近年、学習机メーカーはどこも新型デスクの採用を控える傾向にあります。学習机の購入時期が分散したため、一気にドカンと作ってシーズンオフにディスカウント、新年度前に新作デスクを発表するのではなく、需給バランスを見ながら小ロット生産するようになったことがひとつ。もうひとつはコスト高に対応するのに必死で、新型デスクを開発する余裕がないためと考えられます。
その点、ヒカリサンデスク(光製作所)はスゴイ。競合他社を尻目に毎年、新型デスクを投入したりモデルチェンジを続けています。
さすがにボチボチ息切れするんじゃないかと思ってましたが、2024年度も新作デスクが勢揃い!早速ご紹介して参りたいと思います。
※この記事は2023年10月11日時点の情報に基づいています
B-カヌレ
まずご紹介するのは「B-canele(カヌレ)」。各社ともベーシックデスクのラインナップを減らす中、「待ってました!」と拍手喝さいを送りたくなるような机です。
Bカヌレは上棚が足元棚になるというギミックではない代わりに、上棚の棚板の高さを3段階に調節できるようになっています。もっとも高い位置にすると、棚板の下にA4用紙が収まるサイズになるという計算されたサイズ設計です。もちろん、仕切り板はスライド式です(中央の1枚は固定)。
天板はオーク突板のウレタン塗装。脚は木目をダイレクト印刷したラバーウッドとなっています。引出内部材はMDF合板、USBポート付きコンセントとデスクライトは別売とすることでコストを抑え、税込定価99,800円というお手頃価格を実現。実売価は6~7万円くらいになるんじゃないでしょうか。
L-スモア
2023年度限りとなった「L-ビスコット」に代わって登場した「L-smore(スモア)」はホワイトの姫系デスクです。近年はホワイト系でもギャルっぽくピンクやパープルのアクセントカラーが入ることが多い中、オールホワイトというのはうれしいですねー。
天板はパイン突板のウレタン塗装。おそらく引出前板もパイン突板で、脚はパイン無垢。こちらも引出内部材はMDF合板、USBポート付きコンセントとデスクライトは別売とすることでコストを抑え、税込定価99,800円。実売価は6~7万円くらいになると思われます。
U-トルテ
新作デスクの3台目は「U-torte(トルテ)」。ヒカリサンデスクには2021~2022年度に「サンユニット」というデスクがありましたが、Uトルテはその後継モデルと思われます。
サンユニットもUトルテも4本脚のシンプルなデスクとハイタイプのラック(書棚)の組み合わせという点では同じコンセプトです。一方で、サンユニットが背板と側板のある箱状のラックだったのに対し、Uトルテは背板と側板が抜けたデザインのオープンラックというところが異なります。圧迫感が抑えられていると思いますね。
また、サンユニットはフルセットで税込定価130,900円となかなかのお値段でしたが、Uトルテは同様の組み合わせでも同114,000円に抑えています。デスクの脚をオーク無垢から木目転写ラバーウッド無垢に、引出内部材を桐材からMDF合板に変更するなどして、お手頃価格を実現していると考えられます。
一方で、コスト圧縮一辺倒ではなく、ワゴンやラックの一部はUV塗装を施しています。デスク天板もそうしてくれたらありがたかったのですが、設備面で対応が難しかったのかもしれません。
なお、Uトルテには上写真のナチュラル色のほか、ウォールナット色、ホワイト色があります。カリモク家具の「ボナシェルタ」のようにデスクをラックにビルトイン合体できるギミックもあるので、これは売れる要素アリアリじゃないでしょうか。
各社から新作デスクが登場するたびに商標権の問題で急遽変更されることが少なくないので、それを回避する狙いもあるのかもしれませんね。
ガレット・バンクベッド
ヒカリサンデスクは2段ベッドやシステムベッドでも一定のシェアを握っています。中でも近年は「ヒュッテ」がヒカリサンデスクの2段ベッドの顔となっていましたが、2024年度はまさかの廃番となりました。
代わりに登場したのが「Galette(ガレット)」。5色のアクセントカラーが可愛らしかったヒュッテに対し、ガレットはホワイト、ナチュラル、ウォールナットの3色で、めちゃぐちゃ無難なカラーリングとデザインに仕上がっています。
