老舗の家具販売店で学習机を購入すると、デスクマットとデスクカーペット、文房具セットなどがもらえるというキャンペーンは今も珍しくありません。
しかしながら、これについて私はかなり以前から違和感を覚えていました。デスクマットはあったほうが良いし、文房具は消耗品ですからお絵描きにでも使えば良いです。一方で、オマケでもらえるデスクカーペットはペラペラの安物であることが少なくない上に、使わないことも多くなっているからです。
そこで今回は、デスクカーペットが必要な状況とそうでない状況について、改めてまとめてみたいと思います。
デスクカーペットが必要な状況
畳の上に学習机を設置する場合
ドラえもんに登場するのび太君の部屋がそうであったように、昭和の時代は和室に学習机を置くのが一般的であったと思います。そのため、畳が傷まないようにデスクカーペットを敷くというのはスタンダードなことでした。
現在でもLDKに面した和室に学習机を置くというのは割りと一般的なことで、その場合は畳の上にデスクカーペットを敷くというのは最適な方法と言えます。なお、デスクカーペットを畳の上に敷く場合は厚手のものや裏地がシッカリとしたものを選んでください。薄手や柔らかいものだと、波打ったり、端がめくれ上がることが多くなります。
畳の上にデスクカーペットではなくチェアマットという方法もあります。ただし、その場合はポリカーボネート製の硬いものを敷くのが良いでしょう。塩ビやクッションフロアのように軟らかいものでは簡単に波打ったりめくれ上がったりします。弱粘着の滑り止めシートを使っても役に立ちません。
キャスター付きの椅子を使う場合
木製学習椅子は子供が座るとキャスターが引っ込んで安定する構造になっていることが一般的です。そのため、座った状態で椅子を引いてしまうと、フローリングを傷つけてしまうことがあります。
学習用回転チェアのキャスターも耐久性の高いナイロン製のものが多いため、フローリングに押しキズをつけてしまいがちです。ですから、フローリングの上で学習椅子を使用する場合はデスクカーペットを敷いたほうが無難と言えます。
デスクカーペットが不要な状況
4本脚チェア等を使用する場合
4本脚チェアは脚の裏にフェルトを貼るなどすることでフローリングの上でスムーズに移動させることができます。カリモク家具の「クレシェ」など、スキー脚の椅子も同様です。
なので、フローリングの上に何も敷きたくない場合は4本脚やスキー脚の椅子を選びましょう。学習用ではありませんが、ウレタン製キャスターの回転チェアもカーペットを敷かなくてもフローリングを傷める心配は少ないです。
デスクカーペットを敷くメリット&デメリット
以上の通り、デスクカーペットが必要な状況もあればそうでないこともあるわけですが、どちらでも良いということもあると思います。
たとえば、学習用では皆無ですがウレタンキャスターの回転チェアならカーペットは敷かなくても問題ありません。逆に、4本脚やスキー脚のチェア、バランスチェアにフェルトを貼らない場合はカーペットを敷いたほうが良いでしょう。つまり、椅子主体ではなく、先にカーペットの必要性を検討したうえで椅子の在り方を考えるというケースも考えられるわけですね。
そこで、デスクカーペットを敷くメリットとデメリットについてもまとめてみました。
- 床にキズや汚れが付くのを防ぐことができる
- 音が響くのを防いでくれることも
- 冬の寒さを和らげることができる
まずはメリットから。デスクカーペットを敷くことで、椅子だけでなくモノを落とした場合も床にキズや汚れが付くのを防ぐことができます。ワゴンも学習用はナイロンキャスターが多いので、その点でも安心して使えると言えるでしょう。
また、床にモノを落としたり、椅子を倒したりすると、特に階下に響く可能性があります。デスクカーペットを敷くことで少なからずその心配を減らすことが可能です。集合住宅の場合はデスクカーペットを敷いたほうが余計な気を遣わなくて済むかもしれません。
一方で、一戸建ての場合は音よりも冬の寒さを和らげることができることのほうがメリットを実感しやすいと思います。カーペットを敷いて足元が暖かくなれば、勉強に集中しやすいと思います。
- フローリングに比べると掃除に手間が掛かる
- 波打ちやめくれ上がりが気になることも
- 家具を並べにくかったり見た目が気になることも
- コストが掛かる
反対にデメリットもあります。デスクカーペットは髪の毛やホコリが絡まり付きやすく、フローリングに比べて掃除に手間が掛かりがちです。掃除機だけでは不十分で、コロコロを使ったりする必要もあるでしょう。
波打ったり、ズレたり、めくれ上がるのが気になる可能性もあります。見た目の問題だけで済めば良いですが、つまづいて転倒することがないように気をつけたいところです。
デスクカーペットがデスクより少しハミ出すことで、真横に家具を並べにくいと感じることもあるかもしれません。また、その状況やデスクカーペットのデザインで、特にリビングダイニングでは見た目が気になるということもあります。
最後に、コストが掛かるということ。購入店でもらえたなら新たなコストは発生しませんが、別に買うとなると負担を感じることもあるでしょう。なので、できれば敷きたくないという考えは当然あると思います。
どんなカーペットを選べば良い?
