無垢板(巾ハギ・集成材)と突板、デスク天板はどっちが良いの?

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以前は材質のランクで学習机を選ぶのが一般的でしたが、近年はデザインで学習机を選ぶことが多くなりました。そのため、学習机の材質にこだわる方はは少なくなったと感じます。

とは言え、材質によって値段が変わることは今も変わらない事実ですから、材質のことを理解しておいて損はありません。そんなわけで今回は、「無垢板(むくいた)」と「突板(つきいた)」の違いについて、それらを比較しながら説明したいと思います。

 

無垢板とは?

私が家具メーカーに勤めていた頃、学習机の天板を「無垢」と言ったら、和家具メーカーの人に笑われたものです。なぜなら無垢とは本来、つなぎ目がない本当の一枚板のことだからです。一方で、学習机の天板などに使われる無垢板は、正確には「巾ハギ材」または「集成材」と呼ぶのが正しいと言えます。

巾ハギ材は集成材の一種と言えるもので、学習机の天板の場合は天板の幅と同じ長さの角材を繋ぎ合わせたもののことです。巾ハギ材も集成材の一種ですが、天板の幅よりも短い角材を接ぎ合わせて、フローリング(床)のような感じになっているものを含むこともあります。ちなみに、集成材でも小さな角材(多くは30×150mm程度)を接ぎ合わせたものの場合はフィンガージョイントと呼ぶこともありますが、近年は学習机で使われることは少ないです。

どんな木を使っていても一枚板が高価で、フィンガージョイントが安価です。それは割れや節などがない大きな板ほど貴重だからです。また、継ぎ目が少ないほど木目が美しく見えます。そして、大きな板を使うほど高度な製材技術やハギ合わせ技術が必要になります。一方で、できるだけ小さな板を使えば価格を抑えるだけでなく、割れや反りを防ぎやすいというメリットもあります。

突板とは?

突板

突板とは、木を薄くスライスしたもののことです。家具では通常、0.2~0.6mm程度のものを使います。

学習机などの天板の場合は、合板に突板を貼ったものを「突板」と呼ぶのが一般的です。なお、学習机の突板天板に使われる合板はMDF合板またはフラッシュ合板(※)が多いと思われます。

印刷した木目ではなく、薄くても天然木そのもののため、パッと見た目には一般の方には無垢との違いが分からないこともあると思います。特に近年は技術が向上し、天板の縁部分に丸みをつけた角材を貼り付けることで、無垢と遜色ないデザイン性を持つものもあります。ただ、天板の横の縁を見ると木目が直角に交わっていることが多いので(上写真)、だいたいはそこを見れば分かると思います。

※フラッシュ合板:学習机の天板の場合は、MDF合板(中質繊維合板)などの上にパーティクルボード(木材のチップを接着剤で固めたもの)の角材を「日」の字型に配置して、さらにその上にMDF合板などを乗せて接着した、中空構造(中央に空洞部分がある構造)の合板。天板に使われる合板としてはほかに、中空ではないMDF合板そのものやハニカムコア合板(蜂の巣状の紙製芯材を用いた中空構造の合板)などがあります。

 

無垢板のメリット・デメリット

  • 木のぬくもりが伝わる(感じがする)
  • 端部を加工することでボリューム感や高級感のあるデザインが可能
  • 世界に1台だけの木目(個性)がある
  • コストが高くなる
  • 製材が良くないと割れたり反ったり波打ったりする場合がある

 

突板のメリット・デメリット

  • コストを安くできる
  • 無垢板のように割れたり反ったり波打ったりする心配がない
  • 木目に個体差が生じにくい
  • 角ばったデザインになることが多い
  • 高級感という点では無垢板に及ばない

 

実用性ではほとんど違いはない

「突板の場合は中空構造の合板が使われている」と説明すると、「穴が開くんじゃないの?」と心配されることがありますが、その心配はありません。物理的には確かにそうですけど、普通に使っていて天板に穴が開くことはちょっと考えられません。ダンベルでも落とせば穴が開くかもしれませんが、無垢板に同程度の衝撃を与えれば修復不可能な程度の打痕(だこん=打ちキズ)になるでしょう。つまり、相当の衝撃に対してはどちらも同じような結果です。

また、「突板は剥がれるんじゃないの?」と心配される方もいますが、少なくとも私はそういう状態になったものを見たことがありません。ただし、彫刻刀のようなもので削ると中の合板が見えることはあると思います。

あと、ダイニングテーブルほどの大きさになると突板の場合は、フラッシュ合板の芯材が浮き上がって見えることがありますが、学習机程度の大きさではそのようなことは生じません。

「無垢板はキズがついても塗り直しができる」と説明を受けることがあります。確かにそれは事実ですが、学習机の天板を塗り直す場合には本体の価格の0.5~1台分相当の費用が掛かりますので、あまり現実的とは言えません。

つまるところ、無垢板でも突板でも実用性ではほとんど違いはないと言えます。

 

高級感重視なら無垢、コスト重視なら突板

前述したように、近年は突板でも木材を細部に使用することで無垢板と遜色ないデザインを実現しているものも増えています(例:コイズミファニテック「コトア」など)。そのため、商品にもよりますが、突板でも十分な満足感を得ることが可能です。

一方で、これはちょっと矛盾するかもしれませんが、無垢板のほうがやっぱり高級感という点では一枚上です。突板でもデザインが良くなってきている現状、コストに見合ったデザインのものでなければ消費者は買ってくれませんから、やっぱりメーカーとしては高級感のあるデザインになるように工夫しています。

ですからもし、2台の学習机が選択肢として挙がっていて、片方が無垢板、片方が突板であれば、高級感重視なら無垢板、コスト重視なら突板ということになるでしょう。また、候補に挙がっている2台の学習机の価格が同じで、片方が無垢板、片方が突板であれば、一般論としては無垢板のほうがお得と言えるかと思います。

ただし、同じオーク無垢と言っても、浜本工芸と無印良品では品質がまったく異なります。かたや高級で木目が美しいだけでなく割れや反りが起こりにくいように手間暇かけて製材しているのに対し、無印良品は明らかにランクが劣ります。そこはやはり値段相応です。

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この記事を書いた人
収納マン(芝谷 浩)

家具メーカーを退職後、2002年に収納スタイルコーディネーターとして独立。多くのご家庭の片づけの悩みを解決してきました。TVチャンピオン「収納ダメ主婦しつけ王」選手権で優勝するなどメディア出演多数。
長女が小学校に入学するのを機に学習机を購入してブログで報告したところ、学習机について相談が殺到。以後、「学習机評論家」としてメーカーの展示会や販売店に足を運ぶなどして日々情報収集に努めています。詳しいプロフィールはこちら

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