先日、読者のハスさんからデスクライトに関する質問を頂戴しました。レビューの評価がとても高いデスクライトがあって、それについてどう思うかという内容でした。
商品ページを見ると、確かにレビューの数が多く、その評価もすこぶる良い。それだけでなく、スペックも素晴らしいのです。
実物を試してみたい衝動に駆られつつ、もうこれ以上デスクライトを買っちゃうのはマズいでしょうとしばし葛藤。なのに、結局また買っちゃいました(苦笑)今回はそのレビューをお届けしたいと思います。
※この記事は2025年2月22日時点の情報に基づいています
大河商事・wasser74
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今回ご紹介するのは、大河商事(たいがしょうじ)の「wasser74」というLEDデスクライトです。「ワッサー」じゃなくて「ヴァッサ」。ドイツ語で「水」を意味する、大河商事のオリジナルブランドということです。今回の74以外にもたくさんのラインナップがあります。
ただ、大河商事なんて聞いたことのないメーカーです。横浜市戸塚区に本社を置き、健康・美容商材、日用雑貨、照明器具の企画・製造・輸入及び販売をおこなっているそうです。今回wasser74を購入した楽天市場のショップも同じ住所に本社を構えていることから関連会社と思われます。ショップの商品構成を見ると、下着から家電まで本当に何でも扱っているようです。
スタンド&クランプの2WAY

それはさておき、私がwasser74が良いと思ったところを順番に見ていきましょう。まず、wasser74には台座(スタンドベース)とクランプの両方が付属しており、2通りの設置の仕方を選ぶことができます。これなら、クランプ金具が取り付けでないデスクだったと気付いても、スタンドライトとして使えるので安心して買うことができると思います。
なお、台座は結構大きくて、直径が20cmあります。そのスペースを無駄に感じさせないためでしょうか。台座にマグネットでくっつけることができるスマホスタンドも付属しています。
子供でも扱いやすいタッチパネル
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子供が使う学習用デスクライトは操作性も重要です。その点、wasser74は支柱下部にタッチパネルが設けられており、子供の手が届きやすい位置にあります。
調色はワークス、読書、リラックス、おやすみの4モードをワンタッチで選ぶことができ、点灯して表示されるのでどのモードにセットしているかが一目瞭然。その下には調光の下げると上げるのボタンが独立して設けられており、直感的に扱うことができます。
ちなみに、支柱側面には1.2AのUSBポートもあるので、スマホを充電するにも便利です。
関節の動きもスムーズ
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wasser74は樹脂製アームですが、割りとスムーズに動きます。上下2ヶ所の関節部にはネジがあり、付属のネジ回しで緩めたり締めることができるようになっています。そのため、丁寧に扱えばシェードがお辞儀をすることはないでしょう。
スタイリッシュなデザイン
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そして、wasser74は7千円台からという低価格にしてはスタイリッシュなデザインです。子供でも扱いやすいのに、大人でも使えるデザインなんて素晴らしいじゃないですか。
おまけに、wasser74はJIS規格AA形相当で広い天板も十分に照らすことができるというのです。ただ、これは実際に測定しなければ分かりません。なので、測定してみました。
シェード高40cmで測定

wasser74の直下照度はシェード高40cmで約1,580ルクスと表示されています。なので、シェードの高さを40cmにした状態で照度分布図を作成したいと思います。
その状態が上写真です。全長は約70cmになります。いやこれはちょっとデカすぎじゃないですか。
wasser74の照度を測定
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ともあれ、wasser74の照度を測定してみました。wasser74はリラックスモードがもっとも明るいので、このモードで照度を最大にして測定。直下照度は1650ルクスとなり、スペック表示の1580ルクスよりも高いですが、これは誤差の範囲でしょう。
JIS規格AA形相当と認めるには、前方半径30cmの1/3円周上が500ルクス以上、同じく50cmの1/3円周上が250ルクス以上必要です。しかし、50cm円周上は250ルクスに満たないです。ちょっと誤差の範囲と言うには差異が大きく、これではJIS規格AA形相当とは言えません。
でも、大丈夫。こういう場合はたいてい、シェードの向きが違うのです。シェードを幅方向ではなく90度回転させて前後方向にしてやれば問題ないはずです。
シェードの向きを変えて再測定
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シェードの向きを変えて照度の分布を改めて測定したところ、上図のようになりました。半径50cm円周上の一部が250ルクスを下回ってしまいましたが、これは誤差の範囲と言って差し支えないでしょう。そもそも厳密な環境で測定しているわけではありませんから。
というわけで、wasser74はJIS規格AA形相当ということで問題なし。…じゃないんですよねコレが(苦笑)
目に突き刺さるわ!!
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どこが問題なのかというと、シェードを前後方向にすると目に突き刺さりかねないからです。
先にも触れた通り、wasser74のシェード高を40cmにすると、全長は70cmになります。デスクの奥行を仮に60cmとすると、シェードの先端がデスクの前縁から10cmも飛び出し、その絶妙な高さも相まって目に刺さりかねないのです。
”目に優しい”と謳っているデスクライトに物理的に目を攻撃されるなんて、笑い話にもなりません。
ちなみに、シェード直下のもっとも明るい場所はデスク奥から約55cmとなります。奥行60cmのデスクでも手前すぎます。
アームも光源もショボい
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どうしてこうなっちゃうのでしょうか。その原因は主に2つあると考えられます。
まずひとつは、ぶっちゃけアームがショボいということ。自由自在に関節を曲げられるボールジョイントではなく、一軸の関節が2つしかないため、シェード高40cmを維持するには全長がどうしても長くなってしまいます。シェード長46cmに対し光源が6割に満たない(=シェードが無駄に長い)ことも影響していると言えるかもしれません。
もうひとつは、ありていに言うと光源が貧弱なのです。シェード高を40cmまで下げないと(=天板面までの距離を縮めないと)JIS規格AA形相当の照度を得られないわけです。一般的なシェード高50~60cmでも半径50cm円周上まで届く光源なら、こんなことにはなりません。
クランプ奥行は60mm以上必要
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ついでにもうひとつケチをつけさせていただくと、クランプで固定する際は天板の奥行(出っ張り)が60mm以上必要です。商品ページには50mm以上と書かれているものの、実際にはそれ以上に必要ということです。
こんなに奥行が必要なクランプは珍しいです。おそらく台座も取り付け可能にするため、クランプのコの字部分も樹脂製にする必要が生じ、大型化せざるを得なかったのでしょう。ちなみに、スチール製のクランプと異なり、天板の外側に厚みが生じます(10mm)。
というわけで、大河商事のwasser74は期待が大きすぎたこともあって、非常に残念な結果となりました。やっぱりこういう肝心なところは照明器具専業メーカーでないと信用できないということでしょう。amazonで見たことがあるような商品を手当たり次第に扱っているメーカーではダメということです。
wasser74のように片持ちアームでスタイリッシュなデスクライトをお求めなら、ジェントスの「DK-R115WH」をオススメします。また、操作性重視ということでしたら、リモコン付きのアイリスオーヤマ「LDL-TCDL-B」が良いと思います。こちらはベースタイプも用意されています。
もしくは、学習用デスクライトメーカーとしての実績と信頼性重視でコイズミファニテックの「ECL-111」。決してwasser74がダメというわけではありませんが、敢えてこれを買う理由もないでしょう。
あー、今回は残念な買い物をしてしまいました。「ヴァッサ」と言うより「わやじゃ」(=広島弁で「めちゃぐちゃ」「最悪」といったニュアンス)ですね。
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