一方で、ヒュッテが普通の2段ベッドだったのに対し、ガレットは上下段の高さを変えたり、下段を外してロフトベッドとして使うこともできるように多機能になっています。売場で目を引くことも大事ですが、実際に購入するとなると無難な色や機能性で選ばれることが多いということなのかもしれませんね。
ヒカリサンデスクの新商品は以上です。Lビスコットとヒュッテの2段ベッドがカタログから消えたほか、Bクレストが在庫限りの様相ですが、ラインナップは2減4増となりました。
値上げについては「M-コンパクト2」が10%前後。「カスティナ3 システムベッド&デスク」がオプションパーツを中心に値下げもあれば最大20%を超えるものもありますが、それ以外はほとんど据え置きとなっています。
ヒカリサンデスクと言えば一昔前は天然木のデスクながらコスパが良いことが売りでした。しかし、2024年度は地板構造や箱組みの引出しといった一部の”こだわり仕様”は堅持しながら、引出内部材のコストを抑えるなどして価格面でアピールしたと感じます。これは賛否両論あるかもしれませんが、学習机市場での立ち位置が明確になって良いのではないかと個人的には思います。
いずれにせよ、Bカヌレ、Lスモア、Uトルテの新作3モデルは期待大!学習机市場が盛り上がることに繋がるんじゃないでしょうか。
コメント 皆様からご質問・ご意見など
こんにちは。先日堀田木工所のところにコメントさせていただいたものです。机の奥に同幅の棚をおけるスタイルで探していて、オッフェンに惹かれたのですが、やや予算オーバーのためリッケで手を打つかと思っていたところにこの記事でした。
Uトルテがいいですね!雰囲気はリッケのほうがおしゃれに見えますが写真の撮り方だけのような気もするし、許容範囲です。ウレタン加工なのも安心だし、細かいですが棚の最上段に天井がないので全段にA4が入るのも良いです。ヒカリサンデスクは以前実物を見たことがあって、どこかで収納マンさんが書かれていた「引き出しのキシキシ感」?も個人的にはそこまで印象悪くありませんでした。
ということでリッケとUトルテが現在の候補なのですが、上記の他で比較すべきポイントなど教えていただけるとありがたいです!
ままみさま
Uトルテ良いですね^^
カリモク家具のボナシェルタのような使い方を理想とされるならアリだと思います。
私もまだUトルテは見たことがないのですが、やっぱり一番気になるのは質感です。
たぶんリッケに比べるとツヤが強いと思いますし、引出前板の縁の部分はどんな質感だろうかとか、引出内部材はたぶんクリーム色に塗ったMDF合板なので、ベトナム製っぽい感じだろうなーと思います。
また、ラックの特に上半分は横揺れするかもしれないと考えています。
従来のヒカリサンデスクの引出しは金属製スライドレールなしの桐またはパイン材だったので、遊び(すき間)が多くて乾いたような引き心地です。
これが塗装した金属製スライドレール付きのMDF合板になると、ベトナム製のイトーキやくろがね工作所と同じような感じだろうと予測されます。
決して悪くはないものの、家具としての満足感はリッケに劣るかもしれません。
リッケは他の堀田木工所の学習机と違って天板がセラミックス塗装ですが、違いはまったく分からないはずです。
なので、家具店の売場で普通に堀田木工所の学習机とUトルテを見比べてもらえば、どちらが好みか判断できるでしょう。
ただ、見た目の質感だけでなく、今後の使い方や汚れにくさを考慮する必要があるので、そこが難しいところですよね^^;
ありがとうございます!
質感は堀田木工のほうがよいかも、でもウレタン塗装など汚れにくさで考えるとヒカリサンデスクも捨てがたい、と言った感じでしょうか。
実物みてみたいとおもいます!
ままみさま
その通りです!
ちなみに、数日前に大阪の東京インテリア家具と島忠ホームズに行ったらまだ新型デスクは展示されていませんでした。
これまで9月中に展示されていたことを考えると、今年はどうも遅いです。
ひとつの目安として、まだ新年度カタログを公開していないくろがね工作所が発行してから以降になるのではないかと考えています。
くろがね工作所が学習机業界を主導するハズはないのですが、一度に展示を終わらせたい販売店としてはやむを得ないんでしょうね。
早くて10月下旬、11月中くらいになるのかなーと思っています。
こんばんは!
