学習机の設置スペースを考えるとき、椅子の引き代はどれくらい必要?

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学習机の天板の奥行については、コンパクトなほうが良いとか、逆に広いほうが良いとかいう話はよく聞きます。しかし、意外と学習椅子も含めた設置スペースまで話が及ぶことはありません。

このことは実はダイニングセットを選ぶときも同様の傾向があります。天板サイズはどれくらいが良いという話は出ても、椅子をセットしたときにどれくらいのスペースが必要となるかということは見過ごされがちなのです。

ダイニングチェアがダイニングテーブルのオマケでないのと同様に、学習椅子も学習机のオマケではありません。特に日本の住宅は一般的にスペースに余裕がないことが多いので、座り心地だけでなく、設置スペースについても入念に考えておきたいものです。

 

最低限、デスク天板+チェアの奥行は必要

最低限、デスク天板+チェアの奥行は必要

※単位:mm ※カリモク家具の3Dシミュレーターを使用しています(以下同)

通常、子供が学習机で勉強をするときは、学習椅子の前のほうが少し机の下に入り込んだ状態となります(上図1の状態)。この場合、仮にデスク天板の奥行を600mm、学習椅子の奥行を500mmとすると、全体の奥行はザッと1000mm程度(600+500ー100mm)となります。

しかしながら、常にこの状態ではありません。たとえば掃除機をかけるときなどは学習椅子を出す必要があるので、その際は椅子を横に出す場合でも最低限1100mm(600+500mm)程度のスペースが必要となります(上図2の状態)。

また、特にリビングダイニングなどに置く場合は、椅子の後ろを家族が通ることもあるでしょう。人が通るスペースを確保するには一般的に肩幅程度の450mm以上が必要となりますので、子供が座った状態の1000mm+450mmで合わせて1450mmのスペースが必要となります。デスクの下を掃除する際に椅子を真後ろに引き出す場合も同様です。

足元棚を使う場合はデスク天板奥行+500mm程度必要

足元棚を使う場合はデスク天板奥行+500mm程度必要

組み替え式デスクで書棚の前にデスクを置くスタイルの場合や、足元棚のあるベーシックデスクの場合は、足元棚の本などを取る際には椅子をいったん除けてから潜り込む必要があります。

新入学児童の場合、デスクの前でうずくまるとだいたい奥行500mm程度のスペース、大人だと同じく600mm以上必要かと思います。つまり、足元棚を使おうと思ったら、デスク天板奥行+500~600mmは考えておかないといけないわけですね。

さらに、足元棚全体を使おうと思えば、学習椅子だけでなくワゴンも出す必要があります。両方を完全にデスクの下から引き出して机の下に潜り込むためには、さらに500mm程度が必要と言えます。

 

ワゴンでL字レイアウトにする場合

ワゴンでL字型レイアウトにする場合

ワゴンを手前に引いてL字型レイアウトにする場合は、デスク天板の奥行+ワゴンの奥行が必要になります。ワゴンの奥行は学習椅子の奥行とそれほど変わらないので、ワゴンを手前に引いてL字型レイアウトにする場合もそれほど奥行に気を配る必要はありません。

ただし、この状態で引出しを開け閉めすることは当然考えられますから、さらに450mm前後が必要になります。デスク、ワゴンともに奥行600mmの場合、合計で1650mm程度が必要になるということです。

 

デスクの3倍程度の奥行を見るのが無難

椅子のスペースを考慮するとデスクの3倍程度の奥行を見るのが無難

つまるところ、椅子の引き代は椅子の奥行だけ考えれば十分ですが、後ろを家族が通ったり、足元棚を使ったり、ワゴンを引き出すことなどを考えると、全体としてはデスクの奥行のザッと3倍程度を見ておいたほうが無難と言えるでしょう。

 

組み合わせ次第で引き代は減らせる

しかしながら、そんなに十分なスペースは取れないということも少なくないと思います。そんなときは、例えばカリモク家具の「ピュアナチュール」のようなテーパー脚のデスクと同じく「クレシェ」のように前脚が斜めになった椅子を組み合わせることで、あまり椅子を引かなくても座り降りしやすくなります。新入学児童の場合は足が床に着かず、座った状態では自分で椅子を引けないので、その点からもメリットがある組み合わせと言えるでしょう。

同様に我が家の場合は國新産業の「バランススタディ」を組み合わせることで、椅子を引かなくても良い状態を作ることができました。

 

以上の通り、学習椅子の引き代を考慮して設置スペースを確保する場合は、最大でデスクの奥行の3倍程度が必要になります。ただし、組み合わせ次第で省スペースにすることも可能です。スペースがないと言ってあきらめず、置くことができるものを選ぶようにしましょう。

