学習机の購入に際して書棚もセットで検討される方は少なくないと思います。学習机は収納力が魅力とは言え、少し先のことなども見据えると収納量が十分ではないからです。
とりあえずカラーボックスで済ますという選択肢もあるでしょうけど、使い勝手や見た目のことも考えると必ずしも最善の策とは言えません。途中で買い替えることになるなら、最初から大学受験まで使えるものを買ったほうが無駄がなくて良いと思われる方もいらっしゃることでしょう。
というわけで今回は、リビング学習から受験勉強まで使える書棚の選び方を説明したうえで、オススメの書棚を紹介したいと思います。
※この記事は2023年6月14日時点の情報に基づいています
買い替えで設置スペースを確保
リビングダイニング学習に備えて書棚の購入の検討をする際、設置場所が決まっていないということは少なくないです。「今ある家具を寄せればスペースを確保できそう…」という場合もあろうかと思いますが、”買い足し”ではなく”買い替え”も検討していただきたいところです。
なぜ買い足しではなく買い替えなのか。まずはそこから説明して参りましょう。
背の高い書棚がオススメ
私がこれまで収納の相談を受けたお宅では、腰高の収納家具が占める割合が高い傾向がありました。背の高い家具を置くと地震で倒れて来るかもしれないという不安や、とりあえず買った安価なカラーボックスをそのまま使っているだけということもあるものの、もっとも多い理由は「背が高い家具を置くと圧迫感が出る」という先入観に基づくものです。
しかし、圧迫感を与えるのは家具の高さだけではありません。床がどれくらい見えているかということも重要なポイントなのです。
なので、下町を再開発して庭園に囲まれた高層ビルを建てるように、背の低い家具から背の高い家具に買い替えましょう。子供の手が届かない上段のほうも大人なら使いこなすことができますし、むしろ子供の手が届かないことがメリットになることもあるはずです。
白い壁面ならホワイト系がオススメ
それでも背の高い家具を置くと圧迫感が出ると思われる方もいらっしゃると思います。また、家具は同系色に統一するのがセオリーだと妄信している方が多いのも現実です。
一般的な住宅に多い白っぽい壁紙なら、背の高い家具もホワイト系にすることで圧迫感を感じさせなくすることができます。家具を同系色で揃えることは確かにセオリーのひとつですが、それはあくまで”見せたい家具”の話。存在感を消したい場合は忍者のように壁に同化させるようにしましょう。
扉付きよりオープンラックがオススメ
収納家具は扉付きよりも扉のないオープンラックのほうが圧迫感を抑えることができます。扉付きのほうが中身が見えないのでスッキリ見える半面、視認可能な空間が扉までになってしまうので、圧迫感を強くしてしまうのです。
オープンラックは圧迫感を抑えることができるだけでなく、家族全員が何がどこにあるのかが把握しやすいうえに、子供でも出し入れしやすいのがメリットです。出し入れしやすいということはつまり、片づけやすく、散らかりにくい体制を作るのに役立ちます。
ちなみに、扉は開閉するのにスペースが必要です。扉なしならそのスペースが必要ないため、狭い空間でも無理なく出し入れしやすいというメリットもあります。
ディスプレイスペースを設けて圧迫感軽減
圧迫感を抑えやすいオープンラックも、モノを目いっぱい詰め込むと、扉付きの収納家具と同様に圧迫感が強くなりかねません。できれば真ん中の段はディスプレイスペースにして、奥の壁の一部が見える状態にしてください。そうすることで奥行感を演出することができます。
側板がないほうが圧迫感が少ない
側板がパネル状ではなくラダー状などのほうが圧迫感を軽減しやすいです。ただし、本を立て掛ける際は側板があったほうが使い勝手が良い場合もあります。
側板がないオープンラックに本を立てて収納したい場合は、ブックエンドよりも「ファイルボックス」を活用するのがオススメです。ブックエンドは並べた本の中に埋まりやすいうえに、ハードカバーではない本を支えるには十分な高さがないからです。
奥行35~40cm程度がオススメ
オープンラックは奥行35~40cm程度のものがオススメです。
教科書など本だけを収納するなら奥行25~30cm程度で十分ですし、そのほうが圧迫感が少ないというメリットもあります。しかし、奥行35~40cm程度あればランドセルや書道セットなど幅広い学用品を収納するにも便利なうえ、きょうだいのオモチャなども一緒に収納できます。
また、奥行が大きければ大きいほど安定感が増すというメリットもあります。
転倒対策はもちろん大切
私としては背の高いオープンラックを置いたほうが十分な収納力を確保でき、かつリビングダイニングを広々と使うことができると考えるわけですが、そうは言っても地震など有事のことを考えると不安とおっしゃる方もいらっしゃることでしょう。
もちろん、収納家具の転倒防止策は必須です。個人的には北川工業の「スーパータックフィット」がオススメですが、家具転倒防止L字金具、つっぱり式の家具転倒防止ポールなどを使うのも良いと思います。
また、家具が倒れてきても問題ない位置に設置することや、重心が低くなるように収納するモノの配置を検討することも重要です。
幅は80cm以下がオススメ
