読者の熊ゴローさんから、昨日(2016年10月25日)のコストコ会員限定メールマガジンに掲載されたイトーキの「ALTAIR(アルタイル)」という学習机について、ご質問がありました。ユーザー・ファーストを掲げる学習机評論家としては、ご期待に応えなくてはなりません。これは誰が何と言おうが不可抗力です。そんなわけで早速、コストコ和泉倉庫店に行って実物を確認して参りました。
※この記事は2016年10月26日時点の情報に基づいています
イトーキ「ALTAIR(アルタイル)」
こちらがコストコで販売開始されたばかりのイトーキの学習机「アルタイル」です。デスク本体は「リーモ」とまったく同じ形ではないかと思います。専用お片付けトレーや使い分けフックといった装備も同じ。もちろん天板はアルダー無垢です。色もティーブラウンで同じじゃないかなーと思います(若干薄いかも?)。
ワゴンの仕様も同じで、最下段はフリーボックス型となっています。引出し内寸もたぶん同じで、違うのは持ち手のデザインだけですね。上棚も含めて、リーモよりものっぺりとした印象のデザインとなっています。
上棚の機能としては、リーモなら可動仕切り板が3枚のところがアルタイルは2枚、小引出しもリーモは2杯のところがアルタイルは1杯となっています。つまり、上棚に関してはコストカットされています。
コストコのオリジナルかどうかは不明
イトーキのアルタイルと言えば、2011年度から2013年度にかけて販売されていた「進学デスク・アルタイル」というのがありました。しかし、それとはコンセプトもデザインも仕様もまったく異なっています。
割りと最近まで使われていたアルタイルの名称が、別の販売店でオリジナル商品として扱われていたとはちょっと考えられません。また、どういう意図でアルタイルの名称を復活させたのかもよく分かりません(たぶん急に新たに商標を取るのが難しかったのではないかと思います)。ですが、こういった過去の経緯を振り返ると、全国に店舗を持つコストコですからオリジナル商品と考えるのが自然ではないかと思います。他店と競合したら、ややこしいですからね。
ちなみに、コストコのオリジナル商品と言えば「KIRKLAND(カークランド)」ですけど、アルタイルはワールドワイドで扱っている商品ではないためかカークランドのブランドは使われていません。
コストコの店舗は現在、北海道から九州まで25店舗。各店舗に10台ずつ突っ込んでも250台です。家具専門店でもないのに10回転なんて立派過ぎると思いますが、6月に突っ込んだポルクで味をしめたんでしょうか。まあこのくらいの台数なら、このくらいの仕様変更でのオリジナルというのは妥当なところではないかと思います。
コストコは決して年会費で稼いでいるわけではない!?
コストコは小売業としては大した利益が出ていなくて、年会費で稼いでいるなんて言われています。もしその通りであるとすれば、コストコ×イトーキのアルタイルは原価スレスレの売価となっているのでしょうか?
アルタイルは学習チェア「KM67」の色違いがセットで、税込64,800円となっています。LEDデスクライトやコンセントボックスは別売というか、店頭には並んでいません。そこでリーモのベーシックデスクに同じ学習チェアをセットにした場合の価格と比較してみましょう(※参照価格は楽天市場での2016年10月26日現在の価格)。
- アルタイル+デスクライト+コンセントボックス=税込80,700円
- リーモ・ベーシックデスク+デスクチェア=税込85,900円
なるほど確かに、アルタイルのほうがコストカットした仕様とは言え、価格だけ見ればお得と言えそうです。ただ、コストコの場合は自分で車に積み込んで、自分で組立設置しなければなりません。他方で近所の家具専門店で購入すれば配送設置まで面倒を見てくれますし、ネットショップでも玄関先までは届けてくれます。
家具の配送設置コストは、1件あたり6,000円ほどと言われていますから、コストコの場合はそれがそのまんま価格に反映されていると言えますし、仕様が若干アレなことを考えると、別に安いと言えるほどのものではないと個人的には思います。むしろコストコにとってはかなりオイシイ商材なんじゃないでしょうか。
というわけで、コストコ×イトーキのアルタイルは価格が安い高いで買う商品ではないと思います。個人的にはリーモのデザインのほうが好みですけど、リーモの取っ手のデザインが好きじゃないとか、上棚に小引出しが2杯も付いているのはけしからんという方には良いのではないかと思います。
それにしても、さすがイトーキ!今年は話題性がちょっと足りないかと思ってたんですけど、やってくれましたねー!
