一昔前の学習机は、アニメのキャラクターだったり、カラフルな色遣いだったり、多機能が売りで、子供っぽい感じのものばかりでした。それは決して悪いことではないものの、インテリアとして、また子供が成長したときのことを考えれば、果たしてそれは正しい選択肢なのかと疑問を持つ方もいらっしゃることと思います。
そんな中にあって、杉工場の学習机はとてもシンプルで子供が成長してもずっと使えそうなデザイン。まるで無印良品が国産で作ったような雰囲気です。
「でも、杉工場なんて今まで聞いたことがないし、本当に大丈夫なのかしら?」
今回はそんな疑問にお答えして参りたいと思います。
※2024年11月4日更新
杉工場とは
杉工場は福岡県うきは市に本社を置く家具メーカーで、もともと学校用の木製机や跳び箱などの体育用具を作っていたそうです。沿革を見ると1992年から本格的に学習デスクを作っているということですが、少なくとも2000年代初め頃には首都圏で扱っているところはなかったはずなので、学習机メーカーとしては後発の部類になると思います。
杉工場の学習机は堀田木工所(hotta woody)やXYL(キシル)と同様にアルダー材のオイル仕上げがメインです。そのため、どうしてもキズや汚れの不安はつきまとうと思います。
また、競合2社との大きな違いは引出内部材にヒノキを使用しているところです。そのため、質感は決して悪くないものの、引出しが妙に軽いです。引出しと外箱の間に遊び(=すき間)が多いこともあり、文房具類を収めて重くなると、開閉しにくいと感じることもあるかもしれません。
一方で、同じアルダー材のオイル仕上げでも堀田木工所は先発ながらデザインが野暮ったいです。また、キシルは質感こそ悪くないものの、子供が使う学習机としては設計に不備が多々あります。その点、杉工場は学習椅子も含めてとても素晴らしいデザインですし、設計自体には問題ありません。価格は堀田木工所に比べると割高感が否めないものの、機能的合理性よりもデザイン重視というスタンスなら十分に検討の余地はあると思います。
代表的なデスク&チェア
MUCMOC(ムックモック)
ここからは杉工場の代表的な机をピックアップしてご紹介して参りたいと思います。
個人的に、杉工場の製品で初めて「おっ!」と思わされたのは「MUCMOC(ムックモック)」でした 。華奢なデザインで、横揺れはするくせに、価格は安くなくて、最初に見たときは驚きました。でも、デザインのかわいらしさに惚れてしまうと、そんなことはどうでも良くなっちゃうんですよね。まさしく、杉工場マジックだと思います。
木と風
もう一つ、個人的にとても好きなのが「木と風」です。とことん無駄をそぎ落としたシンプルなデスクとグリッドシェルフの組み合わせで、まさしく無印良品のデザインで国産家具メーカーが作ったような雰囲気です。キズや汚れの心配がない大人の女性なら素直にオススメできると思います。
レグシー
しかしながら、学習机は飾りではなくあくまで道具ですから、10万円以上も出すのであれば普通は浜本工芸やカリモク家具を選ぶと思います。そんな風に考えると、「レグシー」あたりが現実的な選択肢になるのでしょう。杉工場のラインナップの中ではレグシーがもっとも売れ筋だと思います。
クッカ
レグシーと並んで杉工場の売れ筋と思われるのが「クッカ」。座った状態で椅子を引けない新入学児童でも座りやすい脚形状のデスクです。なお、レグシーやクッカなど杉工場のアルダー材のデスクは書棚やワゴンを自由に組み合わせることができます。
スピカ
同じアルダー材のオイル塗装でも堀田木工所やキシルの学習椅子はいかにも箱物家具メーカーが作った感じのヘボいデザインが多いですが、「スピカ」を見ると杉工場はデザインだけでなく技術力もあることがよく分かります。ただ、個人的には2019年度以前のスピカのほうがデザインが良かったなーと思ったりもします。
オリジナルデスク
こどもビームス
杉工場は家具販売店ではなく、ほかの業態にオリジナルデスクを提供しています。そのひとつがアパレル系の「こどもビームス」。オンラインでの販売のみとなりますが、現在は代官山と神戸のビームスで展示を見ることができるそうです。
上写真の3点セットで税込11万円ジャスト。カタログモデルで言うと、「クッカ」、「Nワゴン」、「スティック上棚ロータイプ」の組み合わせに近く、価格はそれほど変わりません。
ベルメゾンDAYS
通販大手のベルメゾンでは「国産学習デスクメーカーと考えた学習机」などを扱っています。こちらのデスクは「レグシー」をベースにしていると言って差し支えないでしょう。
レグシーが幅4サイズなのに対し、こちらは90cmと110cmの2サイズながら、奥行43cmと60cmも用意されているのが特徴と言えます。なお、引出しに仕切り板が付いているためか、110×53cmサイズのレグシーと比較すると約20%も割高です。
ちなみに、ベルメゾンでは杉工場のレグシーやクッカのほか、杉工場が監修した中国製の「タモ材の収納にこだわったラック付き学習机」という商品も扱っています。
以上ご覧いただければ分かる通り、杉工場の学習家具のデザインは本当に素敵です。ただ、堀田木工所などと比べると明らかに価格が割高で、しかもほとんど値引きされることがありません。なので、同じ予算で検討するなら、浜本工芸やカリモク家具を選ぶ人が多いと思います。材質も品質もブランド価値も、その2社のほうが圧倒的に優れていますからね。
にもかかわらず、あっさりとあきらめきれない杉工場のデザインや質感(苦笑)家具選びというのは本当に悩ましいものです。
コメント 皆様からご質問・ご意見など
こんにちは。
来年入学の息子に学習机と書棚を検討しています。ワゴンはいらないかなと個人的に思っています。
リビングと子供部屋がつながっており、似た雰囲気の机にしたいと思い、ダークブラウンにしたいのですが、なかなかありません。
杉工場の木と風のデスクと一番大きい棚か、カリモク のボナシェルタで悩んでいます。
ボナシェルタは実物を確認しましたが、あまり感動もせず、、どちらかというと足が丸い杉工場が気になっています。こちらは実店舗で見ていないので質感等わからないのですが、お勧めはどちらでしょうか。
みえさま
はじめまして^^
杉工場の木と風と、カリモク家具のボナシェルタでご検討中ですね。
私も木と風の丸みのあるデザインは大好きです。
ボナシェルタはオーク突板ですから、ウォルナット無垢の木と風のほうが質感も良いと感じられると思います。
ただ、木と風はオイル塗装のため、お子さんが使うにはキズが付きやすいです。
その点、ボナシェルタのほうが安心ではないかと思います。
また、木と風の引出し内部材はヒノキで、引出し底箱と引出し内箱のすき間も大きいので、中身が空のときは開閉が軽くて良いのですが、中身を収めると摩擦抵抗が感じられるようになります。
ボナシェルタはシナで、引出しの精度も高いため、もう少し滑りが良く感じられるはずです。
ダーク系、無垢、ウレタン塗装、ということでしたら、浜本工芸の「No.28デスク」、「No.6000デスクユニット」もオススメです。
引出し内部材は桐なので滑りも良いです。
(No.6000デスクユニットの別売引出は金属製のフルスライドレール採用)
以上、ご参考になれば幸いです♪