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この記事を書いた人
収納マン(芝谷 浩)

家具メーカーを退職後、2002年に収納スタイルコーディネーターとして独立。多くのご家庭の片づけの悩みを解決してきました。TVチャンピオン「収納ダメ主婦しつけ王」選手権で優勝するなどメディア出演多数。
長女が小学校に入学するのを機に学習机を購入してブログで報告したところ、学習机について相談が殺到。以後、「学習机評論家」としてメーカーの展示会や販売店に足を運ぶなどして日々情報収集に努めています。詳しいプロフィールはこちら

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コメント 皆様からご質問・ご意見など

  1. 悩める子鹿 より:

    はじめまして。
    4年生と1年生の学習机を検討していてこちらのサイトを知り、勉強させていただいています。デスクランドのことを知り、車で30分ほどの距離だったので、カモミールのフリーワンに決めてきました。粗大ゴミで今ある家具を処分しないといけないので、配送は6月末にしていただきましたが…。

    先に下見に行った私はベーシックデスクがいいかなと思って、カモミールベーシックかコファーノを考えていましたが、主人と娘たちと見に行った結果、転居の可能性があるので色々な組み合わせができた方がいいし、後々天板が少しでも広くなる方がいいという主人の意見で、カモミールのフリーワンを2台買って、長女は天板を拡張して上棚を付け、本棚を外側に向けてL字型に、次女は拡張せずに上棚を付け、本棚を外側に向けたL字型にして、リビングの7畳ほどのスペースを子供スペースにして、その中で出っ張ったスペース(170×260cm)の170cm側の壁面に机をつけて、背中合わせに配置することにしました(拙い説明で申し訳ありません)
    ちょうど本棚と本棚の間が60cmほどあくので、そこを入口としてちょっと囲まれた学習スペースになるかなと思います。
    本棚を内側に向けた方がきちんと固定できていいのでしょうが、やっぱり奥側の棚が使いにくいと思うので、固定は諦めて外側に向けるつもりです。勉強スペース以外の子供スペースにはおもちゃ用の棚と、もし学習机だけでは学用品やバッグ等(子供部屋がとれないので、洋服以外の子供用品はすべてリビングにあります)の収納で困るのであれば、無印のユニットシェルフを購入するつもりです。

    本題ですが、机が決定した今、椅子について悩んでいます。
    回転椅子は集中できなさそうなので、木製椅子にしようと思っているのですが、囲まれたスペースなので、カモミールの学習椅子は場所をとるような気がして、オルレアの4本脚かオルレアのSDC-147WWNKを考えているのですが、材質的に合うと思いますか?現行のキャスター付きは形があまり好きではないので考えていません。
    またキャスター付きの椅子の座面下の棚には本来ランドセルを収納するのだと思いますが、ここにカラーボックスのインナーボックス(幅約39cm)や無印のソフトボックス(幅約37cm)を置くことは可能なのでしょうか?
    そういったボックスにリュックやバッグを入れられたら便利だと思うので、座面下の棚付きの椅子にするのであればボックスが入ったらいいな…と。
    オルレアの椅子は展示しておらず、カモミールの椅子はありましたが、その時はボックスを持って行っていなかったので入るのかはわかりませんでした。

    またカモミールの椅子は2万円ほど、オルレアの4本脚が15600円、オルレアのSDC-147WWNKが1万円ちょっとで、2台買うとなるとSDC-147WWNKの値段は魅力的です。

    トリップトラップが2台あるので、とりあえずそれを使ってもよいのですが、脚が意外と邪魔かな…と思ったり。

    まとまりのない長文で申し訳ありませんが、収納マン様のご意見をお聞かせいただけたら幸いです。

    • 収納マン(芝谷 浩) 収納マン より:

      悩める子鹿さま

      はじめまして^^

      デスクランドで学習机を購入されたんですかー。
      あそこなら、カモミール・フリーワンタイプのレイアウトのイメージがしやすくて良いですね♪

      学習机のレイアウトで「背中合わせに配置」というのは、デスクを背中合わせではなく、お嬢様方が背中合わせになるということですよね?
      ワゴンをデスク下に収めた状態だと思いますので、確かに椅子を引く余裕が十分ではなく、狭苦しく感じそうです。

      その点で言えば、オルレアの斜め前脚チェア(SDC-149)がオススメです。
      前足が斜めになっているので、椅子をあまり引かなくても斜め後ろから滑り込むようにして座りやすいからです。

      オルレアのSDC-147とカモミールのKM97の座り心地はほとんど同じでしょう。
      ただし、SDC-147は小型の前後キャスターなので、床がフローリングの場合はキズが付きやすいです。
      また、色合いや材質については、KM97のほうがデスクにマッチしやすいことは言うまでもありません。

