前回紹介したカリモク家具によるアンケートでは、デスクを持っていない人でも約8割がその必要を感じている一方で、「置く場所がないから」持っていないと答えた人が1番多いということが分かりました。
大人のデスクでもそうなんですから、子供の学習机でも同じことが言えると思います。でも、私としてはやはり子供のために学習机は置いてもらいたいわけで、今回は「置き場所がない」とあきらめかけている人に向けて、学習机を置くための方法を5つ紹介したいと思います。
家具を買い替えて収納を高層化
まずは以前にも紹介した方法です。いま置いている家具そのままではレイアウトをいくら変更したところで学習机を置く場所を作るのは難しいことが多いです。しかし、たとえば4本並んだ3段カラーボックスを幅80×高さ180cmほどのオープンラックに買い替えるだけで、学習机を1台置けるくらいのスペースは作ることができます。幅45cm×4本=180cmだったところに幅80cmの本棚を置けば、差し引き100cmのスペースが生まれるからです。
言うならばこれは収納家具の高層化とも言うべき手法です。都市部でも区画整理で高層ビルを建てるなどして土地を有効活用するわけですが、家の中でも同じことができると言うか、むしろすべきなんですよね。
高層化だけでなく、レイアウトしやすい大きさの家具に買い替えることも有効です。たとえば120cm幅のサイドボードは置く場所が限られ、それがために他の家具の位置を動かせないということもよくあります。以前の住まいで使っていた家具をそのまま使っている場合などには特に有効な方法と言えます。
学習机に限らず、家具は買い足しではなく買い替えが基本。これはとても重要なテクニックなので、覚えてもらっておくと良いでしょう。
ライティングデスクという方法も
これも家具の買い替えを伴うことが多いかもしれませんが、書棚に代えてライティングデスクを置くという方法もあると思います。子供の手が届かないうちは上段を親が使います。天板はフラップやスライドで開くので、使わないときは省スペースで済むという算段です。
上写真の浜本工芸の「No.90デスク」はそれほど背が高くありませんが、昔ながらの背の高いライティングデスクも健在です。幅100cmのデスクに比べると少し窮屈さを感じるかもしれませんが、ないよりは良いでしょう。
シェルフデスクという方法も
ライティングデスクよりも棚に近いもので、シェルフデスクというスタイルを選ぶのも良いでしょう。上写真のコイズミファニテック「ウォルビー」は奥行40cmのシェルフに奥行55cmのデスク天板セットできるというものです。
カリモク家具の「ボナシェルタ」や浜本工芸の「No.28デスク」、アクタスの「リピア2」、ニトリの「PLABO N」などもこれに近いスタイルと言えます。また、いわゆる組み替え式デスクもシェルフの前にデスクを置くかたちです。
ライフスタイルの変化に注目
家具の買い替えとなると大ごとですが、もう少しミクロな視点で問題解決の糸口が見つかるかもしれません。例えばランドセルを買うと、単純にモノが増えるわけではありません。幼稚園で使っていた通園バッグは不要になるはずです。リビングに置いていたオモチャや着替えを他の場所に移動することだってできます。
新しいモノが入ってくるということは、今まで使っていたモノを使わなくなるということでもあります。ライフスタイルの変化とともに必ず使うモノも変化するのです。優先順位だって変わります。今まで自分で着替えることができなかった子供が自分で着替えることができるようになれば、今まで置いていた場所でなくても問題ない可能性が生じます。
学習机に限らず、新しくモノが入ってくれば古いモノはすべて優先順位も含めて見直すようにしましょう。余談ですが、だから変化に対応できないランドセルラックのようなものは不要なのです。
物置の隅でもいいじゃない!
前回のカリモク家具のアンケートでは、大人がデスクを利用する目的として「自分のスペースを作るため」という回答が多かったわけですが、子供にとってもやはり同様だと思います。率直に言って私は、学習机は勉強のための道具としてよりも子供の居場所としての側面のほうが重要だと考えています。
最近はリビング学習が流行っています。リビングダイニングは親が子供の勉強をサポートしてあげるのに最適な場所です。しかし、どうしても人とモノが集まる場所ですので、そこに置き場所を作るのは難しいということも多いでしょう。また、子供部屋を確保してあげたくても難しいということも少なくないと思います。
それなら物置の隅に学習机を置いても良いと思うのです。逆に考えて欲しいのですが、学習机を子供の居場所と考える場合、リビングダイニングに置いていたら、子供が親に怒られて逃げ込む場所としてふさわしいと言えるか疑問です。それなら物置の隅のほうが子供が逃げ込みやすいのではないでしょうか。
実際、私は子供のころ、机を物置の隅に置いてもらっていました。もちろん逃げ込む場所云々という問題ではなく、台所に置く場所がなく、子供部屋もなかっただけです。でも結果的に、隠れてこっそりゲームボーイをやるには都合が良かったと思います(笑)
ともあれ、何も学習机をリビングダイニングや子供部屋に置かなくてはならないわけではないのです。リビングダイニングで宿題をするけど、学習机は子供部屋や書斎の隅に置いているというお宅も多いです。ウチの息子なんかはその日の気分でいろんなところで勉強をしていて、本人にとってはそれが良いみたいです。ですから本当に、学習机はどこに置いても良いんじゃないかなと私は思います。
以上の通り、本気で学習机を置こうと思えば、方法はきっといくつかあるはずです。また、どのように置き場所を確保して、どこに置いても、万事良いことばかりではありません。収納家具を高くすれば地震対策を考えなければなりませんし、兄弟姉妹がいる場合はすぐにライフスタイルを切り替えできないこともあるでしょう。でも逆に、ゼロベースで家の中を見直すことによって様々な問題が解決したり、子供にとって何がふさわしいのかが分かったりするものです。
これこそが収納の力だと私は考えています。収納とは単にモノをどのようにしまうかというテクニックではないのです。人が何かをするときには必ずモノが必要になり、人が変われば使うモノも変わるのです。これを一つ一つ丁寧に見ていくことが本当の収納であり、全ての家の中のコトの土台となっているのです。
ちょっと話が逸れてしまいましたが、子供のために学習机を置きたいと思ったら、あきらめないでください。絶対に方法があるはずです。少なくとも私が今までお伺いしたお宅ではすべて解決できましたから、きっと何とかなるはずです。
自分では解決できないと思ったら、手書きの簡単な図面で結構ですのでコメント欄に沿えてご相談ください。お子さんにとって居心地の良い空間を一緒に考えましょう!
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