
最近はあまり言っていませんが、学習机は引出しが命です!
その理由は主に3つ。まず、収納にもっとも困るのは文房具や雑多なモノなど小物だからです。棚に小物を収納しようとすると、小箱にまとめるなど工夫が求められますが、引出しがあれば適当に詰め込んで閉めるだけでもスッキリします。要は片づけるのが楽なのです。
また、引出しの開閉がスムーズであればあるほど、ストレスなく片づけることができます。逆に、引出しの開閉がしにくいと、片づけるのが億劫になり、散らかりやすくなると言えます。
そして、引出しは丈夫でなければなりません。いくら引出しがたくさんあっても、すぐに壊れてしまうようでは困ります。だから、引出しの内箱から全て組み立てる必要がある学習机はダメなのです。
その点で言うと、引出内部材がどんな材質かというのは些細な事です。しかしながら、引出内部材を見れば、自ずとその学習机のクオリティーが分かります。高級な机ほど良い材質を使っているからです。
同じお金を出すなら、少しでも良い材質を使っているほうがうれしいですよね。そこで今回は、引出内部材の材質についてまとめてみたいと思います。
- Q学習机の引出し内箱の材質にはどのようなものがありますか?
- A
桐、ファルカタ、パーティクルボード、MDFなどが一般的です。カリモク家具はシナ、杉工場はヒノキを使っています。桐と言ってもピンキリで、最上級の浜本工芸から、低級のため白く色を塗って化粧しているものもあります。
※この記事は2025年8月20日にリライトしたものです
引出内部材の材質
桐
日本製(浜本工芸)

学習机の引出内部材の品質がもっとも優れているのは浜本工芸です。浜本工芸は桐(本桐)を使っています。
手触りが滑らかで、とてもキレイな色をしています。レールレスでもスーッと開くことができるのは、加工精度が高いのはもちろん、桐は摩擦抵抗が少ないからです。軽さも影響していると考えられます。
ちなみに、桐には調湿作用があると言われますが、洋服を収納するわけじゃないですから関係ないと私は思っています。防虫効果についても然りです。
中国製

日本製の堀田木工所や飛騨産業のほか、中国製やタイ製の学習机でも桐がよく使われます。ただ、浜本工芸など日本製と比較すると、等級は下です。木目がやや赤黒く、ザラザラした手触りです。ひどいものになると、アク(灰汁)が強くて全体的に薄黒くなっています。
それでも、海外製の中では上位のスペックと言って差し支えないでしょう。
ベトナム製(白塗り)

近年はあまり見かけなくなりましたが、桐でも白く塗ったものがあります。これはアクが強くてお世辞にもキレイとは言えない桐を塗装することで化粧したものです。以前はベトナム製でよく見られました。
塗装していない桐集成材なら、汚れても紙やすりで削ってキレイにすることができますが、塗装したものはそういうメンテナンス方法が使えないのがデメリットです。もちろん、調湿作用はまったく期待できません。
ちなみに、引出しの底板は桐やシナの場合はそれらの突板であったり、プリント紙であることが一般的です。突板であれプリント合板であれ、表面材はとても薄いものなので、削れば芯の合板が剥き出しになってしまいます。ですから、基本的に底板は削ってキレイにすることができません。この点はくれぐれもご注意ください。
ファルカタ(洋桐)

ファルカタ(洋桐)はバルサ材のように白くて表面が滑らかなのが特徴です。主にマレーシア製の学習机に使われます。
ファルカタも桐と同じように扱えます。個人的には下手な桐よりも好きです。
白塗りのMDF合板

白塗りの桐に代わって増えたのが、同じく白く塗ったMDF合板の内部材です。ベトナム製に多く見られます。
天然木ではありませんが、使用にはまったく差し支えありません。デメリットがあるとすれば、白塗りの桐と同様に紙やすりで削ってキレイにすることができないことくらいでしょう。
なお、学習机ではほとんど見ませんが、無塗装のものもあります。
パーティクルボード
樹脂フィルム貼り

樹脂フィルム貼りのパーティクルボードはインドネシア製でよく使われます。木目調のほか、ホワイトやブラックの単色のものもあります。コストは安いですが、汚れても拭くことができるのでもっともメンテナンス性が高いです。
私はその点で樹脂フィルム貼りのパーティクルボードを相当に評価しているのですが、樹脂フィルムは剥がれてくることがあります。樹脂フィルムが剥がれてくると、見た目が悪いだけでなく、引出しが開けにくくなり、最悪の場合は引出しが開かなくなることもあります。
プリント化粧紙貼り
プリント化粧紙貼りのパーティクルボードを使った引出しは完全組立式の学習机に多いです(上写真のニトリ・LI01の引出しは完成品です)。もっともコストが安いと言って差し支えないでしょう。
とは言え、防汚性や耐摩耗性は樹脂フィルムに劣るものの、使用感には問題ありません。一部の日本製を除き、底板はプリント化粧紙が多いですから、特に不安視することはないと思います。
シナ
カリモク家具は学習机に限らず他の家具でも引出内部材には主にシナを使っています。シナの漢字は木偏に品と書きます。表面にシナの突板を貼った合板がシナ合板で、化粧合板としてはポピュラーですね。
シナは桐やファルカタよりも表面が固く、滑らかで汚れにくいです。そのあたりがカリモク家具がシナを使う理由かと思います。イメージよりも合理性を取る感じでしょうか。
シナの引出しが汚れた場合には桐やファルカタと同様に紙やすりで削ることでキレイにできます。
ヒノキ(檜)
杉工場は引出内部材にヒノキ(檜)を使っています。ヒノキには抗菌・防カビ効果があると言われます。また、ヒノキに含まれるフィトンチッドにより森林浴効果で癒しの作用があるとも言われます。ただ、いずれの効果も桐と同様に限定的ではないかと私は考えています。
ヒノキの引出しも汚れれば紙やすりで削ることでキレイにすることができます。
以上、学習机の引出内部材の種類を紹介しました。
基本的に、学習机の引出内部材のクオリティーは価格に比例します。やはり浜本工芸とカリモク家具はコストを掛けて最適な材質を選んで使っています。逆に、低価格のものはそれなりです。
一方で、中価格帯ではバラツキがあります。特に顕著なのは一生紀で、同社ラインナップ内では価格にバラツキはないのに、引出内部材に桐とプリント紙パーティクルボードが混在しています。「リフレ」と「レスコ」などはその好例と言えましょう。
だからこそ、引出しを開けてよくチェックしてみてください。構成やデザイン、天板等の材質やスライドレール、サイズなど、学習机を選ぶうえでもっと重要なポイントはありますが、迷った場合は引出内部材が決め手になるかもしれませんよー。
コメント 皆様からご質問・ご意見など