2018年度に浜本工芸が「No.28デスク」を発売したとき、私は杉工場の「レグシー」にソックリじゃないかと思いました。そして、2021年度に幅90cmタイプが追加されると、カリモク家具の「ユーティリティプラス」を目指しているのかと思いました。サイズバリエーションが増えただけなのに、不思議なものです。
ところが、2022年度はハイタイプの「No.28書棚A」が登場。そうすると、今度はカリモク家具の「ボナシェルタ」のように見えてきました。いやはや、4年前にはまったく想像だにしなかった展開です。
唯一無二のハイタイプのオープンシェルフを組み合わせることができるボナシェルタを検討されていた方々も、予想外の競合の登場で戸惑ったことでしょう。というわけで今回は、カリモク家具の「ボナシェルタ」と浜本工芸の「No.28デスク」を比較してみたいと思います。
※この記事は2021年10月13日時点の情報に基づいています(2024年7月26日一部更新)
ボナシェルタ vs No.28デスク 比較
カリモク家具・ボナシェルタ
ボナシェルタは2007年発売で、カリモク家具の学習机で不動の人気No.1となっています。デスクの天板にLVL(単板積層材)を使うことで幕板がなくてもたわまない、シンプルなデザインを実現することに成功し、2007年度グッドデザイン賞を受賞しています。
素晴らしいのはシンプルなデザインだけではありません。書棚の前にデスクを置く「コンパクトスタイル(収納スタイル)」では全体の奥行を3段階で使うことができるほか、「L型スタイル」ではデスクの片脚を外すことで書棚の下段が使いやすいよう配慮されています。
なお、2025年度から取扱店限定というかたちでウォールナット突板モデルがカタログに掲載されるようになりました。価格はオーク突板モデルより高価です。なお、後述する価格比較ではオーク突板のみを対象としています。
浜本工芸・No.28デスク
浜本工芸のNo.28デスクは2017年に登場。それまでにも浜本工芸には4本脚のシンプルなデスクはありましたが、No.28デスクはナラではなくオークの無垢を天板に使うことでコストを抑えるとともに、奥行約50cmのコンパクトさが支持されて、気が付けば浜本工芸の人気No.2のポジションにまで育ちました。2021年のハイタイプの書棚Aの登場で、ますます販売台数を伸ばすに違いありません。
No.28書棚Aは上下を分割して使えるというのが最大の特徴。また、デスクとのコンビネーションはボナシェルタのように多機能ではないものの、逆にただ並べるだけでOKというシンプルさが支持を集めているように思います。
価格&スペック比較
デスク
ボナシェルタ | No.28デスク | |
---|---|---|
税込価格 | 80,300~130,350円 | 73,700~78,100円 |
幅(mm) | 700/900/1000/1100/ 1350/1500/1800 |
900/1000/1100 |
奥行(mm) | 450/600 | 505 |
天板材質 | オーク/ウォルナット突板 | オーク無垢 |
天板塗装 | ウレタン | UVウレタン |
カラー | 4色+1色 | 3色 |
デスク本体引出し | 別売 | 2杯付き |
引出し内部材 | (シナ) | 桐 |
コンセント | 付属 | 別売 |
※すべて2024年7月26日現在の税込価格(以下同)
まずはデスク単体の比較から。ボナシェルタは幅が700mmから1800mmまで7サイズ用意されており、奥行も450mmと600mmの2サイズ展開(奥行450mmタイプは幅700~1100mmのみ)。サイズバリエーションが3つしかないNo.28デスクよりも豊富です。
また、ボナシェルタのカラーバリエーションはピュアオーク、モルトブラウン、モカブラウンの3色が基本ながら、奥行600mmの幅900~1100mmのみシアーホワイト色にも対応しています。また、2025年度から店舗限定でウォールナット突板モデルがカタログに掲載されています。対して、No.28デスクはナチュラルオーク、ダークオーク、カフェオークの3色です。
塗装はボナシェルタが木目を残すことで質感を楽しめるセミオープン塗装なのに対し、No.28デスクは紫外線照射により表面を硬化させてキズや汚れに強くしたUV塗装。これは好みが分かれるところだと思います。
ボナシェルタはコンセント付き、No.28デスクはコンセント別売。しかし、ボナシェルタの天板はオークまたはウォールナット突板、引出しは別売にもかかわらず、天板がオーク無垢で引出し2杯付きのNo.28デスクのほうがボナシェルタの奥行450mmタイプよりも安くなっています。
ワゴン
ボナシェルタ | No.28/No.89袖 | |
---|---|---|
税込価格 | 70,400~73,150円 | 67,100~73,700円 |
ワゴン天板 | 着脱式 | 昇降/固定式 |
天板材質 | オーク/ウォルナット突板 | ナラ突板 |
ワゴンについては、ボナシェルタは天板を着脱することでデスク天板と高さを揃えたり、デスク下に収めることができるようになっています。引出しの大きさや見た目の美しさの面でメリットがあると言えるでしょう。
一方、No.28デスクの昇降袖は手軽に天板の高さを変えやすいのがメリットですが、見た目や音が気になるという方もいらっしゃいます。その場合はNo.89移動袖Aを選ぶと良いでしょう。
