
ここのところ業績が軟調なニトリ。今期は今のところ売上こそ約2%減で済んでいるものの、客数が約7%も落ち込んでいます。かつて似鳥会長は「客数こそもっとも重要」という趣旨の発言をされていましたので、憂慮する事態だと思います。
とは言え、客数がこれほど落ち込んだのは初めてではありません。おうち時間消費が一服した2022年2月期にも同程度の減少を経験しています。きっとまたそれなりに持ち直すでしょう。
学習机に関しても少子化や原料コスト増といった逆風にあきらめるのではなく、2026年度はテコ入れを図ったきたようです。ラインナップの一部が明らかになって参りましたので順番に見て参りたいと思います。
※この記事は2025年12月3日時点の情報に基づいています
くみあわせデスク DL03
まずはニトリの主要モデルのひとつである「くみあわせデスクDL03」から。前年度の「DL02」と見た目はほとんど変わらないように見えますが、いくつかの点でスペックが向上しています。
まず、引出しが全段フルスライドレールになりました(従来型はワゴン最下段のみフルスライド)。コイズミファニテックの「CDコンパクト」や大商産業の「MWD-550」などと渡り合える仕様です。
また、デスクライトが調色機能付きになりました。しかも、人感センサー、USBポート付きで、上締めクランプになっています。これは他のデスクライト付きの学習机も同様です。
そういったスペックアップのため、価格は1万円アップの税込79,990円になりました。昨今の価格上昇トレンドを踏まえると個人的には妥当と評価できる一方、この価格ならCDコンパクトとほとんど変わりません。
過去にニトリでは約8万円以上の学習机はことごとく市場に受け入れられなかったという経緯も踏まえると、厳しいのではないかと思います。もっとも、しばらくすればまた5千円OFFのセール価格になるでしょうけどね。
スタンダードデスク DL03S
くみあわせデスクDLが好調…ということもないと思いますが、2026年度はベーシックデスクの「スタンダードデスクDL03S」が投入されました。こちらはくみあわせデスクDL03よりも2万円安い税込59,990円となっています。
上棚以外はDL03と共通なので、こちらも全段フルスライドレールのベトナム製。デスクライト付きとは言え、カラーデスクで約6万円は微妙ですよねー。
なお、DL03シリーズは今年度からメルシー同様にデスク本体とワゴンが単品でも購入できるようになっています。
スタンダードデスク LI02
近年、ニトリの学習机で売れ筋上位となっているスタンダードデスクLIは01から「LI02」にバージョンアップしました。ワゴンが引出し2段から3段に増えるとともに、デスクライトはDL03Sと同じ調色式に。また、上棚にタブレットスタンドが付属します。デスクの脚も少し変わりました。
一方で、組立式のようなクオリティーの引出しと、低品質な黒塗りのフルスライドレールは継続。価格は昨年度の税込39,990円からアップして期間限定で同47,990円に値上がりしているものの、通常価格は記載されていません。ズバリ同49,990円でしょうか。
これは3万円台だから売れていたのであって、4万円台ではさすがに厳しいと思います。
くみあわせデスク LI02
スタンダードデスクLIが好調だからでしょう。2026年度はLIを組み替え式デスクにアレンジした「くみあわせデスクLI02」が投入されました。
こちらも通常価格を明らかにすることなく、期間限定で税込66,990円と大変お買い得となっております(笑)くみあわせデスクDL03よりは1万円安いということで、ほかの家具店に浮気されなければ売れるかもしれません。
なお、LI02シリーズも今年度からメルシーやDL03と同様にデスク本体とワゴンが単品でも購入できるようになっています。
スタンダードデスク メルシー01
2026年度のニトリの学習机のラインナップを見て、個人的にもっとも驚いたのは「スタンダードデスク メルシー」の変化です。これまでアルファベットだった品番がDLやLIのように「01」と改められたことは去ることながら、シンプルさが魅力だったはずの上棚が非常に残念な形状になっています。
見た目がカッコ悪いだけではありません。片づけが苦手だと自認する方が喜びそうな、教科書やプリントを収納しやすいように最適化されたレターラック部分が最悪です。タンスのゲンにも「現役ママが考えた 学習机 3点セット」という素人が考えたような同様の構造を備えたものがありますけど、結論だけ言うと、収納のプロの方々でこういう収納方法を推奨する人は誰一人いません。