リビングダイニング学習に最適なオープンラックは高さ180cmを超えるような背の高いものがオススメであることはご理解いただけたかと思います。では、幅はどれくらいが適切でしょうか。
一般的に日本の住宅は半間(約90cm)モジュールとなっていることが多いです。これは木造の一軒家だけでなくRC造のマンションでも同様です。そのため、壁面の幅も約90cm単位が多いわけですが、それよりも大きい壁面はどうしても限られるという現実があります。
そのため、建具の枠の出っ張りなども考慮すると、幅80cm以下のオープンラックなら置ける場所の自由度が高いと言えます。また、幅45~60cm程度であればさらに置ける場所の選択肢が広がるとともに、棚板1段あたりの耐荷重にも不安がなくなるというメリットもあります。
なお、どれくらいの収納量(大きさ)が望ましいかについては全体の兼ね合いがありますので、ここでは敢えて言及しません。
棚板は可動式を選びましょう
一般的に棚板は固定されているほうが耐荷重が大きく、また固定式のほうが棚板の間隔が揃っていて見た目が美しいというメリットもあります。
一方で、棚板は可動式のほうが収納するモノの大きさに合わせて効率良く収めることができます。子供が使うということを第一に考えると、耐荷重の問題はクリアしたうえで、見た目よりも使い勝手を重視して可動式を選んでいただきたいところです。
おすすめ書棚6選
以上を踏まえまして、どんなオープンラックや書棚を選べば良いのでしょうか。代表的なものを6本ピックアップしましたので紹介したいと思います(順不同)。
ニトリ/Nポルダ ディープ
ニトリの「Nポルダ ディープ」なら天井つっぱり式なので転倒防止策についてあれこれ悩む必要がありません。フレームがスチール製で丈夫なうえ、棚板の高さを約11cmピッチで調節することもできます。ホワイト系だけでなくブラック系を選べるのもメリットと言えるでしょう。
一方で、奥行約30cmのNポルダは幅のサイズバリエーションがありますが、ディープは幅約90cmの1サイズのみ。棚板1枚あたりの耐荷重が10kgしかないというのもちょっと心許ないところかもしれません。
無印良品/スチールユニットシェルフ
その点、無印良品の「スチールユニットシェルフ」ならサイズバリエーションが豊富です。また、別売となりますが、転倒防止補助フックや天井つっぱりパーツも用意されています。その他にもオプションパーツが豊富で、リビングダイニングで使わなくなっても他の場所で転用しやすいというところもメリットと言えるでしょう。
なお、より高級感のある「ステンレスユニットシェルフ」を選ぶのも良いと思います。こちらは幅1cm単位でサイズオーダーすることも可能です。
無印良品/パイン材ユニットシェルフ
木質系のオープンラックをご希望の場合は無印良品の「パイン材ユニットシェルフ」がオススメです。こちらもサイズバリエーションが豊富で、棚板の高さを調節することができます。
同様のものとしてIKEA(イケア)の「IVAR(イーヴァル)」というのもありますが、イーヴァルはあまりオススメできないです。その理由は無塗装のためホコリや汚れが付きやすいからです。自分で塗装することもできますけど結構大変です。
ドウシシャ/ルミナス ノワール
ドウシシャの「ルミナス ノワール」は棚板1枚あたり耐荷重が80kgと頑丈なので、重いモノを乗せても不安がありません。また、オプションパーツが豊富で、ワイヤーシェルフだけでなくソリッドシェルフや棚板シートを組み合わせることもできます。
ホワイト系をご希望の場合は「ルミナス ラテ」や「エリソンラック」といった選択肢もあります。
大洋/エースラック
ここまでは側板もオープンなものを紹介しましたが、あくまで本の収納がメインなら大洋の「エースラック」もしくは様々なオーダーが可能な「カラーラック」を選ぶのも良いでしょう。
エースラックおよびカラーラックはフルオープン構造で固定棚の位置さえも自由に決めることができます。また、カラーラックは幅1cm単位でオーダーできるほか、奥行や高さのバリエーションも豊富。12色から選べるうえに、棚板耐荷重最大30kgのタフ棚仕様も用意されています。
小島工芸/アコード
よりシッカリとした書棚をご希望の場合は小島工芸の「アコード」はいかがでしょうか。学習机市場ではもはや存在感を示せていない小島工芸ですが、書棚はコスパが良いこともあってベストセラーであり続けています。
アコードは4色展開で、幅は45cmから120cmまで5cm刻みで用意されています。耐荷重の記載はないものの、愛書家から絶大な支持を受けていることからも分かる通りとてもシッカリしています。
以上の通り、リビング学習から受験勉強まで使える書棚の選び方を説明したうえで、オススメの書棚を紹介しました。設置可能なスペース、収めたいモノ、インテリアのテイストなどによって選ぶべきものは自ずと変わってくるかと思いますが、今回の記事を参考にしてもらえば大きく失敗することはないでしょう。
使い勝手とインテリア性というのは基本的に相反するものです。リビングダイニングに置くとなればどうしてもそのバランスを取るのが難しく感じられると思います。お子さんが使うことを第一に考えてもらえると、片づけやすく散らかりにくい体制を作ることができて、親子ともにストレスが少ないと思います。
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