学習机を含め、家具は大きな買い物です。金額云々よりも文字通りサイズが大きいので、購入するにあたっては失敗したくないという気持ちが強いのは当然でしょう。
特に学習机の場合は、近年はリビング学習という言葉が一般化し、購入しないお宅もあると言われがちで、躊躇する方もいらっしゃると思います。「学習机を買って後悔した」なんて話を聞けばなおさらです。
では実際に、学習机を買ってどんなことで後悔しているのでしょうか。「訳あり物件買取プロ」というサイトを運営している株式会社AlbaLinkによる、小学生以上のお子さんがいる親御さん258人を対象とした「学習机の購入で後悔したことに関する意識調査」を見てみたいと思います。
※この記事は2024年10月9日時点の情報に基づいています
学習机の購入で後悔したことランキング
【後悔1位】大きすぎた
今回の調査で学習机の購入で後悔したことの1位は「大きすぎた」ということでした。こちらでご相談いただく方の中にも「子供部屋には他に家具はないので140~150cm幅のデスクを希望」などとおっしゃる方がいるのですが、書棚やベッドなどが増えるにつれ手狭になりがちです。また、部屋の大きさだけでなく、窓、ドア、クローゼット、スイッチプレートの位置などによって、家具を置くことができる場所が制限されるので、「あと10cm小さければ…」と後悔することもあります。
ともあれ、学習机が「大きすぎた」と後悔しているのは258人中40人。つまり約16%に過ぎません。学習机を購入したこと自体を後悔しているわけではないことにも注意が必要です。
以下、具体的な意見を拝聴したうえで、私なりの解決策も提示しておきたいと思います。
ケース1-1
部屋に対して机が大きすぎた
机が小さかった場合はワゴンや書棚で天板面を拡張することも可能ですが、大きかった場合は縮めることができません。しかしながら、受験期を見据えれば天板が広いほうが良いでしょう。書棚やベッドをコンパクトにする、身の回りのモノを厳選するなどして対処しましょう。
ケース1-2
思っていたよりサイズが大きくて、少し邪魔に感じました
こういうことが起きるのはほとんどの場合、部屋の広さを正確に測っていないことが原因です。椅子の引き代も含め、設置スペースを事前にシミュレーションしておきましょう。
また、立体的なイメージも必須です。高さがあれば家族が回遊するスペースも狭く感じられます。最近はARでシミュレーションできる商品もあるので、購入を予定していない商品でもどんどん試してみましょう。
ケース1-3
ベッドと一体型の学習机にしたら、場所をとって部屋が狭くなりました
デスク付きのベッドは省スペースに見えますが、実際はそうはなりません。基本的にはお子さんが喜ぶだけと思ってください。この場合は残念ながら買い替え以外に解決策がありません。
【後悔2位】あまり使っていない
学習机の購入で後悔したことの2位は「あまり使っていない」ということ。これはありがちですよねー。実際、我が家でも上の子はいつも学習机に向かっていましたが、下の子はその日の気分で勉強する場所をあちこち変えていました。もっとも、その子も今は高校2年生。大学受験を控え、机に向かわない日はありません。
ケース2-1
親の意見を優先してしまったので、子どもがあまり学習机で勉強しないことです
事情がよく分からないのですが、果たして「親の意見を優先」したことと、「子どもがあまり学習机で勉強しない」ことに因果関係があるのでしょうか。よほど親子関係が悪くない限り、そこまでお子さんが抵抗の意思を示すとは思えません。むしろ、親子の関係が良好で、お母さんがいる傍で勉強するのが心地良いのではないかと私は思います。
ケース2-2
小学生になるタイミングで机を買ったが、結局リビングで宿題をするので今のところまったく使用していない。小学3年生くらいで買ってもよかったかなと思う
これはあるあるですね。おっしゃる通り、小学3年生くらいで買っても良かったのかもしれません。一方で、昨今の値上がりなどを踏まえると、早めに買っておいて良かったと言える部分もあるのではないでしょうか。
ケース2-3
子どもが二人ともリビングで勉強するので、学習机をまったく使わない
これもよく聞く話です。一方で、きょうだい喧嘩が絶えず、距離をあける必要が生じるケースもあります。きょうだいがいらっしゃる場合は特に、状況を見て購入を判断するのが良いでしょう。
【後悔3位】シンプルなデザインにすればよかった
3番目に多かったのは「シンプルなデザインにすればよかった」という後悔。ただ、これは大人の視点が多数を占めると思われます。シンプルなデザインにすれば収納が少なくなったり、使いにくなったり、椅子に離着席しにくくなる場合もあります。そのため、一概にデザインに偏るのも考えものです。
