学習机メーカーのひとつとして「くろがね」のブランドをご存知という方は多いと思います。しかし、具体的にどんな机を扱っているかというとピンと来ない人が多いのではないでしょうか。一昔前ならカラーデスク中心というイメージが強かったですが、近年はカラーデスクの人気が少なくなってきて、くろがね工作所も天然木を使ったデスクを増やしているからです。
また、東京インテリア家具にはくろがね工作所の学習机がたくさん並んでいる一方で、大きな家具販売店でもくろがね工作所の学習机は扱っていないということがあります。ニトリでもくろがね工作所の学習机は扱われているのですが、敢えてブランドを伏せているものもあります。
そんなわけで、消費者にとって少し実態が掴みにくいくろがね工作所の学習机の特徴をまとめてみました。
くろがね工作所とは
くろがね工作所は大阪市西区に本社を置くオフィス家具メーカーです。年商が2,000億円を超えるオカムラや、同じく1,000億円を超えるイトーキに比べると規模は小さく、直近の年商は約110億円に過ぎません。しかし、オカムラやイトーキの場合は学習机の占める割合が極々僅かですが、くろがね工作所は学習机の売上が推定で3割程度も占めます。
くろがね工作所はオカムラに比べると年商が1/20にも満たないわけですが、学習家具に限れば言えば3倍ほどのシェアを握る一大ブランドと言えるのです。よって、コクヨやイトーキのように学習机市場から撤退するという選択肢はあり得ません。
ちなみに、「くろがねは昔、3輪トラックを作っていた」と言われることがありますけど、それは「東急くろがね工業」(現在は日産自動車傘下で日産工機)のことで、くろがね工作所とはまったく関係ありません(オカムラは昔、ミカサという自動車を作っていましたが)。また、ホームセンターの「DCMくろがねや」とも関係はありません。
くろがね工作所の学習机ラインナップ
男子に人気!クールボーイ
くろがね工作所はコンポーネントデスクと呼ぶ組み替え式デスクが主力です。他社でも組み替え式デスクは扱われていますが、くろがね工作所は本棚下台の一部の向きを変えられる「かわるんラック」が大きな特徴となっています。
くろがね工作所では何だかんだ言っても天然木デスクよりカラーデスクの売上比率が高く、男子には圧倒的に「クールボーイ」が人気です。例年、シーズン終了前に完売してしまいます。
2020年度モデルはワゴン天板が昇降式でなくなってしまった点が微妙ですが、代わりに上棚がタブレット対応になりました。
女子に人気!キュートガール
女子にはホワイト姫系の「キュートガール」が人気です。上棚ハイタイプのほか、上棚ロータイプがあり、いずれもパープルとピンクの2色展開です。
2019年度までの天板ホワイトモデルはなくなってしまいましたが、コイズミファニテックがデコプリを廃番にしたということもあって、さらに人気を集めるのではないでしょうか。
くろがねの本気「ザ・デスク」
くろがね工作所は天然木デスクではなかなかヒットが出ないのですが、天然木風のデスクは主力です。2020年度は学習机のあるべき姿を徹底的に見つめ直し、従来のスタンダードシリーズを「ザ・デスク」に昇華させました。
脚や天板に若干ボリュームを持たせ、ワゴンはスリム化させて足元のスペースをゆったり。また、タブレットステーションなる木箱をセットし、様々な使い方ができるようにしています。
LEDデスクライトが魅力的
くろがね工作所はLEDデスクライトも魅力です。調光&調色で全5段階の調節が可能なデスクライトというのは他のメーカーにはない機能です。また、インジケーターがカラフルでお子さんが喜ばれるに違いありません(いずれも上写真のTS-T16LEDとアーム式のTS-A16LEDのみの機能)。
ただし、カタログ掲載モデルでこちらのデスクライトが搭載されるのは、ザ・デスクとキュートガールの上棚ハイタイプのみ。寂しい限りです。
くろがね工作所の学習机の品質
もともと私はくろがね工作所の学習机を割りと高く評価していました。手頃な価格帯で、LEDデスクライトも良くできていますし、子供が喜びそうなデザインを採用しているからです。
しかし、最近は私の中で評価を落としています。まず、販売員の評判が良くありません。クレームが多い、クレームが起きても対応が悪いという話を聞きます。そのため、くろがねの学習机は扱わない方針の家具店がいくつかあります。また、店頭の展示品を見ても表面材が剥がれているなど、品質管理が行き届いていないのではないかという印象を受けることもしばしばです。
また、私自身、何度かくろがね工作所に問い合わせをしましたが、総じて印象が良くありません。私の場合はもちろんクレームではなく取材ですけど、回答がなかったり遅かったりするのは「社風」なのではないかと思います。
ほかの学習机メーカーの場合、販売店からの注文に応じてメーカーから都度出荷されるのが一般的ですが、くろがね工作所はシーズン前に販売店から一括注文を受けて販売するスタイルが多いようです。そういう事情から、クレーム対応は販売店任せになり、結果的に販売員が割りを食うことになるのではないでしょうか。
メーカーは作ることに徹し、販売店は顧客対応に徹するということは、ある意味で理想的なことです。その点で言えば、くろがね工作所は何ら間違っていません。
また、くろがね工作所に限らず、オリジナルモデルなどが販売店に一括で納品される場合は、クレーム対応が販売店任せになりがちです。その場合、消費者としては安く買える一方で、販売店がキチンと対応してくれないと困ったことになってしまいます。
つまるところ、決してくろがね工作所だけが悪いわけではありません。しかしながら、販売員すら敬遠するくろがね工作所の学習机は、私としてもオススメし難いというのが率直なところです。
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