子供部屋に置く家具を選ぶときは、親と子の気持ちが交錯します。親としてはシッカリ勉強に集中できる環境を作ってあげたい。また、収納スペースも心配などと考える一方で、子供はお姫様のような部屋だったり、ゲーミングデスクが欲しいと言ったりするものです。
そんな中、ミドルベッドもしくはロフトベッドとデスクと収納家具がセットになったものは、親と子の両方のニーズにマッチしやすい商品と言えます。親としては限られたスペースに収まるうえに、トータルコーディネートで悩むことがなく、お買い得感もあります。子供も秘密基地みたいで心躍ることでしょう。
実際、ニトリでもシステムベッドデスク「デニッシュ」が学習家具売上ランキング上位の常連となっています。テレビCMの効果なのか、売れているからテレビCMで推しているのか分かりませんが、とにかく今は「くみあわせデスク」よりもデニッシュが売れているのです。
しかしながら、これまで多くの子供部屋を見てきた私の経験から申し上げると、ニトリに限らずシステムベッドデスクを買って後悔される方がとても多いです。今回はその理由を順を追って説明したいと思います。
※この記事は2024年2月17日時点の情報に基づいています（2025年12月21日一部更新）
ニトリ／システムベッドデスク・デニッシュ
ニトリのシステムベッドデスク「デニッシュ01 ミドルタイプ」（2026年度モデル）は、ミドルベッド、デスク、チェスト、本棚の4点に加え、デスクライトがセットになった商品です。学習机の平均購入価格が7万円台と言われる中、これだけ揃って期間限定で税込価格94,990円というのは魅力的に思えるのでしょう。
なお、デニッシュ01にはミドルタイプのほかにハイタイプやマットレス付きもありますが、ここではミドルベッドについて話を進めます。
デニッシュ25は2026年度モデルの「デニッシュ01」にリニューアルしました。価格は通常税込89,990円から期間限定でも同94,990円へ少なくとも5千円アップ。一方で、デザインが大幅に変わるとともに、デスクが上棚付きに、デスクライトが調色機能付きになるなど、バージョンアップしている点もあります。
デニッシュ01の構成
| アイテム | サイズ(mm) | 税込価格 | 参考（2025年度型） |
|---|---|---|---|
| ミドルベッド | 2032×1080×1307※1 | 53,300円 | 52,300円 |
| デスク | 不明 | 16,000円 | 14,000円 |
| チェスト | 不明 | 10,700円 | 10,700円 |
| 本棚 | 不明 | 5,990円 | 5,990円 |
| デスクライト | – | 9,000円 | 7,000円 |
| 合計 | 94,990円 | 89,990円 | |
システムベッドデスク「デニッシュ01 ミドルタイプ」を構成しているアイテムそれぞれの価格は概ね以上の通りと考えられます。2025年度モデルのデニッシュ25はアウトレットでパーツ毎の価格が出ていましたが、デニッシュ01については今のところアウトレットでの出品がないため、デニッシュ25の価格を基に推定しています。
デニッシュはセットでお買い得になっていると勘違いする方が多いと思いますが、上表をご覧いただければ分かる通り、例えば2千円程度で買える本棚（カラーボックス）が5千円程度になるなど、実はボッタクリ価格です。引出しが2杯付いたカラーボックス（チェスト）についても然り。デスクライトもこのくらいの値段を出せば、今はもっと良いものが買えます。
なお、2026年モデルの本棚は2025年度モデルよりも幅がコンパクトになっているので価格据え置きと推定しています。それにしても、サイズや通常価格を表示しない商品を売るなんて、ニトリは随分といい加減な商売をするようになったものですね。
収納マンが提案する組み合わせ
| アイテム | サイズ(mm) | 税込価格 |
|---|---|---|
| シングルベッド | 2020×1020×360 | 19,990円 |
| スタンダードデスクDL03S | 1000×550×730 | 59,990円 |
| デスクライト | – | デスク付属 |
| フィッツプラスEZY | 550×410×850 | 10,990円 |
| 連結できるNカラボ | 419×298×878 | 1,990円 |
| 合計 | 92,960円 | |
同じ9万円強を投資するなら、私は上表のような組み合わせを考えます。ベッドは普通にシングルベッドで。ベッドは他にも選択肢がありますが、これならベッドの下に押入用の引出式衣装ケースを収めることもできるので、収納スペースを確保しやすいです。
また、木製のチェストラックではなく、フィッツプラスのほうが引出しがスムーズに開閉できて良いと思います。4段タイプなら天板の上にランドセルを置くこともできるでしょう。
デスクについては例えばメルシー01P単品でも良かったのですが、敢えて合計がデニッシュ01と同じくらいになるようにチョイスしてみました。同じ予算でももっとクオリティーや収納量が優れたデスクが買えるわけです。
デスクライトや本棚は、コイズミファニテックのデスクライトやもっと大きな本棚も検討しました。しかし、今回は敢えてニトリで買えるものでセレクトしています。今回の記事はニトリの商品をディスるのが目的ではなく、同じニトリで買うにしても他にもっと良い方法があるということをお伝えしたいからです。
