天板がMDF(中質繊維板)の学習机は良くないの?実は安くて丈夫なエコ素材

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一般的に、学習机の天板でもっともグレードが低い材質は、MDF(中質繊維板/中密度繊維板)です。MDFとは木材を繊維状にして固めたもののことで、学習机だけでなく家具全般で広く使われている素材のひとつです。

グレードが低いと言ってもそれは材料コストの話であって、実用性ではまったく問題ありません。また、近年は印刷技術が向上したおかげで、MDFに直接木目を印刷できるようになりました。何も知らない人であればパッと見た目には本物の木のように見えるかもしれません。

MDFについて、もう少し詳しく見てまいりましょう。

 

MDF(中質繊維板)は安くて丈夫なエコ素材

MDF 18mm 600mm×900mm

MDFはいわゆるカラーデスクの天板などによく使われています。そう言うと、安っぽいなどとネガティブなイメージを持たれるかもしれませんが、MDFは良くないどころか、むしろ優等生と言えます。

一般的にMDFはラワンやパイン(松)や杉などといった安価で入手しやすい木材が原料に使われ、繊維状にすることでその程度の良し悪しを選びません。そのため安価に作ることができるうえ、自然にやさしいエコ素材と言うことができます。しかも、半人工的に作られるものなので、かなり丈夫に作ることが可能です。強度で言えば無垢板(集成材)や突板の天板に負けることはないです。

一方、いくら印刷技術が向上したとは言え、残念ながら本物の木と並べてみれば多くの人が違いに気づくはずです。突板の場合は縁の部分などに無垢板を組み合わせることである程度丸みを持たせることができますが、MDFの場合はそれができないのでデザインが直線的になるなどといった制約もあります。

もっとも、たとえば下写真のオカムラ「クオーレ」の天板ががMDFだと気付かずに買っている人も少なくないのではないでしょうか。

 

ついでにパーティクルボードについても説明

パーティクルボード

家具用材としてMDFよりもポピュラーと言えるがパーティクルボードです。パーティクルボードは木材を砕いてチップ状にしたものを接着剤で固めたもの。原料となる木材は主に解体廃材です。MDFとパーティクルボードの違いを端的に言うと、密度の違いです。かたや繊維、かたやチップですから、パーティクルボードのほうが密度が低く、安価と言えます。

パーティクルボードはフラッシュ合板(中空構造の合板)の芯材として使われることが一般的です。安価なので芯材として使い勝手が良いのですね。

天然木の学習机にもMDFやパーティクルボードは使われている

天然木の無垢板の学習机を買ったらMDFやパーティクルボードのような安っぽい素材とは無縁だと思われる方もいるかもしれません。しかし、無垢板の学習机であってもMDFやパーティクルボードはたいてい使われています。逆に言うと、総無垢の学習机というのはほとんど存在しません。

MDFやパーティクルボードは特に背板や側板などに使用されます。そのため、いくら自然塗装を施した無垢の学習机を買っても、塗装以外では少なからずホルムアルデヒドを含んでいると言えます。

MDFにもパーティクルボードにも接着剤が含まれていますし、無垢板を作るのに木材をハギ合わせるのにも接着剤は必要です。それらを組み立てて学習机に仕上げるにも接着剤は必要。なので、自然塗装の学習机は木材の手触りを楽しめるというメリットはありますが、健康対策としては今となってはほとんど意味がないと私は考えています。

 

ちょっと話の方向性が変わってしまいましたが、MDFやパーティクルボードは学習机にとってとても重要な素材ということです。また、軟らかいパイン材よりもMDFのほうがキズが付きにくくて良いと個人的には思っています。

ただ、総じて高級材で作られた学習机は作りも丁寧で、逆もまた然りです。天板がMDFだからダメと一概に言うことはできないものの、高級かそうでないかの目安くらいにはなるでしょう。

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この記事を書いた人
収納マン(芝谷 浩)

