浜本工芸に聞いてみた!一見分かりにくい品番の本当の意味

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前回は浜本工芸に取材して、ナラ無垢にトコトンこだわる理由を徹底的に聞き取りました。浜本工芸の学習机に使われているナラやオークが、いかに安心でコスパ最高かがお分りいただけたことと思います。

前回
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当ブログではお馴染みとなっております浜本工芸ですが、実は今まで単独取材をさせていただいたことはありませんでした。 しかし、今年は浜本工芸とわたくし学習机評論家でコラボ学習家具「たなとつくえ」を発売したということもあって、改めて浜本工芸につい...

今回は引き続き浜本工芸開発部のKさんに、浜本工芸の学習机について気になる質問をいくつもぶつけてみました!

※この記事は2017年11月18日時点の情報に基づいています

 

ぶっちゃけ品番が分かりにくいのですが?

浜本工芸・No.05/06/07/09デスク

収納マン:浜本工芸の学習机には長く続いている定番のデザインのものがいくつかあります。しかし、仕様変更の度に品番が変わるので、「浜本工芸と言えばNo.05デスクだよねー」などという会話が成り立ちません(注:No.05デスクは現在のNo.09デスクのデザインの2013年度モデル)。消費者的にはすごく分かりにくくて満足度が低くなってしまうんですけど、どうしてこのような品番にされているのですか?

Kさん:当社の学習デスクは1年単位でラインナップが更新されます。その中で、前年度から継続するモデルにおいても毎年改良を加えています。ですので、同じ品番による新旧の混同を避けるため、少しでも仕様を変更したモデルは品番を変えています。消費者様にとって判りにくいというご指摘はごもっともですが、ご理解頂けましたらと思います。

品番についての余談ですが、当社の商品開発全般において、昔から品番には固有名詞をつけず、いわゆる型番(数字)のみにしています。それは、商品単体もしくはシリーズによるブランドでは無く、「浜本工芸の家具」という大きなくくりの中の一機種という意味合いが込められています。

例えば日本車でしたらトヨタの「カローラ」という固有名詞に対して、外国車で言うところのBMW「○シリーズ」といった感じでしょうか。日本車が商品単体のブランド名で展開していくのに対して、外国車はメーカー全体としてのブランドの中の「型番」で展開することが多いように感じます。当社としましても、ここで言う外国車と同じように、まずは「浜本工芸」という一つのブランド全体を気に入って頂き、そこからサイズや使い方で商品を選んで頂けるような流れが理想的だと考えています。

収納マン:なるほど、やはりBMWの「○シリーズ」みたいな感じで品番を付けているんですね。そしてそれはそれぞれの商品単体ではなく、浜本工芸の家具というブランドで見て欲しいという思いのひとつの表れということですか。

しかし、それにしたって、No.09デスクはNo.05デスクの後継モデルというのは分かりにくいんじゃないですか?

Kさん:品番の付け方は、基本的には頭の一桁目をシリーズ名とし、仕様変更に伴う更新を二桁目で表しています。

  • (例)No.09デスク…「No.0シリーズ」の最新モデルが「No.09」
  • (例)No.17デスク…「No.1シリーズ」の最新モデルが「No.17」

収納マン:な~んだ!それなら「浜本工芸の学習机と言えばナンバーゼロだよねー」という風に語り合えば良いわけですねー。

 

上棚やワゴンを買わない人が増えている?

収納マン:御社製品に限った話ではありませんが、近年、上棚を買わずに平机として、もしくは「引出しはそんなに要らない」と言って上棚+デスクというかたちで購入される方も増えていると聞きます。デスクを買ってから数年後にワゴンを買うという方もいらっしゃるので、統計を取るのは難しいかと思いますが、実際のところどうなんでしょう?

