
文部科学省「令和6年度学校保健統計(報道発表)」によると、裸眼視力1.0未満の者の割合は、学校段階が進むにつれて高くなっており、小学校で3割を超えて、中学校で6割程度、高等学校で7割程度となっています。この現実に対し、文部科学省は、(1)できるだけ外で遊ぶ、(2)長時間に渡って近くを見ないことの2点を推奨しています。また、(2)に関してはより具体的に、(イ)明るい部屋で、(ロ)近くで見ない、(ハ)ときどき休憩を取ることが大事だと述べています。
我々日本国民にもお上の意向が十分に伝わっているようで、学習用デスクライトは好調に売れていると感じています。どのような学習用デスクライトが目にやさしいかを日々研究し、最適と思われるものを推奨している私としても、この傾向は大変結構なことであると考えております。
ただ、ぶっちゃけて言うと、近視を防ぐためには最適な明るさよりも、姿勢良く座ることのほうが重要です。これは「(ロ)近くで見ない」という点にも密接に関わってきます。
姿勢を正すと良いことばかりです。首や肩、背中に、無駄な負担が掛からない。カッコ良く、もしくは美しく見える。スポーツでも良い成績を出すことができる。逆に、デメリットなど一つも思い浮かばないはずです。
しかし、頭で分かっていても、悪い習慣というのはなかなかやめられないものです。親がいくら口を酸っぱくして、目が悪くなることのデメリットを伝え、姿勢良くしなさいと注意しても、子供はなかなか聞いてくれやしません。それどころか、眼鏡を掛けてみたいなどと言うのですから、親としては始末に負えないですよね。
そんなとき、子供の姿勢が良くなる椅子があると聞いたら、親としてはうれしいことでしょう。実際のところ、そんな椅子を与えたところで姿勢良く座ってくれるかどうかはお子さん次第ですが、姿勢が改善される可能性は高まります。
今回は子供の姿勢に良い学習椅子の条件について説明したうえで、最適な商品を10点セレクトして紹介したいと思います。
- Q子供の姿勢に良い学習椅子の条件は?
- A
子供の体格および成長に合わせて調整できることが推奨されます。座面の奥行、高さ、足置きの高さの調節が容易であることが好ましいです。また、無理なく良い姿勢を保つことができる特徴的な構造を備えているものならより良いでしょう。
※この記事は2025年8月12日にリライトしたものです
子供の姿勢に良い椅子の条件

勉強をするとき(ノートなどに鉛筆で記入するとき)の正しい姿勢は、(1)背筋を伸ばすことはもちろんのこととして、(2)目から手元までは30cm以上離し、(3)肘の角度は90度ないしそれ以上にするのが理想的です。基本的にそれを意識して、もしくは無意識に実践できれば、どのような椅子であっても良い姿勢を維持できると思います。
しかし、天板高と座面高のバランスが合っていなければ、上記の状態は達成できません。併せて、以下の条件を満たした椅子であれば姿勢良く座りやすいと言えます。
- 座面の奥行と高さが調節できる
- 足置きの高さが調節できる
座面は高さを調節できるだけでなく、奥行も調節できたほうが良いです。体格に合った座面の奥行深くまで座ることで、背筋を伸ばすことを意識しやすいからです。また、座面の奥行が合っていることで、足置きの上に自然と足を乗せやすくなります。
足置きの上に足が乗れば、前屈みになるのを防ぎやすくなります。しかし、それも高さが脚(膝から下)の長さに合っていればこそです。足置きの上に足を乗せることで、安定感が増し、集中力が高まるというメリットも生じます。
なお、これらの条件は必須というわけではありません。バランスチェアのように座面の奥行を調節する必要のないものや、天板昇降式デスク用のチェアのように足置きを必要としないものもあるからです。これらの条件は一般的な木製学習椅子や学習用回転チェアに当てはめるものとお考え下さい。
子供の姿勢に良い学習椅子など10選
回転チェア系
イトーキ/KS32
税込価格 | 29,900円 |
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サイズ | W540×D520×H825〜895mm SH480〜550mm |
関連商品 | KS5 |
まずは条件にピッタリ合う正統派から順にご紹介しましょう。イトーキの「KS32」は背もたれが前後&上下同時にスライドするようになっており、子供の体の大きさにぴったりフィットします。また、背中をもたれさせるとチルト(傾斜)するので、ときどき休憩するにも最適です。
そのほか、面の大きな足置きが付いており、安定感が高まるとともに、勉強に集中することができます。座面の回転をロックするストッパーも付いています。背もたれのチルト機能やキャスター荷重ロック機能などを省いたお手頃モデルの「KS5」もあります。
コイズミファニテック/ハイブリッドチェア
税込価格 | 29,800円 |
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サイズ | W456×D525~550×H765~875mm SH435~545mm |