家具メーカーを退職後、2002年に収納スタイルコーディネーターとして独立。多くのご家庭の片づけの悩みを解決してきました。TVチャンピオン「収納ダメ主婦しつけ王」選手権で優勝するなどメディア出演多数。
長女が小学校に入学するのを機に学習机を購入してブログで報告したところ、学習机について相談が殺到。以後、「学習机評論家」としてメーカーの展示会や販売店に足を運ぶなどして日々情報収集に努めています。詳しいプロフィールはこちら

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コメント 皆様からご質問・ご意見など

  1. まる より:

    収納マンさん、はじめまして。
    木製のデスクを購入し、疑問に思うことが出てまいりまして様々調べましたところ、収納マンさんの書かれたページの数々に出会い、大変勉強になりました反面、なぜ購入前に学んでおかなかったんだろうと後悔が募ります。

    大人がデスクワークに使う用途で先日木製デスクを購入しました。
    最優先事項が「限られたスペースにぴったり収まるサイズ」だったため、こちらは望み通りとなりとても満足しています。
    気になるのは、天板のみ天然木突板化粧合板(ウレタン塗装)であるところです。
    我が家はダイニングテーブルに、同素材の大きな巾木の集成材が使用されたものを長く使用していて、こちらは目黒の家具街で検討し、実際に見てさまざま比較した結果、質とデザインの双方を気に入り、価格も相当にしたものと記憶しています。
    こちらに慣れていたため、同じ素材(今思えば使われた木材の種類のみ同じでした)なら安心だと思い、今回のデスクのネット購入に至りました。
    ですが、届いたものの天板が同じ模様の繰り返しでまず驚いてしまいました(ひとえに不勉強だったためですが)。
    そうでないものと同じ家の中で比較できてしまうため(置いたのはダイニングテーブルとは別の部屋になりますが)なおさら気になるのかも知れません。
    脚や引き出しの前面はそのままの木材なのに、天板だけこのように作られるメリットがデスクの場合大きいのでしょうか?
    縁あって来てくれた机なので、なんとか美点を見出し、大切に使いたいと思っていますが、この机の良し悪しが分からず、特に天板の評価を収納マンさんにお聞きできたらと思いました。
    とりあえず、今は、ダイニングテーブルと比較するとどうにも単調すぎて(模様が好きな部分の繰り返しでなかったということもあるかも知れません)、作業に集中するには寧ろ単調な模様の方が好都合なのかも知れませんが、収納マンさんの率直なご意見をお聞きできますでしょうか?
    今後子どもの勉強机の購入も控えているため、参考にさせて頂けましたら幸いです。

    蛇足ですが、調べる中で、カリモク家具のユーティリティプラスに全く同じサイズ展開があることを知り、他の家具にカリモク製のものを使っていることもあり、こちらにすべきだったかとつい考えてしまいます(こちらの天板はどのようなものかやはりよく理解しておらず、ただ、これまでの使用から来る安心感とクオリティの担保に寄せる信頼からの考えに過ぎません)。
    正直、ある程度は安価であるに越したことはないという側面はありましたが、質相応の金額を出すことには全く抵抗はなかったため、もっと木の質にこだわったものの存在も知りたかったというところが本音で、ぐるぐるしてしまいます。
    機能とともにインテリアの調和を好ましい形で楽しみたかったのかも知れません。
    経験上、カリモク家具ですと来るまでにひと月かかり、今回の買い物についてはすぐに入手できた点も、自宅で購入できた点もこちらのメリットとなったので、さまざま納得すべき落としどころはあるように感じてもいます。
    ダイニングテーブルとの比較がなければ、はじめから気に入った可能性はあると感じてもいます。

    冗長になり大変恐縮ですが、木製デスクの天板が天然木化粧合板(ウレタン塗装)という点についての収納マンさんのご意見をお伺いできましたら幸いです。

    • 収納マン(芝谷 浩) 収納マン より:

      まるさま

      はじめまして^^

      返信が遅くなり申し訳ありませんでした(+_+)