…と喜んでいるのは私と消費者だけなのかもしれませんが、消費者が喜んでくれるのであれば結構なことではないでしょうか。
コメント 皆様からご質問・ご意見など
収納マンさまーっ!
こんなにすぐに記事にしていただけて、大大大感激です!
アルタイルは、やはりリーモベースのオリジナルだったのですね。
リーモとの違い、価格差の検証、イトーキとコストコそれぞれの思惑まで(笑)、いつもながら分かりやすい文章で詳しく解説していただき、とてもよく理解出来ました!
我が家の場合、家具の組み立てが苦手で、その度に険悪な雰囲気が漂うんです。
かわいい娘の為の机が原因で夫婦喧嘩はしたくない・・・!
やはりこの商品は見送り、学習机は家具屋さんで購入する事にしたいと思います。
一瞬、コストコマジックのお買い得感に飛びつきそうになっていましたが、収納マンさまのおかげで頭が冷え、大切な事を思い出させて頂きました。
本当にありがとうございます!
こちらのブログは夏頃より拝読いたしており、お陰さまで大分候補は絞られてきました。
しかしまだ間取りとの兼ね合いで悩む部分もあり、またご相談させて頂けたらと思います。
収納マンさま、今後ともどうぞよろしくお願いいたします!
それにしても、コストコが今は全国に25店舗もあるという事に驚きでした。うちが会員になった10年程前は、まだ数店舗だったかと。
ちなみに私は国内2号店の幕張倉庫店の近所に住んでいます。
先日収納マンさまが幕張にいらしたという記事を読んだ時には「ようこそ!」とコメントしたくて、ウズウズしてしまいました〜(^x^)
熊ゴローさま
私も熊ゴローさんに質問をいただけてありがたかったです^^
渡りに船とはまさにこのことかと思いました。
私は家具に限らず組立や加工が大好きなのですが、ちょっとでも不安があればやはり家具屋さんに設置までお願いするのが良いですね。
もしコストコで買って、駐車場から家の中まで運び入れて、組み立ての途中で部品が足りないとかキズがあったとかなったら…それはもう家の中が嫌なムードになることでしょう^^;
コストコが知らない間に25店舗になっていたことは私も驚きましたー。
私も10年ほど前から会員で、そのときは尼崎までワンシーズンに1回ほど高速を使って行ってたんですけど、当時は外国人のほうが多くてそれほど混んでいませんでした。
2年前に和泉にもできてからは毎月通ってますけど、平日にもかかわらず結構な混雑ぶりで、改めて昔は良かったと思いました^^;
幕張は良いところですよね♪
都内も近いし、買い物をするところもたくさんあって。
海も近いし、サイクリングやドライブにも最適です。
いつでも苦労なくディズニーランドに行けるし、幕張メッセのイベントも気軽に行けるのもうらやましい限りです。
これからが学習机シーズン本番です。
じっくり選んでいただければと思います^^
はじめまして。
学習机を探していたところ、収納マン様のこのサイトを知り、大変勉強になっております。
お忙しいとは思いますが、ぜひ相談に乗っていただきたいことがあります。
以前、取り上げていたカリモクのコーディーですが、デザイン・お値段に惹かれています。
が、収納マン様の評価としては、ワゴンの収納が使いにくい、突き板であること、デザインが好きならピュアナチュールの方が良いとのことだったと思います。
たしかにその通りだと思いましたが、収納に関しては自分でも調べたところ、ワゴンの一段目にペントレーがついており、引き出しユニットの追加購入が出来ます。
これらを利用しても、小物類の収納としては不十分でしょうか。
ご意見を聞かせていただければと思います。
ひなままさま
はじめまして^^
カリモク家具のコーディのペントレーは筆箱1個分程度の収納量で、鉛筆や消しゴムなどを収めるのであれば十分と言えます。