Kさん:以前はデスク本体にワゴンをセットにして販売していましたが、おっしゃる通りニーズの多様化に伴い、近年はそれぞれ単品で販売しています。最近の状況をざっくり言いますと、デスク本体の販売数に対し、ワゴンはその80%、上棚は50%の購入率です。また、ワゴンや上棚の代わりに、ラックや書棚等と組み合わせて買われるケースも増えている様に感じます。

収納マン:へー!ワゴンは思ったほどセット率が低くなくてちょっと安心しました。一方で、ラックや書棚をセットで買われるというケースが増えているところを見ると、決して予算の問題ではなく、むしろトータルコーディネートを重視される方が増えているように感じますね。

 

昇降袖は引出し3段のAより2段のBのほうが人気?


↑No.09 昇降袖B

収納マン:読者の方から聞いた話なのですが、最近は引出し3段タイプの昇降袖Aよりも、引出し2段タイプの昇降袖Bのほうが人気があるというのは本当でしょうか?また、天板が昇降しない移動袖Aの人気はいかがでしょうか?

Kさん:例えばNo.09デスクの場合は、昇降袖A:昇降袖B:移動袖Aの販売比率が、63:25:12といった感じです。人気というよりは、お客様それぞれの使い方や考え方で、昇降の有無や引出しの数を選んで頂ければ、と思っています。

収納マン:あれれ!?昇降袖Aのほうがよく売れてるんですね!ともあれ、お客様それぞれのニーズに合わせて選んで欲しいというのは、まったくその通りだと思います。

 

学習机の平均購入率は本当に下がっている?

収納マン:JOIFA(日本オフィス家具協会)の発表によると、学習机の平均購入率は年々下がっているそうです。しかし一方で、家具販売店に話を聞くと、確かに典型的な学習机の比率は下がっているものの、代わりにカジュアルデスクなどを買って行かれる方も多いので、机全体での購入率が下がっているという印象はないというような話も聞きます。御社としては実感としてどんな感じでしょうか?

Kさん:当社のデスクを購入されるお客様は「良い物を長く使いたい」ということにこだわる方が多く、そのような購入層は大きく変化していないように感じます。したがって、「購入率の低下」についても、当社としてはあまり実感がありません。

収納マン:やはり…。学習机市場全体で見れば「購入率の低下」は確かに顕著ですけど、家具販売店の学習机売場を見渡しても御社製品などの高級デスクは以前よりも存在感を増しているように思います。二極化と申しますか、本当の意味で「良い物」を長く使いたいという方は一定数いるのですね。

 

ネット通販でも浜本工芸の学習机を買いたい!

収納マン:近年は大手チェーンの台頭により、地方では家具屋が少なくなっています。それによって浜本工芸の学習机が欲しいと思っても買えないという地域がたくさんあると思います。

そうすると消費者としてはネットショップで買えればありがたいと思うのですが、買うことのできるショップが基本的にありません。また、「ここって絶対に正規販売店じゃないよね?」というショップも見受けられます。

非正規販売店が存在することは御社にとっても消費者にとっても良いことではありませんが、こういうお店に販売の停止を求めることはできないのでしょうか?また、消費者としては浜本工芸の学習机がネットでも買えることを切望しますが、これは実現できないのでしょうか?

Kさん:まず、非正規販売店のネット販売については、当社としましても、非正規の業者に対しては常に販売停止を求めています。

また、浜本工芸商品のネット販売については、基本的な方針として、当社はあくまでもメーカーとして卸販売の立場を守り、家具小売店の店頭で実際の商品を見て、納得して購入して頂く、という販売スタイルを大切にしています。しかしながら、家具のネット販売が当たり前になりつつある現状もご指摘の通りですので、状況を見ながら、ネット販売については今後の課題としていきたいと考えています。

 

浜本工芸からのメッセージ

収納マン:最後に、これから学習机を買わんとする親御さんたちにメッセージをお願いします。

Kさん:学習デスクは、多くのお子様にとって、初めての自分専用の家具になると思います。情操教育の大切な時期に、本物の、上質な「木」に触れることは、お子様の情緒やセンスを高めていくことにもつながると考えています。

良いものを長く大切に使う。

お子様の学童期、思春期、成人という成長過程を日々見守る大切な家具として、ぜひとも良いものを選んで頂きたいと願っています。

 

いや~、さすがナラ専門家具メーカーの浜本工芸、カタイですね!(爆)ってゆーか、前回のお話もそうでしたが、信念はもっとカタイです!

