学習家具市場において、コイズミファニテックの「ハイブリッドチェア」は圧倒的な人気を誇ります。学習用回転チェアという品群に含まれるものの回転はしません。それでいて座り心地は回転チェアの良さを持っており、子供でも動かしやすい安定感のある独自形状の脚部も魅力です。
高級なカリモク家具や浜本工芸の学習机を購入する方でもハイブリッドチェアの引き合いは強いです。逆に、低価格帯の学習机を扱うニトリでも「ハイブリットチェア」は売れています。ナフコやシマホでもオリジナルモデルが扱われていますし、2024年度はミドルバックのファブリックタイプも登場するなど、無双状態に拍車が掛かっています。
一昔前なら競合はイトーキの「トワイス」でした。しかし、このところは不人気色だけが残る”在庫限り”の状態になっており、マトモに売れる感じではなかったです。もうイトーキは学習机の販売は続けても学習椅子は扱わないのかなと思っていたところ、新商品を投入しました!
※この記事は2023年11月11日時点の情報に基づいています
イトーキ・トワイスKS32
このたびイトーキから新商品として発表された学習チェアは2モデルです。そのうちのひとつ「トワイスKS32」は”現在市場に流通している学習チェアの中で唯一の”スマートロッキング機能を搭載していることが特徴のひとつとなっています。
スマートロッキング機能を搭載
スマートロッキング機能とは、”背にもたれると操作レスでロッキングし、勉強に集中できる正しい姿勢からリラックス姿勢まで、どちらの姿勢でも腰部をしっかりサポート”してくれるものです。早い話が、背板にもたれ掛かると、背板が傾いてリラックスできるということです。
安物の学習用回転チェアでも背もたれが撓って傾くものは多々あります。それとは異なり、トワイスKS32の場合は背もたれが前後可動式になっており、お子さんの体格に合わせて常に背中にフィットした状態で傾くというところがポイントと言えます。
この機能、”現在市場に流通している学習チェアの中で唯一” かつ新商品なら、「学習チェア史上初じゃないの!?」と心がトキメキました。「でも、確かイトーキの学習チェアでこの機能を有したものがあったはず…」と思って調べてみたら、「トワイスKS31」がまさしくそれでした。
KS32はKS31の後継モデル
トワイスKS31では”リラックス機能”となっていますが、特許(第5402260号)の詳細を確認する限り、スマートロッキング機能と同じもののようです。ちなみに、スマートロッキング機能を有するチェアは他に大人用の「レヴィチェア」があります。
KS31とKS32は背板の形状が異なるものの、機能は基本的に同じです(下記メモ参照)。よって、KS32はKS31の後継モデルと言えるでしょう。
キャスターに大きな変化が
ただ、KS31とKS32ではキャスターに大きな変化が見られます。KS31を含めてイトーキの学習チェアの荷重ロック機能付きキャスターは、もともと右上写真の形状のものでした。今回KS32に採用されたキャスターは初めて採用されたものと思われます。
KS32に採用された回転ノブ式のほうがレバー式よりも壊れにくそうです。個人的には改良と言えるのではないかと思います。
傾斜スライド機能で背中にフィット
マニアックな話を先行させてしまいましたが、KS32が魅力的な学習チェアであることは間違いありません。KS32の背もたれは前後に調整できるだけでなく、高さを変えることもできます。しかも、座面の奥行と背もたれの高さの調整が同時にできてしまう優れものです。
この傾斜スライド機能があれば、お子さんが成長しても椅子を体にフィットさせることができます。小学校入学時は座面の奥行は浅く、背もたれは低く。成長するにつれ、座面の奥行は深く、背もたれは高くなるというわけですね。
ゆったり足置きステップ
KS32には他にも魅力的な機能がたくさんあります。まず、イトーキの学習チェアと言ったら、「ゆったり足置きステップ」です。足の裏全体がペタッとステップに着くことで安心して勉強に臨むことができます。もちろん、不要になれば取り外すことも可能です。
また、「ズレ止めクリップ」が付属しているので、足置きステップが下にズレるということもありません。
座面回転ロック機能
