近年は学習机に含まれるホルムアルデヒドやシックハウス症候群について心配する人は以前より減りました。そのため学習机メーカーもその点について広報する機会が減り、カタログにも簡単にだけ記載する傾向となっています。
そもそもホルムアルデヒドやシックハウス症候群とは何なのか?なぜそれを心配する人が減り、メーカーも積極的に広報しなくなったのか?今回はそういったことについて簡単にまとめたいと思います。
ホルムアルデヒドとは
ホルムアルデヒドとは、接着剤、塗料、防腐剤などに含まれる成分で、人体へは濃度によって粘膜への刺激性を中心とした急性毒性がある。いわゆる「シックハウス症候群」の原因物質のうちの一つとして知られる。
※Wikipediaより引用・編集
現在、日本の家具業界では一般的に、JIS・JAS規格のF☆☆、F☆☆☆、F☆☆☆☆ランクの、合板、パーティクルボード、MDF、接着剤、塗料が使用されています。F☆☆☆☆がもっともホルムアルデヒド発散量が少ないグレードです。
ただし、ホルムアルデヒドの発散量は一定条件下での測定値であるため、実際の使用環境ではF☆☆☆☆であっても高温下で発散しやすく、また閉め切った狭い空間ではホルムアルデヒドが充満する可能性があります。もちろん条件を同一にすればF☆☆☆☆が優れていることは明らかで、その格付けが意味をなさないというわけではありません。
なお、家具から刺激臭がすることが即ちホルムアルデヒドが発散されていると思われることが多いですが、必ずしもそうではありません。木や紙(プリント化粧紙)そのものの臭いである可能性もあります。
シックハウス症候群とは
新築の住居などで起こる、倦怠感・めまい・頭痛・湿疹・のどの痛み・呼吸器疾患などの症状があらわれる体調不良の呼び名。新品の自動車でも同様の症状が報告されている。化学物質だけではなく、カビや微生物による空気汚染も原因となりうる。
原因物質を減らすためには、充分な換気や建築材料等の制限が必要である。カビや微生物による空気汚染が原因となることも考えられるため、これらの発生防止や除去等も必要である。また、日常生活で使われる殺虫剤や香料等が原因となる場合もあり、注意が必要である。
※Wikipediaより引用・編集
ホルムアルデヒド=シックハウス症候群、ではない
以上のことから分かる通り、ホルムアルデヒドがすべてのシックハウス症候群の原因ではありません。ホルムアルデヒドはシックハウス症候群の原因の一つに過ぎないのです。実際、納品した学習机(国産品、F☆☆☆☆)から刺激臭がするということでホルムアルデヒドの発散量を測定したところ主たる原因は住宅そのものにあった、というようなことは以前は割りとよく聞く話でした。
リフォーム屋と言ったら悪質リフォーム会社ではないかと疑われた時代があったように、以前はホルムアルデヒドやシックハウス症候群に関する知識が普及していなかったがために過剰反応が起きていたと言えるところがあります。その状況がある程度是正された結果、現在は消費者が比較的安心できる状態となり、メーカーも積極的に広報する必要がなくなったということではないかと私は考えています。
ただし、個人差はあります。シビアな部分を含みますのであまり無責任なことは言えませんが、心配な方はやはり国産のF☆☆☆☆仕様の学習机を購入することが望ましいと言えるでしょう。ただ、それでもホルムアルデヒドはゼロにはなりません。理論上、無塗装で防腐剤を使わない国産材を宮大工が接着剤不使用で机を作れば可能ですが、それでも住宅や日用品から化学物質をゼロにしない限りほとんど意味はないと私は思います。むしろ無塗装とすることで机が機能的に使用できなくなったり、費用が掛かりすぎるという点で、合理性を欠くだけだと思います。
学習机メーカー各社のホルムアルデヒド対策の現状
メーカー&販売店 | ホルムアルデヒド放散量 |
---|---|
カリモク家具 | F☆☆☆☆ |
浜本工芸 | |
飛騨産業 | |
堀田木工所 | |
杉工場 | |
小島工芸 | F☆☆☆☆(国内で生産する製品)※一部海外生産 |
アクタス | F☆☆☆☆ほぼ100% |
ケユカ | F☆☆☆~F☆☆☆☆相当(製造はコイズミファニテック、中国製) |
オカムラ(岡村製作所) | F☆☆☆ |
大商産業(金次郎デスク) | MDF材:F☆☆、塗料:F☆☆☆☆ |
コイズミファニテック | WHO(世界保健機構)の基準値である0.08ppm以下 |
イトーキ | ホルムアルデヒドの放散量を抑制した材料を使用 |
くろがね工作所 | |
ヒカリサンデスク(光製作所) | カタログ上に記載なし |
ニトリ | |
イオン |
2015年度カタログ掲載内容などを基に、学習机メーカー各社およびオリジナル商品を扱う販売店それぞれのホルムアルデヒド対策について上表にまとめてみました。なお、コイズミファニテックが採用している「WHO(世界保健機構)の基準」とは、材料や塗料などそれぞれ個別に見るのではなくそれらを組み合わせた最終製品が室内空間にどの程度のホルムアルデヒドが発散するかということを示したものと理解してもらえれば良いと思います。
「家具の臭いがキツイ!すわ、ホルムアルデヒドに違いない!」といった感じのレビューはあちこちで見られます。しかしながら、ほとんどは合板などの臭いだと思われます。
それでも疑われる場合は、室内の温度を下げつつ換気。ホルムアルデヒド吸着シートなどを試してみるのも良いでしょう。
また、学習机の購入前でしたら、合板や塗料がF☆☆☆☆ランクであることを明示している国産メーカーの商品を選ぶのが無難です。
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