まあ、そのうちこうなるとは思っていましたけどね(苦笑)
家具業界紙「ホームリビング」によると、アクタスが同社商品と著しく類似しているとして、浜本工芸のデスクを家具経済同友会の例会に持ち込んだそうです。
より正確に述べますと、記事中では浜本工芸ではなく「H社」となっています。しかしながら、前後の文脈から見ても浜本工芸であることは間違いありません。
なお、家具経済同友会とは、家具・資材・寝装・エクステリア関連のメーカー・販売店・デザイナーなど有志45社により結成されたもので、現在はフランスベッドホールディングスの池田社長が会長を務めています。加盟企業については私もよく分からないんですけど、ホームリビングが家具経済同友会の機関紙的位置付けとも見れることから、頻繁に広告が掲載されているところが加盟しているんだろうと思います。
※この記事は2017年2月8日時点の情報に基づいています
アクタス「ヴァリオ」と浜本工芸「No.41デスク」
アクタス・ヴァリオ
浜本工芸・No.41デスク
まず名前が挙がっているのがアクタスの「ヴァリオ」。対するH社による類似品については具体的には挙げられていないものの、浜本工芸の「No.41デスク」ということで間違いないと思います。両者とも天板から側面にかけてのアールと、背面に立つバックパネルが大きな特徴と言えるでしょう。
ヴァリオの発売は2006年、No.41デスクはその10年後の2016年ですから、時間軸で考えれば浜本工芸がアクタスのデザインを模倣し得たということは言えると思います。
アクタスほどの大企業であれば法務部もしっかりしているでしょうから、私はてっきりいきなり内容証明を浜本工芸に送り付けるもんだと思っていました。しかし、そこは高貴なコクヨグループです。できるだけ穏便に済ませるよう、まずは家具経済同友会におうかがいを立てたということなのだと思います。もしくは、デザインを大事にする会社だからこそ、訴訟に持ち込むことで業界に関わるデザイナーが委縮することをはばかったのかもしれません。
アクタス「フォピッシュ」と浜本工芸「No.89デスク」
アクタス・フォピッシュ
浜本工芸・No.89デスク
アクタスが怒っているのはヴァリオの類似品を発売されたからだけではありません。ほかにも2つ名前が挙がっており、そのうちのひとつが「フォピッシュ」です。これについても類似品の商品名は挙がっていませんが、おそらくは浜本工芸の「No.89デスク」と思われます。天板が両側の脚に挟まれている点が大きな類似点と言えます。
アクタス「サークル」と浜本工芸「No.6000デスクユニット」
アクタス・サークル
浜本工芸・No.6000デスクユニット
もうひとつ名前が挙がっているのは、アクタスの「サークル」。そしてそれに対する類似品と思われるのが浜本工芸の「No.6000デスクユニット」です。類似している特徴は、脚形状と天板の角の形状と言えるでしょう。上棚(バックパネル)のバランスも似ています。
アクタス、ついに堪忍袋の緒が切れる
アクタスとしてはおそらく、フォピッシュまがいが登場したときから、「おいおい、ちょっと待てよ」という感じだったと思います。ただ、当時の浜本工芸には現在のNo.89デスクに似たデスクがいくつかあり、さらには同じデザインのデスクが皇室に献上されたため、物言いをつけるタイミングを逸してしまったのかもしれません。
また、サークルまがいについても、脚形状と天板の角の形状それぞれを単独で見ればコピーしたとまでは断言できない部分もあり、複雑な思いを抱えながらも見過ごさざるを得なかったように思います。
そこに来て今回のヴァリオまがいです。さすがのアクタスも「おい!ええ加減にせえよ!」と、堪忍袋の緒が切れたのではないでしょうか。
しかし、これについても家具経済同友会で審議した結果、「類似性は認められるが、まったくのコピー商品とまでは言い難い」ということで、まずは浜本工芸に直接抗議してみてはどうかという結論に至ったようです。
業界内で済ます話ではない
この件はおそらく、法廷の場に出ることなく、なあなあで終わらされることになるでしょう。そうすれば、業界内に波風を立てることなく、消費者にも争いを見せなくて済みます。争い事というのはどんなものであっても、見ていて気持ちが良いものではありませんからね。
しかし、私はそれで良いとは思いません。この件は業界内で揉み消されることなく、消費者が知っておくべきことだと思います。「お客様は神様です」ではありませんが、今は一般市民が世の中をより善い方向に導いていく時代だと私は思っています。
内々ではなあなあで済ませようとも、法の下ではグレーでも、デザインをコピーすることで安価に商品が提供されようとも、善くないことは善くないと一般市民がハッキリと示していかなければなりません。そうしなければ、H社はまた同じことを繰り返しかねませんし、業界内に悪い前例を残していくことになります。