KS32はコイズミファニテックのハイブリッドチェアのように座面を回転しないようにすることもできます。「座面回転ロック機能」をオンにすれば座面は回転せず、お子さんが成長してクルクル回って遊ぶ心配がなくなればロックを解除するというわけですね。
子供に回転椅子と言うとどうしてもネガティブなことばかり心配しがちですが、実際のところ、回転するほうが離着席しやすいことは大人がよくご存知でしょう。
イトーキ・トワイスKS5
もうひとつ新たに発売された「トワイスKS5」は、実はこれまでも販売されていた同名のチェアの色違いです。ホワイト色のフレームがなくなり、ブラック色に絞られました。また、従来品の張地は抗菌防臭加工(ポリジン加工)が施されていましたが、新仕様は特殊加工のない100%ポリエステルのようです。
KS32との違いは、KS5にはスマートロッキング機能とキャスター荷重ロック機能とキズ防止プロテクターの3つがないというところです。KS32が税込29,900円、KS5が同22,900円で7千円の違いですから、悩ましいような気もします。しかし、長時間学習するのは中高生以降ですから、そのときにキャスター荷重ロック機能がなくても問題ないものの、スマートロッキング機能がないというのは不便に思います。よって、個人的にはKS32のほうがオススメです。
以上の通り、イトーキのトワイスKS32とKS5を紹介しました。
これまで放置プレイ状態だったイトーキの学習チェアに手が入れられたことは本当に良かったと思います。KS32はイトーキ独自のスマートロッキング機能を備えているということで、コイズミファニテックのハイブリッドチェアの強力なライバルになり得るでしょう。KS5はKS32と比較すると見劣りしますが、ハイブリッドチェアよりも安いということで売れるかもしれません。
ただ、イトーキの学習チェアを試すことができるお店がないのが難点です。ニトリでは現在もイトーキのハート形回転チェアを扱っていますけど、それとKS32やKS5では座り心地が全然違いますからね。
イトーキのブランドを信用して、全力でポチるほかないでしょうか。
コメント 皆様からご質問・ご意見など
はじめまして。来年、小学校に入学する息子の家具探しでこちらのサイトを大変参考にさせていただいております。
学習机とワゴン、本棚はコイズミのコトアを購入しました。部屋全体の雰囲気を北欧風にまとめています。
現在、学習チェアを探していてコイズミのハイブリッドチェアかイトーキのトワイスかの二択で迷いに迷っています。カラーはいずれもネイビーです。
何か参考になるアドバイスをいただけましたら幸いでございます。
どんぐりさま
はじめまして^^
ハイブリッドチェアかトワイスKS32でご検討中ですね。
実際に座り比べることができたらもっと選びやすいと思いますが、それができないので悩ましいところでしょう。
単純に機能面で比較すると、KS32はスマートロッキング搭載で休息できる、足置きステップが大きいので落ち着いて学習できるというところがメリットとなります。
また、KS32は回転ロックを解除すると、普通に回転させることもできます。
一方で、ハイブリッドチェアは足元棚がありますが、今の大型化したランドセルを置くのは厳しいでしょうね。
ハイブリッドチェアはローバックがレザー張り、ミドルバックは布張りで、どちらかを選ぶことができます。
ただし、ミドルバックは背のフレームに布を張ったもの(=板がない)ので、背当たりはメッシュバックチェアのように当たりが軟らかいです。
これは好みが分かれるところでしょう。
ハイブリッドチェアの座面はモールドウレタンを使っているためモチモチした座り心地で、耐久性も高いです。
KS32は私も座ったことはありませんが、板ウレタンのはずなのでハイブリッドチェアと比べるとごく普通な感じだと思います。
私もまだ店頭でハイブリッドチェアのファブリックタイプは見ていないのですが、まずは店頭でハイブリッドチェアを試してみてください。
なお、KS32は店頭で扱っているところはないと思われますが、島忠ホームズでは一部のオフィスチェアを扱っていますので、何かしら参考になることがるかもしれません。
また、ニトリの「学習イス(AS33-4)」はイトーキのものと思われます。