オカムラの学習机と言えば天板昇降式デスクの「ピエルナ」。そう思っていた人がオカムラの学習机を探すと、戸惑ったことでしょう。ピエルナどころか、オカムラは2021年度を最後に学習机カタログを発行していないからです。店頭でもオカムラの学習机はほぼ見当たりません。
イトーキも2019年度を最後に学習机カタログを発行しなくなり、基本的にオンライン販売に移行しました。オカムラもイトーキと同じスタイルになったのでしょうか。そのあたりをもう少し詳しく説明したいと思います。
※2023/10/24更新
オカムラ(旧・岡村製作所)とは
オカムラは横浜市西区に本社を置くオフィス家具メーカー大手。イトーキの年商(約1,233億円)の2倍以上の規模(約2,770億円)を誇ります。2018年4月1日に社名を株式会社岡村製作所から株式会社オカムラに変更しました。
オフィス家具メーカー最大手のコクヨが約20年前に学習机市場から撤退したことを考えると、今のオカムラの学習机市場シェアではなかなか採算の合わない事業だと思います。それでもこれまで頑なに撤退しなかったのは、やはり学習机に対する思い入れが強いからこそでしょう。
しかしながら、2021年7月に価格を改定したものの、2022年度は学習机カタログを発行せず、2022年度までは直営オンラインショップで学習家具関連は在庫限りの様相でした。業界では一時、学習机市場からの撤退がウワサされたものの、オンラインショップでは一部商品の販売を継続しています。
オカムラの学習机ラインナップ
天板昇降式デスクのピエルナシリーズの人気に陰りが出て以来、オカムラは奥行方向に拡張できるデスクや、幅方向に拡張できる「アルコ」(廃番)、リビング学習を意識した「リュブレ」などを投入しましたが、残念ながらヒットには繋がっていません。
現在は学習机というよりはホームデスクというスタンスを強めつつ、以下の3アイテムを学習机として販売しています。
オカムラ公式ショップ限定!クオーレ
現在、オカムラでもっとも人気となっているのは、当初よりオカムラ公式ショップ限定販売となっている「クオーレ」です。
上写真の3点セットで税込52,800円という価格ですから、同程度の材質ならもっと安いデスクはあると思います。しかしながら、オカムラのアフターフォローはシッカリしていますから、その安心感で買い求める人が少なくないのでしょう。
クオーレは天然木風&ミニマムな上棚とワゴンがセットという組み合わせ。これならランドセルの置き場所も確保できますし、リビングダイニングに置いても圧迫感が少ないと思います。
テレワークにも最適!リュブレ
「リュブレ」は学習机と言うよりも、テレワークやリビング学習向けの奥行コンパクトなデスクです。天板にホワイトオーク突板を使っており、リビングダイニングに置いても違和感のない質感とシンプルなデザインが好評となっています。
80cm幅のデスク単品で4万円強からというのはちょっと割高感がありますけど、意外と競合する商品がないんですよねー。
国産シンプルデスク!ファルテ2
もともと学習机は海外で大量生産して売り切るというビジネスモデルでリスクがあります。その点、「ファルテ2」 は国産なので小ロットでも問題ないから生き残っていると言えます。
ファルテ2はコンパクトな奥行50cmの書斎デスクという感じで、大人でもまったく問題なく使えると思います。
オカムラの学習机の品質
ピエルナが発売されて以降のオカムラの学習机は価格の割りに材質も品質も良くないので、正直言って私はあまり好きになれませんでした。主材の多くがMDF合板で、引出しは白く塗られた品質の悪い桐。スライドレールは他社と比較しても粗悪で、開閉もままならないからです。
しかし、ピエルナが消えた頃になって私にもオカムラの学習机の良さが分かってきました。基本的にオカムラの学習机は天才肌で、材質などどうでも良いのです。他社にはないシャープな切り口で斬新な学習スタイルを作り出すことがオカムラにとっては重要なのだと思います。
近年こそ天然木のデスクや国産のフォルテ2を投入するなど品質に目を向け始めたオカムラですが、相変わらず引出内部材やスライドレールの品質が悪いことを踏まえると、木工家具メーカーとは視点が違うということでしょう。
ちなみに、オカムラの品質はお世辞にも良いとは言えませんけど、カスタマー対応の手際の良さはピカイチです。そこは安心してお買い求めいただけるポイントだと思います(ただし、キッチリしているのは良し悪しで、融通は利かないようです)。
基本的にオカムラの学習机は他社と比較するとどれも引出しの品質が低く、コスパも悪いと感じるところがあります。しかしながら、品質や見た目よりも独創的な方法で道具としての使いやすさを追求するオカムラの姿勢は個人的には大好きです。
デスクライトでもブルーライトを軽減するなど、オカムラには独自の視点があります。現在では天板昇降式デスクの人気がなくなり、コスパの悪さが敬遠されて、オカムラの学習机を見る機会が少なくなりましたが、これからも頑張って欲しいメーカーのひとつです。
コメント 皆様からご質問・ご意見など
息子も娘もオカムラの学習机を購入し、今度は孫の学習机を購入したいので、カタログが欲しいです。webではなく冊子で家族で検討したいのですが、無理なら展示されているところをお知らせ願いたいです。
平井さま
はじめまして^^
お子様方がオカムラの机をお使いで、お孫さんにも是非にとお考えとは、素敵なお話ですねー!
ただ、残念ながらオカムラは2021年度を最後に学習机のカタログは発行していません。
公式には撤退は公表されていませんが、家具販売店ではほぼ終了したという受け止め方になっています。
現在は東京インテリア家具など一部店舗で「K-model 2(かげやまデスク2)」の展示現品が見られるものの、オカムラのコーポレートサイトでは既に消えている状態です。
一方で、最近になって「クオーレ」の在庫が復活しました。
ひょっとすると、イトーキのようにオンラインショップだけでの生き残りを模索する方向かもしれません。
平井さんのお子さんが学習机を購入されたのはおそらく20年以上前だと思いますが、当時と現在では市場の状況がかなり変わってきています。
大手のうち、コクヨは撤退、チトセや奥本木工所、マルニ木工、コスガは倒産、イトーキは基本的にオンライン販売のみ、残ったコイズミとて楽に戦える状態ではありません。
一方で、当時は材質と色で選ぶ感じだったと思いますが、現在はそうではなくデザインやスタイルで選ぶ時代になっています。
オカムラにこだわってしまうと現物の確認が難しく、おまけに選択肢がほぼない状態となりますので、お子様ともよく相談されてご判断いただくのがよろしいかと思います。
※勝手ながらお名前を修正させていただきました