近年は様々なモノに対する消費者のニーズが多様化していると言われています。学習机についても同様で、オールインワンモデルよりも自由に組み合わせを選べるセレクトタイプに人気がシフトしつつあります。
しかしながら、小ロット生産を得意とする国産家具メーカーはともかく、海外で大量生産することでスケールメリットを生む大手学習机メーカーにとっては、セレクトタイプは悩ましいところです。消費者が必要なものだけをチョイスすることで単価が下がりがちなうえに、生産や在庫の管理が難しくなるからです。大量生産でなければコストを下げることもできず、国産家具メーカーと同じ土俵で勝負する必要にも迫られます。
そんな中、コイズミファニテックの「ビーノ」は難しい問題をうまくコントロールしながらロングセラーとなったデスクと言えます。そのノウハウを活かして書斎デスクの「ワイズ」、リビング学習向けでビーノよりも低価格の「ルトラ」を投入。2020年度にはよりリビング学習を意識した「ファリス」を投入しました。
これら4モデルはデスクの幅やワゴンや書棚のタイプが選べるセレクトタイプですが、単純に色やデザインが異なるだけではありません。いったいどんな違いがあるのか、改めて比較してみたいと思います。
※価格および仕様はすべて2023/12/10現在のものに修正済み
今回比較するデスク
ビーノ
ルトラ
ワイズ
ファリス
カラーバリエーションの比較
ライト系 | ミディアム系 | ダーク系 | |
---|---|---|---|
ビーノ | MO | NS | WT |
ルトラ | WW NO | – | BG DW |
ワイズ | MW | – | BW |
ファリス | MO | – | WO |
まずは色の違いから見てみましょう。実際のところ、機能云々よりも色やデザインで決めることが多いと思います。
ルトラ、ワイズ、ファリスはいずれも2色展開となっており、ライト系(明るめの色)とダーク系(暗めの色)が用意されています。ビーノは2021年度からMO色が追加され、3色展開となりました。いずれにせよ、男女どちらでもOKで、どんなインテリアにも合わせやすいと言えます。
価格の比較
105デスク | ワゴン | |
---|---|---|
ビーノ | 66,000円 | 45,100円 |
ルトラ | 52,800円 | 39,600円 |
ワイズ | 59,400円 | 44,000円 |
ファリス | 60,500円 | – |
※いずれもカタログ記載の税別価格
次に価格の違いを比較してみたいと思います。105cm幅のデスクで比較すると、価格の安いほうから順に、ルトラ<ワイズ<ファリス<ビーノとなります。また、ファリスにはキャスター付きのワゴンがないので比較できませんが、ワゴンもルトラがもっとも安いと言えます。
材質の比較
デスク天板 | 引出し内部材 | |
---|---|---|
ビーノ | ナラ突板 | 桐 |
ルトラ | メラミン合板 | 桐 |
ワイズ | メラミン合板 | 樹脂フィルム貼り |
ファリス | ナラ突板 | 桐 |
では、価格の違いはどこから生じてくるのでしょうか。ひとつの要素として材質の違いが挙げられます。ビーノとファリスはデスク天板にナラ突板を使っており高級と言えます。また、ルトラとワイズの天板はメラミン合板で、ナラ突板に比べるとコストが安いです。また、ワイズの引出し内部材はパーティクルボードに樹脂フィルムを貼ったもので、こちらもコストが安いと言えます。
なお、ここまでの比較だとルトラよりワイズのほうが価格が高いのは不思議に思えます。ワイズは引出し前板にメープルまたはウォルナットの突板を使っている、コードトレーや引出し前板にアルミパーツを使っているなどコストアップの要素がありますが、それよりも大きく影響を及ぼしているのは価格戦略だと私は考えます。もともと書斎机として売り出されたワイズは学習机に比べると小ロットであることや、この価格なら書斎デスク売場で十分に戦えると判断したことが影響しているのだと思います。
デスク本体引出しの数の比較
90 | 105 | 120 | |
---|---|---|---|
ビーノ | 2 | 2 | 2 |
ルトラ | 1 | 2 | 2 |
ワイズ | 2 | 2 | 2 |
ファリス | 0 | 0 | 0 |
あと、デスク本体の価格に影響を及ぼしているのは引出しの数です。ファリスはビーノよりもデスク本体の価格が安いですが、引出しは付いていません。引出しはコストの掛かるパーツなので、この違いは大きいです。
デスク天板奥行の比較
奥行 | |
---|---|
ビーノ | 600mm |
ルトラ | 550mm |
ワイズ | 550mm |
ファリス | 480mm |
ビーノ、ルトラ、ワイズ、ファリスは、デスクの幅のバリエーションこそ同じですが、奥行はそれぞれで異なります。もっとも奥行が深いのはビーノの600mm、次はルトラとワイズの550mm、もっとも浅いのはファリスの480mmです。
広々と勉強させたいならビーノ、リビングダイニングに置くならファリス、間を取ってルトラかワイズという感じと言えましょう。ちなみに、島忠ホームズやファニチャードームにはビーノの奥行500mmモデルがあります。
ラインナップの比較
袖 | 上棚 | 書棚 | |
---|---|---|---|
ビーノ | 4 | 3 | 4 |
ルトラ | 2 | 1 | 2 |
ワイズ | 2 | 2 | 3 |
ファリス | 2 | 1 | 1 |
※ビーノとルトラのチェストシェルフは書棚としてカウントしています
それぞれのラインナップの違いについても見てみましょう。ラインナップがもっとも豊富なのはビーノで、特に袖(ワゴンおよびサイドチェスト)の選択肢が多いのが魅力です。
ほかはワイズに書棚が多いくらいで、あとは似たり寄ったりというところでしょうか。
以上の通り、ビーノ、ルトラ、ワイズ、ファリスは、幅バリエーションが3サイズで2~3色展開のセレクトタイプという点では類似性があるものの、 価格、材質、引出しの数、奥行、ラインナップなど様々な点で微妙に違いがあります。一概にどれが良いと言えるものではなく、消費者がぞれぞれのニーズに合わせてチョイスできるように配慮された絶妙な商品展開と言えるでしょう。
それを踏まえたうえでそれぞれのシリーズについて寸評を述べると、まずビーノはコイズミファニテックのセレクトタイプのデスクのロングセラーとなっているだけあって、非常に魅力的な商品だと思います。特に他の3シリーズにはないリフティングワゴンがあるのが良いですね。
また、ともすれば割高になりがちなセレクトタイプですが、ルトラなら予算内に収まるという方もいらっしゃるでしょう。ちょっとレトロな雰囲気もインテリア的にナイスだと思います。
一方のワイズは書斎デスクとして発売されただけあって、大人っぽい雰囲気があります。特に中高生になってから机を買うという場合には良い選択肢だと思います。
最後発のファリスはデスク本体に引出しがないことなどを考えると割高感は否めません。しかしながら、奥行480mmとコンパクトなのでリビングダイニングに収まりやすく、親子または兄弟で一緒に勉強をするというシチュエーションには最適な機能性を持たせています。これがヒットすれば面白いですねー。
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