4畳半でも無理なく置ける
それはさておき、「部屋が狭いからシステムベッドデスクを買おうと思ったのに、収納マンの提案する家具の組み合わせでレイアウトが可能なのか？」と思われる方もいらっしゃることでしょう。
しかし、大丈夫です。上の間取り図の通り、4畳半の部屋でもまったく問題なく置くことができます。部屋の真ん中のスペースも十分です。むしろ圧迫感がなく、広々して見えると思います。
デニッシュ01を選ぶデメリット
- ベッドの位置を動かせない
- 高校生になっても使えるか疑問
- 布団の上げ下ろしやシーツの交換が大変
- 掃除がしにくい
- 収納はあるが意外と少ない
- デスクがショボすぎる
私の提案でも問題なく4畳半の部屋に収まることを確認したうえで、デニッシュ01を選ぶデメリットを説明したいと思います。
ベッドの位置を動かせない
まず、デニッシュ01に限らずミドルベッドやロフトベッド全般に於いて、ベッドを置ける場所が限られます。先ほどの間取り図では、本当にここにしか置けないのです。
「窓を塞ぐかたちでも置けるじゃないか」と思われるかもしれませんが、冬場の冷気や結露の心配もあるので、あまり良い方法とは言えないですよね。最初からこの間取りと分かっていれば、デニッシュではなくショートタイプのシングルベッドを買うことでレイアウトの自由度を高めることもできると思います。
高校生になっても使えるか疑問
また、今は大喜びのお子さんも、中学生、高校生と、成長していきます。高校生になったお子さんがハシゴを上って頭をぶつけないように身を屈めながら寝床に入る姿を想像してみてください。ちょっと厳しいと思います。
もちろん、デニッシュ01は長い脚を外して一般的な高さのシングルベッドとして使うこともできます。「それなら高校生になっても使えるよね！」という話だったと思いますが、その時には今よりも収納スペースに事欠くようになっているはずです。その点でも問題ないというなら、「最初から普通にシングルベッドを置いたほうが良かったんじゃない？」という話になりかねません。
布団の上げ下ろしやシーツの交換が大変
我が家も二段ベッドを使っていたので、布団の上げ下ろしやシーツの交換は面倒臭かったです。私は面倒臭いというレベルで済みますが、背が低い妻は大変だったと思います。力もないので、マットレスの扱いも雑になりがちでした。
毎日のことではなくとも、1～2週間に1度くらいは布団を干したりシーツを交換すると思います。なので、覚悟しておいたほうが良いでしょう。
掃除がしにくい
デニッシュ01の場合、手前側にチェストラックとカラーボックス、デスクなどがあるので、その後ろ側の掃除がしにくいです。布団の周りにはホコリが集まりやすいため、できるだけ掃除は小まめにしたいけれども面倒臭いというジレンマが生じます。
収納はあるが意外と少ない
デニッシュ01には上写真のチェストと本棚が付いています。それがミドルベッドの下に収まるのですから、スペース効率が良いと思われるかもしれません。
しかし、お子さんが成長しても十分な収納量を確保できていると言えるでしょうか。いくらミニマリストでも、小さな引出し2杯と3段カラーボックスでは足りません。結局、ほかの場所にも収納が分散することになり、使いにくい＝片づけにくい＝散らかりやすい状態ができ上がってしまうだけです。
デスクがショボすぎる
何より私が残念だと思うのはデスクです。デニッシュ01のデスクはキャスター付きで移動することもできて便利かもしれません。しかし、これでは消しゴムでゴシゴシやる度に揺れますよね。
だいたい、この組立式の引出し2杯付きのデスクが14,900円って高すぎると思いませんか？冷静になって考えましょう。同じ値段を出すなら、ほぼ同サイズで引出し2杯と扉収納付きの「コンパクトデスクES23」を買ったほうが良いと思います。
デニッシュ01を選ぶメリット
- 子供が喜ぶ
一方で、デニッシュ01を選ぶメリットも述べなければフェアじゃないでしょう。
ミドルベッドやロフトベッドなら、お子さんが喜んでくれると思います。これまで一人では寝られなかったお子さんでも、率先して自分のベッドで寝るようになるかもしれません。また、自分の部屋で勉強をするという習慣が身につく可能性もあると思います。
子供が喜ぶというのはすごく大切なことです。反対に、合理的な大人のエゴを一方的に押し付けるのはよろしくありません。ですから、「デニッシュ01じゃなきゃヤダー！」と駄々をこねる子供を目の前にしたら、私も何も言えなくなります。
しかしながら、デニッシュ01を選ぶメリットは本当にこの1点しかないんです。コスパは悪い、レイアウトは難しい、収納量は足りない、長い目で見て耐久性もデザイン性も期待できない…。圧倒的にデメリットのほうが多いのです。
というわけで、デニッシュ01などのミドルベッドやロフトベッドを選ぶことは、のちのち後悔したり、多くの悩みを抱えることになります。なので、ぶっちゃけやめておいたほうが良いです。これは多くの子供部屋で後悔の念を聞いてきた私の経験から断言できることです。
ちなみに、念のため申し上げますと、これはニトリだからダメという話ではありません。コイズミでもイトーキでも同じことです。
子供部屋のレイアウトに困ったら私がいつでも相談に乗ります。くれぐれもミドルベッドやロフトベッドに期待するのはおやめください。
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