学習机は天然木を使ったものが人気です。また、一昔前なら天然木と言えば何でもOKだった感じですが、近年は消費者の目が肥え、ナラやオーク、ウォールナットなど、硬くて木目の美しいものが好まれる傾向がより強くなっています。
私としては天然木に魅了される方が多いことは素晴らしいことだと思っています。一方で、天然木について色々と誤解されている方もいらっしゃるのも事実です。
期待して購入した天然木の学習机が失敗だったということにならないように、事前にチェックしていただきたいポイントをまとめたいと思います。
※2024年5月8日更新
天然木には等級がある
「オーク材だから良い」と思ってらっしゃる方がいますが、オーク材と一言で言ってもピンキリです。たとえば浜本工芸のオーク材は木目が美しいだけでなく、乾燥工程をシッカリしているため反りや割れが起こりにくく、さらに何度も繰り返し塗装を施しています。逆に、価格が安いものはおよそ国産家具メーカーなら絶対に天板などに使わないような低品質なものを、乾燥も塗装もできるだけ時間と手間を掛けずに仕上げます。
牛肉でも100gあたり200円のものもあれば、1000円を超えるのものもありますよね。また、料理の仕方次第で美味しくも不味くもなります。同じオーク材と言っても、浜本工芸はいわば高級レストラン、価格が安いものはそれなりの店という風にご理解いただくと良いでしょう。
天然木だから木目が違って当然
とは言え、浜本工芸やカリモク家具、飛騨産業のように、等級の高い木材を使っていても、展示品と同じ木目のものが届くわけではありません。天然木ですから、ひとつとして同じ木目のものは存在しないのです。言わば、それは個性です。
…という風にご理解いただければ良いのですが、残念ながら分かっていただけないこともしばしばあります。やれ、木目が人の目のように見えるとか、キズをパテで埋めたように見えるとか、色が違って見えるとか、不良品だ、ちゃんと検品していないとか、まあ色々です。
ぶっちゃけ、家具販売店も客商売ですから、お客さんがゴネまくったら交換に応じることもあります。しかしながら、私としてはそんな方は天然木の家具を買うべきではないと思います。もしくは、オークのように木目の違いが出やすい樹種ではなく、ビーチ(ブナ)など木目が薄いものを選ぶのが良いでしょう。
切り出し方によって木目は異なる
ナラやオークなど木目のシッカリした樹種は、同じ1本の木でも切り出し方によって木目が異なります。以下、その主な表情の違いを紹介しましょう。
板目(いため)
板目はいかにも年輪らしい模様です。もっとも個性が出やすい切り出し方です。元来、どんな木でも変わった木目ほど重宝される傾向があり、玄人好みの木目と言えます。
柾目(まさめ)
柾目は木目が並行に走った感じの模様です。個性の違いは出にくいと言えます。木によっても異なりますが、柾目のほうが確保するのが難しく、木目の密度が高いため板目よりも硬いと考える向きもあります。
節(ふし)
点と言って良いほどのものから5cm以上の大きなものまで様々ですが、節と呼ばれるものが含まれる場合があります。一般的には避ける傾向があるものの、近年は節入りを好む消費者も増えています。飛騨産業の「morinokotoba (もりのことば)」やコイズミファニテックの「ブロスト」などは節をデザインとして積極的に取り入れたモデルと言うことができます。
虎斑(とらふ)
特にナラやオークの場合、木目に対して垂直または斜めに筋が入っているものを斑(ふ)または虎斑(とらふ)と呼びます。本来は貴重で重宝されるものなのですが、キズを修復したように見えたり、浮き上がって見える場合があるため、受け入れがたく捉えられることもしばしばあるようです。
上写真の下側のように細かいものが連続して入ることもあれば、もっと大きなものが入ることもあります。
腐れ(クサレ)
特に人気の高いナラやオークの場合、価格を抑えるために程度のあまり良くないものが使われることがあります。その場合、腐れ(クサレ)というあまり良くない状態のものがしばしば混入されます。クサレは黒ずんだ部分のことで、墨汁をこぼした跡のように見えます。塗装色が濃いものであればほとんど目立つことはないのですが、明るい色の場合には目立つことがあります。
以上、木目について一通り紹介しました。天然木は本物の木だからこそ温かみがあって良いわけで、天然のものだからこそ必ず木目がひとつひとつ違います。だから木目の違いは個性なのです。
個人的には、天然木の都合の良い部分だけを見るのではなく、様々な個性があることを理解したうえで、すべて受け入れていただければと思います。また、受け入れがたい可能性を感じるならば、展示現品を購入するか、木目の少ない木を使ったものを選ぶようにしてください。
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