2023年度の学習机市場は散々であったと思います。コロナ禍に家ナカ需要が急増した反動で、アフターコロナでは家具業界全体が不振に。さらに原材料や物流費などの高騰で値上げラッシュ。さすがのニトリも値上げやスペックダウンを余儀なくされましたが、あまりの売上不振に途中から主力モデルを対象に「デスクライト+コンセントBOX無料」などの販売促進策に踏み切りました。実質9千円の値引きです。
2024年度も同じ轍を踏むわけにはいきません。さりとて、値上げなりコストダウンをしなければ利益率の維持が難しいこともまた事実です。
ともあれ、そこは増収増益を続けるニトリです。何かしら手を打ってくるに違いありません。その一端が明らかになって参りましたので、ちょっと見てみたいと思います。
※この記事は2023年11月4日時点の情報に基づいています(2024年4月26日一部更新)
くみあわせデスクDL24
まず主力の「くみあわせデスクDL24」(旧・リビオ)から見てまいりましょう。
こちらは組み替え式のカラーデスクです。2024年度は上棚の形状がバックパネルのようになるとともに、懸下式のタブレットスタンドが装備されました。また、ワゴンがスリムになっているように見えますし、足元には配線収納スペースのようなものが見られます。
くみあわせデスクDL24はデスクライト付きで税込69,990円。2023年度のDL23は発売当初、デスクライト無しで同69,900円、途中からデスクライト+コンセントBOX付きで同68,990円になったことを考えると、絶妙と言うよりは微妙という感じの価格です。タブレットスタンドが装備された一方で、ワゴンは幅が狭くなり、コンセントBOXが付かないからです。
ともあれ、諸々のコストが上がっていることを考えると致し方なしかなとも思います。ワゴンがスリムになったことで、足元が広くなったと好意的に見ることもできるでしょう。デスクライトは必要でも、コンセントBOXの有無なんて気付かない人が大半だとも思います。
ちなみに、この上棚の形状からすると、2024年度は上棚ハイタイプがなくなると考えられます。
メルシーH
天然木突板の「メルシーH」 も2023年度の失策を踏まえてデスクライト+コンセントBOX付きになりました。価格は税込59,990円で、2023年度途中からデスクライト+コンセントBOX付きで同54,900円だったことを考えると、約5千円のアップです。
それでいて、こちらもワゴンがスリムになっているように見えます。ただ、「ワゴン(メルシーH P)」のサイズを見ると、2023年度モデルと同じ幅40cmということになってるんですね。写真ではスリムになっているように見えるのですが。
あと、ここ数年、メルシーは東日本や西日本など地域と品番を分けて販売していましたが、2024年度はそういった区分はなくなるようです。おそらく、ひとつの工場で作れてしまうほどの台数に減ってしまったか、逆にひとつの工場でまとめて作ることでコスト抑制に努めたのだと考えられます。
もう一点、写真で見る限り、どうにも木目がありません。これはCG画像を使っている可能性も考えられるものの、また工場や材質を変更した可能性も考えられます。
メルシーのラインナップ
2023年度当初価格 | 2023年度途中~※ | 2024年度価格 | |
---|---|---|---|
スタンダードデスク | 54,900円 | 54,900円 | 59,990円 |
ユニットデスク | 64,900円 | 64,900円 | 69,990円 |
くみあわせデスク | 74,900円 | 74,900円 | 79,990円 |
デスク(平机) | 29,900円 | – | 29,990円 |
ワゴン | 15,000円 | – | 14,900円 |
※デスクライト&コンセントBOX付き価格
メルシーのユニットデスク、くみあわせデスクともに、約5千円のアップです。2023年度当初はデスクライト+コンセントBOX別だったことを考えると改善されましたが、現在も販売中の旧モデルと比較すると割高感は否めません。いまメルシーを検討されている方は在庫があるうちに買ったほうが良いでしょう。
なお、2022年度から引出し3段のワゴンではなく価格を抑えた棚3段の「S」タイプがありましたが、現在のところ、そのタイプは見られません。そんなに売上が悪かったとは感じなかったのですけど、3段引出しタイプに集約することでコストを抑えたのでしょうか。もしくは引出し3段をスリムにしたことで、ニーズを集約できると考えたのかもしれません。
ラック付き学習イスWT24
2024年度のニトリのデスクラインナップには他にも変化があるのですが、それよりも注目したいのがこちらの「ラック付き学習イスWT24」です。
私は最初、コイズミファニテックの「ハイブリッドチェア」をまたイジったのかと思いました。しかし、シート部の変更や足置きを無しにしただけではなく、足元棚の形状やキャスターも異なることが分かりました。キャスターがコイズミ仕様ではないことから、コイズミファニテック製ではなさそうです。
ニトリ版「ハイブリットチェアODC-842」をやめてこちらにシフトするつもりかもしれませんね。
以上の通り、さすがのニトリでさえも学習机に関しては今年も手を焼いているように見受けられます。2023年度のデスクライト別売とすることで実質的に価格を据え置きに見せかける戦略は失敗。それを踏まえて2024年度はデスクライト付きにすることでボリューム感は訴求しつつ、あらゆる手法でコストを抑えたり、〇万9千990円という具合に価格帯を大台に乗せないようにして少しでも安く感じさせようとする魂胆戦略のようです。
とは言え、苦労しているのはニトリだけではありません。ほかの販売店やメーカーも似たり寄ったりです。そのような中でニトリがどこまで上手く立ち回れるのか、競合他社も注目していることでしょう。
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