先日、一生紀のページでご相談しましたが今回はこちらにコメント致します。
教えて頂いた島忠ホームズを探したところ、ほぼ隣に東京インテリアもあることが判明しまして早速行ってまいりました。
島忠では一生紀のデスクECTOとDIALOがありました。残念ながらウレタン塗装のデスクではなかったですが、引出しの感じなども見られて良かったです。
が、その隣にいたフォーピーススタディも気になりました。ワゴンが下に入らないようですが雰囲気が良かったです。売り場はかねたやよりは品数も多く見やすかったです。
さて、お次の東京インテリアは店員さんも数人いるしデスクの数が多くて楽しかったです。
ヒカリサンデスクのUトルテとMコンパクトⅡがありました。
カヌレかSUNKNOTがあれば良かったなぁと思いつつ、引出しをガタゴトしていたのですが、店員さんのタンスと同じ構造という言葉で腑に落ちました。
スライドレールでスムーズに開き、スーッと閉まるのが高級もあるしストレスないかなと思っていたのですが、子供の性格上スムーズな引出しだと何度も開け閉めしたり
わざと力いっぱい閉めて、逆にうるさい可能性もあるかな…
物は考えようで、少し引っ掛かる分丁寧に開け閉めしてくれたらそのほうがいいかな?
と考えるとすぐには決められませんね。
ちなみに子供は黒に赤い縁取りがあるゲーミングデスクと背もたれの長いゲーミングチェアがお気に入りでした。
小さいうちは木のぬくもりのあるデスクで…と考えるのは親だけなのかもしれません。
一生紀とサンデスクで候補を絞っていこうかなと思います。
ROOIBOSさま
シマホだけでなく東京インテリア家具にも足を運ばれたのですね。
てっきり横並びであることはご存知かと思っていました。すいません^^;
シマホでは一生紀のECTOとDIALO、シギヤマ家具のフォーピーススタディをご覧になったのですね。
大阪近郊と同じ品揃えということが分かりました。ありがとうございます。
東京インテリア家具ではヒカリサンデスクのUトルテとMコンパクトⅡ。
これらも大阪と同じ展示です。
SUNKNOTは昨年度までシマホにありました。
今年度は見ていません。
また、Bカヌレはまだ私もお目にかかれていません。
引出しのレールなどについては、おっしゃる通り一概に言えないところはあります。
一般的には金属製のスライドレールが付いていたほうが開閉がスムーズです。
ただし、上から押したりして変形させてしまうと、開閉できなくなってしまうこともあります。
その点で言うと、シングルレールよりもフルスライドレールのほうがレールが太いので変形のリスクは少ないです。
フルスライドレールなら引出しの奥まで引き出せるというメリットもあります。
一方で、フルスライドレールは特にワゴンで採用する場合、引出しの奥行自体を短くせざるを得ないという問題もあります。
奥まで引き出すと重心が手前に寄って、転倒する可能性があるからです。
ちなみに、スライドレールもピンキリです。
ひどいものは最初からまったく開かないものもありますし、ハーフェレやスガツネなど大手メーカーのものであればとてもスムーズに開閉できます。
最近の学習机メーカーは中国製のスライドレールを使うことが多いですが、これもランクが色々あるようです。
ヒカリサンデスクのレールレス仕様なら、金属製スライドレールのように変形するリスクはありません。
また、数年に1回程度グリスアップする必要もないです。
ただ、引出しが空の状態ならちょうど良いくらいのスムーズさでも、中身を詰めたり、湿度が高くなると引出し内部材が膨張して、開閉しにくくなる可能性があります。
そこはやはり浜本工芸やカリモク家具のほうが精度が良いです。
お子さんがゲーミングチェアやデスクに憧れるのは最近の傾向ですね。
ゲーミングデスクに関しては丈夫なものが多いので、引出しなど収納面を担保してもらえば問題ないと思います。
一方で、ゲーミングチェアはリラックスした姿勢を旨とするので、学習用としては適さない感じがします。
ともあれ、お子さんが気に入って机に向かってくれるということも大事なことです。
親子でしっかりコミュニケーションを取って最適と思えるものを選んでいただければと思います^^