では、デスクカーペットを敷く場合はどんなものを選べば良いでしょうか。学習机の下に敷くカーペットの素材は耐摩耗性に優れているナイロンが一般的です。コイズミファニテックやイトーキのデスクカーペットも基本的にナイロン製です。
カットパイル、ループパイルのどちらでも構いません。ただ、ループパイルで毛足が長いものの場合は、引っかけて糸が出てきてしまうことがあります。なので、個人的には学習机メーカーのデスクカーペット同様のカットパイルのほうが無難だと思います。
ちなみに、「ウールのデスクカーペットを敷くのが良い」と主張しておられるサイトを見つけましたが、私はウール製のデスクカーペットなんて見たことがありません(苦笑)大手学習机メーカーの方に聞いてみても、一様に首を傾げるばかりでした。
チェアマットという選択肢も
チェアマットという選択肢もあります。ただ、これは一概に良し悪しを言うのが難しいところです。塩ビのものだと波打ったりフローリングに貼り付いてしまうことがあります。また、硬質系のポリカーボネート製だとキャスターが転がりすぎたりズレやすかったりすることも少なくありません。
そんなわけで、個人的には2024年度発売のコイズミファニテックのチェアマットにちょっと期待しているのですが、こればかりはしばらく使ってみないことには何とも言えないです。ちなみに、アキレスのチェアマットは昔から定評があります。ただし高価です。
サイズにも注意
学習用のデスクカーペットは1100×1300mmというサイズが一般的です。これは学習机が元々100cm幅と110cm幅の2サイズから選べることが多かったからだと考えられます。
しかし、110cm幅の学習机は今となっては一般的とは言えません。100cm幅が標準となっているうえに、90cm幅、95cm幅、105cm幅などもあります。さらに、上写真のようにWDスペシャルをL型カウンタースタイルにすると、デスクとシェルフはデスクカーペットの上に収まるものの、椅子を引くには十分とは言えない奥行になってしまいます。
イトーキのデスクカーペットなら1300×1400mmなので、L型カウンタースタイルで設置しても椅子を引くのに十分なゆとりがあります。しかしながら、大は小を兼ねるというわけではなくて、デスクカーペットが大きすぎると、セパレートスタイル(デスクとシェルフを横並びにしたとき)にシェルフがデスクカーペットを跨ぐかたちになって不安定です。
つまるところ、カーペットを敷く必要はあるけれども学習机用のものではサイズが合わないと感じる場面が増えているのではないかと思います。
ちなみに、コイズミファニテックも2019年度までは1300×1400mmサイズのデスクカーペットを販売していました。一方で、現在のコイズミファニテックの学習椅子のラインナップには4本脚やウレタン製キャスターのチェアはありませんから、相変わらずデスクカーペットは必要と言える状況だけれども、サイズが合わない場合は市販品を買ってもらうのもやむなしという状況なのでしょう。
すべてのユーザーのニーズに応えるのは無理なのですから、メーカーとしてはそれでまったく問題ないと思います。現在はタイルカーペットや吸着式チェアマットなど他の選択肢もたくさんあるので、消費者としては自宅に最適なものを選ぶようにしたいものです。
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