書棚
ボナシェルタ | No.28書棚A | |
---|---|---|
税込価格 | 139,700~152,900円 | 101,200~105,600円 |
幅(mm) | 948/1048/1148 | 900/1000/1100 |
奥行(mm) | 293 | 245 |
フレーム材質 | オーク | オーク |
棚板材質 | オーク突板/ ウォルナット突板 |
下箱天板:ナラ無垢 棚板:エンボスシート(強化プリント紙) |
段数 | 固定×4段 | 固定×4段、可動×1段 |
ブックエンド | 木製×1、金具×3 | 木製×1 |
ボナシェルタの書棚はデスクに比べて48mm幅が大きくなっています。また、奥行はNo.28書棚Aよりも48mm深いです。広い設置スペースを必要とするものの、カラーボックス用のインナーケースやチェストがほとんどハミ出さない状態で収納できる奥行というのはメリットと言えます。
一方、No.28書棚Aはボナシェルタよりも全高が高く、1段分多く本などを収納できます。また、ボナシェルタのように別売の天板を足さなくとも、最上段の上にモノを乗せることができます。さらに、上下を分離して使うことも可能です。
デスク+書棚2点セット価格比較
ボナシェルタ | No.28デスク+書棚A | ||
---|---|---|---|
奥行45cm | 奥行60cm | ||
幅90cm | 225,500円 | 237,600円 | 174,900円 |
幅100cm | 234,300円 | 247,500円 | 179,300円 |
幅110cm | 244,200円 | 258,500円 | 183,700円 |
それぞれ単品で価格を比較してもあまり意味がないので、それぞれのデスク+書棚の2点セットの価格を見てみましょう。
総じて、No.28のほうがボナシェルタよりも3~4割ほど安くなる計算です。2024年度は両社とも値上げしましたが、カリモク家具のほうが値上げ幅が大きかったこともあって価格差が拡大した格好です。2025年度はこの比較において変更はありません。
デスク天板の材質や引出しのことを考えるとNo.28のほうが圧倒的にコスパが良いと言えます。一方で、奥行3段階調節可能である点やコンセント付きなどの機能面、デザイン面で、ボナシェルタという選択もあるでしょう。
デスク+ワゴン+書棚3点セット価格比較
ボナシェルタ | No.28デスク+書棚A +No.28昇降袖AまたはB |
||
---|---|---|---|
奥行45cm | 奥行60cm | ||
幅100cm | 304,700円※1 | 319,550円※2 | 253,000円 |
幅110cm | 314,600円※3 | 331,650円※4 | 257,400円 |
※1…ワゴンST005Hをセットした場合、椅子はXT0901でもかなりギリギリ ※2…スリムワゴンST0054とのセット ※3…ワゴンST005Hをセットした場合 ※4…ワゴンST0057をセットした場合
デスク+ワゴン+書棚の3点セットで比較すると、No.28はボナシェルタよりも2割近く安いと言えます。2022年度までなら1割ほどの違いで済みましたが、これだけ価格差が広がると数字以上に負担が大きく感じるでしょうね。
この場合に重要なのは、ワゴン天板の構造の違いや、デザイン面でしょう。好みの分かれるところだと思います。
以上の通り、ボナシェルタとNo.28デスクを比較してみました。コスパという点では、天板が無垢で引出しが最初から2杯付いているNo.28デスクのほうが圧倒的に優れていると思います。書棚も1段分高く、組み替えもシンプルで、書棚を上下分割して使えるという点でもメリットがあるでしょう。
一方で、ボナシェルタはNo.28デスクよりも特にワゴンの見た目がシンプルで美しく、組み替えはやや複雑ではありますが非常に良くできた構造だと思います。配線カバー、ブックスタンド、プリンタワゴン、サイドラックなど、オプションパーツが豊富なところも魅力のひとつと言えるでしょう。
これら2つで悩む場合は、カリモク家具の「ユーティリティプラス」や浜本工芸の「No.32デスク」、コイズミファニテックの「WDスペシャル」も選択肢に上がるかもしれません。そうなってくると、ますます悩ましいですね。
コメント 皆様からご質問・ご意見など
浜本工芸のNo.28デスク、コスパが素晴らしいですね。ナラ無垢ではないですが、天板はオーク無垢ですし、コンパクトながら今回追加された書棚で収納力も補える。
前回、実物を見た時はワゴンが少々入れ辛く、書棚だけだと収納力不足かなと感じておりましたが、今回の2段書棚であれば十分に感じますね。
ワゴンの顔板のデザインを合わせられないのは残念ですが、No.89ワゴンだと天板が合わないのと材質違いなんですね…
また色々と情報を収納マンさんから仕入れさせて数年後の購入目安とさせていただきます!
座木さま
はじめまして^^
幅110cmタイプはともかく、No.28デスクは脚が真っ直ぐなので、ワゴンの出し入れは微妙にしにくいと感じることがあるかもしれませんね。
もっとも、そういう声もあることを踏まえて、No.09デスクなど様々なモデルを用意しているのでしょう。
数年後にはまた状況が変わっているかもしれませんが、そのときまで情報収集していただけると幸いです^^