関連商品 | ファブリックタイプ(ミドルバック) |
コイズミファニテックの「ハイブリッドチェア」は回転チェアのように見えて座面が回転しない椅子です。そのため、子供がぐるぐる回って遊ぶ心配がありません。脚部が4本脚構造なので、椅子を引いたり机の下に収める動作もスムーズになります。
ハイブリッドチェアは座面が前後することで子供の成長にフィットします。座面はモールドウレタンでできており、もっちりとした感触で、耐久性にも優れます。PVCレザータイプのほか、背もたれが高めで布張りのファブリックタイプもあります。
ドリームウェア/DR-289BY
税込価格 | 34,800円 |
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サイズ | W470×D470~550×H790~900mm SH420~530mm |
ドリームウェアの「デュオレスト DR-289BY」は背板が2枚に分かれた構造で、背筋にぴったりとフィットします。背板は前後&上下同時にスライドし、子供の体格に合わせてフィットします。
座面はモールドウレタンのポリウレタンレザー張り。公式ショップでは現在ブラック色のみですが、ネイビー色とピンク色もあります。ニトリでも以前は店頭で扱っていたのですが、現在はネット販売のみのようです。
アーユル・チェアージャパン/スタディ
税込価格 | 75,240円 |
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サイズ | W530×D530×H最大780mm SH410~550mm |
関連商品 | 足置きリングなし
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アーユル・チェアージャパンの「スタディ&足置きリングセット」は座面の奥行を調節することはできません。座面と腰あての高さを調節できるようになっています。
アーユルチェアは座骨で座る椅子です。尾てい骨を意識してお尻を乗せる感じで座ると、自然と背筋がまっすぐになります。なお、座面は回転しないようになっています。高価ですが、10日間無料で試すことが可能です(要送料負担)。
木製チェア系
飛騨産業/TF268コブリナチェア
税込価格 | 66,000円 |
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サイズ | W440×D425×H740mm SH420~510mm |
飛騨産業の「TF268コブリナチェア」はただオシャレな4本脚チェアではありません。座面の後ろのほうが8度前傾しており、骨盤の後転を防いでくれます。それによって背筋がごく自然にピンと伸びるのですね。理屈としてはアーユルチェアと同様です。
座面の奥行調節は座面の上下調節に連動する仕組みです。高さと奥行は3段階でしか変わりませんが、実際のところ、それで充分です。木製チェアの場合、それより細かく調節できても、組み直すのが面倒だからです。
カリモク家具/Fステップチェア
税込価格 | 56,320〜63,140円 |
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サイズ | W480×D510~560×H785mm SH431~575mm |
カリモク家具の「Fステップチェア(CD1027)」は積層合板をベントさせたシンプルなデザインが大きな特徴です。また、足置きが大きく、安定感が生まれるとともに、勉強に集中することができます。別売のベビーガードをセットすることで、乳児期から使うこともできます。
こちらも座面の高さ調節とともに奥行が調節できる仕組みです。合成皮革または布から張地を選ぶことができます。「CU1017」のような形状のスキー脚なので、フローリングだけでなくカーペットの上でも使うことができます。
カリモク家具/クレシェ
税込価格 | 55,660円 |
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サイズ | W478(470) ×D550~560×H800mm SH430~520mm |
カリモク家具の「クレシェ(XT2401)」も座面の高さと奥行が連動して調節できる仕組みです。背も座面も布バネを使用しており、とても座り心地が良いだけでなく、軽くて持ち運びやすいこともメリットです。
また、座面幅が学習椅子としてはワイドで、窮屈さを感じにくいことも特徴の一つと言えます。姿勢を維持するためには体を固定したほうが良いものの、体を動かしやすいほうが集中力が高まることが近年の研究で分かっています。
バランスチェア系
バランスラボ/バランスイージー
税込価格 | 48,290円 |
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サイズ | W530×D620~720×H540mm |
関連商品 | ショートフレーム |
バランスラボの「バランスイージー(通常フレーム)」は正座に近い座り方なので自然と背筋が伸びます。