      オルレアのチェアはいずれもラバーウッドですが、オルレアのデスクはカモミール同様にカバ(バーチ)です。
      なので、材質の違いは少なくともコイズミファニテックとしては許容範囲と考えているでしょう。
      ホワイトやナチュラルの色合いやツヤは若干異なるものの、これらの違いが気になるかどうかは個人差があると思います。

      オルレアのSDC-128は4本脚なので、脚の裏にフェルトを貼れば、フローリングの上で使うのに適しています。
      SDC-147、SDC-149、カモミールKM97を使う場合は、デスクカーペットまたはチェアマットを敷くのが無難でしょう。

      ともあれ現状、トリップトラップが2台あるということなので、まずはそれを使って様子を見られても良いのではないかと思います。
      トリップトラップも脚が斜めになっているので、そのメリットも分かりやすいでしょう。

      椅子の座面下の収納スペースには、カラーボックスのインナーボックス程度の箱やバスケットは置けると思います。
      ただし、深すぎてもリュックなどが出し入れしにくいと思いますので、椅子が届いてからサイズを確認して、使いやすそうな大きさの箱を手配したほうが良いでしょう。

      以上、ご参考になれば幸いです^^

  2. 悩める子鹿 より:

    貴重なご意見ありがとうございます。
    やはり機能性なら斜め脚なのですね。
    確かに次女はトリップトラップを横から滑り込むように座っています。

    そうです。娘たちが背中合わせで座る形になります。
    まだまだおもちゃでも遊びますし、お友達が遊びに来たりすることも考えると、勉強スペース以外のスペースも確保したいので、配置が難しいですね。

    今までは元々私が使っていた180×45cmの長机を2人で使っていたのですが、長女が塾に行き始め、テキスト、ノート、問題集、問題集用のノートを同時に広げる場面が多々あり、開いては閉じを繰り返す娘を見て、私がイライラしてしまって 笑
    収納マンさんがおっしゃる天板は最低100×60cm必要という言葉に心底共感しました。
    そのシチュエーションにならないとわからないものですね(^_^;)小学校の宿題程度ならまだ十分ですし。

    カモミールは、天板と上棚の間隔が広いので、上棚があっても天板を奥まで使用しやすいと感じました。また、小引き出しよりもハート窓の付いた小棚?の方が腕時計やメガネをしまいやすい気がしました。
    シンプルに少し可愛らしさがあるものが好きな娘たちにはドンピシャだったようです。
    キラキラやカラーデスクには見向きもしませんでした(^_^;)

    元々1年生の姪っ子がモモナチュラルのエマを買って、それを見たことから自分だけの机が欲しい!という流れでしたので、こちらのサイトに出会わなければデザインだけで選んでいたかもしれません(エマ、ものすごく可愛いんですけどね)

    おっしゃる通り、トリップトラップでしばらく様子を見て、スペース的にいけそうであれば新しい椅子を考えたいと思います!

    机が届いて使い始めたらまた感想等ご報告できたらと思います。
    本当にありがとうございました。

    • 収納マン(芝谷 浩) 収納マン より:

      悩める子鹿さま

      なるほどなるほどー。
      カモミールのフリーワンタイプに至った経緯がよく分かりました。
      勉強をするのに十分なスペースを確保しつつ、まだまだ遊び盛りのお嬢様方にピッタリの選択肢ですね^^

      オルレアのSDC-147とSDC-128は2017年度以前のモデルなので在庫限り。
      いつ売り切れるか分からない状況ではありますが、まずはトリップトラップで様子をご覧になってから購入していただければと思います^^

  3. キリ より:

    はじめまして。
    注文住宅の子供部屋のレイアウトを考えていてたどり着きました。
    敷地が狭いため、添付画像のように子供部屋がクローゼット込みで2275×4095という細長い設計になっています。
    さらに扉が部屋の真ん中にあり、勉強机を置けるスペースも限られています。
    勉強机は入口が見えるように配置する方が良いという記事を見たため、短辺にベッドと勉強机を持ってくるべきかと考えたのですが、210cmほどしかない壁にベッド(100cm)と勉強机の奥行き分(60cm)を配置すると残りは勉強椅子の分が50cmしかありません。
    この場合、スリムな勉強机・椅子やベッドにしてでもこのレイアウトにするべきか、諦めて勉強机は入り口に背を向けたレイアウトにすべきか、どちらが良いでしょうか?
    勉強机の奥行きは60cmが良いという記事も拝見したため、とても迷っています。
    ちなみに、ロフトベッドは掃除が大変そうなのでできれば採用したくないです。
    収納マン様のご意見をお聞かせください。

