収納のプロとしてお客様のお宅にお邪魔する際に、非常に厄介なものがあります。それは学校用ラックやランドセルラックと呼ばれるものです。
学校用ラックやランドセルラックがなぜ厄介かというと、一言で言えば非常に使い勝手が悪いからです。子供にお片づけの習慣を身に付けさせるには良いと言える部分もあるのですが、いかんせんスペースを取る割りに収納できる量が少ない。また、学用品の全部を収納するには中途半端なサイズであるうえに、中学生以降は使い道がほとんどないということが問題です。
ニーズ・子供のための学校用ラック
ニーズの「子供のための学校用ラック」は国産の完成品ながら、主材はMDF(繊維合板)のチープな材質で1万円強と高価です。家具のプロから見て、これはあまりにも高いと言わざるを得ません。ダンボール箱でできた同様のラックでも5,000円程度、輸入の組立品でも1万円弱であることを考えれば妥当なところとも言えますが、ハッキリ言ってどれもこれもコストパフォーマンスが低すぎます。
しかしながら、この5年ほどで状況は一変しました。確かにこの記事を最初に書いた2015年当時は得体の知れないメーカーが割高な価格でランドセルラックを販売していましたが、それは今ほど需要がなかったためです。近年、小学校入学時に学習机を買わずにダイニングテーブルなどで勉強をさせる家庭が増えているということを踏まえて、いよいよ学習机メーカーもランドセルラックに本腰を入れ始めたことで競争が起き、従来のコスパの悪いランドセルラックは駆逐されつつあります。
学用品はあまり細かく分類するメリットがない
片づけをする上で、身の周りのモノそれぞれの収納場所を決めることはとても大事です。また、学用品ラックを使えば教科別に教科書やプリントを分けると整然と見やすく、出し入れも容易になる可能性があるということは事実です。
もしスペースに余裕があるなら学用品ラックを置くことも悪くないでしょう。しかしスペースに余裕がないにもかかわらず学用品ラックを置いてしまうと、他にシワ寄せが来るのです。
モノは細かく分ければ分けるほど出し入れしやすくなる一方で、スペースが必要になり、管理が大変になります。小学校1~2年生の間って、授業はほとんど国語と算数ばかりで、ランドセルから出して片づける必要ってほとんどないんですよ。また、学用品ラックがあればプリントを分類するのに便利そうに見えますが、結局それをチェックするのは親ですから、片づけが苦手な人の場合はプリントを突っ込んだままになりがちで、理想と現実のギャップが広がっていきます。
ですから、モノを細かく分けるのは本当に細かく分ける必要性を感じるものにとどめておかなくてはなりません。そうしないと、管理の煩わしさが増すばかりで、分けるメリットはほとんどありません。
学用品ラックは小学校低学年の間はランドセル置き場としか機能せず、中学年~高学年の間に使ったらあとは使い道がなくなってしまいます。それなのにモノの割りに高価で、コストパフォーマンスがあまりにも低いと言えます。
それなら汎用性の高いオープンラックを置いたほうが長く使うことができてコストパフォーマンスが高いと私は思います。逆に、どうしてもランドセルラックが必要だと考えるのであれば、小学校6年間使ったら使い捨てにしても良いと割り切るのが良いと思います。
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