座面の高さや奥行を調節することはできません。基本的には傾斜した座面にお尻を乗せる位置を調節して対応します。またそのために、膝置きの高さが調節できるようになっています。身長が145cm以上になったらショートフレームに買い替えるか、天板昇降式のデスク(天板高700mm以上で調節できるもの)と組み合わせるのが適切です。
座面高などを調節できる類似品はたくさんありますが、座面高を上げたときに座面の傾斜角度が急すぎてお尻が滑り落ちやすく、膝への負担も大きくなります。残念ながら学童用の類似品でマトモなものはありません。なお、バランスイージーには90日間全額返金保証が付いています。
姿勢補助具
MTG/スタイルキッズ

税込価格 | 6,930円 |
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サイズ | W360×D320×H280mm |
関連商品 | 大人用等 |
もっと手軽に姿勢を矯正したいなら、学習椅子の座面に置くだけで使えるMTGの「スタイルキッズ」がオススメです。これも原理としてはアーユルチェアやコブリナチェアに近いと言えます。
実は私も普段からオフィスチェアに大人用の「ボディメイクシートスタイル」をセットして座っています。最初の頃は骨盤が矯正されて痛かったですけど、今はもう何ともありません。自分で言うのもナンですが、良い姿勢をキープできていると思います。
ドリームズ/ふんばるず
税込価格 | 2,970円 |
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サイズ | W160×D140×H200mm |
関連商品 | キャラクター各種 |
姿勢は椅子だけで改善することはできません。本人が意識して正しい姿勢をキープする必要があります。そんなときに役立つのがドリームズの「ふんばるず」。天板とおなかの間に挟むことで、自然に背筋を伸ばすことができます。
実のところ、同様の効果を得るだけなら、ペットボトルでも市販のぬいぐるみでもOKです。しかしながら、ふんばるずなら離席しても天板の上に踏ん張ってくれるので、いちいちセットする手間がありません。何よりクソかわいいので、机に向かうのが楽しくなります。現在はちいかわやサンリオのキャラクターなども加わり、ラインナップが豊富です。
以上、子供の姿勢に良い学習椅子の条件について説明したうえで、姿勢の改善に役立つ学習椅子8脚と姿勢補助具2アイテムを紹介しました。
基本的に座面の高さを調節できる一般的な学習椅子であれば、姿勢良く座ることができます。しかし、姿勢を意識できるひと工夫がないと、意識することを忘れてしまいがちです。安物の椅子を買って親が何度も注意するよりは、姿勢改善効果の期待できる椅子を購入したほうがコスパが良いのではないでしょうか。
座面の奥行が調節できると、背もたれが背中に当たって姿勢を意識しやすく、のけぞってだらしなく座ることもありません。また、大きな足置きが付いていれば、姿勢が前傾するのを防ぐ効果があり、安心感と集中力向上にも役立ちます。
個人的にはバランスチェア推奨派の私ですが、國新産業の「バランススタディジュニア」なき今、悩ましい状況ですね。大人用の現行モデル「balans(R) chair」なら身長130cm以上から使うことができ、高さや前後方向の調節も可能なので、小学校中学年以降から検討してもらうのも一つの方法だと思います。
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コメント 皆様からご質問・ご意見など
はじめまして。
2021年入学予定の長女のために学習机を検討しています。
3学年下の妹の分と合わせ2台購入し、リビング横和室(畳の上にジョイントマットを敷く)に並べる予定です。
こちらのサイトを読ませていただき、予算とも相談し、現状ではコイズミのビーノ(105)かケユカのニノスが有力候補です(いずれもワゴン、上置き棚の3点セットで)。
ちなみに、ほかに検討していたのは無印良品、ベルメゾンの優しいデスク、イトーキ等です。
さて、この度ご質問したいのは椅子についてです。
長女は食卓で何か書くときに椅子に斜めに座るなどしており、姿勢を正すことを意識させたいのですが、なかなか…という状況です。
なので、学習机に合わせる椅子は、バランスチェアが良いかなと考え中です。
椅子を引かなくてもいいということも、バランスチェア推しの大きな要素です。
他方で、木製チェアの足元にランドセルを置けるものも収納がない家なので気になります。
(ちゃんとそこに置くだろうか…というのも気になりますが。)
また、次女は学習机購入時3歳なのでバランスチェアはまだ早いですよね。
次女入学時に椅子を買い替える程度の予算はつけられると思いますが、家具を処分する面倒さは避けたい気持ちもあります。
このような状況で3年後(もっと先)まで見据えた椅子のプランにアドバイスいただければと思います。
よろしくお願いします。
やまだ家さま
はじめまして^^
2021年度ご入学予定のお嬢様と、もうすぐ3歳のお嬢様に学習机をご用意されるなんて、随分と用意が良いですね!