日本の法律は性善説に立っており、大きな問題が起こらない限りは、法の手に委ねることなく穏便に済ませるという傾向があります。しかし、こういうことが立て続けに起こると、内容証明を送りつけるということが頻繁に起こりかねません。そうなれば、デザイナーが委縮して新しいものが何も生まれなくなってしまう可能性があります。
もちろん私としてはそんな未来は望んでいません。善意に委ねられているわけですから、H社には消費者の期待を裏切らないよう、オリジナリティーのある商品開発をしていってもらいたいと思います。
コメント 皆様からご質問・ご意見など
店頭で浜本工芸のNo.41デスクが廃盤となると聞きました。
やはりこのアクタスとの一件が絡んでいるのでしょうか。。
浜本工芸はLD含めもっと浜本らしい商品が売れると思うのですが、難しいんですかね。
くらきさま
はじめまして^^
そうなんですかー。浜本工芸のNo.41デスクが廃番。
直接聞いたわけではないですが、この件が引き金となっている可能性はあるでしょうね。
おっしゃる通り、私もくらきさん同様、浜本工芸はもっと浜本工芸らしい商品で勝負するべきだと思います。
残念ながら、浜本工芸は消費者に何を期待されているかを全然分かっていないと感じます。
しかしそれはまったく難しいことではないはずです。
むしろ、消費者の声に直接耳を傾けることで、大きな飛躍も期待できると思います。
2018年度は別の方向で頑張ってくれることを期待したいものです。
過去に遡って愛読させていただいております。
アクタスのフォピッシュ、デザインだけでいえばベストと思っているのですが、脚が台形という点と、脚が天板に挟まれているという点が気がかりです。
上記、デザイン重視、という理由しか思い浮かばず。アドバイスいただければと思います。
過去ログにありましたら、大変失礼いたしました。
あやかさま
はじめまして^^
アクタスのフォピッシュは脚を横から見たときに台形ということで、壁にピッタリつかない=すき間ができてモノが落ちるという懸念をされる方もいらっしゃいます。
また、天板と脚のすき間に消しゴムかすが溜まりそう…というご意見もありますね。
個人的には、それは否定のしようがないです^^;
一方でこれらはフォピッシュのデザインのチャームポイントですので、これらを否定してしまうとコイズミファニテックのビーノと同じデザインになってしまうような気もします。
つまるところは、デザインを取るか、機能性を取るか、というところでしょうねー。
収納マンさま
しつこくすみません…。
アクタスに行ってきたのですが、お目当てのフォピッシュよりもテオ・サークルの質感に惹かれてしまいました^^;
しかし、もしサークルにするとしたら浜本工芸のNo.6000の方が良いのではとまた思考がグルグルです。
パクリ体質の浜本工芸は好きではないのですが、やはり強度が強いに越したことはないですよね…。
近くの島忠ではNo.6000は置いておらず実物を見れないのですが、サークルと比べたら多少野暮ったいでしょうか?
No.9は見れたのですが、私的にはちょっと立派過ぎる印象ではあります。
もももさま
フォピッシュ2もテオもサークルもオーク無垢のウレタン塗装ですから、テオとサークルに惹かれたというのは質感というよりむしろデザインでしょうね。
テオは線が細くて繊細さが感じられ、サークルは丸みがあるデザインで可愛らしいと思います。
浜本工芸のNo.6000デスクユニットは確かに発売当時は「ひょっとしてサークルもどき?」と感じましたが、今はもうラインナップが違い過ぎてほとんど誰もそんな風には思っていないでしょう。
AndroidのスマートフォンをiPhoneのパクリと言う人がいないのと同様です。
もっとも、浜本工芸が少なくとも数年前まではそういう体質であったことは否めませんが^^;
ともあれ、No.6000デスクユニットがサークルに比べて野暮ったいとは私はまったく思いません。
むしろまったく逆で、No.6000デスクユニットを見てからサークルを見たら、素材の悪さに気付きます。
ナラとオークって木目の美しさがこんなにも違うんだ、同じウレタン塗装と言っても別物だよね、と思うはずです。
サークルだけを目の前にしてたら、別にそんなことは思わないんですけどね。
素材や質感だけでなく、デザインもNo.6000デスクユニットのほうが洗練されていて、サークルのほうが無骨というか素朴に見えます。
もっとも、サークルにはリノリウム天板もありあますし、全体の雰囲気によって印象が変わることもあるかもしれません。
ともあれ、サークルもNo.6000デスクユニットも上棚ではなくコンパクトなバックパネルなので、当初のもももさんの理想とは違う感じですね。
それで言えば、昨日の記事で紹介したヒカリサンデスクの「Bカヌレ」は形としては良い感じじゃないですか?