また、袖には2杯の深い引出しがあり、プリントをファイルに綴じて大量に収納するには便利です。
一方で一般的には、学習机周りには様々なモノが集まってきます。
2穴パンチ、スタンプなど、少し大きめの文房具から、学校や通信教材の実験セット的なモノ、学用品とは言えないけれどもオモチャとも言えないようなモノまで実に様々です。
私が収納のプロとして多くのご家庭を見てきた結果分かったことのひとつは、片づかない家は引出しが少なく、棚ばかりだということです。
引出しであれば、適当にモノを放り込んでも閉めてしまえばパッと見た感じ、スッキリします。
他方、棚の場合は小物を体裁の良い箱に収めるなど工夫しなければ、スッキリと見せることができず、また取り出しが不便になりがちで、片づけにくいから片づかない状態と言えます。
また、多くの会社などでヒアリングをしても、「引出しがもっと欲しいくらい」と言われることが多いです。
勉強に最低限必要なモノはランドセルに収まる量で十分、仕事でもカバンひとつで十分です。
普段の生活でも絶対に必要なモノというのは限られていますよね。
ですが現実はと言うと、それ以外のモノが圧倒的に多いのです。
鉛筆一つとっても、入学時は名前入りの鉛筆を数ダースいただいたりします。
どんなに必要最小限を心掛けてもいかんともしがたい状態になります。
また、大人の価値観で言えば不要なモノも、子供は大切にとっておきたがるものです(折り紙で作ったものなど)。
もちろん、ご家庭によって事情は異なりますので、コーディのように引出しの数が少なくても、大丈夫である可能性は十分あります。
逆に、引出しがいくらたくさんあっても、全然活用できていないというケースもあります。
学習机の横に別にチェストを置いて補うことも可能でしょう。
ですので、コーディで十分かどうかは一概には言えません。
あくまで私の経験則から言うと、一般的には難しいのではなかろうかという判断です。
ひなままさまの身の周りのモノの量を参考に決めていただければよろしいかと思います^^
早々にお返事いただき、感激です!ありがとうございます。
たしかに、じぶんの子ども時代を思い出すと、スタンプやら良いにおいのする消しゴムやら、勉強には必要でなくても大切な宝物があり、それらがごっちゃりと引き出しに入っていたように思います・・・^^;
私自身、整理整頓が苦手なので、子どもも同じだと思います。
棚ばかりで引き出しがない、まさにその通りの我が家です^^;
たしかに、勉強以外のものという意味では、全然収納は足りないですよね。
自分の居場所という意味では、何でもしまえる引き出しがある方が良さそうです。
大変参考になりました。ありがとうございます。
ひなままさま
机には勉強に関係ないモノは一切置かず、勉強に集中する…。そういう考え方もあると思います。
もちろんそれを否定するつもりは毛頭ないのですが、私は学習机は単なる勉強のための道具ではなく、子供にとっての相棒、居場所であって欲しいと思います^^
私の家では、洋服以外の子供のモノを全部、学習机とそのそばの棚に収めるようにしています。
そこは子供が自分で責任を持って管理する場所として、好きなように片づけさせています。
必ずしも十分なスペースとは言えないですけど、その範囲で片づける習慣を身に付けてくれれば、もしくは工夫してくれればと願っています。
良くも悪くも子供は親に似るものですから、良いかたちで価値観を共有できると良いですね^^
お世話になります
コーディ、うちも気になっておりましたので、つい出てきてしまいました。
第一候補だったため、また探しなおそうと思いますが、、ほぼコーディに固まっていたためどうしようか困っています。
現在、小学校3年生と1年生の男のこの兄弟の机を購入しようと思っているのですが、片づけれられない兄弟におすすめの机はありますでしょうか。ちなみに、予算は2人で30万円くらいを考えており、置く場所は、子供部屋にしようとおもっています。(2人共有)
