リビング学習のメリットとデメリットを踏まえて準備しておきたいこと

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リビング学習・イメージ

今や「リビング学習」や小学校入学に合わせて学習机を購入しないことは当たり前になりました。

もちろん、私はそれで問題ないと思っています。ただ、「断捨離=捨てる」と理解されてしまっていることが多いのと同様に、リビング学習というものが断片的な情報で誤解されていることも少なくないと感じることもあります。

リビング学習には多くのメリットがあります。一方で、デメリットもあります。今回はまずそれらを整理したうえで、子供の学習環境を整えるためのモノとコトの準備について説明したいと思います。

※この記事は2024年3月2日にリライトしたものです

 

リビング学習のメリット

  • 家事をしながら子供とコミュニケーションを図ることができる
  • 子供が安心して学習に取り組むことができる
  • 子供の様子および学習の進捗状況を把握しやすい

リビング学習の最大のメリットは何と言っても親子のコミュニケーションが取りやすいことにあります。家事(主に炊事)をしつつ、キッチンと子供部屋を往復することは、いくら物理的な距離が近くても容易ではありません。また、プライベート空間である子供部屋に頻繁に出入りすることは、時として子供の不信を買ったり集中を妨げる可能性もあります。その点、親子が同じ空間でそれぞれの仕事(家事・学習)をすることは、そういったデメリットを生じることがなく、極めて効率的であるとともに自然な状況と言えると思います。

ちなみに、”リビングで学習する子供は頭がいい”なんて言われますが、私はそれは因果関係のハッキリしない迷信だと考えています。少なくともそれを裏付けるデータというものを私は見たことがありません。また、我が子二人は途中までいわゆるリビング学習の状態でしたが、それぞれ成長の様子はまったく異なるように感じています。

そんな方法論よりも大事なのは、その子の性格に合った接し方を心掛けて過不足のない範囲でコミュニケーションを取ることと、子供以上に親がしっかり勉強することではないかと思います。その点で、私の両親は私を適度に自由にさせてくれて、ともに勤勉であったことに今は感謝しています。

 

リビング学習のデメリット

  • リビングダイニングが片づかない
  • ダイニングテーブルに教材や消しゴムかすが散乱する
  • 子供が勉強に集中できない(だらだらやる)

人が何かアクションをするときには漏れなくモノが付いてきます。ですから、リビングダイニングで子供が学習するということは学用品もそこで必要になるというわけです。逐一、子供が自分の部屋に持っていってくれれば良いですが、現実的にそれは困難です。子供が勝手に勉強すれば済む話ではなく、本読みを聞いたり、プリントの採点をしてあげなければならず、一方で親は夕食の準備をしていたりするため、それらが夕食後に後回しになることも多々あります。

ランドセルラックをひとつ用意すれば済むという話でもありません。宿題だけでなく、通信教育や塾の宿題などもあります。遊びもしなければなりません。そのため、一般的なランドセルラックをひとつ用意するだけではすぐにオーバーフローしてしまいます

そうしてすぐにダイニングテーブルやカウンターなどに教材を置くようになりがちです。親がダイニングテーブルの上にモノを置く習慣がある場合は親子で縄張り争いをするようになります。ダイニングテーブルの上に常に何も置いていない状態であれば消しゴムかすなどをサッと拭けば済む話なのですが、モノが多いとそれすらストレスの溜まることになります。

また、子供が安心して学習できる環境ということはつまり子供がリラックスできる状態で、ともすればリラックスしすぎることにもなりかねません。さらに、きょうだいがいる場合は邪魔が入ったり、遊びの誘惑も多いため、なかなか勉強に集中できないということがあります

 

リビング学習のレイアウトは主に3パターン

話は少し変わりますが、リビング学習と一言で言っても様々な形があります。特に、子供部屋を併用するか否かで、リビングダイニングに常駐する学用品の量は大きく変わります。

子供部屋を設けない場合は、主に以下の3つのパターンが考えられます。

  • ダイニングテーブルで学習、学用品はすべて収納棚等に
  • リビングダイニングに置きやすい小型のデスク+収納棚
  • 一般的な学習机+必要に応じて収納棚

リビング学習と言う場合、ダイニングテーブルやリビングテーブルで学習し、ランドセルやその他の学用品は収納棚に収めるというイメージの方が多いでしょう。これがまず1つ目のパターンです。

