子供の姿勢が悪いことを心配する親御さんは多いです。なので、姿勢が良くなる椅子があると言われれば、試したくなる気持ちはよく分かります。
時々ご相談いただくことのある「アーユルチェアー」も姿勢が良くなると言われている椅子のひとつです。今回はそのアーユルチェアーを紹介しつつ、國新産業の「バランス(R)チェア」と比較してみたいと思います。
※この記事は2019年7月22日時点の情報に基づいています(2025年4月1日一部更新)
カラダを整えるイス「アーユルチェアー」


アーユルチェア―はトレインという日本の会社が、欧米人と日本人の身体特性の違いに着目し、3年の歳月をかけ開発した椅子です。2005年10月に発売され、既に20年近い実績がある「カラダを整えるイス」です。
実は2005年の発売直後に、コイズミファニテック、イトーキ、それにFrancfranc(フランフラン)を運営するバルス(当時)の3社とのコラボモデルが発売されたのですが、のちに取り扱いを中止しています。そのため、現在はアーユル・チェアージャパンが扱う本家アーユルチェアーだけとなっています。
座った直後の感想→「なんだ、普通じゃん」
アーユルチェアーの価格は税込59,400円(上写真の商品の場合)。子供に使わせる学習椅子と考えるとちょっと手が出にくい価格です。
どれどれ…と早速座ってみたところ、座り心地は存外普通でした。しばらく座ってみても感想はあまり変わりませんでした。
アーユルチェアーには「正しい座り方」というのがあります。


こんな風に、2つに割れた硬めの小さな座面の上に坐骨で座るようにお尻を置き、両脚を開いて座ります。
わたくし、両親のしつけが厳しく、お上品に育ちましたものですから、こんな風に両脚を開いて座るのに抵抗があるのですが(←ツッコむところです・笑)、確かに坐骨が当たるように椅子に座って両脚を広げれば姿勢良く座ることができます。
でもこれ、実はアーユルチェアーでなくてもそういう座り方さえすればどんな椅子でも姿勢良く座ることができるのです。普通のオフィスチェアでもダイニングチェアでも、座面に坐骨が当たることを意識しながら椅子に深く掛けて、両脚を開いて、背骨を伸ばして座ってみてください。ね?普通に姿勢良く座れるでしょ?
「じゃあアーユルチェアーって意味ないじゃん!」と思うことなかれ。普通の椅子は座面が広いから、ついつい坐骨で座ることをやめて太腿に体重を乗せるようにして座ってしまうのです。一方で、アーユルチェアーは座面が小さいから、割りと坐骨で座ることを意識して座りやすいんですね。
正座に近い座り方のバランスチェア

アーユルチェアーの効果について説明するにはバランス(R)チェアを引き合いに出したほうが分かりやすいかもしれません。バランス(R)チェアは正座をルーツとして開発されており、上写真のように座ることで自然と姿勢良く座ることができます。
アーユルチェアーはバランス(R)チェアと異なり、割りと一般的な回転チェアに近い形状です。一方でバランス(R)チェアはおよそ一般的な椅子とはかけ離れた構造をしています。そのため、ついつい姿勢を意識してしまうアーユルチェアーに対し、バランス(R)チェアは半ば強制的に姿勢良く座らされる椅子と言えるでしょう。
バランス(R)チェアおよび類似品はそういう特性を持っていますから、アーユルチェアーのほうが違和感なく座りやすいとも言えますし、逆に強制力は良くも悪くも少ないとも言えます。
アーユルチェアーには別売の足置きあり