この収納方法がダメな理由について簡単に説明します(分かる人は読み飛ばしてください)。
収納で大切なことのひとつに「モノの定位置を決める」というセオリーがあります。その理屈で言うと、教科ごとに収納場所を決めやすいことはメリットと言える一方、大きなデメリットが2つあります。
まず、教科によって物量が異なること。たとえば算数のプリントなどが多かった場合、枠ひとつで収まりきらずにオーバーフローしたモノは「別に収納場所を決める」必要に迫られます。
もう一つのデメリットは、前述したことと重なる部分が多いですが、モノが増えたときに対処が難しいことです。結局、「片づけが苦手でもモノの定位置を決められる!」と飛びついたのに、セカンドスペースを自分で決める必要性に迫られるうえ、2ヶ所以上にモノが分散して片づけのハードルを上げることになります。
この収納方法を維持できるのは、毎日、教科ごとにプリントなどの量をキープできる小まめな人だけです。片づけが苦手だと思うなら、絶対に手を出さないでください。せっかくの手が届きやすいポールポジションが、収納スペースではなくデッド(死蔵)スペースになります。
メルシー01は前年度モデルと比較して上棚が大型化したほか、デスクライトは調色式になるとともに、デスク本体引出しがフルスライドレールにバージョンアップしています。それで1万円アップの税込69,990円になったということならコスト的には納得できないこともありません。
しかし、写真で見るよりも実物はもっと残念です。これまでは天板にアルダー材っぽい木目の突板が使われていましたが、メルシー01の木目はムラが多く汚くてコンパネ(構造用合板)みたいです。また、上棚も天然木っぽさが失われており、カラーボックスみたいな質感です。私だったら絶対にこの値段で買いませんし、読者の方にもまったくオススメできません。これまで10年以上に渡って何度もマイナーチェンジを繰り返してきたメルシーですが、今回のは史上最悪の出来栄えだと思います。
ちなみに、例年通り、メルシー01にはくみあわせデスク(税込89,990円)、デスク本体のみ(同29,990円)、ワゴンのみ(同14,900円)がラインナップされていますが、ユニットデスクは今のところ姿が見られません。近年のメルシーは主力と言えるほど売れ行きが芳しくなく、またユニットデスクは新年度まで在庫を持ち越すことが多いので、販売を見合わせた可能性が高いと考えます。
スタンダードデスク SC02
フレンチカントリー風の「スタンダードデスク SC」(旧・シナモ)は01から「02」にマイナーチェンジ。ワゴンの引出しを1杯、上棚の小引出しも1杯省くことでコストダウンを図り、おねだんそのまま税込59,990円を維持しました。
SCは長く続いているモデルではあるものの、ある年はユニットデスクになったり、店頭に並ばなかったりと、スタメンとベンチ入りを行ったり来たりの状態なので、今年度の実質値上げは致し方なしでしょう。
スタンダードデスク WR01
くろがね工作所の「キュートガール」(販売終了)に似た「スタンダードデスク WR01」(旧・ルミエ)は、デスクライトが調色式になって旧モデル(WR24)より1万円アップの税込79,990円。
商品説明には”デコシールが付属”と記載されているものの、写真からは覗えません。ニトリの商品説明は前年度のものをコピペしたと思われるものが多く、注意が必要です。
なお、同じく「クールボーイ」(販売終了)似の「スタンダードデスク WC01」(旧・クロ)も1万円アップの税込79,990円となっています。
シェルフデスク JH01
2026年度のニトリは血迷ったように大型のシェルフデスクを4モデルも投入しています。これまで何度も辛酸を味わってもなお、リベンジを狙う気概は素晴らしいと思います。
「シェルフデスク JH01」はLI02をシェルフデスク化したようなデザイン。LIシリーズの販売実績と、このボリュームで税込59,990円という価格なら、売れるんじゃないかと思います。
ただ、デスクはキャスター付きで組み替えがしやすい一方、消しゴムを使うたびに揺れますからね。学習環境としてはオススメできません。
シェルフデスク TF01
「シェルフデスク TF01」は壁面収納家具のようなシェルフデスクです。デスク、シェルフともに、テーパー脚になっている点が特徴的なデザインとなっています。
こちらもデスクはキャスター付き。通常価格は不明ながら、期間限定で税込76,990円と大変お求めやすくなっております。公取さん、出番ですよ(笑)
シェルフデスク LH01