コラボ学習家具の「たなとつくえ」の件で、私は何度か浜本工芸にお邪魔させていただきましたが、浜本工芸の人たちは社長以下、本当に純粋で真面目な人ばかりなんです。外国人が見たら、「ザッツ!ジャパニーズピーポー!」と言うこと請け合いです。

もちろん冷かしてるわけではないですよー。浜本工芸という会社、人となりを、皆さんによく知っていただきたいのです。

浜本工芸のホームページには以下のように書かれています。

当社は創業より、正直な素材と正直な技術で安心・安全性を高め生涯を通じて愛着を持って使っていただける家具づくりを目指してまいりました。そのこだわりと理念はこれからも変わることはありません。

こういうフレーズは、どこの会社でも言っているようなことでしょう。ですが今回の取材を通じて、浜本工芸は本当に正直に良い家具を作ることだけをやってきた会社だと改めて思わされました。

そういうことって、浜本工芸の人たちは当たり前のことだと思っているでしょうし、ほかとは違うと思ってもそれを自分たちで消費者に伝えるのは難しいでしょう。

だからこそ、私としては浜本工芸の素晴らしさを一人でも多くの方にお伝えする意義を感じるのです。浜本工芸という会社、そしてそこから生み出される家具は、本当に素晴らしいのです。

是非、お近くの家具販売店に足を運んでいただいて、浜本工芸の学習机に触れて、浜本工芸の純粋さを感じ取っていただければと思います!

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この記事を書いた人
収納マン(芝谷 浩)

家具メーカーを退職後、2002年に収納スタイルコーディネーターとして独立。多くのご家庭の片づけの悩みを解決してきました。TVチャンピオン「収納ダメ主婦しつけ王」選手権で優勝するなどメディア出演多数。
長女が小学校に入学するのを機に学習机を購入してブログで報告したところ、学習机について相談が殺到。以後、「学習机評論家」としてメーカーの展示会や販売店に足を運ぶなどして日々情報収集に努めています。詳しいプロフィールはこちら

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コメント 皆様からご質問・ご意見など

  1. hide より:

    収納マン様
    お世話になってます。袖に関して昇降袖Aが圧倒的に売れているというのは意外でした。
    昇降袖Aの2つ浅い引き出しの深さより、昇降袖Bの上の引き出しの方が4センチ近く得してるので、合理的に考えればBと思いますが。おそらく深さは気にせず引き出し2つより3つの方が得との判断なんでしょうね。
    No.09昇降袖Bだと取っ手のデザインの物足りなさでAを選んでしまうのかもしれません。
    昇降Bの方が職人の手がかかってないはずなので、2000円位安く値付けするのもあったかもしれませんね。

    • 収納マン(芝谷 浩) 収納マン より:

      hideさま

      ホント、これは意外でしたよねー。
      hideさんがコメントくださったおかげで、良いことを知ることができました。
      ありがとうございます^^

      昇降袖BよりもAのほうが売れている理由はいろいろ考えられると思いますが、個人的にはBの上段引出しにフルスライドレールが採用されていることをネガティブに捉えている人もいるんじゃないかと思っています。
      浜本工芸の引出しと言えば、やはり金属製のスライドレールなしでもスムーズに引き出せるのが素晴らしいですからね。
      引出しが深くなるとスライドレールが必要とは言え、やはりスライドレールのデメリットを実感して浜本工芸を選ぶ人には、矛盾を感じるのかもしれません。

      もっとも、多くの方が無意識にAを選んでいることのほうが圧倒的に多いとは思います。
      浜本工芸としても、どのタイプが人気かと聞かれるのはちょっと抵抗があったようで、”お客様それぞれの使い方や考え方で、昇降の有無や引出しの数を選んで頂ければ”というのが偽りのない本音のようです。

