようなのがいいと言ってました。
正直、そういう細かい組み替えはしないと思うんですけど^^;
それにしても、旦那さんの言い分も立ててくださり、こちらも言い方とか気をつける参考になりました。
ありがとうございました( ^_^)/
たるとままさま
ひょっとしたら旦那様は私と考え方が似ているのかもしれません。
お恥ずかしながら、私がボナシェルタの良さを理解できるようになったのは本当にこの1~2年のことで、それまでは正直言ってアンチ・ボナシェルタでした。
だって基本的に引出しはないし、突板の割りに高価ですから。
でも一般的な組み替え式デスクと比べると棚とデスクを分割して使っても違和感がないデザインだし、棚の前にデスクを置いたときの奥行も3段階に調節可能なんですよね。
そういうところが最近になってジワジワと良いと思えるようになったのです。
ボナシェルタは高価ではありますが、110cm幅であればあとでワゴンの買い足しも可能です。
ワゴン天板リフティング機構はありませんが、天板の高さと奥行と見た目を揃えられるようなギミックもあります。
そういうところも改めて伝えてもらえると、旦那様にもジワジワ来てもらえるかもしれませんね^^
突板だからたわみにくくていいと思ってましたが、コストはやすいんですか!
なのに値段が高いなんて( ; ; )
うちにあるカリモクのオーディオボードのよく出来た作りとかみると、なんでボナシェルタがこんなに高いのかわかりません。
拡張性という意味ではワゴンが一番正解なんでしょうか。ハンガーラックつけたり、引き出しつけたりも出来ますが、どう思いますか?
わたしはデスクのオプション引き出しは、見た目好きでないんですが。棚のオプションのハンガーラックは良いかもと思います。
たるとままさま
突板は無垢(集成材)に比べると天然木の比率が少なくて済むので当然コストは安いです。
ボナシェルタの場合は、強いて言えば合板がLVL構造であるため若干コストが高くなると言えるかもしれませんが、それよりはユーティリティとの比較で言うとボナシェルタのほうが脚(無垢)が太いことのほうがコストの影響が大きいかもしれません。
ワゴンをセットにしたほうが拡張性は高いと言えるかと思いますが、それはあくまで一般論であって、もしたるとままさんがそれを必要としないのであれば、ただ邪魔なだけだと思います。
一般論としては大人でも引出しはいくらあっても足りないくらいとよく言われますが、ワゴン最下段に収めるファイル類はボナシェルタの棚に収めても良いわけですし、浅~中浅の引出しは無印良品のポリプロピレン収納でも補えないことはありません。
そういった収納方法は片づけ上級者向けで、子供にはちょっと使いにくいかもしれません。
けれども子供は大人よりも適応能力が高いので、問題が生じるまではワゴンなしでトライしてみても良いのではないかと個人的には思います。
ワゴンがないほうが棚の下段にもアプローチしやすいですからね。
私自身の好みで申しますと、私もオプションの引き出しユニットは好きじゃないです。
なんだか取って付けたような感じがどうしても好きになれませんし、費用対効果も悪そうです。
ハンガートレーも個人的には微妙です。
個人的には、洋服や制服は一ヵ所にまとめて収納したいです。
リビングに置いて棚の横にダウンジャケットや制服がモサーッとなってしまう状況をイメージすると、ちょっとイヤです。
棚と洋服では奥行感も全然違いますし。
以上、あくまでも私個人の好みのところが多いですが、ご参考になれば幸いです^^
ハンガートレイの奥行、確かに洋服の肩幅には足りませんよね^^;
さすが鋭いです。実際使い物になりませんね。
ありがとうございました
たるとままさま
私の妻の場合ですと、前の晩に制服などをリビングのソファーに広げて置くので、そういう人にはハンガートレイは便利だと思います。
でも個人的にはちょっと苦手です^^;