先日、直管蛍光灯の製造と輸出入を2027年末までに禁止するというニュースがありました。電球形蛍光灯は2025年末での製造および輸出入の禁止が既に決まっており、これに直管蛍光灯が加わることですべての一般照明用蛍光灯の製造が終了することになります(在庫品の販売や引き続きの使用は問題ありません)。
かつては演色性が蛍光灯に劣るなどと言われたLEDも現在は高演色のものが普及しており、最近は数千円程度でもRa90以上のデスクライトが買えるようになりました。本当に技術の進歩というのは凄まじいものです。
一方で、プロの画家や写真家にとってはRa90程度では十分ではなく、Ra99でなければならないという人もいるそうです。それはさすがにまだ難しいんじゃないかと思っていましたが、このたび山田照明の「Zライト」ブランドを冠したRa99のデスクライトが発売されました!
※この記事は2023年11月29日時点の情報に基づいています
Z-Chroma Ra99
このたび発売されたのは「Z-Chroma Ra99」というデスクライトです。
Zライトと言えば「Z-80PRO2」のようにZの後には数字が来るのが普通なのに、こちらは”Chroma(彩度)”という英単語になっています。これは一体どうしたことかと思ったら、山田照明単独の商品ではなく、ECショップの運営などを手掛けるナチュラルウェブとの共同開発商品で、”appe(アッペ)”というブランドで販売されるということです。
日亜化学工業の高演色白色LED使用
Z-Chromaの何がスゴイかと言うと、世界初の自然光にもっとも近い高演色デスクライトだということです。自然光(Ra100)に迫るRa99ということですから、もう限りなく自然光です。それでいて紫外線を含みません。ある意味、神への冒涜に近い所業と言えます。
こんなことを成し得たのは、世界で初めて青色LEDの製品化に成功したことで有名な日亜化学工業の次世代高演色白色LED「Optisolis(TM)」を使っているから。それさえ使えば他のメーカーでも同じような商品を作れるんじゃないかと思ったりもするわけですが、とにもかくにもZ-Chromaが世界初だということです。
JIS規格AA形相当で直下1125ルクス
ただぶっちゃけ、学習用でRa99の高演色なんてオーバースペックです。演色性が高いに越したことはありませんが、価格が上がるうえに消費電力も増えますし、何より素人ではあまり実感できないからです。
しかし、照度分布図を見て驚きました。Zライトはだいたい直下照度が1500~2000ルクスと明るすぎることが多いのですが、Z-Chromaは直下が1125ルクスで(セード高60cmの場合)、半径50cm円周上が520ルクスもあります。JIS規格AA形相当という基準を満たしているだけでなく、直下照度を抑えつつ机の端まで十分なあかりを届けることができるのです。
ロータリースイッチ採用
残念ながら、Z-Chromaには調色機能はありません(5000ケルビン固定)。7段階の調光機能のみですが、シェード右端のロータリースイッチで切り替えることができます。Zライトが得意とするプロユースのタスクライトと同じ仕様で、購買意欲をそそられます。
もちろん、Zライトですからアームもヌルヌル動きます。
ベースはZ-208PROか
ただ、ここまで来てアームやセード、ロータリースイッチの形状が「Z-208PRO」(上写真)に酷似していることに気付きました。コラボ商品で何から何までオリジナルで作り込むとは考えにくく、光源以外の躯体の一部はZ-208PROのものを流用していると考えられます。
実は照度分布図もほぼ同じ
Z-208PROの照度分布図を確認してもうひとつ驚きました。セード高40cmの場合のZ-Chromaのものとほぼ同じ値なのです。
ここからは私の憶測の域を出ませんが、ひょっとしたらZ-208PROもセード高を60cmにセットしたら直下1000ルクス程度、半径50cm円周上は500ルクス前後になるのではないでしょうか。ほかのZライトも同様の可能性があります。
ちなみに、Z-208PROの演色評価数はRa97。Z-Chromaとは2ポイントしか違いません。色温度はいずれも5000ケルビン(昼白色)で、コイズミファニテックで言うところの計算モードと勉強モードの中間です。また、消費電力も同じ19.0Wとなっています。
演色評価数がわずか2ポイント違うだけで、Z-208PROなら税込2万円強で買えるところが、Z-Chromaは同37,800円もします。学習用として購入するならZ-208PROのほうがコスパが良いと言えるでしょう。
というわけで、Z-Chromaは世界初のRa99を実現した高演色のデスクライトで素晴らしいことは事実なのですが、画家や写真家でもない限りはRa97のZ-208PROで十分だと思います。山田照明もそこを踏まえたうえで、コラボというかたちで販売することにしたんじゃないでしょうか。
それにしても、これだけポンポン高演色のデスクライトが発売されると、もはや学習机メーカーもRa85くらいあれば十分と言ってられなくなりますね。高演色LEDの価格は下がってきているようですし、ぼちぼちモデルチェンジをしていかなくてはならないのかもしれません。
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