いしままさま
はじめまして^^
コーディでほぼ決定のところをひっくり返してしまいましたか。
それは申し訳ありません^^;
でも、お子様方にとって、より片づけやすい環境を実現できるきっかけとなるならば幸いです。
ご兄弟ともに片づけないということですが、私の息子も机の上はいつも散らかっていますし、引出しの中はゴチャゴチャしています。
男の子はそれくらいのほうが活気があって結構というのは、ちょっと古臭い考え方でしょうか^^;
ともあれ、お子様方は片づけられないのではなく、片づけるメリットが分かっていないというところが本当かと思います。
是非、お子様方に合った環境を作っていただければと思います。
それができるのは他でもない、親だけですからね。
ひなままさんからのご質問でも回答させていただいた通り、コーディはファイル類を大量に収納するには適していますが、そういうステージは一般的には塾に通うようになってから…つまり小学校高学年か中学生になってからです。
それまでは、大人が見ればガラクタのようなものを収集する傾向が強いので、浅めの引出しが多いほうが片づけやすいと思います。
そうすると、コーディに近いところで言えば、スパイオキッズですね。
コーディの脚形状に魅力を感じられたのであれば、ピュアナチュールがオススメです。
また、引出しの数や深さも大切ですが、上棚の形状も重要ではないかと思います。
浜本工芸のNo.89ロータイプブックスタンドのように、ブリッジ型となっているもののほうが、多少散らかっても天板面を広くキープしやすいです。
その場合、いかにも学習机っぽい感じになってしまいます。
しかし、机そのものは美しくてもモノを収めようとすると片づけにくくて散らかりがちになるのか、いかにも学習机っぽいけれどもそれなりに片づけやすいのか、どちらが良いかという話ですね。
私は多くのご家庭にお邪魔して、使い勝手のことを考えずに見た目の良い家具を買って失敗するというパターンをたくさん見てきました。
この原則は、学習机でも当てはまると思います。
上棚はないほうがスッキリして見えますけど、その分の収納スペースを担保しなければなりません。
横に棚を置くから問題ないと思っていても、そのちょっとした動作が面倒臭くて、机の上に放りっぱなしにしてしまったりするものです。
カリモク家具にもブリッジ型の上棚の学習机があれば良いのですが、今はないですからね。
浜本工芸のNo.09デスクにNo.89ブックスタンドを組み合わせるのが割りとメジャーなパターンです。
(※後日訂正…No.09デスクにNo.89ブックスタンドを固定することは原則としてできません。)
あとは、リーモのベーシックタイプあたりでしょうか。
最近はベーシックな学習机が減っているので、選択肢はあまり多くなくて微妙に難しいところです^^;
収納マン様
早速のご回答ありがとうございました。下記の言葉、ごもっともだと思いました。親として、できることはやってあげようと思います。浜本工芸の机を明日早速見に行ってみますねっ。
本当にありがとうございました。
>机そのものは美しくてもモノを収めようとすると片づけにくくて散らかりがちになるのか、いかにも学習机っぽいけれどもそれなりに片づけやすいのか、どちらが良いかという話ですね。
いしままさま
つたない言葉にもかかわらず、ご理解いただけて幸いです^^
実際に教科書や文房具、その他諸々、今あるモノからこれから増えるであろうモノまで、すべて満足にというのは難しいですが、できるだけ実際にモノを収めた状態の使い勝手をイメージして、いろいろ見比べていただければと思います。
子供の学習環境を作ることは親の義務であると同時に、喜びの機会でもあります。
是非、親子で楽しみながら模索してみてください♪