引出内部材がおそらく白く塗ったMDF合板、デスク脚がオークの木目を印刷したラバーウッド、天板はオーク突板ですから浜本工芸やアクタスを見たあとではチープに感じると思いますが^^;
トータルでの質感はおそらくリーモのほうが上だと思います。
ありがとうございます。
フォピッシュの木目が気になったのですが個体差かもですね。
テオ・サークルのデザイン素敵でした。
リピアも素敵なのですがやはり引き出しが欲しいですね…。
最近はパクリ体質改善しているのですね!
良かったです。
No.6000の方が洗練されたデザインとのこと、意外です!
なんとか実物を見れるところを探して行ってみたいと思います。
楽しみです^^
ただサークルよりテオのデザインの方が好みだったので、テオとNo.6000でまた迷うかもしれません…
そうなんです、書棚があれば上棚無くても良いかなと思い始めました。
また変わりそうな気もするのですが^^;
書棚はシンプルなものが良くて、フォピッシュかウィドゥスタイルのセレクトのものにしようかと思っているのですが、
他におすすめございますか?
>それで言えば、昨日の記事で紹介したヒカリサンデスクの「Bカヌレ」は形としては良い感じじゃないですか?
はい、そう思ったのですが、目が肥えてきていまして(笑)、やはり無垢がいいなと…。
リーモも捨てがたいのですが、アクタスを見てしまうと見た目重視になってしまいそうです^^;
もももさま
確かに書棚を置くスペースがあれば、上棚はなくても机上にファイルボックスを置くなりして対応すれば良いかなって感じになってきますよね。
そうすると、デスクの選択肢が一気に広がってきますから。
学習机に限らず、家具は色々見ているうちに目が肥えてきます。
天板の材質や塗装もスペックだけは分からないことが多く、実際に見比べて初めて質感の違いに気付きます。
引出しも内部材や開閉のスムーズさなどの違いも分かってくることでしょう。
書棚はどんな風に活用するか次第ですね。
本やファイルをメインに収める感じなら、普通に箱状のもののほうが使い勝手は良いです。
背が高いものを選ぶ場合は、デスクと合わせるより存在感を感じさせないほうが良い場合もあると思います。
デスクに合わせないほうが予算的にもやりくりしやすいでしょう。
ランドセルや書道セット、オモチャや部活で使うモノを収めるなら、奥行が35cm以上あったほうが良いですね。
背が高くても安定感があるのもメリットです。
基本的に書棚は見た目で選んでも、収めるモノや収め方次第で見た目を損なう可能性があります。
これは机の上を整頓するよりも難易度が高いです。
なので、やはり使い勝手を第一に、存在感があることよりも存在感を感じさせないことを重視して選んでいただくのがベターかと思います。
スペックや見た目はネットでかなり見たと思うので、これからは実物を見て引き出し等確認するようにします!
書棚についてもまとめてくださっていたのですね。
本当に頼りになります。
こちらも熟読させて頂きます!
入学前に引越しするかもしれず勢いで買うということがまだできないので悶々と考えてしまう日々がしばらく続きそうです…
また質問させて頂くことがあるかもしれませんm(_ _;)m
今回もありがとうございました!
もももさま
今後お引越しの予定があるかもしれないということでしたら、無印良品のスチールorパイン材のユニットシェルフや、とりあえずカラーボックスで、という考え方のほうが良いかもしれませんね。
ユニットシェルフなら分解できるので搬出入が容易だし、ほかの場所での転用も可能です。
また、カラーボックスも転用可能ですし、使い捨てにしても惜しくないと思います。
完成品、もしくは分解不可能な組立品を購入される場合は、幅75cm以下のものを選ばれることをオススメします。
日本の住宅は一戸建てでもマンションでも畳モジュールが一般的で、75cm以下なら置ける場所が多いからです。
ちなみに、昔ながらの団地の場合は幅60cm以下のほうが無難かもです。
またご質問がございましたらいつでもお気軽にお声掛けください^^