ケース3-1
よくある学習机を購入したのですが、シンプルなデスクのほうがよかったのかもしれないと感じました。収納があればあるだけ詰め込んでしまいますし、大学生となった今では使いづらく、持て余しています
これは単に不要なモノを溜め込んでしまっているだけではないかと思います。使いにくいところがあるとすれば、上棚によって机上面が狭められている、ワゴンがあるせいで足元が狭いなどでしょう。いっそ上棚とワゴンを外してしまったら良いのではないでしょうか。
ケース3-2
本人の希望を無視してもっとシンプルなデザインにして、大きくなっても長く使えるようにすればよかったなと後悔しました
逆に言うと、お子さんの好みのデザインの学習机を選んだ結果、成長してから好みが変わって使わなくなったということでしょうか。であれば、お子さんの希望を優先してあげたのに、親としては残念でしょう。
しかしながら、使わなくなったのはお子さんの好みの変化が原因だけではないかもしれません。また、お子さんの希望を無視して選べば、最初からお子さんが使わなかった可能性もあります。親御さんが自分を責めることはないと思いますよ。
ケース3-3
キャラクターの机を選んだのですが、高学年になったら飽きてました
今から20年以上前、2000年頃でも学習机はキャラクター付きのパネルが乗せてあるだけでした。つまり、取り外してしまうことができます。一方で、数年前までデスク全体が赤と白のキティちゃんデスクなどもあったので、そういうものを選んだということなのかもしれません。
現在ではキャラクター付きの学習机はコイズミファニテックのCDシリーズくらいです。もちろん、ポケモンのフォトスタンドは取り外し可能です。よって、この点は今となっては気にする必要はないでしょう。
【後悔4位】収納が使いにくい・足りない
学習机の購入で後悔したことの4位は「収納が使いにくい・足りない」。収納力を期待して買ったなら無念ですよね。
しかも、今回の調査では3位の「シンプルなデザインにすればよかった」とはたった2人の差。デザイン性と使い勝手は相反することが多く、これから学習机を買わんとする方にとっても悩ましいところでしょう。
ケース4-1
物を散らかしやすい子なので、収まりきらない物が多く、机の上に物が散乱して学習机の役目を果たせず、単なる荷物置き場になってしまった。もっと収納できるタイプにすればよかった
本当にもっと収納できる学習机を購入すれば良かったのでしょうか。子供に限らずモノを散乱してしまいがちな人は、モノをポンッと置いておける場所を確保するのが得策です。書棚の中段はフリースペースにしたり、L型デスクのようにローシェルフを配置するのもオススメです。逆に、収納量を増やしても死蔵スペースにしてしまうだけの可能性があります。
ケース4-2
机に引き出しが付いていないタイプを購入してしまいました。子どもに「とても不便だ」と言われています
収納でもっとも厄介なのは小物です。そして、小物を片づけやすいのは引出しです。お子さんの意見はごもっともだと思います。
ですが、対処の方法はあります。スチール製でも良いのでワゴンを買い足しましょう。書棚を設置して100均のプラ箱を引出しの代わりに使うという方法もありますが、ちょっと工夫が必要なうえ、机に座った状態では手が届きにくくなりがちです。
ケース4-3
引き出しの使い勝手が悪かった。文房具や本などがピッタリはまらないサイズだった
私は常々、「学習机は引出しが命」と申しております。耐久性を見極めるという点でも大事ですが、何をどれくらい収めるかという視点も重要です。
引出し2段目がちょっと深めになっているワゴンなら、2穴パンチや実験セットのような大きめのモノでも収めやすいです。また、引出し最下段の引出しがファイルボックスを収められるサイズなら、一式をそのまま出し入れすることができるうえ、少し大きめのA4ファイルでも収納できます。
【後悔5位】小さすぎた
後悔したポイントの1位は大きすぎたことですが、5位は逆に「小さすぎた」ことが挙げられています。ただ、大きかった場合と異なり、小さかった場合は拡張が可能です。見た目はあまりスッキリしないかもしれませんが、後悔する必要はないでしょう。
ケース5-1
子ども部屋が狭いのでコンパクトなサイズの机を選んだが、高学年になってきて、本などを広げるのに少し狭くなってきた
幅90cmのデスクでも、スリムワゴンを手前に置いてL型デスクのように使うことで、作業スペースを確保することができます。