2つ目は幅80~90cm程度、奥行50cm前後のコンパクトデスクを置き、それに収まりきらないモノを3段カラーボックスやオープンラックに収めるパターン。

3つ目は一般的な学習机(幅100×60cm程度)をドンと置いてしまう方法です。上棚に教科書、引出しに文房具などを収納できるとすると、補助的な収納スペースは2つ目のパターンよりも少なくて済みます。

結局、どのパターンであっても、それなりの幅を割く必要があります。ただ、コンパクトデスクや学習机を置く場合は椅子を引くスペースも含めて奥行が必要になるので、リビングないしダイニングにそれなりの広さが求められます。

いずれの方法が良いとか悪いとかいう話ではなく、現状のリビングダイニングのスペース次第で正解は変わってくると思います。また、リビングダイニングに隣接した部屋が活用できるかどうかでも変わってくるでしょう。

ちなみに、それぞれどれくらいのスペースが必要となるかというと、まず、ダイニングテーブルで学習する場合は最低で3段カラーボックス1つ分くらいのスペースが必要です。ただし、理想値は幅60cm以上です。次に、小型のデスクを置く場合は幅90cm程度のスペース+αと考えたほうが良いでしょう。最後に一般的な学習机を置く場合は幅100cm程度+αと考えておけば良いですね。ただし、奥行が60cm以上あるうえ、椅子の出し入れも考えると100cm四方のスペースが必要になります。

学習机の設置スペースを考えるとき、椅子の引き代はどれくらい必要?
学習机の設置スペースを考えるとき、椅子の引き代はどれくらい必要でしょうか。基本的には椅子の奥行サイズだけは最低限確保したいところです。足元棚がある場合は500mm以上必要と考えたほうが良いでしょう。また、ワゴンの引き代も考えておいたほうが良いと思います。

 

まずやらないといけないのは親自身の片づけ

私が今までに読んだ書物によると、親子と言えども人が人を育てることはできません。親が子にできることは環境を作ってあげることだけです。ではこの場合、親が子のためにしてやれる”環境を作ること”とは何かというと、親自身が片づけてスペースを作り、状況や必要に応じて家具を揃えるということだと思います。

収納のプロとしての経験から言うと、親が子に「片づけなさい!」と言ってもほとんど通じません。まず親自身が子供にとっての模範となるように片づけをすることが第一。残念ながら、必ずしも子供がそれを良いように真似してくれるとは限りませんが、少なくともどっちもどっちの言い争いをすることはなくなります。

収納は段取り八分です。つまり、計画性で結果の8割が決まります。子供にリビング学習をさせたからと言って100%片づかなくなるということはなく、最初にある程度の予想を立てて、それを踏まえたうえで最適な家具を選べば、リビングダイニングが片づかないという問題は回避することが可能です。

 

リビング学習でも子供の居場所としての学習机は必要

「最初はダイニングテーブルで勉強すれば良いから学習机は買わなくても良い」という意見に反対するつもりはないのですが、できれば学習机は最初から用意したほうが良いというのが私の考えです。その理由は以下の2点です。

  • すべての学用品をリビングダイニングに置くことは現実的でない
  • 子供の居場所を確保することが大切

リビング学習する場合の家具レイアウトのところでも説明した通り、リビングダイニングにすべての学用品を置くスペースを確保することは一般的に極めて困難です。リビングダイニングと子供部屋、どちらを主にしてどちらを従にするかのバランスはともかく、リビングダイニングに学習机と大型のラックを置かない限りは別の場所に収納スペースを設ける必要性は必ず出てきます。

また、それよりも重要なのが、子供の居場所を確保するということです。リビング学習では、ともすれば子供がリラックスしすぎたり、きょうだいの邪魔が入ったり、親子喧嘩して気まずいこともあります。家族が同じ空間にいることがメリットになる半面で、それがデメリットになるときもあるのです。そのときに子供が逃げ込んだり気分を変えることができる場所があったほうが良いと私は考えています。だからリビング学習であっても学習机はあったほうが良いと思うのです。

ちなみに、我が家の場合は最初からダイニングに学習机と棚を置くことを想定してダイニングテーブルは買わず、がっつりと学習机と棚を2セット並べました。そして、子供が逃げ込む場所は学習机か寝室の2段ベッドという具合です。決してそれが良い方法だと言うわけではありませんが、そうしておいたことは結果的に良かったと思っています。

 

