2021年度を最後に学習机カタログの発行を終了するとともに、家具販売店から姿を消していったオカムラ(旧・岡村製作所)。一方で、オンラインショップ限定で「クオーレ」を発売するなど、学習家具から撤退したわけではなく、イトーキと同じようなスタンスとなっています。
そんなオカムラが新作の学習家具を発売しました。ひっそりと販売を開始したクオーレとは異なり、11月にプレスリリースを公開、12月にクラウドファンディングのマクアケで先行販売を開始するという力の入れよう。
マクアケでは先に三栄コーポレーションがフォルミオの復活で大コケしたので大丈夫かなーと心配していましたが、12月20日の開始から早々に、なんと目標の7倍を超える応援購入を獲得しています。
いったいどんな学習家具なのでしょうか。詳しく見て参りたいと思います。
※この記事は2024年12月25日時点の情報に基づいています
オカムラ・ミルミオ
このたびオカムラからリリースされた子ども向け学習家具の商品名は「mirumio(ミルミオ)」。「子どもの成長に合わせて、家具も成長する」をテーマに、小学生から中学生・高校生まで、長く使うことを想定したデスクとチェアです。
学習机っぽさを感じさせない、すっきりとしたデザインだと思います。特にチェアはリビングに置いてもまったく違和感を感じさせないオシャレなデザインに仕上がっています。
ラインナップ
商品名 | サイズ(mm) | 税込価格 | |
---|---|---|---|
デスク | パネルなし1200W | W1200×D636×H640-730 | |
パネルなし900W | W900×D636×H640-730 | ||
パネル付1200W | W1200×D636×H1044-1134 | ||
パネル付900W | W900×D636×H1044-1134 | ||
周辺アイテム | ワゴン | W581×D385.5×H553 | |
タブレットスタンド | W300×D150×H102 | ||
ブックエンド | W100×D150×H104 | ||
チェア | スタンダードタイプ | W600×D540×H690-790 (SH365-465) |
44,000円 |
ジュニアタイプ | 53,900円 | ||
交換用カバーリング |
ミルミオのラインナップは上表の通り、デスク、周辺アイテム、チェアで構成されています。
価格については現時点で公表されていませんが、チェアだけはマクアケで表示されています。それ以外については、仮にワゴンを3万円前後、タブレットスタンドとブックエンドをそれぞれ6千円前後とすると、パネル付きデスクは10万円オーバー、パネル無しは10万円未満といったところでしょうか。なかなか高価です。
デスクの特徴
ラチェット式で天板昇降
ミルミオは姿勢が悪い子どもが増えているという背景を踏まえ、子どもの成長に合わせて簡単に調節できることを特徴としています。
デスクの脚はラチェット方式を採用し、上写真のように前後の脚を繋ぐ貫部分を押さえながら天板を持ち上げるだけで天板の高さを上げられるようにしています。天板リフティング式のワゴンのように、カチカチカチッと上がるんでしょうね。
ピエルナなどは脚を外してボルトを締め直す必要があり、また二人で作業しなければなりませんでしたから、この構造なら楽で良いと思います。電動昇降システムと比較して、価格が抑えられるとともに、軽く、壊れにくい点もメリットと言えるでしょう。
アレンジ可能なバックパネル
バックパネルは上部がファブリックボード、下部はスチールボードになっているようです。子どもの成長や使用シーンに合わせて、プリントをピンナップしたり、後述するタブレットスタンドやブックエンドを装着できるようになっています。
クランプ&配線可能
それよりも個人的に魅力的に感じたのは、バックパネルを備えているにもかかわらず、好みの位置にクランプ式のデスクライトやモニターアームを装着できるようになっていることです。バックパネルとデスク天板のすき間から配線を垂らすこともできます。
カリモク家具の「クリアネル」もクランプや配線が可能な構造ですけど、両端と中央の3ヶ所に限られますからね。もっとも、配線が支柱の後ろ側に出るデスクライトの場合はクリアネルのほうが取り付けしやすいと思います。
なお、ミルミオの天板は高圧メラミン化粧板です。コイズミファニテックの「ルトラ」に使われているのと同様の、表面が硬いメラミン化粧板ですね。ちなみに、クリアネルはオークまたはウォルナットの突板天板で、バックパネル付きが15万円前後といったところです。
周辺アイテムの特徴
ファイルボックスを収納できるワゴン
周辺アイテムには引出しは1杯も用意されておらず、2段の棚を備えたワゴンが用意されています。上写真のようにファイルボックスやバッグを置くのに適した構造です。
デスク天板の高さを低くしたときにも収まる高さで、なおかつコストを抑えようとしたらこうせざるを得なかったのかなと思いますが、文房具など小物の収納には困りそうです。
タブレットスタンド&ブックエンド
バックパネルのスチールボードに引っ掛けるタブレットスタンドとブックエンドも用意されています。
ブックエンドはスマートなデザインだとは思いますが、高さが10cmほどしかないのでA4版を立てるにはちょっと不十分な感じがします。
チェアの特徴
アジャストクッション付き
ミルミオは差別化が難しいデスクよりもチェアにこだわっています。こちらも子どもの成長に合わせて簡単に調節できることを特徴としており、座面の高さと奥行を変えられるようになっています。ただ、学習用チェアとしては普通の機能ですよね(苦笑)
フットステップ(足置き)やブレーキ付き(沈み込み)キャスターについても然り。一方で、腰部をサポートしてくれるアジャストクッションやオシャレな背もたれの形状はオリジナリティーがあって良いと思います。
ちなみに、キャスターは大人用はウレタン、ジュニア用はナイロンです。ジュニア用もウレタンを採用していたら学習用としては画期的だったと思うんですけど、耐久性、それよりもロットを考えると、汎用品を使わざるを得なかったというところでしょう。
硬度の異なるウレタンを使用
それよりも学習チェアとして特徴的と言えるのは座面クッションでしょう。ミルミオのチェアはオカムラのお家芸とも言える異硬度クッションが使われています。3種類のウレタンを使っている「シルフィー」などと異なり2種類ですが、後方はお尻をしっかりサポートする硬め、座面前方は太ももを圧迫しないように柔らかめとすることで、体重が適度に分散して長時間座っても身体への負担が少なくなるように配慮しています。
もっとも、オカムラのチェアの座り心地は基本的に硬めだと思います。これくらい硬いほうが良いという方も少なくないのですが、個人的には苦手です。
交換用カバーリングあり
ミルミオのチェアには交換用のカバーが用意されています(別売)。汚れ防止という観点はもちろん、10色のカラーが用意されているのでインテリアコーディネートを楽しむこともできます。
一般的な学習チェアの場合は座面の汚れが気になる頃にはウレタンがヘタってきて買い替えることが多いと思いますが、オカムラのチェアは座面が硬めでヘタりにくいので、カバーを交換できるというのはメリットになり得ると思います。
以上の通り、オカムラのミルミオは高さ調節にこだわりつつオシャレな学習家具と言えようかと思います。
ぶっちゃけ、機能的な目新しさはないんですよ。価格も割高だと思います。ただ、デスク天板の昇降にラチェット方式を採用したことと、チェアの背もたれに学習用としては珍しい形状を採り入れたことが、それを見た多くの人の興味を引くことに成功していると感じます。
こういう魅せ方の上手さは実にオカムラらしいですよね。2025年3月以降に販売が始まっても順調に売り上げを伸ばしていくんじゃないでしょうか。
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