また、狭い部屋でも意外とお子さんの背中側にスペースのゆとりがあったりします。そこにキャスター付きのローシェルフを置いて、資料を広げるスペースとして活用するのも方法です。
ケース5-2
「どうせ大きくなったら使わなくなり、物置きみたいになりそうなので、大きくなくてもいい」と考えていたが、高学年になっても使っているので、もっと大きいのを買えばよかった
高学年ということはまだ小学生ですよね。それなら、買い替えるのもひとつの方法だと思います。実際、様々な理由で机を買い替えるというお宅は少なくありません。もちろん、ワゴンやローシェルフで天板面を拡張するというのも方法のひとつです。
ケース5-3
もっと大きいほうがよかった。子どもが「PCを置くと少し狭い」と言う
デスクトップパソコンはもちろん、ノートパソコンでもそう感じることはあるでしょうね。デスクトップパソコンなら横にパソコンラックを置くというのも方法です。「ルミナスラック」などを設置して、中段にパソコンを置き、上段は収納スペースとして活用するというのも良いでしょう。ルミナスラックならハーフシェルフにパソコン本体を置くといった拡張も可能です。
学習机を選ぶ際に重視したことランキング
今回の調査では、学習机の購入で後悔したこと以外のランキングも公表されています。「学習机を選ぶ際に重視したこと」のランキングは上図の通り。「デザイン・色」を重視した方がもっとも多く、「価格」、「サイズ」がそれに続きます。
にもかかわらず、後悔したことの上位5つにデザインやサイズに関することが多いのは、一言で言うと「目論見を誤った」ということでしょうか。いや、そうではないと思います。
サイズで後悔した方は大小合わせて67人。サイズを重視した63人とほぼ同数ですが、だからこそ両者は別人と考えることができます。回答者258人に対し、いずれも1/4程度に過ぎないからです(=重複しているとは考えにくい)。やはり後悔しないようにするためには、じっくりと検討することが大切でしょう。
学習机を選ぶ際に参考にした情報源ランキング
「学習机を選ぶ際に参考にした情報源」のランキングでは、「口コミ」がもっとも多いという結果になりました。これにはSNSを含むインターネットでの情報収集も含まれるとのことですが、4位に「インターネット」、5位に「SNS」が上がっているのはどういうことでしょうか。おそらく、一般ユーザーのレビューと企業アカウントによる情報発信という違いと考えられます。
口コミに続いたのが、2位の「店頭展示・スタッフの説明」。やはり分からないことはプロに直接聞いたほうが早いですし、セール情報の収集にも役立ちます。何より、家具は絶対に実物を見たうえで購入したほうが良いです。
ショールーミングだと舌打ちをする販売員も未だにいますが、そんなのは気にする必要はありません。お店に来てもらい、地元で購入するメリットを伝えきれない家具店は、遅かれ早かれ潰れます。
学習机の購入先ランキング
「学習机の購入先」のランキングでは「家具店」という回答が圧倒的1位となりました。個人的にはうれしいのですが、一方で「これはいつの話?」と戸惑ったのも正直なところです。
回答者の属性は40代が41.5%、50代以上が16.7%と、合わせて全体の6割近くを占めており、お子さんが既に大学生と回答されている方もいらっしゃいます。つまり、学習机を購入したのは10年以上前という方も少なくないはずです。
一方で、特にコロナ禍以降(2020年~)、ネットショップで学習机を買う方が増えています。こちらで実施中のアンケートでも、まだ回答は少ないですが、リアル店舗での購入は約4割に過ぎず、ネットショップでの購入が約6割と逆転しています。2018年度に実施したアンケートとは大きく異なる変化です。
というわけで、今回は株式会社AlbaLinkによる「学習机の購入で後悔したことに関する意識調査」結果を紹介するとともに、私なりの解釈や提案をさせていただきました。
「学習机の購入で後悔したこと」というタイトルに私も最初はドキッとしました。しかしながら、内容を見ると、決して学習机を購入したこと自体を後悔しているわけではなさそうです。また、後悔したポイントはいずれも最大で15%程度にとどまっており、特に後悔がなかった方も少なくないと考えられます。
お子さんが学習机を使ってくれるかどうかというのは親でも予測困難ですが、サイズ、デザイン、収納については、じっくりと検討を重ねることで失敗を回避できると思います。ぜひ当ブログを参考にして、最適な学習机を選んでください。
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