組み替え式デスクは合理的な選択肢の一つですが…

学習机のことをよく調べ、リビング学習について十分に検討していくと、組み替え式デスクは効率の良い選択肢のひとつであることが分かります。リビングダイニングにはデスク本体と袖ワゴンを置き、子供部屋には書棚を置いて、リビング学習を卒業すれば子供部屋でそれらを合体することができるからです。また、リビングダイニングで学習をし、そこに必要最小限のモノを置く場所を確保し、それ以外を子供部屋に収納することができるからとも言えます。

しかし一方で、組み替え式デスクは非常に中途半端なものであると言うこともできます。学用品で収納するのが難しいのは書道セットや絵画セット、工作などの作品や実験セットのような中途半端な大きさのものですが、これらは組み替え式デスクの書棚では奥行が不十分です。また、中高生くらいになると、組み替え式デスクの書棚の高さは中途半端で収納力が足りません。

誤解のないように付け加えると、組み替え式デスクを否定しているわけではありません。これさえあればどんなお宅でも一発で問題が解決できるというものは存在しないということをお伝えしたいまでです。

子供の成長は千差万別ですから、状況に応じて解決策を探っていく必要があります。そういったことを踏まえると、学習机の購入を先送りにするということも選択肢の一つではありますが、できるだけ早くその状況を脱することが望ましいと言えます。

 

以上の通り、リビング学習は良いことばかりではありません。収納面で親子ともにストレスを感じることがありますし、子供が親やきょうだいと距離を取りたいときのためを考えると、子供部屋があったほうが良いでしょう。居場所としての学習机も然りです。

そのために必要な家具というのはご家庭によって異なります。組み替え式デスクがあれば万全ということはありません。お子さんにとって何が最適なのかということをシッカリと考えて、良い環境を整えてあげてください。

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この記事を書いた人
収納マン(芝谷 浩)

家具メーカーを退職後、2002年に収納スタイルコーディネーターとして独立。多くのご家庭の片づけの悩みを解決してきました。TVチャンピオン「収納ダメ主婦しつけ王」選手権で優勝するなどメディア出演多数。
長女が小学校に入学するのを機に学習机を購入してブログで報告したところ、学習机について相談が殺到。以後、「学習机評論家」としてメーカーの展示会や販売店に足を運ぶなどして日々情報収集に努めています。詳しいプロフィールはこちら

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コメント 皆様からご質問・ご意見など

  1. aya4243 より:

    片付けの苦手な親と小学生になる娘のいる我が家、収納マン様の情報は有益で興味深く、いつも大変お世話になってます。
    いまだ学習机を買っていない我が家…初孫にどうしても机をプレゼントしたいという祖父母の好意で狭いリビングに置く学習机を探しています。私の譲れないポイントは昇降式であることと奥行が55まで、できれぱ最初からワゴンセットは嫌だ、のワガママな3点です。
    そこでたどり着いた選択肢が①陰山デスク②マルニフレンディステップⅡです。①は安売している店もあり、片付下手な娘にも扱いやすそうなちょい置き仕様、買い替えも惜しくない②はいずれ子供部屋に移動した時に奥行が8㎝広げられる、陰山とは比べものにならない材質(当たり前ですが。)、広島出身者としては応援したいというところでしょうか。
    ただマルニは昇降式の特徴かもしれませんが高さ調整のための左右の木枠?が天板と一体化するまで机の横幅がマイナス10㎝となります。陰山デスクは天板は最後まで常に同じ大きさで使えるみたいです。
    収納は本棚を使う予定です。 長々とすみません。収納マン様の見方を聞かせて頂けたら幸いです。ちなみに夫は3つ下の妹の時も同じ机を買いたいらしく、それぞれ、モデル、会社の継続を心配しています…

    • 収納マン(芝谷 浩) 収納マン より:

      aya4243さま

      はじめまして^^

      候補はオカムラのかげやまデスクかマルニ木工のフレンディ・ステップ2ですね。かげやまデスクを置くスペースがあるなら、ステップ2の110cm幅が良いのではないでしょうか?

