学習用LEDデスクライトのスペックを見ると、たとえば「光源直下照度=1,420Lx」などと記載されています。また、「光束=1,134Lm」などと併記しているものもあります。
一方で、天井用のシーリングライトには照度(Lx=ルクス)の記載がなく、光束(Lm=ルーメン)しか記載されていないのが一般的です。そうすると、「リビングテーブルやダイニングテーブルで子供に勉強させるには何を目安にすれば良いのだろう?」と思う方もいらっしゃることでしょう。
基本的には前回申し上げた通り、テーブルの上でLEDデスクライトを併用するのが理想的である一方、親子ともに片づけのストレスを感じるのであればデスクライトなしでも良いと思います。とは言え、理想的なあかり環境を理解しておいて損はありません。今回はまず照度と光束の違いを説明したうえで、実際に我が家で計測した結果を紹介したいと思います。
光束(ルーメン)と照度(ルクス)の違い
単位 | 意味 | |
---|---|---|
光束 | Lm(ルーメン) | 照明器具から発せられる光の束(量) |
照度 | Lx(ルクス) | 光に照らされた机上や部屋の明るさ |
光束と照度の違いは、簡単に言うと上の通りとなります。照明器具の光束の値が大きいほど水道の蛇口が太いようなもので、たくさんの光の束が発せられるというわけです。対して照度は、照明器具などによって実際に照らされた場所の明るさの値を示しています。なお、光束と照度の間に因果関係はありません(光束が2,500ルーメンだから照度は300ルクス、などという計算式は成立しない)。
「シーリングライトも照度を表示してくれれば良いのに」と思われる方もいらっしゃるでしょう。しかし、光源からデスク天板面までの距離がある程度一定であるデスクライトと異なり、シーリングライトの場合は天井高が家によって違ううえに、照度を計測する位置を特定するのが難しいため、光束のみの表示となっているのです。
なお、LEDデスクライトを比較する際に、光源直下照度が2,000Lxのものと同じく1,000Lxのもののどちらが明るいかということは一概に言えません。かたやデスク天板面までの距離が30cm、かたや60cmで測定していることがあるからです。光源からの距離が長くなればなるほど照度は下がります。照度だけを単純に比較するのではなく、「測定光源高さ」も併せてチェックするようにしましょう。また、明るければ明るいほど良いというものでもないことに注意してください。
実際に照度を計ってみた
私自身は今まで照度などまったく気にしていなかったのですが、今回のために照度計を取り寄せて、シーリングライトやLEDデスクライトの下で照度を計ってみることにしました。なお、今回取り寄せた照度計はレビューを見ると「波長が異なるためLEDの照度は計れない」というようなことが書かれていましたが、こちらでは問題なく計ることができました。
各種照明器具の照度比較(一例)
照明器具 | 昼光色 | 昼白色 | 電球色 |
---|---|---|---|
LEDデスクライト | 1300 | 1910 | 570 |
LEDシーリングライト | 210 | 390 | 180 |
蛍光灯シーリングライト | 300 | – | – |
- 単位はLx(ルクス)
- 太陽光や他の照明器具の影響を受けないように夜間に測定
- LEDデスクライトはコイズミファニテックのECL-357(1,134ルーメン)、光源直下50cmで測定
- LEDシーリングライトはオーデリックのOL291020(6畳用、2,880ルーメン)、光源直下約150cmで測定(天板高73cm)
- 蛍光灯シーリングライトはNECの9LK212SG(8~10畳用、光束不明)、光源直下約150cmで測定(天板高73cm)
ここで注目していただきたいのは、LEDデスクライトの光源直下では1,000ルクス以上となる一方、シーリングライトでは200~300ルクス程度にしかならないということです。距離が違えば明るさが全然違うと言えます。
一方で、デスクライト直下ではなく光源から半径50cmのところはJIS規格AA形相当(次回詳述)で250ルクス以上となっていますから、その程度の明るさはシーリングライト直下でもキープできていると言うこともできます。
シーリングライトとLEDデスクライトを併用した状態でも比較してみましたが、LEDデスクライトがかなり明るいためシーリングライトによる照度の上昇は限定的でした。つまり間接照明と直接照明を併用してもあまり影響がないということです。
また、昼間に測定したところ興味深い結果となりました。本日(7月24日)、午前中に窓際(西側、くもり)で照度を測ったところ、6,000ルクスもありました。つまり、LEDデスクライトよりも3倍以上明るかったのです。間接照明を併用するよりもむしろ窓からの距離のほうが大きく影響すると言えます。
ちなみに、正午ごろに屋外で照度を測定したところ、曇天時は4~6万ルクス、晴天時は10万ルクス以上となりました。
やっぱり学習には幅の広いLEDデスクライトが一番
今回、子供と一緒に屋内や屋外で照度を計りながら「太陽光のエネルギーってスゴイねー」と改めて感心しました。ちょうど和歌山へ卵かけごはんの美味しいお店に行って行列に並んでいるときで、子供はその間に宿題をしようとしたのですが、くもりでも明るすぎて宿題などできませんでした。やっぱり、明るければ良いってもんじゃないですよね。
私は勉強をするには500ルクス前後で万遍なく照らすのが理想ではないかと考えています。それで言えば、シーリングライトだけでもアリじゃないかと思います。ただし、シーリングライト直下のテーブルの高さであれば200~300ルクスですが、6畳間の部屋の隅だと100ルクス前後です。これではさすがに足りません。
また、一般的には学習時に天井照明とデスクライトを併用することが推奨されており、私もそのように信じておりましたが、実際のところ照度に関しては天井照明の影響はほとんどありません。頭や手の影になる部分を減らす目的で言えばもちろん天井照明とデスクライトを併用する必要があると言うことはできるものの、シーリングライトとデスクライトの照度の違いがこれだけ大きいと、併用することでどれだけ影を抑えることができるかという疑問を感じます。
自然光をうまく活用することができれば理想的ですが、これを「アンダー・コントロール」に置くというのは一般人には無理です。カーテンを閉めれば暗すぎ、カーテンを開ければ明るすぎとなりますし、曇りと晴れでは照度が全然違いますから。また、冬の場合は夕方以降、自然光は期待できません。学習机は窓際に置かないほうが良いと一部で言われる理由が少し分かったような気もします(ただし、一般的に学習机を窓際に置かないほうが良いとされる理由は、景色を見ることで気が散りがちだからです。)。
つまるところ、学習用に適した照度を得るためには、やっぱりシェード幅が広い学習用LEDライトがもっともコントロールしやすくて理想的かと思います。また、リビングダイニング学習をする場合は、できるだけ天井照明の直下が理想的だと言えます。もちろんデスクライトを併用するのがベターです。
照度計を持ってお子さんと一緒にあちこちの照度を計って最適なあかりについて考えてみるというのも良いかもしれませんね。
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