      浜本工芸と言えば合理性ばかり追求しているのかと思いきや、ニーズは少なくても移動袖Aを用意しているあたり、消費者のニーズを最大限に重視してくれているのだと改めて認識した次第です^^

  2. KYOママ より:

    こちらに書いてよいものかどうかわかりませんが、学習椅子について質問させてください。
    収納マン様のブログを参考に、我が家の、おそらく1990年頃購入したチトセ学習机にあう、学習椅子を探してみたのですが…(昨日添付した写真のとおり、椅子が大人用で息子は足が届かず、姿勢も悪いので、椅子の購入を検討しています。)

    部屋にはコルクマットをしいているのですが、回転椅子と木の椅子ではどちらが低年齢の子ども(猫背ぎみ)によいでしょうか。長年使えれば嬉しいですが、子どもの体優先で、大きくなっても購入すべきなら購入しようかとも思っています。コイズミのベストフィットがいいかなあと思っているのですが、もしも収納マン様が我が家の場合なら、何を購入されるか、もしよければ教えていただけませんか?不躾で申し訳ありません。よろしくお願いいたします。

    • 収納マン(芝谷 浩) 収納マン より:

      KYOママさま

      昨日のお写真の机、チトセのものだったのですねー。
      引出しの持ち手がデスク中央寄りになっていて、引出しの開け閉めがしやすそうで素敵だなーと思っておりました^^

      コルクマットは十分な厚みがありそうですし、表面もシッカリとしているように見えます。
      なので、木製椅子でも回転チェアでも問題ないでしょう。
      ただし、4本脚チェアやスキー脚のチェアはちょっと滑りが悪いかもしれませんね。

      コイズミファニテックのベストフィットチェアも良いでしょう。
      ただし、デスクの足元スペースの幅によってはギリギリかもしれません。

      木製チェアで選ぶなら、コイズミファニテックの4ステップチェアのような形状が理想的でしょうね。
      イトーキのKM48やKM67ももちろん良いと思いますし、こちらほうが足置きステップが大きいので落ち着いて座れると思います。
      いずれも座面幅は広いとは言えませんが、椅子の前脚が斜めなので、お使いの学習机のような脚形状でも斜め後ろから滑り込むようにして座りやすいと思います。

      いずれにせよ、お子さん自身が座りやすいと感じるものがベストです。
      お子さんの成長とともに好みも変わるので、小学生のあいだ使えればOKという感じで問題ないと思います^^

      ちなみに、あらかじめデスク天板の高さと足元スペースの幅をチェックしておいてください。
      デスク天板の高さが確認できていれば、家具販売店の店頭で座った感じが分かりやすいでしょう。

      • KYOママ より:

        お早い対応ありがとうございます。
        デスクは、昔のものなのですが、やはり思い入れもあり、
        実家から引き取ることになったものです。
        かなり古いものでお恥ずかしいですが…。

        4ステップチェアか、ベストフィットチェアかで悩んでおりましたが、
        デスク天板の高さと足元スペースの幅は盲点でした。
        そこは必ずチェックするようにします!
        足置きステップの広さのことも盲点でした。
        非常に参考になるアドバイスありがとうございます。

        イトーキのKM48やKM67も検討してみます。
        家具販売店に行って、子どもに座らせてみようと思います。

        最後になりましたが、お忙しい中
        丁寧かつ理論的にご指導くださり、ありがとうございました。
        収納マン様のおかげで、いいものを購入できそうです!!

        • 収納マン(芝谷 浩) 収納マン より:

          KYOママさま

          学習机は昔から天板高760mm以下のはずですし、お使いのチトセのデスクはワゴン式ではなく固定袖で足元スペースには若干ゆとりがあるはずで、4ステップチェアでもベストフィットチェアでもまず問題ないと思うんですけど、念のためご確認いただければと思います^^

          足置きステップの大型化はこれからスタンダードになっていくと思います。
          店頭では靴を脱いだ状態で試していただくとより分かりやすいでしょう。

          机も親子2代で使ってもらえて喜んでいることでしょう^^
          私も素敵なお話をうかがえてうれしく思っております♪