      理由はいくつかあります。いくらかげやまデスクがディスカウントされていて買い替えしても惜しくないとはいえ、おじいちゃんおばあちゃんからの入学祝だとその気持ちを考えると現実的には買い替えは難しいと思います。
      また、110cm幅であれば、小学生の間はそんなに教材を机の上に広げる必要はありませんので両側に脚が出ていても十分な広さを確保できるだけでなく、モノのこぼれ止めとしての機能を果たすとも言えます。
      さらに旦那さんが心配されている点・・・これは私の憶測にすぎませんが、どちらが継続可能か推測されるかと問われればステップ2のほうだと思います。マルニのことですので次はステップ3になっているかもしれませんが・・・。
      ほか、ご指摘のように奥行が8cm拡張できる、材質や品質が良いという面でもステップ2のほうが良いと思われます。

      決して、かげやまデスクが良くないというわけではないですが、この2つの選択肢であればステップ2のほうがかなりアドバンテージが大きいと私は思います。いかがでしょうか?

      • aya4243 より:

        お忙しい中ありがとうございます。そうですよね、スッキリしました。今日、ケユカの昇降式も見てきましたが引出のレールを見てしまうとステップⅡがいいと思いました。左右同幅の引出は気になりますが。
        そして110は置けないことはないのですが、やはり100を購入して、中学生くらいまで実質幅90になってしまうと狭いですよね。
        もう1つ椅子についてですが、机が昇降式ということもあり、同メーカーはもちろんセットされている椅子を使うべきでしょうか。ワゴンをセットしないこともありますが、キャスター付な点と他社と比べて幅41は狭いところが気がかりです。

        質問ばかりで恐縮ですが、収納マン様のご意見が聞けたら幸いです。

        • 収納マン(芝谷 浩) 収納マン より:

          aya4243さま

          机の幅ですが、もちろん110cm幅が置ければそれに越したことはないですけど、リビングに置くことが前提であれば100cm幅でもやむを得ないのではないでしょうか。小学生の間はそれでも大丈夫だと私は思いますけどね~。

          椅子については他社製でもほとんど問題ないと思いますよ。ただ、幅41cmというのは決して狭くはないと思うのですが?ケユカのフォセットは43.7cmありますが、他もだいたい42cm前後ですので座面の幅は大差はないように思うのですが・・・。

          • aya4243 より:

            度々すみません。
            バランスチェアの話は過去ログで既読ですがなぜバランスチェアにされたのかという
            点と数ある中でそのバランスチェアにされたかをうかがえればと思いました。

  2. aya4243 より:

    収納マン様のおかげで色々決めることができました。ありがとうございました。最後に、収納マン様のご家庭で使われているバランスチェアについて教えて下さい。

    ぜひ今度は収納診断を受けてみたいです。関東出張の際は別ブログでも構いませんので告知願います。

    • 収納マン(芝谷 浩) 収納マン より:

      aya4243さま

      バランスチェアの件についてお答えします。

      私がバランスチェアを購入した直接の理由は、家具メーカーに勤務していた当時に売場でバランスチェアに座って、その座り心地の良さというか、姿勢がシャンッとすることに衝撃を受けたからです。

      その当時は確か、HAG社のバランスチェアと、リボ社のバランスイージーしかなかったと思います。で、私が子供に買い与えるときも実績のあるその2社を検討しましたが、確かバランスイージーは価格的に手が出なかったと記憶しています(バランスイージーは現在はサカモトハウスが販売しています)。

      で、バランスチェアにした理由ですが、やっぱり姿勢を良く保つのに良いと思ったからです。ただ私自身も職場で使ってみて分かったことはこの椅子には10時間以上も座り続けるのはキツイということです。子供はそんなに長時間座っていることはないですが、それでも時々変な座り方をしています(苦笑)でも、それは結局どんな椅子に座っても同じことかなぁとも思います。

      それ以上に買ってから良かったと思うことは、倒すことがない、椅子を引くことなく座れる、軽い、モールドウレタンで結構座り心地が良い、耐久性が高い、背もたれがないので見た目の圧迫感がないなど、多くのメリットがあったことです。子供たちも満足しているようです。

      でもaya4243さんは天板昇降式のステップ2でしょ?バランスチェアは天板を低くしたステップ2には使えないですけど・・・。

      あとすいません、収納のご相談で関東に来るときは是非ついでに・・・とおっしゃっていただくことは度々あるのですが、時間的に難しいことが多いのでご遠慮いただいております。せっかくおっしゃっていただいてありがたいのですが、申し訳ありません<(_ _)>

      • aya4243 より:

        大変勉強になりました。ありがとうございました。今後も収納についてブログを拝見し勉強させて頂きます。