でも、幼児学習のことなども考えると、早くから自分の机に親しむことは良いことだと思います^^
さて、コイズミファニテックのビーノもしくはケユカのニノスに合わせるバランスチェアをご検討中ということですね。
先に我が家の場合の話をさせていただきますと、我が家では娘が5歳、息子が2歳になったばかりのときに、2人分の学習机を購入しました。
また、そのときは娘に子供用のバランススタディジュニア、息子には大人用のバランススタディを使わせ、娘が小学校3年生になった頃に娘に大人用、息子に子供用を使わせるようにしました。
未就学児のお絵描き程度なら、大人用で高さが合っていなくても何とかなったのかなという感じです。
(その後、息子が小学校3年生になったくらいで子供用は手放し、大人用を追加で購入して現在に至ります)
【参考】浜本工芸の学習机が届きました♪(レビュー、感想)
もちろん、子供の成長に合わせて最適な高さの椅子を買うのが理想的であることは言うまでもありません。
ですが、買い替えるとなるとお金がもったいないような気がしますし、まだ使える椅子を手放すのも難しいものです。
なので、我が家では前述のような手順を踏んだ次第です。
ちなみに、現在は子供用のバランススタディジュニアは廃番となっており、大人用のバランススタディしかありません。
(※國新産業直営オンラインショップではホワイトレッドのみまだ在庫があるようです)
高さ調節可能なバランスチェアもありますが、角度だったり、ウレタンの耐久性の面では、ちょっと微妙かなという感じもします。
【参考】HAG社バランススタディの類似品「バックボーンチェアー」なるものを買ってみました
ランドセルを置く場所のことも考えると、足元収納付きの木製チェアを検討するのもひとつの方法かもしれません。
ただ、その場合はジョイントマットの上だと動かしにくいと申しますか、ジョイントマットがすぐにボロボロになってしまう可能性があります。
もっとも、バランスチェアを置いても遅かれ早かれジョイントマットがボロボロになる可能性があるので、この際にカーペットに変えてもらったほうが良いかもしれません。
なお、椅子の足元に棚があってもそこにランドセルを置くご家庭は少ないというのが実際のところです。
お子さんによって一概に言えないものの、やはり足元に屈んで出し入れするというのはやりにくようです。
重いランドセルを椅子の下に置くと、重くて椅子が動かしにくいという問題もあると思います。
以上を踏まえますと、ランドセルの置き場所は別の場所を考えるのが得策です。
デスク横のフック、近くの棚の上などが理想的です。
椅子はご予算に応じたバランスチェアのほか、足置きが大きめの木製椅子を検討するというのも選択肢かもしれません。
こちらもなかなか選択肢が多くはないのですがご検討ください^^
【参考】子供が落ち着いて座れる!足置きステップが大きな学習椅子まとめ
さっそくのお返事ありがとうございます。
バランスチェアは値段も様々ありますが、モノによっては角度が悪いものもあるのですね。
しかも調べた限りたいていのものは、身長130㎝から対応ですね。おすすめのバランススタディジュニアが廃番杯盤となると、1年生から使えるものは探すのが大変そうです。
足置き大きめの木製椅子も検討したいと思います。
ご指摘のジョイントマットですが、確かにジョイントマットの上に椅子を置くとマットがへこみますし、椅子の出し入れはしにくそうですね。
畳にカーペットというと、昔の大きなピンで固定していたような印象しかないのですが、今時のカーペットはそのような固定は不要なのでしょうか。
我が家の和室は周囲50㎝幅くらいは板張りで真ん中が畳という変わったつくりで、板張りの部分にピンはさせないなぁという考えから、カーペットを除外していました。
やまだ家さま
実際のところ、高さ調節が可能なバランスチェアの多くは身長100cmくらいからでも座れると思います。
ただ、対象年齢を絞ることで安全性を担保するために、身長130cm以上と表示しているんだと私は考えています。
畳にカーペットを敷く場合は、厚手でシッカリとした重量感のあるものを選んでください。
薄手のものはすぐにめくれ上がってしまうだけでなく、波打って使いにくいです。
ただ、厚手でも重くてもピンで固定しないとめくれたりズレたりする可能性はあります。
周囲が板の間という構造でしたら、思い切って全体にカーペットを敷き込むのも方法かもしれませんね。
板の間なら吸着カーペットテープなどで固定することもできます。
椅子の話題から外れて、カーペットの話までアドバイスいただきありがとうございます。
カーペットとピンやテープもよく検討して、決めていきたいと思います。
やまだ家さま
椅子の下に何を敷くかというのはとても重要なことです。
じっくりとご検討いただければと思います^^