
くろがね工作所の2026年度カタログが発行されました。タイトルは従来の「学習家具・SOHO家具」から「ホームライフ家具」に変わっています。ホームページでの表記も少し前に変わりましたが、それに準じたかたちです。
この傾向は他社も同様で、ほぼ学習机から撤退したオカムラは「ホームファニチュア」という括りにしていますし、イトーキも「ITOKI HOME」というブランドを使っています。学習机専業に近いコイズミファニテックですらカタログのタイトルは「and DESK」です。
少子化、小学校入学に合わせて学習机を買わない、一方で在宅勤務を含めた多様な使い方が求められる昨今を踏まえれば、これは自然な流れだと思います。むしろ個人的には、もっと中高生以上、もしくは大人をターゲットにした商品開発をするべきだと考えています。
とは言え、大量生産を前提とすると、学習机という商品は商売として手堅いのもまた事実。これまで子供たちの喜ぶ顔を励みに開発してきたのに、急に大人用の商品を作れと言われても、すぐに軌道修正できないという心情もあります。
2026年度のくろがね工作所のカタログの中身を見ると、そんな葛藤が見られるように思います。
※この記事は2025年11月26日時点の情報に基づいています
TheデスクCDにハイタイプ登場

前年度に投入した「TheデスクCD(KSL-25C)」が好評だったのでしょうか。2026年度は上棚ハイタイプ(KSH-26C)が追加されました。従来のロータイプと同様にホワイト系とブラック系の2色展開です。
近年は上棚ハイタイプの組み替え式デスクは絶滅危惧種となっており、くろがね工作所では2024年度の「キュートガール」以来となります。都合、2025年度だけが上棚ハイタイプなしだったわけですが、「やっぱりハイタイプは必要だった」という話になったのかもしれません。
世間では「イマドキ学習机なんて…」と思われがちですが、やっぱり学習机らしい機能性や収納力が求められている現実があるということだと思います。
棚板にもなるスチール有孔パネル

TheデスクCDハイタイプは単にロータイプの上に棚を追加しただけではありません。ハイタイプに付属のスチール有孔パネルはハンギングボードとして使うだけでなく、棚板としても活用できるようになっています。
この仕組みは面白いと思います。実際のところ、モニター台を外して使うことがあるのか疑問はありますが、ハイタイプを検討する材料のひとつになり得る可能性は感じます。
コイズミCDシリーズとの比較
| くろがね | コイズミ | |
|---|---|---|
| ハイタイプ | TheデスクCDハイ+スリムワゴン | CDファースト |
| 128,700円+28,600円=157,300円 | 145,200円 | |
| ロータイプ | TheデスクCDロー+スリムワゴン | CDコンパクト |
| 114,400円+28,600円=143,000円 | 118,800円 |
とは言え、価格面はどうでしょうか。コイズミファニテックの「CDシリーズ」と比較すると、TheデスクCDはハイタイプもロータイプもスリムワゴンをセットすると、CDファーストおよびCDコンパクトよりも高くなります。
ただし、割引率はくろがね工作所のほうが若干高めですから、実売価ではそれほど大きな差はありません。諸々スペックに違いはあるものの、良い勝負ができるんじゃないかと思います。むしろ「ワゴンは要らないかな」と考える方にとっては良い選択肢になり得るでしょう。
ノーマルワゴンが追加

近年、スリムワゴン推しだったくろがね工作所ですが、2026年度はTheデスクとTheデスクCD共通のノーマルワゴン(KSFC-26C)をラインナップに加えました。
スリムワゴンならコストも下げられるうえ、足元を広くすることもできます。一方で、それでは収納量が少なくなるとか、使いにくいという声があったのでしょうか。
実際のところ、差額は売価で2500円前後です。選択肢を用意することで、消費者がより選びやすくしたということのほうが大きいのではないかと思います。
シンプルプラスなどが廃番に

2026年度はTheデスクCDハイタイプが追加された一方で、「シンプルプラス」(上写真)と「ラティック」が廃番となりました。
シンプルプラスはアルダー無垢天板、ワイドな調色式デスクライト付きで、実売価9万円程度と、かなり魅力的だったんですけどねー。アルダー材の高騰によりこの価格では厳しく、逆に値上げすると売上が見込みづらかったのでしょう。
ラティックのほうは現在も在庫限りで販売中。半値以下となっており、かなりお買い得です。
FZCMにピンク追加
ワントーンカラーの「FZCM」は従来の3色に加え、ピンク色が登場しました。学習用に限らず、回転チェアはワントーンの人気が高まりつつあるので、売上好調なのでしょう。
なお、FZCMには足置きはありませんが、別売の肘掛けをセットすることが可能です。
以上、くろがね工作所の2026年度カタログから主なニュースを紹介しました。
近年、くろがね工作所は組み替え式デスクやカラーデスクを減らすとともに、ワゴンをスリム化するなど、脱・学習机と見られる動きがありました。そして、2026年度はカタログ表紙からも学習机色が薄まっています。
しかし、実態としては少し逆行させた格好になっています。上棚ハイタイプやノーマルワゴンの復活、ピンク色の回転チェアなどがその表れです。
でも私は良いことだと思います。一言で言うと、選べる楽しさです。ロータイプだけでなく、ハイタイプもある。スリムワゴンもノーマルワゴンも選べる。カラーも選べる。変に大人向けを意識しているわけではなく、ジェンダーフリーなデザインが多く、子供も自然に選びやすいラインナップです。
少子化ですから、メーカーやラインナップが減るのは仕方ないのです。そうしてどんどん選択肢がなくなっていく中で、目に留まったデスクからいくつかのバリエーションが選ぶことができれば、多少予算オーバーでも自分だけの組み合わせに仕立て上げることができます。2026年度のくろがね工作所は、そういう理想形を示唆していると感じます。
なお、2026年度のくろがね工作所は値上げなしです。ラインナップだけでなく価格の面でも頑張っており、今後も期待できることでしょう。欲を言えば、プロパーでも値ごろ感のあるデスクは用意しておいて欲しいですけどね。




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