「シェルフデスク LH01」がモチーフとしたのは間違いなくアクタスの「リピア」(販売終了)でしょう。ラダー状のシェルフフレームに、テーパー脚のデスク。後ろ脚にキャスターが付いているのは「アスパイア」を参考にしたのかもしれません。
個人的には好きなデザインなんですけど、ニトリ史上最高クラスとなる税込99,990円ではさすがにちょっと厳しいかなと思います。
ワイドハイデスク LW01
「ワイドハイデスク LW01」はシェルフデスクと言うよりも上棚ハイタイプのベーシックデスクです。一瞬、大商産業の「WEX-100」かと思いましたが、価格は税込99,990円。本気で売れると思ったのでしょうか。
奥行50cmのデスクでは奥に教科書などを並べるには厳しく、一方で上段の棚は小学生では手が届きません。どんな方をターゲットに開発したのか、興味深いですね。
組み換えデスク DD01
「組み換えデスク DD01」は120×72cmのダイニングテーブルに書棚をドッキングさせたユニークなデスクです。書棚は上写真のようにユニットデスク風にレイアウトするほか、横倒しにしてL型デスクにしたり、足元棚として活用するなど、計5パターンの組み替えが可能です。
個人的にはとても面白い商品だと思うのですが、値段が拙い。これで税込59,990円ならコイズミファニテックの「ミニマル」を買ったほうが良いと思いますよ。
スタンダードデスク XA01
主力デスクは軒並み値上げ、一方で勝ち筋の見えない高価格帯のシェルフデスクを複数投入したニトリの2026年度ラインナップにおいて、個人的に注目したのは「スタンダードデスク XA01」です。浜本工芸の「No.09デスク」をモチーフとした脚が特徴的な、バックパネル付きのデスクです。
天然木ではなく塩ビのフィルムを貼ったチープな天板ですが、税込39,990円という手頃な価格なので売れる可能性は十分にあるでしょう。ただ、実物はまだ見れていないので横揺れが心配です。
システムベッド デニッシュ01
近年、ニトリで人気上位となっている「システムベッド デニッシュ」はフルモデルチェンジの様相です。デスクが上棚付きのような形状となるとともに、3段カラーボックスがスリム化、デスクライトが調色式になるなどして、期間限定価格で税込94,990円。通常価格は表示されていないものの、従来型(25N)の同89,990円よりも値上がりしていることは間違いないです。
さすがにこの価格では厳しいと思ったのか、「システムベッド KK01」という商品が税込79,990円で投入されています。しかしながら、システムベッドKK01はサイドレール(ベッドの柵)がカラーボードそのものという感じで、少し力を加えればグラグラします。おねだん以下ニトリですね。
という感じで、2026年度のニトリの学習家具ラインナップを紹介しました。片っ端から紹介したように思われたかもしれませんが、これでもほんの一部です。近年のニトリは前年度を踏襲することが多かったですけど、今年度はすごく力が入っています。オンライン、オフラインの展開も、1ヶ月近く早い印象です。
内容を見ても引出しにフルスライドレールやデスクライトに調色機能を採用するなど、私が喜びそうなスペックアップが盛り込まれている点は評価できると思います。実質値上げについてもこのご時世ですから致し方ないでしょう。
ただ、全体を俯瞰すると非常に悪いです。馬鹿なコンサルが「少子化などで数が出なくなっているんだから価格帯を上げていきましょう!」と言うのを鵜呑みにしたようなラインナップだと思います。
消費者がニトリに求めるのは低価格と安心感です。大手学習机メーカーのような品質やデザインは求めていません。2026年度のニトリのラインナップはそこを完全に履き違えてしまっています。
主力のDL03などの実質値上げにより、コイズミファニテックのCDコンパクトなどと対等に比較できる状態になってしまいました。では、消費者が老舗家具店に戻ってくるかと言うと、それはないでしょう。消費者はニトリでは満たされない低価格を求めて、ほかのネットショップに向かうことになると思います。
つまるところ、ニトリは仮想敵を見誤りました。消費者が低価格のネット通販にシフトしているのに、既に攻略したはずの大手メーカーを追いかけて行ってしまったのです。そこにはニトリが欲する数の消費者はいませんし、その消費者もニトリには何も期待していません。
この調子だと、ニトリの低迷はまだしばらく続きそうですねー。
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