    • 収納マン(芝谷 浩) 収納マン より:

      キリさま

      はじめまして^^

      ちょうど今、新築の間取りを考えてらっしゃるところなんですねー。
      それは楽しくも悩ましくもある最中でしょう。

      「勉強机は入口が見えるように配置する方が良いという記事」というのは当ブログのことではないですよね?
      まったく初めて聞くことなので私なりに調べてみましたが、多くは風水っぽいもので、それ以外では「ドアを開けて一番最初に学習机が見えることで、子供に勉強することへの条件づけをさせるため」というものを見つけました。

      風水っぽいものはさておき、後者に関してはどうなんでしょうね(苦笑)
      人間は見たいものを見る、見たくないものは目の前にあっても気付かないことがあるものですから、勉強をしたくないときはどこに机を置いてもベッドしか見えないと思います。
      逆に、その配置で子供に勉強することへの条件づけをさせることができるのであれば、勉強が嫌いな子はその部屋に行かなくなるでしょうね。

      それはともかくとして、この間取りであれば机と椅子とベッドの位置は図にレイアウトされている通りで問題ないと思います。
      強いて言えば、それぞれ机とベッドの位置を入れ替えたほうが、机の横に書棚などを並べやすいと思いますが、クローゼットがあるから問題ないとおっしゃるならそのままで結構だと思います。

      ちなみに、ほかにはクローゼットの向かい側の壁面にベッドを置き、枕の横に机を置くという方法も考えられます。
      しかしながらその場合は、宮付きのベッドを置くのは難しい、まとまった広い空間はできるけれど他に家具が置けないというデメリットが生じます。
      あまりメリットがないレイアウトになってしまうので、逆に言うと、現在のレイアウトのほうがベターという結論に達することができると思います。

      ちなみに、私もロフトベッドは避けたほうが良いと思います。
      特にそうしなければならない理由がなければ、おっしゃる通り掃除が大変なだけです。

      あと、机の奥行については、上棚をセットするなら60cm以上を推奨します。
      上棚なしでも理想を言えば60cmあったほうが良いでしょうね。
      ただし、幅100cm以下の学習机でワゴンもセットする場合は、椅子から座り降りしやすい脚形状ものを選ぶようにしてください。
      そういったところを工夫することで、奥行の懸念はほとんど解消されるはずです。

      以上、ご参考になれば幸いです^^

      • キリ より:

        回答ありがとうございます。

        すみません、入口が見えるように配置する記事は別サイトだったようです。
        ただ、風水は置いておいてもその方が確かに安心できるとは思いました。
        勉強の条件付けの話は知らなかったですが、そういう考えもあるんですね。

        別案していただいた机とベッドの位置の入れ替えは、ベッドが扉にかかってしまうので出来なさそうです。
        もう一つのベッドをクローゼットの向かい壁側に置く案も、他の家具の位置に困りそうですし、第一候補はこのままで行こうと思います。

        結論としては、添付したレイアウトでも机と椅子の脚の形状を斜めになっているものや回転椅子などにすれば、50cmほどの空間でも椅子を引かずに横から座ることが出来るということでしょうか?
        それともこの場合は妥協して奥行き60cm未満の机にした方が快適ですか?

        • 収納マン(芝谷 浩) 収納マン より:

          キリさま

          安心感という点では、入口が見える位置に学習机を置くことはメリットがあると思います。
          お子さんが戸を開けたままにすれば部屋の外にいる家族が見えますし、逆もまた然りです。
          階段を通じて生活音も聞きやすく、安心感に繋がるのではないでしょうか。

          家具レイアウトについてはやはり、間取り図の通りが正解でしょうね。
          また、この配置で机の奥行は60cm、一般的な学習椅子であれば、問題ないと言うことはできます。

          ただし、ベッドや寝具のサイズによるところもありますし、間隔が狭く感じるかどうかは個人差もありますので、そこはあらかじめご了承ください。
          より無難にするためには、ベッドの短辺は95cm程度、デスクの脚はCライン脚やテーパー脚、チェアは斜め前脚チェアやバランスチェアを選ぶのがベターというところです。
          これらの組み合わせ次第では奥行65cmのデスクでも収まらないことはないと思いますよ^^

          【参考】デザインよりも座りやすさにこだわりたい!学習机の脚形状

          座りやすさで選べば、木製学習椅子はやっぱり「斜め前脚チェア」がオススメ

          ちなみに、我が家は椅子の引き代は45cmしかありませんでした。
          Cライン脚のデスクとバランススタディの組み合わせです。
          子供の背中側にあるのはベッドではなくシェルフでしたから、めちゃぐちゃ狭く感じましたけどね^^;