一般的に、学習机の天板でもっともグレードが低い材質は、MDF(中質繊維板/中密度繊維板)です。MDFとは木材を繊維状にして固めたもののことで、学習机だけでなく家具全般で広く使われている素材のひとつです。
もっとも、グレードが低いと言ってもそれは材料コストの話であって、実用性ではまったく問題ありません。また、近年は印刷技術が向上したおかげで、MDFに直接木目を印刷できるようになりました。何も知らない人であればパッと見た目には本物の木のように見えるかもしれません。
MDF(中質繊維板)は安くて丈夫なエコ素材
MDFは良くないどころか、むしろ優等生と言えます。一般的にMDFはラワンやパイン(松)や杉などといった安価で入手しやすい木材が原料に使われ、繊維状にすることでその程度の良し悪しを選びません。そのため安価に作ることができる上、自然にやさしいエコ素材と言うことができます。しかも、人工的に作られるものなので、かなり丈夫に作ることが可能です。強度で言えば無垢板(集成材)や突板の天板に負けることはありません。
一方、いくら印刷技術が向上したとは言え、残念ながら本物の木と並べてみれば多くの人が違いに気づくはずです。突板の場合は縁の部分などに無垢板を組み合わせることである程度丸みを持たせることができますが、MDFの場合はそれができないのでデザインが直線的になるなどといった制約もあります。もっとも、下写真のニトリ「フォート」のように直線的なデザインを採用すれば何ら問題ないとも言えます。
ついでにパーティクルボードについても説明
家具用材としてMDFよりもポピュラーと言えるがパーティクルボードです。パーティクルボードは木材を砕いてチップ状にしたものを接着剤で固めたもの。原料となる木材は主に解体廃材。MDFとパーティクルボードの違いを端的に言うと、密度の違いです。かたや繊維、かたやチップですから、パーティクルボードのほうが密度が低く、安価と言えます。
パーティクルボードはフラッシュ合板(中空構造の合板)の芯材として使われることが一般的です。安価なので芯材として使い勝手が良いのですね。
天然木の学習机にもMDFやパーティクルボードは使われている
天然木の無垢板の学習机を買ったらMDFやパーティクルボードのような安っぽい素材とは無縁だと思われる方もいるかもしれませんが、無垢板の学習机であってもMDFやパーティクルボードはたいてい使われています。逆に言うと総無垢の学習机というのはほとんど存在しないと思います。
MDFやパーティクルボードは特に袖ワゴンや引出しの周縁部に使用されます。そのため、いくら自然塗装で無垢の学習机を買っても、塗装以外では一般的な低ホルムアルデヒドの学習机と同等のホルムアルデヒドを含んでいると言えます。MDFにもパーティクルボードにも接着剤が含まれていますし、無垢板を作るのに木材をハギ合わせるのにも接着剤は必要です。それらを組み立てて学習机に仕上げるにも接着剤は必要。なので、自然塗装の学習机は木材の手触りを楽しめるというメリットはありますが、健康対策としてはほとんど意味がないと私は考えています。
ちょっと話の方向性が変わってしまいましたが、MDFやパーティクルボードは学習机にとってとても重要な素材ということです。また、軟らかいパイン材よりもMDFのほうがキズが付きにくくて良いと個人的には思っています。
ただ、総じて高級材で作られた学習机は作りも丁寧で、逆もまた然りです。天板がMDFだからダメと一概に言うことはできないものの、高級かそうでないかの目安くらいにはなるでしょう。
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