      要は、以前から大切に使われている巾ハギのダイニングテーブルと同じ樹種だと思って安心して購入した突板天板のデスクが、ダイニングテーブルとはかなり木目の印象が違っていて戸惑っている、ということですね。
      これはおそらく、ダイニングテーブルのほうは年輪状の「板目」、デスクのほうは平行線状の「柾目」だったことによる違いではないかと思います。

      先に申し上げますと、カリモク家具のユーティリティプラスもだいたい柾目です。
      個人的には突板は柾目のほうが多い印象です。

      逆に、巾ハギだからと言って必ずしも板目とは限りません。
      代表的なところで言えば、シラカワというメーカーのテーブルの天板は基本的に柾目です。

      板目のほうが一般的には木目を楽しめると言われますが、お届け後に「目みたいに見えて気持ち悪いので交換して欲しい」などと言われることもあるなど、メーカーからすればちょっと敬遠したくなるところもあります。
      また、やはり木目の美しい木材ほど高価で、同じ樹種でも木目が粗かったりハッキリしない場合は安く仕入れることができます。
      よって、同じウォールナット、同じオークと言っても、ピンキリなのです。

      デスク天板は突板なのに引出し前板は無垢というのはよくあることです。
      これは天板ほど大きなものは突板のほうがコストを大きく下げられる、反り止めの必要がない、などのメリットがあるためです。
      一方で、引出し前板のように小さな部材は突板を貼るほうが面倒臭い、反る心配が少ないからと言えます。

      ちなみに、我が家ではウォールナット巾ハギのダイニングテーブルを使い、子供たちはナラ突板のデスク(引出し前板はナラ無垢)を使っています。
      ダイニングテーブルの天板は板目、デスクの天板は柾目で、たぶんまるさんと同じような状況です。

      私は家具好きですけど必ずしも無垢が良いとは思っていません。
      むしろ突板やメラミン化粧合板、スチールとか大好きです^^

      無垢は反りやすい、割れることもある、価格も高いと思っています。
      逆に、突板はほとんど反らない、割れない、価格が抑えられる、環境にもやさしいと、無垢よりもメリットは多いです。
      近年は技術力の向上により、面材(辺材)に無垢を少し貼ることで、無垢とほとんど見分けのつかないものもあります。

      まるさんにおかれましては、木目がお気に召さなかったことは残念ですが、それは無垢を選んでいても同じだった可能性はあると思います。
      突板なら無垢に比べて反る可能性は少ないですから、安心できると思ってお使いいただければ幸いです。

      あと、最近はネットで気軽に家具が買えるようになりましたが、できるだけ店頭に足を運んでいただいて、実物をご確認いただければと思います。
      ネットで見つけた家具を扱っている店を探すのは大変ですけど、そこまでして手に入れた家具はますます愛着がわくはずです。

  2. まる より:

    収納マンさん、ご多忙の中、貴重なご意見をお聞かせ下さりありがとうございます。
    突板デスクの合理性がよく分かる明快なご説明を頂き、納得する部分が多くありました。
    家具との付き合いは長くなることが多いことを考えると、なるべく実物を見て選ぶ、という、頂きましたアドバイスを実践することを大切にしたいと感じました。
    また、木目の表れ方と人によっての好みの違いなど、学ぶべきことが多くあり、収納マンさんのご経験の豊富さと博識ぶりに、改めて奥の深い木材の世界だな、と感じ入ると同時に、二つと同じもののない木の魅力にも触れられた気がします。
    この度はありがとうございました、来てくれた机の長所を理解し大切にするとともに、収納マンさんに心より感謝申し上げます。

    • 収納マン(芝谷 浩) 収納マン より:

      まるさま

      ご納得いただけて良かったです^^

      私なんかまだまだですが、木って本当に奥が深いですよね。
      最近は日本の林業にも興味があって、知れば知るほどウォールナットやナラなどの銘木の貴重さを痛感します。

      今回の件はちょっと残念だったかもしれませんが、次に家具を買う際に役立てていただければと思います。