IKEA(イケア)には北欧発のオシャレな家具や雑貨だけでなく、レストランやキッズスペースもあり、家具店と言うよりはレジャーランドに近い存在です。お子さんがいらっしゃるご家庭なら行ったことがある、もしくは一度は行ってみたい場所に違いありません。そこで学習机を検討しようという方もいらっしゃることでしょう。
一方で、IKEAのチェストの下敷きになって何人もの子供が亡くなっている事実や、引越しの際にIKEAの家具の運搬を拒否されたという話を聞くと、IKEAで家具を買うことに不安を感じることもあると思います。
果たして、IKEAで学習机を買っても大丈夫なのでしょうか。これまで多くのIKEAの家具をクライアント宅で組み立てるとともに、個人的にもいくつか家具を買っている収納マンの立場から、IKEAの学習机を紹介したいと思います。
※この記事は2024年4月3日時点の情報に基づいています
IKEA(イケア)とは
IKEA(イケア)はスウェーデンが発祥の、世界一の規模を誇る家具製造販売店です。日本ではIngka(インカ)グループが運営しており、宮城県から福岡県まで13店舗あります。
IKEAの家具は価格の割りにデザインのセンスが良く、ボリュームのある合板を使うなどすることで安っぽくなく家具を仕上げています。組立家具が中心で、店頭で購入する場合も自分で倉庫からピックアップして車に積み込んで持ち帰るのが基本です。そうやって輸送コストを下げることで価格を抑えていると言えます。
IKEAは使い捨て家具、PL法を無視した危険な家具との指摘も一部ではあります。しかし、そもそも日本の家具メーカーとは設計思想が異なるのです。日本人の多くはヨーロッパの家具は品質が良いと誤解していますが、IKEAに限らず、体裁が良いだけのハリボテのような組立家具が多いです。また、ヨーロッパでは自己責任の精神が徹底しており、日本のPL法のようなローカルルールはIKEAのようなグローバル企業には通用しないと思ったほうが良いでしょう。amazonで中華の商品を買うときと同じような覚悟が必要です。
IKEAの組立家具は搬入時はフラットパックですが、ワードローブや一部の木製デスクは接着剤を使って組み立てるため、分解することが困難です。一方で、前述の通りハリボテのような構造なので、そのまま搬出しようとすると壊れてしまう可能性があります。そのため、引越し業者から拒否されるのです。
以下にご紹介するデスクに関しては一部が分解可能で、また一般的なお宅の玄関から搬出できる可能性が高いです。しかしながら、IKEAの商品だというだけで拒否される可能性もあるのでご注意ください。
IKEAの代表的な学習机
MICKE(ミッケ)
IKEAの学習机でもっともメジャーなのは「MICKE(ミッケ)」でしょう。私がこれまでにお邪魔したクライアント宅でもよく見かけました。ついでに言うと、引出しが壊れているものも何台も見ました。
ミッケに限らず、またIKEAに限らず、組立式の引出しはすぐに壊れます。ミッケの場合はローラー式のスライドレールを使っているため、引出しを落下させて壊してしまうこともあれば、引出しを勢い良く開閉することで前板が外れやすいのだと思います。
なお、上写真のワークステーションタイプのホワイト色は現在、税込19,990円から”さらに低価格”で同17,990円になっています。しかしながら、こちらは少なくとも2020年まで14,990円で販売されていたものです。ウクライナ侵攻以降、IKEAは店舗だけでなく工場もロシアから撤退していますし、諸々のコスト上昇を考えれば値上げはやむを得ないものの、都合の良いことだけ大きな声で言うきらいがあるので注意が必要です。ちなみに、デスク関連品ではありませんが、この数年で3倍以上も値上げしている商品もあります。
BERGLÄRKA(ベリレルカ)
IKEAの学習机でもっとも新しい「BERGLÄRKA(ベリレルカ)」は天板昇降式でありながら、傾斜天板も備えていることが大きな特徴です。一回り小さい「PIPLÄRKA(ピプレールカ)」というデスクもあるのですが、ベリレルカは傾斜しない部分があって本などを置きやすいことと、天板を昇降させるのが容易なことから、ベリレルカのほうが売れているのだと思います。
ただし、ベリレルカは前後に揺れます。そのため、子供が消しゴムでゴシゴシする可能性を考えるとオススメできません。
PÅHL(ポール)
私の認識に間違いがなければ、「PÅHL(ポール)」はIKEAが初めて学習用として販売を始めたデスクです。ミッケのほうが先輩ではあるものの、ミッケは今に至るまで学習用とは謳っていません。
ポールが学習デスクたる所以は、3段階で高さを調節できるという点だと思われます。デスク本体に引出しがないばかりか、ワゴンも用意されていないので、文房具などの小物の収納には困るでしょうね。
TROTTEN(トロッテン)
「TROTTEN(トロッテン)」は学習用とは謳っていないものの、学習デスクとして使っても問題ないはずです。オシャレなだけでなく座りやすいハの字脚で、もちろん横にも縦にも揺れません。ただし、天板サイズは120×60cmからと大きいのがネックになる可能性はあります。
なお、トロッテンにはワゴン(引き出しユニット)が用意されていますが、引出しの開閉はお世辞にもスムーズとは言えません。同じ金額を出すなら市販のスチール製ワゴンをセットしたほうが良いでしょう。
LINNMON(リンモン)
実際のところ、IKEAで学習机を買い求められる方は、子供が中高生になってから「LINNMON(リンモン)」などの天板と脚を組み合わせることも多いようです。上写真のように「KALLAX(カラックス)」と連結してL型デスクやユニットデスクのスタイルで使うこともできます。
ぶっちゃけ、IKEAの引出しはカスですが、デスクや棚はそんなに不安視することはないと思います。ただし、定番の書棚「BILLY(ビリー)」のように簡単に崩壊するものもありますし、油断は大敵です。
以上、IKEAの学習机についてかなり厳しめに書きました。IKEAは「安心安全」を強調しますが、日本の家具メーカーから見れば十分とは言えません。一方で、グローバルで見れば日本の家具メーカーが過剰スペックでガラパゴスなだけとも言えます。
デスクに限らず、IKEAの家具は黄色いプライスカードの商品は安いと言えます。逆にそれ以外については割高なもののほうが多いです。特価品で釣って、それ以外の商品で儲けるビジネスモデルだと理解していただくと良いでしょう。
また、ホームセンターで合板などの材料を買ってきて自分で組み立てることを考えれば、IKEAの家具は安いし手間もないです。そういうスタンスなら、ネジ穴がズレていたり、キズがあっても、気にはならないでしょう。クレームを入れて返事がなくても、それがグローバルスタンダードなんだと理解できるはずです。
それが看過できないのでしたら、ニトリで買ったほうが安心です。ニトリならクレームを入れてもちゃんと対応してくれます。この5年でニトリの売上は5割以上も成長しているのに対し、IKEAジャパンは1割強しか伸びていないません。昨今の値上げ幅を考えれば、販売数量は減っていると言っても差し支えないでしょう。やはり日本人にはサイズ設計も含めてニトリのほうが合っていると思います。
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