学習机メーカーから新しいカタログが発行されると、記事を書く際には新旧のカタログを隅から隅までチェックするとともに、昨年度の記事の内容を確認するようにしています。1年前の感動を思い起こしつつ、評価にブレを生じさせないようにするためです。
杉工場の2025年度カタログが公開されたので、記事執筆にあたり同様の手順を踏みました。しかし、2024年度の記事がありません。ラインナップも価格も特筆すべきことがなかったためです。
以前は「レグシー」や「クッカ」の問い合わせが絶えなかった杉工場ですが、ここ数年は随分と影が薄くなってしまいました。そのおかげで十分な値上げができず、相対的に割高感が薄まっているんですけどね。どうにも人気が回復しないようです。
しかし、ここに来て待望の新作デスクが投入されました。復活の狼煙となるでしょうか。詳しく見て参りたいと思います。
※この記事は2024年11月6日時点の情報に基づいています
7年ぶりの新作デスク「マルバ」
杉工場の2025年度学習家具ラインナップに登場したのは「マルバ」。実に7年ぶりとなる新作デスクです。
天板はオイル塗装を施したメープル(楓=かえで)。杉工場が主力とするアルダーのように淡い木目で、色合いはより白っぽくなります。また、やや軟らかいアルダーに対し、メープルは硬い樹種と言えます。
天板は100×55cmと110×60cmの2サイズ展開。幅によって奥行が異なるというのは珍しいですが、部屋の広さに応じて合わせやすい合理的なラインナップだと思います。
「木と風」の丸脚デスクと同じような丸脚で、A4サイズが収まる2杯の吊り引出しが特徴的なデザインとなっています。木と風と異なり脚に補強桟があるのは、天板下に大引出しがないため補強する必要があったからだと考えられます。そんなこんなで、木と風に比べるとちょっと割高感のある価格設定になっています。
クリアネルっぽいシェルフも
マルバには袖(ワゴン)や上棚が用意されておらず、代わりに上写真のシェルフが用意されています。デスクとセットで眺めると、なんとなくカリモク家具の「クリアネル」を彷彿とさせる感じです。
クリアネルと同様、マルバシェルフは全段固定棚。一方で、クリアネルが棚板に突板を使っているのに対し、マルバは棚板まですべて無垢です。さらに、幅が80cmと大きいにもかかわらず、価格はクリアネルよりも安いですから、見方によってはお得と言えるのかもしれません。
スピカにメープル仕様が登場
マルバの投入に合わせて、「スピカ」にメープル仕様が発売されました。グレー系の張地が全体の透明感を引き立ててくれるように思います。
なお、メープル仕様の発売と引き換えにレッドオーク仕様が廃番となりました。これは「セノヴィ」がカタログから消えた影響もあるでしょう。
スティック上棚がリニューアル
2025年度は「スティック」の上棚がリニューアルされ、ロータイプ(上写真)とハイタイプの2アイテムになりました。
ロータイプは無印良品の「木製デスク用上置き棚」っぽくなったと感じられるかもしれませんが、こどもビームスに近づけたと言ったほうが正しいでしょうね。
ハイタイプはこどもビームスの上棚よりもさらに高い48.5cmで、下段にA4ファイルが収まるサイズです。それでいて、こどもビームスより安いです。
ちなみに、スティック上棚のロータイプを幅40cmにコンパクトにした感じの「ブックスタンド」も投入されています。ただ、こちらはデスク天板に固定するための金具は付属しません。いかに杉工場が安全性を軽視しているかということを思い知らされますね。普通に考えて、これは学習机メーカーとしてあり得ないことです。
可動棚付き!オーディシェルフ
これまで杉工場が扱っていた学習家具のシェルフは基本的に固定棚ばかりでした。それで「可動棚が欲しい!」という声があったのかどうか、「オーディシェルフ」が新たに投入されています。
ただ、これはどうなんでしょうね。幅が100cmもあるのに棚板に補強桟がなく、本をズラッと並べると棚板がUの字にたわんでしまう可能性があると思います。棚ダボで支えるだけの構造のため、たわみがひどくなると棚板が落ちる危険性すらあります。
支柱は太めの材を使い、天板、固定棚、地板は分厚くしているとは言え、この構造では歪みが生じるのではないかと思ったりもします。実物を見てみないことには分かりませんが、ちょっと不安ですね。
以上、杉工場の2025年度カタログのラインナップの変化などについてレポートしました。
個人的にはマルバのデザインは好きですねー。100×55cmと110×60cmのサイズラインナップも良いと思いますし、シェルフも素敵です。ただ、メープルなら硬くてキズがつきにくいと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、キズを左右するのはむしろ塗装ですから、オイル塗装というのはやっぱり厳しいです。
それを言っちゃあ身も蓋もありませんが(苦笑)、スティックの上棚ハイタイプは個人的にはかなりツボです。一方で、クランプ式のデスクライトが取り付けられる構造じゃないことが、ただただ残念です。
2025年度の杉工場はマルバが登場した一方で、セノヴィのほか、「kiva」のパドウク仕様がカタログ落ちしました(いずれも今のところ在庫はあり)。唐木(からき)が好きな人にとっては残念ですけど、最近は流行らない色合いなので仕方ないのでしょうね。
なお、先に杉工場からは値上げの予告がありましたが、学習家具はすべて据え置きとなっています。各社とも値上げで相対的に割高感が解消されてきているとは言え、ここで値上げしたら壊滅的ですからね。なんとか持ち堪えて欲しいところです。
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