オカムラの学習机と言えば天板昇降式デスクの「ピエルナ」。そう思っていた人がオカムラの学習机カタログを開くと驚いたかもしれません。2020年度以降、ピエルナを冠したモデルは1台も掲載されていないからです。
ライバルだったベネッセ×カリモク家具の「学びデスク」も2019年度を最後に終売となりました。天板昇降式デスクはかつて一世を風靡したコクヨの「くるくるメカ」のように一時のブームが過ぎ去ってしまったわけです。
ピエルナなき今、オカムラの学習机のラインナップはどのようになっているのでしょうか。順番に見て参りましょう。
※2022/02/19更新
オカムラ(旧・岡村製作所)とは
オカムラは横浜市西区に本社を置くオフィス家具メーカー大手。イトーキの年商(約1,158億円)の2倍以上の規模(約2,444億円)を誇ります。2018年4月1日に社名を株式会社岡村製作所から株式会社オカムラに変更しました。
オフィス家具メーカー最大手のコクヨが約20年前に学習机市場から撤退したことを考えると、今のオカムラの学習机市場シェアではなかなか採算の合わない事業だと思います。それでもそのような経営判断がされないというのは、やはり学習机に対する思い入れが強いからこそでしょう。
しかしながら、2021年7月に価格を改定したものの、2022年度は学習机カタログを発行せず、直営オンラインショップでも学習家具関連は在庫限りの様相です。業界では学習机市場からの撤退がウワサされています。
オカムラの学習机ラインナップ
天板昇降式デスクのピエルナシリーズの人気に陰りが出て以来、オカムラは奥行方向に拡張できるデスクや、幅方向に拡張できる「アルコ」(廃番)、リビング学習を意識した「リュブレ」などを投入しましたが、残念ながらヒットには繋がっていません。
そこで、主要モデルというよりは個人的に好きな商品を中心に紹介してまいりたいと思います。
シンプルで大人っぽい!ラトリオ
リビング学習が意識されたり、見た目が重視されるようになって、学習机の奥行は近年どんどん短くなる傾向があります。そんな中、2019年度に投入された「ラトリオ」はイマドキ珍しい奥行65cmのデスクです。
ホワイトオーク突板にテーパー脚で家具としての質感も決して悪くありません。また、天板奥には電源タップも収納できる配線カバーがあり、デジタル時代に対応しています。中高生を意識すれば良い選択肢と言えるのではないでしょうか。

天板昇降式の生き残り!ソラノ
ピエルナを冠した天板昇降式デスクはカタログから消滅してしまいましたが、オカムラは決して天板昇降式デスクをやめてしまったわけではありません。上写真の「ソラノ」のほか、女子向けの「ソラノ・プリティア」もあります。また、スタンディングデスクとして使える「ヴィチーノ」も天板昇降式デスクの一種と言えるでしょう。
中でもソラノはデザインがシンプルで素敵です。個人的には元のライトブルー×ナチュラルのカラーリングのほうが好みでしたが、アルダー無垢の現行モデルも落ち着いた雰囲気で良いと思います。
かげやま先生監修!Kモデル2
百ます計算などでお馴染みの、陰山英男先生が監修された「Kモデル(かげやまデスク)」も2020年度で3代目になりました。初代はMDF合板でスライドレールもヒドイものでしたが、2代目はアルダー材を使うことで少し上質になり、現行モデルの3代目ではラバーウッドに木目を印刷して傾斜天板をセットしました。
なお、2代目までは天板昇降式でしたが、3代目は昇降しません。3代目なのに「Kモデル2」というのは変な感じですけど、カタログに掲載されたのは2代目の途中からだったからなのかもしれません。
それはさておき、かげやま先生は幼少期に会議用テーブルで勉強されていたそうで、Kモデルはそれをもう少し体裁良くし、プリントを収納するレターケースのような引出しをセットしたわけですね。そういう経緯で開発されていますので、ほかの学習机と比較するのはナンセンスでしょう。
オカムラ公式ショップ限定!クオーレ
オカムラの学習机はコスパが悪く、実物を見たら「これはないなー」と思う人が多いかもしれません。しかし、オカムラが公式ショップ限定で販売している「クオーレ」ならコスパに見合うと思ってもらえるんじゃないでしょうか。
クオーレは3万円ちょっとという価格で、天然木風&ミニマムな上棚とワゴンがセットという組み合わせ。これならランドセルの置き場所も確保できますし、リビングダイニングに置いても圧迫感が少ないと思います。

オカムラの学習机の品質
ピエルナが発売されて以降のオカムラの学習机は価格の割りに材質も品質も良くないので、正直言って私はあまり好きになれませんでした。主材の多くがMDF合板で、引出しは白く塗られた品質の悪い桐。スライドレールは他社と比較しても粗悪で、開閉もままならないからです。
しかし、最近になって私にもオカムラの学習机の良さが分かってきました。基本的にオカムラの学習机は天才肌で、材質などどうでも良いのです。他社にはないシャープな切り口で斬新な学習スタイルを作り出すことがオカムラにとっては重要なのだと思います。
近年こそ天然木のデスクや国産のフォルテ2を投入するなど品質に目を向け始めたオカムラですが、相変わらず引出内部材やスライドレールの品質が悪いことを踏まえると、木工家具メーカーとは視点が違うということでしょう。
ちなみに、オカムラの品質はお世辞にも良いとは言えませんけど、カスタマー対応の手際の良さはピカイチです。そこは安心してお買い求めいただけるポイントだと思います。
基本的にオカムラの学習机は他社と比較するとどれも引出しの品質が低く、コスパも悪いと感じるところがあります。しかしながら、品質や見た目よりも独創的な方法で道具としての使いやすさを追求するオカムラの姿勢は個人的には大好きです。
デスクライトでもブルーライトを軽減するなど、オカムラには独自の視点があります。現在では天板昇降式デスクの人気がなくなり、コスパの悪さが敬遠されて、オカムラの学習机を見る機会が少なくなりましたが、これからも頑張って欲しいメーカーのひとつです。
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