バランススタディには子供用のバランススタディジュニアという商品があったのですが、2019年に販売を終了してしまいました。一方で、アーユルチェアーには子供の学習用として「スタディ」が登場し、別売の足置きリングも用意されています。
もちろん、足置きは子供が成長したら外すことも可能です。逆に、既にスタディなどをお持ちでしたら足置きリングを追加で買い足すこともできます。
価格の比較
メーカー | タイプ | 税込価格 |
---|---|---|
アーユルチェアー | オクトパス | 59,400円 |
スタディ | 69,300円 | |
スタディ+足置き | 75,240円 | |
國新産業 | バランス(R)チェア | 35,200円 |
※バランス(R)チェアの価格はリコメン堂インテリア館の場合
アーユルチェアーは強制力が普通の椅子と比べて違和感なく座りやすいのがメリットですが、いかんせん価格が高いのがネックです。タイプにより価格は異なるものの、バランス(R)チェアの倍程度と言えます。
あくまで私の主観で申しますと、アーユルチェアーはよほど意識していないと姿勢を崩して座れてしまうので、コスパの悪い買い物になってしまう可能性があると思います。一方で、我が子を見ているとバランスチェアでも姿勢を崩して座っています。また、私自身はしばらくは長時間座れませんでした。
諸々考えると、実際に座ってみないことには分からないんじゃないかと思います。しかしながら、アーユルチェアーは東急ハンズ(2019年当時)など一部店舗でしか取り扱っていません。ちょっと座ったくらいでは分からないという人も多いことでしょう。
そんな方のために、1週間無料お試しの制度があります。往復の配送料は負担しなければなりませんが、東急ハンズなどに行く電車賃を考えれば大きな負担じゃないですよね。
アーユルチェア―に限らず、椅子は座ってみないことには合う合わないは分かりません。できるだけあちこちに足を運んで、片っ端から座り比べてください。

関連記事



コメント 皆様からご質問・ご意見など
こんにちは、
バランスチェアは、「お尻に体重を掛けるのではなく、膝から下で体を支える」
のではなく、お尻でほとんどの体重を支えます。
ひざ当ては前にずれてこないように保持する役目です。
普通のイスに浅く腰かけて、足を後ろに引いて、ひざを下に下げて下さい。
自然と体が伸びます。
バランスチェアの座り方と同じです。
板津さま
はじめまして^^
ご指摘ありがとうございます。
言われてみれば確かに、語弊がある表現ですね。
お尻でほとんどの体重を支えるとまでは言えませんが、膝から下で体を支えるという表現は適切ではありません。
バランスチェアが考案された経緯を考えると、正座に近い座り方がベースとなっていますので、脚とお尻でバランスを取りながら支えるという表現が適切でしょうか。
ただその表現では分かりにくいので、本文中に脚注を付けておきたいと思います。
ヴァリエール(旧ストッケ)には、Actulum(アクチュラム)というひざ当ての無い製品もあります。
基本はお尻で座り背骨を弓なりに、という事ですね。
ita2さま
ストッケがヴァリエールに名前を変えていたなんて全然知りませんでした!
IDC大塚家具にヴァリエールのヴァリアブルやアクチュラムが並んでいましたが、まさかそれが旧ストッケだなんて。
それはともかく、バランスチェアの座り方の説明は難しいですね。
私自身は、ロードバイクに乗るようになってから、バランスチェアに長時間座っても問題なくなりました。
これはロードバイクに乗るようになって姿勢が良くなったということもありますが、座面に体重を乗せなくなったからとも言えます。
ロードバイクに乗るときはほとんどサドルに座っておらず、体全体でバランスを取りながら進みます。
脚で漕ぐのではなく、体重移動で前に進むのです。
ですから私の感覚で言うとやはりバランスチェアは座面よりも膝置きに体重を掛ける感覚という表現が合っており、しかしながら人によっては膝置きに体重を預けるわけではないという表現が適切なのであろうと思います。
これで最後にしますが、おっしゃられているように正座が基本です。
本を読むにも字を書くにも手を伸ばして姿勢をピンと正して行います。
決して机に肘を付いたりして前傾しません。
バランスチェアも同じです、上の写真がまさにそうですね。
もっと極端にいうと、イナバウアーをイメージして座ると良いですね。
前のめりでバランスチェアを使いたい場合は、バリアブルが良いと思います。
バリアブルでしたら前傾しても上体と大腿の開き角を120度に保てます。
ita2さま
いろいろご教授いただきましてありがとうございます^^
私がロードバイクを引き合いに出したから誤解があったかもしれませんが、おっしゃる通りバランスチェアは正座が基本で前傾姿勢で座るものではありません。
ロードバイクは前屈みで乗るものと思っておられる方も多く、私も以前はそうだったのですが、今は背筋を伸ばして「おじぎ乗り」という乗り方をしています。
ちょうど、背筋をピンと伸ばしておじぎをするのと同じ上体で乗る方法です。
私の場合は背筋を伸ばしてロードバイクに乗る習慣が身に付いたので、バランスチェアに座っても背筋を伸ばすことが苦痛でなくなった…ということでご理解をいただければと思います。